STAP細胞問題の真相(1)
Written by admin on 2015年1月12日 – 09:00
あけまして、おめでとうございます。新年も早くも、成人の日です。 昨年も押し迫った12月26日、STAP細胞の問題に関し、外部の『研究 論文に関する調査委員会』が、記者会見を開きました。委員長は、 国立遺伝学研究所の所長、桂勲氏でした。 ▼リアルタイム配信 最近、政治、経済、科学での重要なものは、リアルタイムには「に こにこ動画」で、過去のものはビデオ・オン・デマンド風にYou Tubeで、数時間にわたる記者会見も見ることができます。 https://www.youtube.com/watch?v=AWkc9v6l1JQ 記者の見解と、会社の編集方針に沿ってまとめた記事と違い、渦中 の主人公の身振り、表情、資料、言葉、声の調子から、大量の情報 を受け取ることができます。 個人会見と、直接の取材ができないことを除けば、われわれも、記 者と同じ立場に立つことができる時代です。 ▼ES細胞の混入だったという結論が出た 小保方・若山・笹井論文では、様々な身体組織になることができる とされていたSTAP細胞は、遺伝子(DNA)の塩基の配列を調べた結 果、ES細胞が混入したものだったという発表でした。 ほぼ7日間かかるSTAP細胞の培養のとき、誰がES細胞を混入させた か、その証拠は見つからない。関係者に聴取しても、当然、皆が混 入を否定する。しかし、事実は、ES細胞の混入があったというもの です。 STAP細胞の現象と思われたものは、(1)誤認、(2)または意図的 な嘘だったことがわかります。誤認なら過失ですが、意図的な嘘な ら研究詐欺です。 2014年12月25日の、外部委員会の報告書により、論文に書かれた方 法(プロトコル:手順)でSTAP細胞がつくれることは、完全に否定 されました。(報告全文) http://www3.riken.jp/stap/j/c13document5.pdf そして問題は、一体誰が、どんな目的で、ES細胞を混入させたのか ということになったのです。外部の有識者からなる調査員会は、捜 査での強制力はないので、「それは分からない」と言う。 過去の、STAP細胞問題に関連した記者会見を今聞けば聞くほど、 様々な疑問がわいてきました。 これが、本稿を書く動機です。(注)理研会見、小保方会見、笹井 会見、若山会見、調査委員会見、それぞれが、数時間です。 ▼ES細胞とは ES細胞は「胚性幹細胞」とも言います。受精卵が5日から7日成長し て「杯盤胞」と言われる段階になったところで、内部から、細胞を 取り出し、フィーダー細胞と一緒に培養すると、内部の細胞塊が増 殖するそうです。 この細胞塊が、すべての身体組織に分化することができるES細胞に なる。マウスのES細胞は1981年に、人間のES細胞は17年後の1998年 に樹立されています。 ただし、ES細胞は胎盤にはなることができない。ここで重要なこと を言っておくと、STAP細胞は、ES細胞がなりえない胎盤にもなるこ とができるという。胎盤にもなることが、STAP細胞の、固有な特徴 とされます。 【iPS細胞】 山中教授が2006年に開発したiPS細胞も、様々な臓器になり得ると いう点でES細胞と同じです。しかしES細胞は、受精卵から作るので 生まれる命を殺します。生命倫理上の問題があります。 一方で、iPS細胞は人間の皮膚などの体細胞から培養して作ること ができる多能性の幹細胞です。幹細胞とはほぼ無限に増殖し、臓器 になる元の細胞塊です。木で言うと、枝を出す幹に当たります。 ▼STAP細胞 小保方論文では、STAP細胞は幼いマウスの脾臓からとった細胞を弱 酸性の溶液に浸してある刺激を与えると、自己防衛機能からか(理 由は不明)、初期化されて、万能性を獲得するとされました。 STAPは「刺激惹起性の多能性獲得」という意味の略語です。ES細胞 やiPS細胞が含む問題を克服していて、はるかに簡単に作ることが できる「夢の細胞」とされました。 初期化とは、細胞が受精時の状態に戻ることです。ディスクの初期 化とは、データを全部消すことですよね。 STAP細胞は、ES細胞がなり得ない胎盤にもなることがきるという点 が、論文の共著者である笹井副センター長、丹羽仁史プロジェクト リーダー、若山教授がSTAP細胞の存在を主張していた根拠でした。 * 昨年の1月末、小保方晴子ユニットリーダーの、笹井芳樹CDBセン ター副所長(後に自殺)、若山照彦山梨大学教授(論文の撤回を提 案)とともに、「夢の若返りができるかもしれません」と晴れ晴れ と発表した姿は、目に焼き付いています。 これはすごいことだ。20年後、本当に、劇画のような不老不死の時 代になるのかとも思ったのです。たとえば100歳になっても若々し い顔、体、筋肉となると、まるでサイボーグですが・・・ そして明らかに。開発者が31歳のおしゃれでかわいい女性というの も熱狂を呼んだ理由でしょう。 論文は、科学誌ネイチャーの2014年1月30日号に掲載されました。 http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12968.htmlhttp://stapcells.blogspot.jp/2014/02/nature-article.html ところが発表の1か月後(14年2月)に、早くも、他の学者から論文 を根拠づけるためのデータが載った、写真の切り貼りと転用が指摘 され、STAP問題騒動になってゆきます。 科学では、証拠(実証)がもっとも大切です。実証を示すデータや 画像が、誤っているなら、論文も誤っていることになります。 経済でも、事実データを結論に都合のいいように、修正して、でっ ち上げて論じれば、それは妄論です。(注)経済論では、政治的な 目的から、しばしば行われていますが・・・ しかしそれにしても、疑問が残ります。 (注)本稿では、以下を参考にしています。 (1)STAP細胞関連の記者会見の映像、音声の全部。 (2)新聞、雑誌各社の、STAP細胞関連の記事。 (3)『捏造(ねつぞう)の科学者』 毎日新聞記者:須田桃子著 (1刷:14年12月30日) ■疑問の数々 (1)論文を指導する立場だった笹井氏は、STAP細胞がほとんど偽 装だと分かった後、小保方氏宛になぜ「絶対にSTAP細胞を再現して 下さい」という遺書を残したのか。 笹井氏は、ノベール賞クラスとも言われていた人です。論文は、他 の研究者の教科書にもされるものだったという。STAP細胞のデータ の事実がわかってくる過程で、「STAP細胞は、本当はできていな い」ということは、わかったはずです。 ところが死の間際まで、STAP細胞の存在を信じていたように見える のは、どんな理由からか。 あるいはSTAP細胞が存在しないことが分かっているのに、小保方氏 に要求したとすれば、それは、なぜか? (2)小保方氏が、会見で、「STAP細胞の公開実験は、場所と条件 が整えば、どこへ出かけて行っても行います。」と断言したのはな ぜか?(14年4月9日の記者会見) https://www.youtube.com/watch?v=JDyo7g-4zfQ 本人が、STAP細胞ができなかったのを知っていてES細胞を混入させ たのなら、公開の場での実験はできないはずです。 あるいは小保方氏は矛盾にも構わず、その場逃(のが)れで、発言 する性癖」の人か。 (3)小保方氏が自分でES細胞を混入させていて、STAP細胞が偽装 であると知っているなら、理研の論文調査の結果に対して異議申し 立てと再調査を要請したのはなぜか? STAP細胞が明らかな偽装なら、反証の過程で、やぶへびになって偽 装がわかるかも知れない異議申し立て(立証が必要)は、しないは ずです。 あるいは後は野となれ山となれと、その場しのぎで、異議申し立て をしたのか? (4)4月9日の記者会見では、正しい実験データが存在すること、 そして実験ノートも4~5冊あり、実験とデータがトレースできると いう小保方氏の発言がありました。 後の外部調査委員会では、データの存在及び別の実験ノートの存在 を、否定せざるを得ないという結論でした。 STAP細胞作製の実験がされていたかどうか、それすらも疑わしいと いうことだったのです(14年:12月26日の会見)。 もともと、実験データがなく、あるいはSTAP細胞の存在を否定する データであるため、出せるものでないなら、なぜ、データがあると 言ったのか? 実験ノートも同じです。 (5)若山教授が何度試みてもSTAP細胞ができないので、小保方氏 に直接、口頭で指導を受け、その時は一回だけSTAP細胞ができたと いう。 たった一度だけでも、このときできた細胞とは、なんだったのか? 以下次号で、究明します。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ と記述のとき、より的確に書く参考になります。 気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考にもなり、 うれしく読んでいます。時間の関係で、質問への返事や回答ができ ないときも全部を読み、共通のものは記事に反映させるよう努めま す。 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ◎購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール → reader_yuryo@mag2.com ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■1.有料版は、新規に登録すると『無料で読めるお試しセット』が 1ヶ月分送信されます。以下は、最近のものの、テーマと目次の項 目です。興味のある方は、ぜひ登録して購読してください。 ▼有料版の目次:2号分を掲載しました。 毎週、質の高い、本格的な論を展開する有料版は、いかがでしょう。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ <740号:金融・経済政策の、行きづまり解散> 2014年11月19日 【目次】 1. 政府の3つの誤算 2. 増税後の、消費回復が鈍い原因 3. 25%の円安なのに、輸出が、想定通りには増えない 4. 政府の主導で、株価だけが上がったが・・・ 【後記】 <741号:アベノミクスの本質は、 特定のグループへのヘリコプター・マネーだった> 2014年11月26日 【目次】 1.米国株の、10年PERは、27倍を超えた 2.日本株の1万7000円台は、持続可能か? 3.政府が株価相場に介入することの意味 4.2014年10月の店舗売上も、マイナスが続く(チェーンストア協 会) 5.コンビニエンス・ストアの既存店売上はマイナス1.1% 6.全国百貨店の売上も、既存店で-2.2% 7.食品スーパーの10月売上は、既存店で+0.7% 8.日銀による「生活意識」の調査結果:重要 【↓まぐまぐ会員登録と解除の方法】 http://www.mag2.com/howtouse.html#regist ◎登録または解除は、ご自分でお願いします。 (まぐまぐ有料版↓) http://www.mag2.com/m/P0000018.html (まぐまぐ無料版↓) http://www.mag2.com/m/0000048497.html (以上) ■2.「まぐまぐの有料版を解約していないのに月初から届かなく なった。」との問い合わせが、当方にも多いのですが、ほとんどの 原因は、クレジットカードの「有効期限切れ」です。 なお、登録情報の変更は、まぐまぐの『マイページ ログイン』の 画面を開き、登録していた旧アドレスとパスワードでログインして 出てきたマイページで、メールアドレス、パスワード、クレジット カードを新しいものに変更できる仕組みです。クレジットカードの 変更、送信メールアドレスの変更、パスワードの変更などに使って ください (マイページ・ログイン↓) https://mypage.mag2.com/Welcome.do または↓ https://mypage.mag2.com/mypage/creditcard/CreditCardMenu.do 新しいカードと有効期限を登録すると、その月の届かなかった分を 含んで、再送されます。 【お知らせ】 新しいメルマガ配信サイトの『フーミー:Foomi』からなら、(1) 銀行振り込み、(2)ケータイキャリア決済、(3)コンビニ決済で、 有料版の購読ができます〔↓〕。 クレジットカードの登録がイヤ な方はご利用ください。 http://foomii.com/00023 ◎ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則 のバックナンバー・配信停止はこちら ⇒ http://archive.mag2.com/0000048497/index.html |