米ドルの反通貨、ゴールド新論(1)
This is my site Written by admin on 2013年11月25日 – 12:00
こんにちは、吉田繁治です。 前回の送信から若干の間隔が空いた
ことをお詫びます。本メールから連続して4通、先月の有料版を分
けてお届けします。テーマはゴールド及び通貨論であり、<米ドル
の反通貨、ゴールド新論>です。

                       *

金について書いたのは、リーマン危機(世界金融危機:08年9月)
の直前だった2008年の8月でした。

<謎に満ちたゴールドを解けば、通貨のからくりが見える>として
389号から393号まで4号を送っています。5年前のことでした。

【リーマン危機後 5年】
リーマン危機(08年9月)からは、5年経ちました。金は08年8月平
均の1オンス$839から、ピークでは、2011年9月の$1896にまで、
危機後の3年で、2.2倍に上げています。危機の後は下げましたが、
その後、3年間も、一本調子の上げだったのです。
http://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/m-gold.php

1オンス(トロイオンス)は、31.1グラムです。金貨を計る伝統的
な単位です。1枚の金貨の重さとしてみれば、価格のイメージが湧
くからです。日本で発行された10万円金貨(天皇陛下在位60周年記
念)の重さはそれより軽い20gでした。金1グラムの市場価格が5000
円を超えたとき、この金貨の価値は、10万円を超えています。

(注)円価格では、それぞれの時期のレートで換算すると1グラム2
983円(08年8月)が、4721円(11年9月)に上がり、1.6倍でした。
08年8月には1ドルが108円でしたが、11年9月には78円に上がったた
めです(28%の円高・ドル安です)。

【金の最高価格は、2011年9月】
2011年9月につけた1オンス$1896の瞬間価格は、ドル価格の史上最
高です。これが、13年10月29日現在は$1342です。$554(約30
%)下げています。

【2012年末~13年の円安のため、円では、さほど下げていない】
ただし円では、その間、1ドルが78円(11年9月)から98円(13年10
月29日)に上がった20%の円安のため、1グラムは4490円と、ドル
価格のピーク時の4721円との差は、5%(230円)しかない。

金を買うことは、米国の資産を買うことと同じで、金と同時に米ド
ルを買うことです。円高で円ベースでは損をし、円安が利益になり
ます。

ドルと円で言ったため、価格イメージがややこしくなります。金価
格は、ドルで見るべきです。ドル・ベースで、ロンドン、シカゴ、
NYで価格が決まり、その後、円に換算されているからです。

【弱気になっている、金価格の見通し:ゴールドマン:サックス】
●金価格については、現在、「来年の2014年に1オンス$1050(現
在より22%安)という弱気見通しが多数派」でしょう。

代表的なものは、ゴールドマン・サックスによる金価格分析です。
一時的には、1000ドル割れとしています。2013年10月が平均価格で
$1315でしたから、それより24%くらい低い価格です。これと同様
に、FRBの量的緩和の縮小が決定すれば、金価格も株価と同じく、
大きく下げるという見方が多い。

【その根拠】
2014年には始まるFRBの量的緩和の縮小により、ドルの金利は上が
り、世界からドル買いが起こってドル高に向かう。

ドルの実効レート(世界の通貨に対するドル価格)が上がると、金
は売られてドルが買われて、金は下げる傾向があるからだ、という
ものです。

ドル紙幣のバラマキ(3度の量的緩和:合計$3兆:300兆円)によ
るドル安があったため、金が買われ上がってきた。

量的緩和が終わると金投資からもマネーが逃げ、金価格は現在水準
の$1342から20%は下げるという。金が上がった理由がドル安であ
る。従って、下がる理由はドル高だというものです。

【テーマ】
本稿は5年前の続編として、08年のリーマン危機以降、金価格がど
う向かったかを、原因の面から、解明しようと思います。

そして、今後、3年から5年の中期で、金価格がどう向かうか、何が
その価格の根拠か、書きたいと考えます。数日で金について、4冊
の本を調べましたが、金についてはもともと、本も少ない。

データは、World  Gold Council(WGC:世界金委員会)にあります。
金は多くが、ロスチャイルド系です。

このデータを本当と見るしか方法はない。登録すれば読めます。英
語、部分的に日本語です。http://www.gold.org/

本論にはいります。最近ますます、「金は、国際基軸通貨ドルの反
通貨である」という確信が、強まっています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<681号:米ドルの反通貨、ゴールド新論(1)>
                2013年10月30日号

【目次】
1.リーマン危機のあとの量的緩和と金価格
2.08年9月以降、世界で1000兆円の通貨の増量があった
3.今度は日銀の異次元緩和
4.米ドルとゴールドの関係
5.国際基軸通貨とその特権
(本メールはここまでです)

【次号からの目次】
6.2000年代の、世界の外貨準備の急増はどんな結果を生んだか
7.世界の、公的な外貨準備で金が増え、ドルが減った
8. 金を放出してきた中央銀行
9.リーマン危機の後、中央銀行の金への態度に異変が起こった
10.世界の中央銀行のネットでの金取引(WGC)
11.金に価格下限はあるのか
12.産金コストを、ほぼ価格下限と見ることができる理由?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.リーマン危機のあとの量的緩和と、金価格

▼リーマン危機と量的緩和

5年前、金について書いた翌月(08年9月)は、住宅ローン証券の暴
落と、ローンの回収保険CDS(クレジット・デフォルト・スワッ
プ)の暴騰から始まり、米国の5大投資銀行が、同時に破産する恐
れがあったリーマン危機でした。

【ドル増刷に、緊急かつ果敢だったFRB】
救ったのは、米国FRBによる量的緩和第一弾($1.25兆)でした。
その後、追加された二度の量的緩和と、欧州の、収束したとは言え
ない南欧債(PIIGS債)の危機を経て、現在の2013年10月までに、5
年が経過しています。

米国の量的緩和は、QE1が125兆円、QE2が60兆円、そして、現在継
続中のQEが1年で100兆円です。

合計で300兆円くらいのドルが増発され、金融機関と金融システム
に、注入されています。欧州のECBもユーロ債の危機から、300兆円
くらいのユーロを増発しています。

リーマン危機については、最近、実情を書いたノンフィクションが
出ています。当時直感していたように、FRBのバーナンキ議長が対
応を誤れば、信用収縮(マネー量が20%くらい減ること)によって、
1929年から33年の世界恐慌に匹敵するものになるところでした。

バーナンキは、1929~33年の恐慌研究の学者です。FRBは、緊急に
未曾有(合計$1.25兆円:125兆円)のドル増発をし、血量の不足
で瀕死だった金融機関と金融システムに、緊急・大量の輸血を行っ
ています。

バーナンキが主導して増発した125兆円(QE1)は、その前までのFR
Bの総信用(=ドル発行量)の約2倍です。一挙に、FRBの信用を3倍
に拡大したのが量的緩和第一弾でした。

(注)信用とは、Creditです。マネーの面でのクレジットは、約束
した財貨の引き渡しが、将来において確実であることです。この信
用こそが、資本主義方式の経済の、取引を可能にするものです。中
央銀行は、発行するマネーの価値を減らすような発行をしないとい
う信用で、成立します。

このときの量的緩和は、FRBが、AAA格でも、60%に価格が下落して
いたMBS(住宅ローンの回収権を担保にしたデリバティブ証券)を、
額面の100%で買い取るものが主であり、金融機関の破産を防止す
るマネーでした。

米国FRBは、金融機関の不良債権を、額面で買い取っています。
その分(額面の40%)の損は、FRBが引きうけています。

こうした公的部門への不良債権(Bad Loan :バッドローン)の移転
は、次第に、米国でも、$16兆(1600兆円:日本の1.6倍)の残高
の国債にソブリン・リスク(国債の下落リスク)を生むようになっ
てゆきます。

▼リーマン危機の前後の金価格

リーマン危機の前後の金価格は、巨大で緊急の、米ドルの量的緩和
を受け、以下のような動きでした(月中平均価格)。価格の傾向を
見やすくするため、4半期ごとに示します。1オンスは31.1グラムで
す。
           
           月中平均価格     参考           参考
           1オンス($)  1gの円価格    $/円レート
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
08年3月     $968         3157円        102円
08年6月     $889         3079円        108円
08年9月     $827         2859円        107円
08年12月    $818         2433円         93円
09年3月     $925         2945円         99円
09年6月     $946         2977円         98円
09年9月     $996         2952円         93円
09年12月   $1134         3214円         91円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
http://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/m-gold.php

(1)08年9月15日からのリーマン危機の後、いったんは、金価格は
下がった

08年3月には、1オンス$1000付近になっていた金価格(3月中の高
値は$1023)は、リーマン危機の直後(9月)に、ヘッジ・ファン
ドによる資金繰りのための換金売りが増え、08年12月の$818まで
下がっています。3月のほぼ$1000に対して、20%近い下げだった
のです。

金の売買市場は、1日に18兆円と大きく、極めて流動性が高い(201
1年~12年:WGCの統計)。売買が盛んだということです。東証1部
上場株の、1日の売買額が2.3兆円(13年8月)です。この金市場の
売買額の大きさは、売るときすぐ換金できることを意味します。こ
のため、リーマン危機の時の株のように、損をしたヘッジファンド、
上がった金を売って益出しすることが頻繁に起こります。

(2)3ヶ月後が底値だった、その後36%上昇した

その後、危機が広がった08年12月の$818を底値に、09年は年初の
$895から12月の$1134まで、27%戻しました。そして、08年3月の
高値$1023を超える$1213は、09年12月につけています。

この金価格の上げは、FRBの量的緩和(ドル増発)によるドル価値
の低下に呼応したものだったということが、上表の円とのレートで
わかるでしょう。中央銀行がマネー増発した国の通貨の価値は、そ
の分、下がるからです。

このため、FRBのドル増発に呼応して、リーマン危機のあとドルは2
0%近いドル安(=20%の円高)傾向に入っています。「増発され
た通貨(ドル)は、増発がより少ない通貨(円)に対して、価値が
下がる」という原理通りの結果です。

ここで見るように、「2000年代後期の金は、米ドルの反通貨」とし
て性格を見せるようになります。「金をドルの対抗通貨と見る人が
増えてきた」ということです。

このため
・ドルの世界の通貨に対する実効レートが上がるときは金価格が下
がり、
・実効レートが下がるときは金価格が上がる傾向を示します。

(注)ドルの実効レートは、世界の通貨に対し、それぞれの貿易額
で加重をつけた計算したドル・レートです。

■2.08年9月以降、世界で1000兆円の通貨の増量があった

リーマン危機後の金融の危機対策として、その後に米国、欧州、ア
ジア、日本を含む世界で、各国の中央銀行が増発したマネー(プリ
ンティング・マネー)は1000兆円になっているでしょう。その中の
4巨頭が、米国300兆円、ユーロ17ヵ国300兆円、中国60兆円、そし
て日銀です。

米国のFRBはご存知のように、量的な緩和(マネー増発)を、
・QE1($1.25兆:125兆円:2008年11月~10年6月:19ヵ月)、
・QE2($6000億:60兆円:2010年11月~11年6月:7ヵ月)、
・QE3($1.0兆:100兆円:2012年9月~現在:毎月8.5兆円 )とし
て、継続中です。

世界の中央銀行の、合計の資産・負債は、$20兆(2000兆円)と、
08年9月の、金融危機の前の2倍に膨らんでいます。これは世界の合
計で、リーマン危機の後の5年間で、1000兆円のマネーが増発され
たということです。米国と欧州(ユーロ)が、ともに、300兆円く
らいで(合計600兆円)、残りは中国、英国、日本及び世界です。

▼危機後、20%の円高の理由はドルの増刷

リーマン危機のあとは、日銀の円増発は、20兆円くらいと少なかっ
た。FRBのドル増発(QE1で125兆円)に対しての、この少なさが
リーマン危機後の、先述のような約20%円高の主原因でした。

危機前は、1ドルが110円だったのです(08年8月平均レート)。
金がドルで最高値をつけた2011年の9月には、1ドルは77.8円(月中
平均)にまで、約30%も下がっていました。00年代は、米ドルが下
がると、その反対に、金が上がるという傾向です。

巨額に増発された通貨(ドル、ユーロ)の価値は、円以上に、30%
余分に下がったからです。

■3.今度は日銀の異次元緩和

そして昨年11月以降の20%のドル高(円安)は、日銀が、インフレ
目標2%を言い、マネーを増発するということからでした。

【13年4月から異次元緩和】
2013年4月からは、1ヶ月に$850億(8.5兆円)のドルを増発してい
る「量的緩和第三弾(QE3)」を縮小する時期が近いと見られてい
る米国FRBを補うかのように、今度は、日銀が「異次元緩和」を開
始しました。

国債を買い切る方法を使う日銀のマネー増発は、毎月7兆円くらい
です。1年に80兆円です。

この円マネー増発のスケールは、経済規模(GDP)が約3倍の米国FR
BのQE3に匹敵します。つまり、日本経済にとっては「異常な量のマ
ネー増発」です。6ヶ月が経過しました。

しかしマネー増発分は、日銀当座預金の50兆円の増加(残高109兆
円)になっていて、まだ、市場には出ていません。この当座預金の
増加50兆円は、金融機関がもっていた国債50兆円を、日銀が買い取
ったときの代金です。日銀が、国債を買うのに払った代金が、マ
ネーの増発です。

増えた50兆円(残高109兆円)は、まだ、日銀当座預金に眠ってい
ます(ぶた積みの状態)。

しかし毎月7兆円、半年で50兆円、1年で100兆円くらい増え続けま
すから、過剰すぎる量になった日銀当座預金が、プールが溢れるよ
うに、次第に経済に出るでしょう。そのときから、物価が上がるイ
ンフレです。(日銀のB/S↓)
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2013/ac131020.htm/

物価の上昇の本質は、商品価値の上昇ではなく、価格を示すとき使
う通貨の価値の下落です。つまり、インフレの国の通貨は、そのイ
ンフレの分、目減りして下がるのです。

■4.米ドルとゴールドの関係

▼金は、「無国籍通貨」と見なされるようになってきた

金の価格は、ドルで決まります。1オンス(31.1g)の価格がドル表
示されるというだけではない。「金価格(↑)=ドル価値(↓)」
という関係にあることが増えてきたという意味です。

紙幣のドルの価値が、発行のされすぎを原因に下がると、金の価格
が上がるという関係にあることです。2000年代は、金がドルと対立
した無国籍通貨と見なされるようになっています。これが、2000年
代の金価格が4倍、5倍に高騰している、根底の理由でしょう。

通貨(マネー)の価値は、人々の信用が根拠です。無形の、心理的
な信用しかない。動物には「信用する」という能力がないらしく、
その社会に通貨はない。

人間は通貨を、商品や資産の代替として信用することができます。
この信用の構造は、「社会」です。お店の人がその通貨を信用する
からその通貨の価値があるという関係です。一般化すれば、「人々
が信用するから自分も信用する」という構造です。

2000年代には、ドルの価値が下落したと人々に見なされたために、
金価格が上がったと、見ることができます。当方は、この観点で金
を見ています。

■5.国際基軸通貨とその特権

▼1971年が起点だった

基軸通貨の発行特権(シーニョレッジ)という巨大権益もつ米国の
FRBは、1971年以降ずっと、金を敵視してきました。

1971年は、当時の大統領ニクソンが、「金・ドル交換停止」を宣言
し、ドルを不換紙幣にした年です。理由は、米国から金が流出して
は困るということでした。

米国の経常収支が、ベトナム戦争の出費で赤字になった。米国の経
常収支の赤字とは、経常収支の黒字国(当時は欧州、日本、産油
国)へ米ドルが流れることです。そのドルで米国FRBに、海外から
金との交換を要求すればFEBの金(=米国政府の金)がなくなって
しまう。

このときFRBからの進言も受け、「金の流出は、米国にとっては困
ることである」とニクソンは認識したのです。このために、どこの
国にも連絡せず、突如実行したのが、金・ドル交換停止でした。

【1971年以降は、金というアンカーを失った変動相場制】
その後、世界の通貨は、お互いの価値が日々動く変動相場制になり
ます。基軸通貨は変わらずにドルですが、ドルそのものの価格が動
いてしまう(フロートする)。このため、ほんとうは「基軸の通
貨」とは言えない。しかし慣習的に、対ドル固定相場のときの基軸
通貨(Key Currency)と言っています。

「金は重要ではない」と認識しているなら、「金・ドル交換停止」
を宣言する必要はない。重要でない金属は、海外に渡せばいいから
です。 

「金・ドル交換停止」とした理由は、金が通貨の元としてもっとも
大切なものと、米国政府とFRBが認識していたからです。

このためにこそ、米国政府とFRBは「金はバカげた通貨である。基
軸通貨ドルの信用は、金ではなく、米国政府の信用である」という
反・ゴールドキャンペーンを張ります。

米国政府とFRBは、世界に向かって、あからさまな嘘を言ったので
す。1970年代、1980年代、1990年代、そして2000年代と、変わらず
続いていることです。この嘘のため、金価格の動きも分かりにくく
なってしまった。

米国政府とFRBは、金を敵視しつつも敵視していることは言わず、
裏では、金価格の市場操作をし続けてきているからです。

▼米国政府・FRBによる、金敵視の理由

【重要】米国政府が、ドルとの兌換(一定率での交換)を停止した
あとの金を敵視する理由は、ペーパーマネーの信用が、金の高騰に
よって毀損(きそん)されると考えているからです。

つまり、金価格が2倍になれば、世界に、ドル価値が1/2になったと
受け取られるからです。

【米ドルの特権】
基軸通貨の発行特権として言われるシーニョレッジは、例えば米国
が、FRBの増発した原価ゼロの$100億(1兆円)のドルを払えば海
外から原油や、1兆円分の商品を買い続けることができるという特
権です。海外企業の買収もできます。

相手国は、受け取った代金$100億の、預金をもつだけです。米国
は、何も払う必要がない。流通価値(購買力)が世界で信用され、
海外で使われる基軸通貨の発行国は、「無の信用で、海外から商品
や資産、会社を買う」ことできます。

(注)米国以外の国、例えば日本や中国は、海外から商品や資産を
買うには、貿易黒字で稼いでいたドル(基軸通貨)を使わねばなり
ません。

米国は、国内の通貨と基軸通貨が同じドルなので、FRBが増発すれ
ばいい。このため、米国は、抜きがたく、楽な貿易赤字を続ける傾
向をもっています。

日本が、資源を買うため輸出の努力をするのとは、違います。仮に
円が世界に、ドルより価値がある基軸通貨と認められるなら、基軸
通貨特権が身に沁(し)みてはずです。世界は、円を得るため、競
って日本人が買ってくれる質の高い商品を輸出します。日本は、貿
易が赤字でも、円を刷って渡せばいい。こうした位置にあるのが、
基軸通貨国である米国です。

▼金が高騰すれば、基軸通貨特権が減少する方向に向かう

基軸通貨のドルに対し、金が高騰すると、ドル信用の低下と見なさ
れます。ドル信用が一定線を越えて低下すると、1年後の価値(商
品購買力)が信用されねばならない基軸通貨の位置を失います。

以上から、米国政府とFRBは、金の高騰を嫌い、敵視します。
(・・・)以下、次号で。


~~~~~~~~~~~~~
【有料版 目次】

<678号:4月からの異次元緩和は、
脱デフレをもたらし、経済を成長させるか(1)>
2013年10月9日

【目次】

1. ベース・マネーの増加は、6ヶ月で40兆円
2. ベース・マネーは、通貨供給(マネー・サプライ)ではない
3. 円安と消費税増税という物価を上げる要因
4. 2014年3月以降の、消費税を含む物価は+4.5%
5. 株価では、6ヶ月先を折り込む
6. 異次元緩和6ヶ月後の、ベース・マネー
7. 日銀当座預金の増加だけなら「ぶた積み」
8. なぜ、「ぶた積み」になるのか?
10. わが国のマネー・ストック(M3)の増加
11. 2%のインフレには、7%(77兆円/年)のM3の増加が必要
11.「自宅に帰り着くまでが、旅行である」

<679号:4月からの異次元緩和は、
脱デフレをもたらし、経済を成長させるか(2)>
2013年10月16日分

【目次】

1.異次元緩和
2.具体例
3.日銀の、インフレ目標2%と異次元緩和
4.「実質金利」というもの
5.予想インフレ率の実証研究
6.インフレに向かいつつあるのか、インフレになるのか?
7.期待インフレ率は、ほぼ1%付近(2013年10月)
8.消費者物価指数も、昨年比で1%くらい上がった
9.日銀は、異次元緩和をあと1.5年は続ける
10.128兆円の、余剰資金の運用先

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。
                              以下は、項目の目処です】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
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