2011年の回顧と、新年への展望
Written by admin on 2011年12月28日 – 09:00
おはようございます。いよいよ押し迫りました。家の大掃除と、不 要な本と雑誌(2階には重くて危険)の処分を、家人から毎日要求 されていますが、一向に進みせん。 「今後、要るか・・・、あるいは必要ないか」をハムレットのよう に考えるため、座り込んで読んでしまう。1冊ずつ手にとって、「 そもそも、なにが理由で、整理すべきなのか?」と、思い悩む。 整理は、オーガナイズ(=分類し、並べ、秩序づけること)ですが 、うまく行かない。当方の脳がエントロピーのように混乱し、秩序 づいていないのかも知れません。要点を暗記するという方法が、一 番いいのでしょうか。 日経とFinancial Timesの、経済と金融の「数値やグラフの切り抜 き」は、約20年、続けています。一ヶ月に、A4のノートで1~1.5 冊分になります。統計数値の、インデックス役を果たしています。 これも捨てる。20年分を溜めれば、360冊にはなっていたでしょう 。 マネタリストの大家とされるミルトン・フリードマンは、「経済学 、それは測定だ」という警句を、シカゴ大学の、経済学部の玄関の プレートに彫り込ませたと聞きます。なるほど、そうでしょう。 文系の学は、人の認識(「観念」ともいう)でしょう。経済学を含 む科学は、測定と数字だと思います。「バラは美しい(人の認識) 」と見るのが文系の学です。生物としての花の構造を分析するのが 科学です。 しかし人間の経済が、科学と違う点は、「事実→認識→売買の経済 行動」となることです。事実ではなく、事実をどう認識し、評価す るかという人間の観念が入り込みます。 科学は「事実→法則→次の事実」であり、人間がどう認識しようが 、たとえば万有引力は、人間にかかわりなく宇宙の果てまで働きま す。そのため、科学は、あらゆる法則が発見されれば、未来は、確 率論的に確定していると見ます。 (注)対象となる金融資産が5京円に増えたデリバティブ(金融商 品の確率的な価格論)も、法則への科学的な信仰から生まれていま す。ところが、経済には人間の認識が入り込むため、デリバティブ (CDS、CDO、ABS等)は誤って、08年9月の住宅ローン証券と、10年 5月からのPIIG債の金融危機を引きおこしています。 経済が、事実への認識をもとにした売買行動(経済活動は売買です )であるため、人々の認識の違いによって、異なった行動が生まれ ます。 株や国債を買うという経済行動がある。その行動は、株や国債の値 上がりを期待したものです。株の買いは、その企業の将来利益が金 利率以上に増え、そのため、株価は上がるという判断(=認識)か らのものです。売りは、その逆で、企業の将来利益は金利以上には 増えないという予想(=認識)からです。 1%と利回りが極度に低い国債の買いが生じるのは、物価下落のた め、実質金利、言い換えれば「国債利回り1%+期待物価下落率( 約2%)」が3%あるためです。 ほぼ1年を予想した「期待物価上昇率」が下がる中では、今年の100 万円の国債は額面に対し1%の利回りしかなくても、1年後は100× (1+金利1%+物価下落率2%)=103万円の価値、つまり商品購買 力になると考えられるからです。 物価の下落予想が、国債が売れる理由です。モノが売れにくい理由 でもあります。来年になれば、100万円で、103万円分が買えると思 うからです。 (注1)期待物価上昇率が、仮に米国並みの3.5%(11年11月)、 ユーロ並みの3.0%(11年11月)に上がると、わが国の利回り1% の国債では損をします。このため、まず海外ファンドから売られ( 先物売りやオプションの売り)、国債価格は大きく下落し(-15~ -20%)、それを買い受けた時価価格に対する金利が3%、4%に近 づきます。このとき、日本の国家財政は破産し、極度の円安とイン フレに向かいます。 (注2)日本経済が成長すれば、政府財政は改善し、国債不安もな くなるという人がいますが、誤りです。経済成長は、物価が下落か ら上昇に転じることでもあります。 物価の期待上昇率(将来予想)がインフレターゲットの2%に上が ると、長期国債の価格は10%も下がって、金融危機が起こって政府 財政が破産してしまうのです。国債の残高(普通国債+財投債+政 府短期証券)が1000兆円規模であるためです(2012年3月予想)。 * 本稿は、2011年を振り返り、2012年への展望。事象を個々に取り上 げ、総合(=整理)すれば、一冊の本でも書ききれません。共通の 本質に見えることに、集約します。 本質を見るという姿勢で考えると、異なる現象(現れたこと)に、 共通のことが見える感じがしています。経済と経営で、1項ずつと します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <570号:2011年の回顧と、新年への展望> 2011年12月28日号 【目次】 【経済への1項】 1.政策決定の無力化 2.消費税の増税 3.異常に思えるデータがある 4.円安になれば、日本経済は成長するという論があるが・・・ 【経営と仕事への1項】 5.経営は、リーダシップ型のマネジメントへ転じよう 6.リーダシップ型経営 7.顧客ニーズ適合の誤り 8.リーダシップ型経営の方法 【後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.政策決定の無力化 日本だけでなく、世界で、政府の政策決定に無力化が生じた1年で した。 本質的な共通原因は、国民が共感する「高齢化に向かう国家像(い わばビジョン)」を描いて、提案できないことです。(注)政治に ついては、もう、発言する気を失っています・・・。 国家のビジョンは、分野別には、国土・交通、通信、建設、産業、 エネルギー、社会福祉、生活、農林漁業、地方自治についてのビジ ョンです。 行政(政府、自治体、独立行政法人、およびサード・パーティー) が、その予算額では、国民経済(GDP)のほぼ40%部分を決めてい ます。4割が行政予算ということでもある。 国家は、国会が統治する官僚機構です。その現れが、行政です。他 方、国民は、企業(法的人格)と世帯です。国家財政の破産は、官 僚機構の収支が合わなくなることです。(注)自分での民主革命を 経ていない東洋の政府は、国民統治型です。 民主国は、国民に主権があるとされますが、その中味は、選挙で選 ぶことができる主権に過ぎません。国民がもつ主権は、選挙によっ て議員に預託され、議員が行使しています。 これが、代議制度(representative)です。国会議員に預託した、 言い換えれば権限を委任した、国民主権に過ぎない。われわれの代 議制は、法も国民投票によってきめていた、ギリシアの古代都市国 家のような直接民主制ではない。 世界共通に、特に、民主党が政権についた日本で、国会議員の無力 化が激しく生じた理由は、2つです。 (1)官僚機構に対し、行政への知識における優位が、政党と政治 家にはない。このため、行政のビジョン(こうありたいとする方向 )を、示すことができない。 情報と知識で官僚機構に負けているため、官僚の案にのるだけです 。情報を整理し、秩序づけた知識は、権力でもあるのです。学歴と いうことではない。行政への知識です。知識はリーダシップを与え ます。 行政予算の肥大とともに、専門化が進んだ官僚機構が上呈する案に 、乗るだけのだけの議員になっています。 国会議員という職業を続けることが第一の目的であるため、議会で ヤジを飛ばし、議員を落選させるスキャダルや軽口を追求し、座っ ているに過ぎないように見えます。これを、難しくポピュリズム政 治とも言う。(議員の1人あたり費用は1億2000万円/年:議員報酬 +他の費用) 国家像を描き、そのビジョンの実現のための、政策を実行すること ではなく、議員の身分を続けることが目的であるため、票を減らす 政策は打てない。このため、消費税の増税はできません。 (2)1990年までの自民党時代は、年々、税収と国債の増加力があ って、それを使う予算の分配に国会議員(族議員)が関与すること もできていました。 このため、政治家に、力があるように見えていたのです。陳情→予 算や法の決定の、族議員の時代でした(田中角栄型)。育成にほぼ 3期(10年)かかる族議員は、省庁の行政に対し、詳しい知識をも っていました。 国家の財政赤字が大きくなって、90年代から予算が緊縮型(既存予 算の削減や増加ゼロベース)に転じたとき以来、政治の無力が露呈 し、現在に至っています。 首相と内閣が1年ともたない根底の原因がこれです。予算を削減し 、福祉を減らして、増税を掲げる首相だからです。行政への知識は まるで素人です。 たとえば、安住財務大臣が政府の財政、税、国債、金融、通貨、デ リバティブについてどんな知識をもっているのか? どうしなけれ ばならないと考えているのか? ■2.政治でもっとも大きなことは消費税の増税案だった 財務省の起案で、5%の消費税を、2013年に8%へ、2015年までに10 %に上げることが、政策化されようとしています。現在の消費税収 は13兆円くらいです。加えて約13兆円(+5%部分)が増税部分に なります。 目的は、「財政が、福祉のカット、ムダな行政のカット、および増 税で再建に向かう」ということを、世界の債券市場(国債を売買す る市場)に示さないと、2011年に外人が約100兆円も買い込んだ短 期の日本国債の売りが、2012年から、増えるからです。 ▼異常に低い、日本国債の金利が、2012年の価格下落の危険を生む 。 2011年の、日本国債の金利の低下は、国債価格の上昇でもあります 。 ●マスコミと政府が言わない、国債の低金利の主因は、「2011年の 海外からの日本国債買いの急増」です。国内の金融機関が増加買い しているのではない。 急に、海外が、 ・ユーロ債、ドル債、新興国の国債や株式を売って、 ・日本国債を買うようになってしまったのです。 これが2011年の、円高の原因でもあります。海外からの日本国債の 買い超は、外為市場での「ユーロやドル売り→円買い」の超過だか らです。 【いつ、売り攻勢に出るか?】 日本国債の売りに先鞭をつけるのは、ユーロ債、米国債を売って、 2011年に日本国債を買っているヘッジ・ファンドと、各国の中央銀 行でしょう。これは、確定した未来に見えます。 買った後(安心させ連れ買いを誘って)、低金利の頂点(=国債価 格の頂点)で、 (1)空売り、 (2)先物売り、 (2)オプション売りで下げ、CDSでも巨大利益を得ます。 この方法は、この3年、PIIGS債と、米欧の住宅ローン証券で、ヘッ ジ・ファンドと投資銀行が行ったものです。 売り崩しに先行すれば、後は、恐怖に駆られた銀行の、一斉売りで の国債市場の崩壊があり、ほぼ三ヶ月で数十兆円(!)の利益にな るでしょう。1990年の、日本株の、40%の暴落のときと同じです。 (注1)空売り、先物売り、オプション売りの利益は、「高く売っ た国債価格-限月までに安く買い戻す国債価格」です。 国債の価格を保証する機能を果たすCDS(保証保険)の買いでも同 じです。国債価格が高いとき(=金利が低いとき)、すなわちCDS の市場価格が安いときに(現在の日本がこれ)CDSを買って仕組ん でおき、金利が高くなったとき、高くなったCDSを売ります。CDSの 価格は金利に比例します。 ■3.異常に思えるデータがある 注目すべきデータを示します。日本証券業協会が集計している投資 家別の公社債(長短の日本国債、第二の国債である財投債、地方債 )の、投資家別の売買動向です。 3.11の震災前後から、「外人の買い」が、異常に思えるレベルに まで、増加しています。(詳しくは↓) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LWH73V1A74GR01.html 【長短公社債の、売買金額:投資家別概算】 (注)プラスは買い超、マイナスは売り超 2011年6月 7月 8月 9月 10月 11月 半年計 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 銀行等 17.5 13.1 12.1 18.2 8.0 15.8 84.7兆円 投信等 3.7 3.2 2.7 2.4 2.8 3.3 18.1兆円 外国人 8.1 11.3 17.4 9.7 11.0 14.3 72.2兆円 政府等 -24.5 -27.1 -34.6 -26.3 -23.1 -28.7 -163.9兆円 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (注1)主要な主体のみの概算合計のため、売買の総計はゼロにな っていない。 (注2)銀行等は、日本の都銀・地銀、信託銀、農林系、第二地銀 、信用金庫、生損保の合計売買額を示す (注3)投信等は、日本の投資信託、官公庁の共済組合、事業法人 の合計。個人の売買額は、無視できるくらい小さい。 国債の新規発行は、1年に50兆円レベルです。加えて、満期が来た 国債の支払いにあてる借換債の発行が120兆円はあります。合計で1 70兆円です(2012年は176兆円の予定)。 債券市場では、売りと買いが交錯するため、発行額より大きな売買 になります。 「日本国債は、94%が国内で消化されている」というのが、2010年 までの常識でした。 ●2011年は、これが一転しています。外国人(ヘッジ・ファンド、 欧米系の投資銀行、新興国の中央銀行等)からの買い超が、最近6 ヶ月で72.2兆円にも増えています。買い超は、「売り-買い」の 差額です。 つまり海外は、11年6月から11月までの6ヶ月間で、日本の長短国債 を、72.2兆円も買い越しています。売買額のシェアでも、44%を 占めます。日本の株式市場には及びませんが(外人の売買シェアは 60~70%)が、似ています。 原因は、東証が債券の売買で、1秒間に3000回の売買ができる取引 に対応したためです。 1回で1億円の売買が、1秒で最大3000億円の売買になり得ます。( 注)東証は、実に、実に、実に・・・馬鹿な対応をしています。こ れは、国債価格の崩落への準備に思えるのです。 英米の、金融機関と政府からの要請を受けたロボット・トレーディ ングの導入で、2011年は外人の売買シェアが急増しています。 2011年は、ユーロ債売り、ドル債売り、新興国の株売りで、日本国 債が、巨額な、外人買い超になっています。 外人は、国内の銀行、郵貯、簡保、生保、投資信託のような「安定 した日本国債の買い手」でしょうか? まったく、そうではない。 「2012年の、いずれの時期の、売りの準備のための買い」です。 日本の金融機関のような、長期保有は決してしない。 空売りには、国債を借りることが必要です。親銀行(英米系プライ マリーバンク)が買って準備し、ヘッジ・ファンドが機を見て、1 秒3000回のロボット・トレーディングを使い、空売りまたは先物売 り、あるいはオプション売りを仕掛ける。 国債額面に対し、ほぼ1%の保険料率の、日本国債のCDSも、暴落の 「仕込み」のため買っているはずです。PIIGS債で行ったような、 売りを仕掛ける準備にしか思えないのです。 このため、政府は「日本は、増税をし、財政再建に向かう。国債の 下落はない。」ということを、緊急に、内外に示す必要があった。 これが、政府が「消費税増税」を画に描いた餅として示した意味で す。 次回の総選挙で恐らく1/2は落選する恐れから民主党内が分 裂した上に、衆参捻れ国会で、可決できる訳もない。政府が言って いるだけのことです。なぜ、実現できないことが明白な増税を言う のか?野田首相が、政治的な見通しを、皆目つけることができない からです。(注)海外マスメディアがこれを見破ったとき、国債が 危ない。 ●くれぐれも言います。2011年の、外人による、異常な金額の長短 円国債の買い超(年間推計では100兆円レベル)は、危険です。 政府は、増加発行した国債が売れたと安心しているかも知れない。 金融機関も、金利の下落で、保有している1000兆円の公社債の価格 が上がったと喜んでいます。それが、危険なのです。 ▼(なぜか)東証は、1秒3000回のロボット・トレーディングを、 国債の売買にも導入した 外人が、一斉に大挙して、いや大挙しなくても、1秒に3000回の売 買ができるロボット・トレーディングを使い、売りに出るとどうな るか? 瞬きする時間のわずか1秒に、3000倍の資金量になります 。 国債を長期保有している日本の金融機関(郵貯、簡保、銀行、生保 、生損保、信託銀行、日銀)は、もともと「国債価格の高値安定( =ゼロ金利策)」に、恐怖を抱いています。 誰かが売りに出ないか?と神経を尖(とが)らせています。 「赤信号、皆で渡るからこわくない」という心境です。 渡る人が減れば、暴落します。 長期国債金利(10年もの)が、1%と世界史上最低に長期間低いこ とが問題です。(注)国債の、普通の金利は、3~5%です。 市場の期待金利が2%に上がると、長短の平均満期が6年の国債は、 5%くらい価格を下げます。3%になると、10%の含み損が生じます 。 1200兆円の公社債(=国債+財投債+地方債+政府短期証券)で10 %の含み損が生じると、日本の金融機関の、全自己資本(100兆円 )が、すっかり消えます。これが意味するのは、バブル崩壊よりは るかに巨大な金融危機です。なお国債の金利が上がると、社債金利 はそれ以上に上がって、価格は下がります。 外人の、先行的な売りで恐怖に駆られたわが国の金融機関が、遅れ てはならないと、売りに出たらどうなるか? 国債価格は、20%は 下がって、金利は5%台になります。ほぼ3ヶ月の短期で起こります 。 政府は、買い手が消えるため新規と借り換えの国債(176兆円)が 発行できなくなり、ほぼ1ヶ月で、支払い資金が枯渇するでしょう 。 これが財政の破産です。財政の破産は、数年をかけるのではなく、 数ヶ月の短期で起こります。既発国債の発行残高が、大きすぎるか らです。 2012年は、以上のことが想定できます。外人が、1年以上の長きに 渡って、日本国債を買い続けるというのは、想定できないからです 。 (注)外人の国債売りが明らかになったときは、恐らく日銀が、全 力で買い支え、国債の暴落を防ぐ手段に出るでしょう。可能額は、 最大で100兆円と見ます。これで、1年間、もつでしょうか? 200兆円の国債を日銀が買わざるを得なくなれば(その見通しにな ったとき)、今度は、国内の金融機関家からも、円の保有は危険と 見られ、外為市場で円国債が売り浴びせに合います。 円が下落するとともに、海外から見た円国債の価格(ドルベース) は一層下がり、2011年のPIIGS債のように、投げ売れられるように なります。10%の円安で、10%の損が加わるからです。 海外の金融機関とファンドが平均で30倍のレバレッジで買っている なら、元金に対し、300%の為替差損になるからです。このため5% の円安($1=80円)でも、危ない。 他方で、国債価格を下げる空売り、先物売り、売りオプション(プ ット)、およびCDSに巨大利益が生じます。 最終的には日銀の買い支えがあるから、日本国債の暴落はないとい うのは嘘の論です。 ■4.円安になれば、日本経済は成長するという論があるが・・・ 100円くらいの円安(ドル高)になれば、日本経済は成長するとい う論があります。これも、とんでもない暴論です。 円安とは、円の国債が売られ、日本のマネーが海外(ドル債の買い 等)に流出することです。(注)マネーの売買とは、国債の売買で す。 2011年の外人による円国債買い(=円高)と、逆の、円国債の売り (=ドル債の買い)になることです。 国債(長短国債、財投債、政府短期証券)の残高が、1000兆円とい う規模ではなく、500兆円の時期(1990年代)なら、国内金融機関 の引き受け力があったため(その背景は世帯預金の増加:1年40兆 円)、円安でも大丈夫でした。 国債の残高がGDPの2倍になった国はない。国債の金融(ファイナン ス)に対し、誰もイマジネーションが湧かないために、「円安期待 論」があるのでしょう。 現在は、政府が新規債と借り換え債で170~180兆円/年を発行しま す。 国債が売れないと、金利は、3ヶ月内に5%に向かい急騰して、政府 財政は破産し、国債の下落で損をする金融機関(ほぼ全部)が、一 斉につぶれます。1990年の、バブル崩壊の3倍以上の、信用恐慌が 起こるのです。 円国債が売られることが、円安です。大きな円安に向かえば、国債 のファイナンス(=買い受け)が困難になって、国家の財政が破産 します。 ●大きな円安という選択肢は、もう、日本経済にはないのです。 円安=政府の財政破産+金融機関の崩壊→信用恐慌だからです。 国債残高がGDPの2倍に増えた今は、日本経済にとっては円高でなけ ればならないからです。 (注)激しくグローバル化した金融の全体像を見ない経済論が、多 すぎる感じがしています。 1日の為替売買は、世界で500兆円です。これが金融のグローバル化 です。通貨売買の増加も、ロボット・トレーディングのためです。 この為替市場(通貨と国債の売買)が、マネーの流入、流出、通貨 を決めています。1ユーロ101円のような通貨安(2011年12月28日) は、PIIGS債のユーロのように、その国(17ヵ国)の国債が売られ て、マネーが抜けることです。通貨高は、マネーの流入です。 ■5.経営は、リーダシップ型のマネジメントへ転じよう 日本型経営が讃えられた時期(1980年代まで)は、日本の企業は、 現場が自主的に改革・改善をするリーダシップ型経営が多かったと 思えます。役員等の上部階層によるマネジメントは、数値のモニタ ー(監視)でした。 中間管理職とされる人々が、戦略を作り、実行していたと言えます 。これに、日本企業の強さがあったと言えます。トヨタ式経営も、 現場の自主、つまり改善提案によるものでした。デミングの、小集 団による「カイゼン」というQC(品質管理)の方法でした。 1990代から、日本企業は、(全体として)売上金額が増えない時代 になり、2000年代は、年率3%の店頭商品価格下落を主因に、売上 金額の減少期に入っています。 平均賃金も、ベースアップはなく、年齢給(経験給)での、せいぜ い年率2~3%だけになっています(大手企業:6000万人の雇用の30 %)。 (注)280万社の企業は、ほぼ3分類できます。業界平均以上に売上 が伸びている30万社(10%)、平均付近の100万社(35%)、平均 以下の150万社(55%)です。2000年代の11年は、全企業のうち、 毎年、60~70%(170万社付近)が、税務申告所得で赤字です。大 手銀行も、過去の不良債券の償却のため、所得税を払っていません 。 ▼統制型に変わってきた経営 1990年からの、売上と生産性が伸びない20年で、わが国の経営形態 が徐々に変わっています。階級型の、上からの統制(コマンド&コ ントロール)と、縦割りに部署間の牽制になってしまったのです。 上司が権限をもち、顧客と直接にふれあう現場(中間管理職)から の戦略提案は、少なくなってしまった。 【現場の委縮がある】 大手企業(東証一部上場の3000社)においては、今、ほぼ60%の社 員が、リストラの不安を抱えています。たとえば、利益が激しく縮 小した金融業(銀行等)では、もともとトップダウン型だったのに 、一層強いトップダウン型になってしまった。 上司に逆らい、中間管理職が戦略を出すことはなくなっています。 利益が出ないリスクを負えば、退職の危機になると感じているから です。このため、「服従する社員」になってしまった。 具体名を挙げて恐縮ですが、わが国の代表的企業でもある三菱東京 UFJなどは、上からの統制型経営の典型です。東電も、他の電力会 社も同じです。全部の上場企業とは言いませんが、おそらくは80% 以上は、売上が伸びない中で、現場からの戦略提案がない統制型経 営になってしまっているでしょう。 【政府組織】 政府組織が、縦割りの統制で、これです。このため、権限が上に集 中した官僚型組織と言われる。 (注)戦後の官僚組織は、かつての通産省に見られたように、課長 や課長補佐クラス(中間管理職)が、立法や予算の、実質権限をも つリーダシップ型でした。 【高齢化】 これが1990年代からの平均年齢の「高齢化」で、上層部が厚いヘッ ド・ヘビーな、部長クラス以上が多い組織に、変わってきたのです 。 売上がふえないため、新規の雇用ができない(社員数は増えない) 。このため、1年ずつ確実に、20年で20歳、幹部層が重くなって高 齢化しています。増加雇用は、パートだけになっています。 たとえば、実質的な部長クラスが正社員、店舗現場はパートと派遣 社員というのが、小売業です。 このため顧客ニーズを予想し、それに合わせ現場が、自主的に変わ ることがない。現場は、定型作業をはみださないで行うだけになっ ています。試みに、顧客として、店舗でマニュアルにあること以外 の要求を、行ってみて下さい。まるで対応ができないことがわかる でしょう。これはホテルやレストラン等でも同じです。 ビジョンでは個対応を掲げている百貨店(三越・伊勢丹グループの ビジョン)が、その典型でしょう。百貨店は、メーカーベンダーが 運営するテナント店舗を管理する組織です。 http://www.imhds.co.jp/ir/pdf/annual_report/imhds/2011/2011_ar_1p.pdf 理念として掲げる顧客への個対応は、マニュアル以外のことが必要 なはずです。たとえば、同じく個対応を掲げる米国のノードス・ス ロームは、お得意様が要求した商品が店舗にないときは社員が1個 を仕入れて販売することもあり、自社が売った商品でないもの返品 すら受け入れています。リッツ・カールトンの現場マネジャーが、 1人1ヶ月2000ドルの、お得意様への特別サービス枠をもつことも有 名です。 以上は、現場のパート化の問題ではない。米国の現場は、ほぼ全員 が、時間給社員です。現場のチームが利益責任を負って仕事をする 体制の問題です。 ■6.リーダシップ型経営 1980年代までの、わが国のリーダシップ型経営では、社内の制度と して、これがあったのではない。 形式上は、部課長制による統制型であったことは変わりません。し かし、「組織運営の実質」では、30代から40代の中間管理層が戦略 起案に加担し、リスクを負うリーダシップ型でした。(注)あらゆ ることで、形式と実質が異なることは、日本に多い方法です。タテ マエとホンネともいう。 雇用が増えていたためでもあるでしょう。新入社員(全部が正社員 )がどんどん増えていたのです。このため幹部層は薄く、ちょうど 今のインドのようなピラミッド型の年齢構成でした。ところが30年 後の現在、正社員の年齢構成は、逆ピラミッドになっていて、その 下の現場は、定型作業のパートや派遣社員です。 当時の中間管理層に、リスクを負うという意識はなかったかも知れ ません。企業の売上は、増えていたからです。 信じられないことかも知れませんが、企業の倒産はほとんどゼロ( トップの放漫経営が原因の1%程度)で、失業もゼロに近かったの です。 賃金は、1年に5~7%は増え、10年後には1.5倍~2倍になることが 期待でき、それが普通でした。 赤字企業は少なく、企業は永遠とされ、雇用期間中(22歳から60歳 まで)に、企業が消えることは想定できなかった。当時の退職は自 主的なもので、転職のためでした。リストラやレイオフは、米国に はあっても日本型経営には無縁でした。 パート職は少はしあっても、2000年代に巨大化した非正規雇用とい う言葉もなかった。今は、全雇用の37%(2100万人)が、年収200 万円以下の非正規雇用です。 日本企業は、中間管理職が、戦略の起案と、自分での実行でリーダ シップをとるタイプの組織運営に戻る必要があると感じます。 加えて、あらゆる会社で、「縦割り組織の弊害」も目立ちます。書 籍で言えば、編集部は「販売部がこう言うので、・・・」とする。 販売部は、「編集部が***と言うので・・・」とお互いを牽制す る。 これも、顧客に向き合う人が、リスクを引きうけないことの弊害で す。政府の縦割り行政のような、二重三重の管理のムダがある。結 果は、組織のコストが高くなる。行政のコストと同じです。 売上が伸びている時期は、「新しいもの(リスクがある)」の導入 が必要でした。売上が伸びることは、結果的に、新しいもの、新し い商品、新しい事業の創造だったのです。 ■7.顧客ニーズ適合の誤り 良く言われることですが、「顧客ニーズに適合した商品を作る」と いうことにも誤りがあります。顧客ニーズは、企業が新しい商品を 作ったことによって、喚起される(呼び起こされる)ものだからで す。 アップルがiPodを創造していなかった時期には、iPodへの需要ニー ズはなかった。iPodが店頭に出て初めて、手にした顧客が「自分は こんな商品が欲しかった」というニーズが生じます。 このことを、ドラッカーはその著、『マネジメント』において「企 業は顧客を創造する」という分かりにくい表現で言ったのです。 なお「顧客」の原義はカスタマーであり、日本語でいう「お客様」 とは異なります。お客さまを、繰り返し買う顧客にするのが、企業 だったのです。この延長上に、「顧客満足」や「カスタマー(顧客 )サービス」という概念が生じています。わが国の用語では、お得 意様商売でしょう。 カスタマーは、繰り返し買うお客様をいうコトバです。顧客という コトバも、ドラッカーの翻訳において、誤解されているもののひと つです。(注)多くの、翻訳語での誤解があります。 企業が、顧客を作ることができるわけではない。このため、ドラッ カーの顧客創造は、意味不明のコトバになっています。本当は、「 企業は、新商品で、繰り返し買う顧客(カスタマー)のニーズを作 るべきだ」ということです。 マーケティング(市場のニーズ調査)からではない。市場でのニー ズは、形のない漠然としたものです。たとえば「既存の商品への不 満足」です。 ニーズは、既存の商品への不満という形でしか、現れません。企業 はその不満を吸収し、新たな機能・便益をもつ商品を、創造せねば ならない。売上の集計は、顧客満足の集計です。その商品の売上の 減少が、顧客の不満足を示します。 ▼商品創造の実際 井村屋の超ロングセラー「肉まん」でのことです。われわれは、10 年前と同じ「肉まん」と思っています。ところが違う。 社長は、「同じもの(商品名と価格は同じ)なのですが、お客さま には分からないかも知れない違いを、次々に、加えているのです」 という。理由は、相手が、繰り返し買うカスタマーだからです。 つまり、肉まんで、膨大な数の新商品の実験をしています。それが 、長期の、売上が大きなロングセラーの秘密です。同じ商品仕様で は、数十年ものロングセラーにならない。 他社の類似商品が増えるため、商品の差異的な価値が減じ、売上は 減って行きます。 これを、マーケティングで、肉まんへのニーズが減ったと誤解して は誤ります。違いを加えるのが「製造の現場」です。経営者はそれ を「評定する」役割です。 日清の、カップ・ヌードルやラ王でも同じです。『カップ・ヌード ル』、『ラ王』、『太麺職人』などのブランドにおいて、ブランド 間で、売上の増加率を競わせる。ブランド・マネジャー(中間管理 職:ほぼ30歳代)は、それぞれのブランドの、売上高責任を負って います(制度)。 頻繁に食べ比べをし、お互いの欠点と長所を、指摘し合う。そして 、なぜ、たとえばラ王の売上の増加が、先月はもっとも高かったか の理由を述べ合って、確定する。相手は、繰り返し買うカスタマー だからです。同じだったら飽きます。 副社長がその評定役(いわばモニター)です。ブランド価値の差異 化を、常に、社内で競い合っています。中間管理職による、不断の 、これで終わりということのない味の改善(見えない新商品化、つ まり品質改善)が加わっているのです。 こうしたものが、リーダシップ型経営です。縦割りの各部署の調整 が必要な統制型の経営とは、違います。 顧客ニーズを創造する役目のブランドマネジャーが、企画部、宣伝 部、製造部、販売部を統括し、売上の増加に責任を負っています。 ブランドマネジャーは、顧客と一対一で向き合っていると言ってい い。 今の日本の商品を見ると、顧客ニーズとらえた、売上の大きなロン グセラーが少ない。新商品の数は多くても、すぐ消えるショートセ リングです。自滅に向かっているように見える家電が特に激しい。 これは、井村屋の肉まんや、日清の即席麺のように、「同じものだ が常に変える」ことがないからです。ルイ・ビトンやプラダもこれ です。 わが国では多くの製造業が、半年サイクルでまるで別の商品を作っ て、利益を上げるまでは売れずに消え、総コストが高く、利益率が 低くなっています。 ムダな新商品開発と製造のため赤字の商品の分、売れる商品の価格 を上げねばならない。このため、売れる商品も売れなくなる。これ は、前記の「マーケティングの誤り」から生じています。 あるいは、コストダウンと称して、製品品質を落とすトレード・オ フ(品質の高さと価格の安さは成り立たない)を実行してしまって いる。 重要なのは、「(品質・便益・効用・機能(↑)÷価格(↓)=商 品価値」の高さです。商品価値は、高め続けねばならない。 ■8.リーダシップ型経営の方法 中間管理職に、営業利益(=粗利益-総コスト)の達成責任を負わ せる。そして、その責任を負うということを背景にして、商品とサ ービス(=無形の商品)の改革、改善の権限を与える。 これがリーダシップ経営です。経営者階層も、ある商品分野で、営 業利益(=粗利益-総コスト)の達成責任を負う。これで、組織は フラットになり、経営者と中間管理職は、実質的に対等の立場にな ります。 営業利益の達成責任を負う人を、エグゼクティブ(経営の執行者: 偉い人)と言います。日清で言えば、ブランドマネジャーは、明ら かにエグゼクティブです。 リーダシップ型経営は、中間管理職(課長)が、エグゼクティブ( 経営の執行者)の責任を負うことを条件に、戦略を実行する役割の 経営形態です。 リーダシップ型経営では、以下のようなマネジメントになります。 1.顧客に向かうビジョン(実現したい経営目標) 2.価値観(会社として、他より大切にすべきこと) 3.戦略(経営目標を実現するための方法) (1)商品価値における、他社との差異化戦略 (2)競争における戦略、つまり、コストダウン (3)業務戦略、つまり、社員の仕事の完全化 (注)完全作業ができること。 4.オペレーションの管理 (1)商品価値の差異化戦略、 (2)コストダウン、 (3)および、業務戦略の実行と過程の管理 皮肉なことに、1980年代に、トヨタを筆頭とした、現場リーダシッ プ型経営を、国を挙げて学習したのが、米国でした。 一例を言えば、ウォルマートを作ったサム・ウォルトンは、セブン ・イレブンを見て「現場パートが、判断が必要な商品発注を行って いる」ことに、いたく感心しています。 (注)セブン・イレブンは、フランチャイズシステムで、店舗は零 細です。オーナが、店舗の利益責任を負う経営者です。このため、 本部から見て、店舗は部下ではない。対等です。 このため、店舗の経営(ストア・マネジメント)においては、商品 発注を含めて、リーダシップ型になったと言えます。本部は、リテ イル・サポート型の上場企業です。セブン・イレブン内は、統制型 の組織かも知れません。 【コマンド&コントロール型】 1980年代の米国型の経営は、統制(コマンド&コントロール)型で あり、小売業での日常の仕事で最も重要な商品発注は、本部のバイ ヤーが行う専権事項だったのです。(その事例は、Kマート) 店舗の時間給社員(米国にはパートという名称はない。正社員、パ ートの区分はなく、チェーン店舗は、全員が時間給社員です)が、 商品発注(改廃を含む)を行うことはなかった。 【店舗の中の店舗】 セブン・イレブンを見たサム・ウォルトンは、6000坪(2万平米) の巨大店のマネジメント(店舗経営)で、部門経営制を敷きます。 30坪から60坪の店舗の1部門を、「店舗の中の店舗」として、その 営業利益目標の達成責任を負う「部門マネジャー」を置きます。 時間給の社員で、担当は2名です。部門の年商は1~2億円です。1名 の主任で管理できるコンビニエンス・ストアに類似する年商と面積 です。 部門マネジャーは、部門の利益責任を負う経営者です。このため、 サム・ウォルトンは現場従業員を、アソシエート(ともに目的をひ とつにする事業パートナー)としたのです。利益責任を負う幹部と 立場が同じだからです。本部は現場の支援の機能を、店舗現場は、 ウォルマートそのものである販売の機能を分業する組織です。 上に立つ本部は、その部門経営の、リテイル・サポート(支援)を 行う。商品構成のサポートと補充物流です。商品発注では、本部の スマート・システム(データ・ウェアハウス)が、全部門(16品目 )の個々の商品の、推奨される最適発注数(=情報)と商品改廃を 、携帯端末に表示します。その情報を見て判断した決定は、部門マ ネジャーが行う。部門マネジャーはわが国の用語では、個店の商人 です。この方法は、まるで、セブン・イレブンです。 セブン・イレブンが、全世界で4万店に増え、ウォルマートが年商4 0兆円(イオングループの7倍)になった最大の理由には、顧客に接 する店舗現場の、リーダシップ型経営という動因があるでしょう。 現場のマネジャーが利益責任をもち、商品発注の権限をもって、仕 事を実行するからです。セブン・イレブンとウォルマートは、統制 型組織では、絶対に、実現できない規模の総売上です。 【成果主義とは異なる】 この利益責任制は、わが国の2000年代に、意味を誤って導入された 成果主義の経営とは似て非なるものです。誤って導入された成果主 義(利益達成と賃金が連動する)は、本部が現場の統制をするコマ ンド&コントロールを、給料にまで突き詰めたものだったからです 。 リーダシップ型経営は、成果主義ではなく、 ・目標利益の達成への責任と同時に、 ・戦略の起案・実行の権限を与えます。 (注)小売業では、店舗に並べる商品の発注は、商品戦略の現れで す。 わが国の製造業で言えば、京セラが、個々人が利益目標の達成責任 と、改善の権限をもつ、リーダシップ型経営です。 京セラの稲森和夫会長は、自社で行っているこの経営法を『アメー バー(小細胞)経営』と呼んでいます(書籍『アメーバー経営』) 。職人国家の伝統があり、平均的な意識が高い日本人には、適合す る経営でしょう。 以上、経済と経営に対する、回顧と展望です。経営では、トップマ ネジメントが、自社をリーダシップ型経営への転換を先導せねばな らない。民度の高まりが、それを要求しているのです。 現場が商品を販売する流通・小売業、及びサービス業では、リーダ シップ型を取りいれた米国型が優れます。ある、きわめて優秀な会 社での会議で、レジ担当が言っているのを聞きました。「私が、会 社です」。こうした意識での仕事でなければならない。 【後記】 新刊書の『国家破産』(これから世界で起こること;日本がただち にすべきこと)は、ふたたび、アマゾンや楽天で、在庫欠品を起こ しています。申しわけありません。 編集部に電話したところ、年内には補充・配送されるようです。発 売後10日で、2回の在庫欠品は、在庫管理を指導もする当方にとっ て、恥ずべきことですが・・・印刷部数は、当方は決めていません 。 1995円(408ページ)と高いので、売れ数を見誤っています。 普通は240ページ1600円くらいです。 2012年、2013年を見通すために、ぜひとも、(どなたかに借りてで も)お読みいただきたいと念じています。金融や、巨大化している デリバティブの予備知識は必要ありません。文章は、短文の連続に しています。 殊の外、寒い日が続きます。正月は、寒さがふさわしい。 どうか、いいお年をお迎えください。 新しい自作スピーカー(18センチユニットのAlpair12を使用)が、 ほぼ4ヶ月をかけ80%くらい完成し、いい音で鳴っています。いい 音は、音楽を分かりやすくします。ああ、この表現だったと思う。 大きな音に隠れていた微細な音が、蘇ったように清冽に、生演奏の ように聞こえるからです。音の大小のダイナミック・レンジも上が る。製造法は、別稿で書く予定です。 天才と言われたグレン・グールドが演奏するバッハの、『ゴールド ベルク変奏曲』(1981年録音の、CD版)です。聴いていて、自然に 体が動き、踊り出したくなる。誰かから見られれば、グールドのリ ズムと、微妙にずらした和音で、奇妙に動く変人でしょう。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源プレミアム・アンケート:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ と記述の際、より的確に書くための参考になります。 コピーして、メールに貼りつけ記入の上、気軽に送信してください 。 感想やご意見は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。時間 の関係で、返事や回答ができないときも全部を読みます。ときには 繰り返し読みます。 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ■(1)無料お試しセット(最初1ヵ月分): 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