特別号:結局 憑かれた資産バブルか?(1)
This is my site Written by admin on 2013年5月10日 – 09:00
こんにちは、吉田繁治です。本無料版の送信に、間が開いたことを
お詫びします。今回、お送りするのは、4月末に書いた有料版です。

その1回分が24ページでした。本無料版ではそれを2回に分け、2回
目の分も2回に分けて、合計で、4回分として送信します。本号はそ
の1回目で、全体の1/4です。

                           *

【緊急】ついさっき、ロンドンで〔$1=100円〕の大台の円安とい
うニュースが入りました。ここ6ヶ月の市場では「円安→日本の輸
出企業の利益増→株買い」という連動、連想が働いています。この
ため、すでに高い日経平均1万4191円は、今日、また1万5000円を目
指し、上げるはずです。(2013年5月10日:午前7時)

今、米国を筆頭に、世界の株式市場も最高価格をつけています。20
13年の実体経済は低下の予想がありながら(IMF予想)、中央銀行
(ECB、FRB、日銀)のマネー増発への期待から、株価は上がってい
ます。奇妙なねじれですが、以下の想定によるものです。

【株高】
「GDPの実体経済は低下(あるいは伸びない)→政府が景気対策を
打ち、中央銀行はマネーを増発するだろう→マネーが金融機関にあ
ふれる→株は買い→世界の株価が上がる」

つまり、実体経済(主に、GDPの成長率と、失業率)の先行きが良
くないから、マネーが増発される。だから株は買いという相場です。

【株安】
逆に、実体経済(GDPと失業率)が、はっきりと改善に向かうと、
今度は、世界の中央銀行がマネーを絞り気味に転じ、「出口政策」
にも向かう。そうなると、またこれは奇妙なことに、株価は下がる
ことになる。つまり、「実体経済とは裏返った株高」です。

【本質】
以上が示すのは、「現在の、世界の株の相場は、はっきりと、マ
ネー増発の『期待』の相場である」ということでしょう。

問題は、これが、どこまで続くことができるか、です。これについ
ては、相当量の情報分析と、未来のことですから、論理的な推理が
必要です。本稿は、このためのものです。

                       *

・昨年の11月以降6ヶ月余の円安・株価上昇の原因と、
・今後の展開の想定について書いたものです。
参考にしていただければ、幸甚に存じます。

昨年11月末以来、12月には政権も代わって、新しい政策の「インフ
レ目標2%と、日銀のマネー増発量2倍」への期待から、円安と株高
が、同時に進行しています。円がドルに対し20%以上下がり、株価
が平均で60%上がって、「超金融緩和への期待」が先行しています。

▼通貨と株価

(1)円は、$1=80円水準から、100円付近に下がっています。
(2)株は、日経平均(東証大手225社の単純平均株価)が、12年10
月中旬の8500円から、1万3529円(4月23日)です。(注)5月9日は
1万4191円です。

・円は、米ドルに対して25%も下がり、
・上場企業(東証で2321社)の評価された価値を示す株価は、60%
も高騰しました。

●原因は一点です。日本市場での株の売買額で、従来から60~70%
を占めているガイジンの、租税回避地のオフショアからの買い越し
が6ヶ月で6兆円あるからです。[買い越し=買い-売り]のプラス
額です。

(注)このガイジンには、日本の機関投資家である「黒い目のガイ
ジン」が含まれます。バージン諸島やケイマン島などの、世界で約
60ヵ所の租税回避地は海外(オフショア)とされるため、そこから
の売買は、新聞では全部がガイジンとされ、そのガイジンは投機筋
とされています。

6ヶ月で60%の高騰は、投機的なバブルを30%くらい含むものです
(当方の想定)。

・下がる前の円($1=80円水準:12年10月)は、日本企業の実力
である輸出力より、円高方向に15%は過大評価されていた。

・上がる前の株価(日経平均で8500円:12年10月)は、企業の利益
力より、30%は過小評価されていたという理由付けもされています。

(注)株のように上がるにせよ、円のように下がるにせよ、価格が
変化したあとの論評は、後付けの解釈です。

$1=100円なら、15円分(=100円-実勢価格85円)が投機的な要
素での円安(=投機的なドル高)とされますが、こうした見方は、
実は、はっきりしないものです。

PER理論とファイナンス論による、理論価格とはいつも違う株価も
同じです。円の、貿易での実勢価格は、現在も$1=85円と言われ
ています。

例えば、原油について言えば、1バーレル(159リットル:ドラム
缶)が、$130だった頃(07年後半~08年前半)、35%以上($5
0)は、ヘッジ・ファンド等による投機買い(先物)による価格上
昇とされていて、原油の実需量と生産量からは、$80以下とされて
いました。

(注1)原油価格は、$87付近です(WTI)。金価格と同様に、4月3
週に$94から$87へと、7~8%急落しています。理由は、中国経済
の成長の減速による、需要増の減少とされます。

なお、金価格でも、中国の欧州と米国への貿易黒字が減り、そのた
め中国(政府、個人)が金の購入量を減らしたからだともされます。
あらゆるものは、〔供給量(=売りの量)>需要量(=買いの量)
〕なら価格は下がり、逆なら上げます。

(注2)原油のような資源や金属で言えば、ヘッジ・ファンドが、
先物を買って投機的に上げても、3ヶ月後が多い限月には、売りな
ら買い、買いなら売りの反対売買をするため、結局は、実需の多さ
がないと上がり続けることはありません。

【ヘッジ・ファンドの、先物売買】
ヘッジ・ファンドは、原油を買っても、それを使わず、1年内には
必ず、普通は3ヶ月や6ヶ月内に売るからです。ヘッジ・ファンドが、
利益を目的に売買する株、通貨、金も、ほぼこうした資源と同じで
す。

▼金価格の、4月15日の急落

他方、原油と並ぶ、商品価格の象徴である金価格は、2012年9月に
は、$1800付近の高値をつけていました。これが、13年4月初旬に
は、$1600付近までドルベースで$200(11%)下落していました。

13年4月の3週には、$1600から$1415付近にまで、12%も急落して
います。(1トロイオンス=31.1グラム)。(注)5月8日時点では
$1458とすこし戻しています。

1グラムで言えば、$58(12年9月)→$51(13年4月初旬)→$45
(13年4月23日)です。12年9月の頂点から21%も下がったのです。

円で見ると、13年4月上旬が1グラムで5300円付近の高値に見えます。
これは25%の円安によります。昨年からドル見れば下がっていたも
のが、円では価格維持(または上がっているよう)に見えただけで
す。

(注)金も他の金属と同じように、現物は国際市場で、ドルベース
の価格が決まり(ロンドン・フィキシングと言う)、その後、日々
変わる各国レートで表示された価格になります。先物の価格は、お
よそでしか言えませんが、〔先物価格=現物価格×(1+限月まで
の金利率)〕です。先物と現物は少しでも差ができると、例えば高
い現物を売って安い先物を買う「裁定売買」が起こるので、ほぼ金
利差で一致します。

今日の金価格の決定(米ドルでのfixing)に参加するのは、スコシ
ア・モカッタ銀行(イタリア)、バークレイズ・キャピタル(英
国)、ドイツ銀行、HSBC(英国)、ソシエテ・ジェネラル(フラン
ス)の5銀行です。

顧客(ファンド、各国中央銀行、金融機関、政府、個人)からの注
文を元にした、シティの「黄金の間」での入札で、価格が決まって
います。顧客から受託した買いの勢いが強いと上がる。弱ければ下
がる。他の相場商品と同じオークションのような価格の決めかたで
す。

ドルベースで見ないで、円だけで見ていては、金価格の傾向は、通
貨の価値変化がバイアスして分からなくなります。

国際価格の実際では、2012年9月を頂点(1オンス=$1800)にし、
中国の買いの減少から下落傾向になっていて(13年4月:$1600)、
それがヘッジ・ファンドによる先物売りの急増を主因に、4月の3週
には、$1400へと$200も暴落しています。

▼テーマ

本稿は、通貨、株価、および資源(コモディティ)価格を決めてい
る世界と日本の金融経済に、昨年11月以降、どんな変化が起こって
いるのかを、テーマにします。

書く目的は、
(1)今回の円安、株価、資源価格は一体何であり、今度、どうな
るかを想定するためです。

(2)同時に、日本のGDPの実体経済は、どう向かうか? 政府・日
銀が、マネー増発政策によって達成するというインフレ・ターゲッ
ト2%はどうか、そしてインフレになれば、結局、何をもたらすこ
とになるのか、向こう2年(2013年、2014年)を見通すことです。

いろんな要素から分析的に書き、その後に綜合すると、文字量が必
要で、メール・マガジンでは4回分(100ページ以上)を要します。
長文化を避けるため、端的に示します。数値は肝心なものに絞り、
記述の単純化を図ったほうが、分かりやすいと思えるからです。

経済の動きは、
・実体経済が企業戦略(価値戦略、競争戦略、業務戦略)に関係し、
個人では仕事の重点をどこにおくべきかを決める素材になって、
・金融経済は、資産運用と投資の方向を決めるものにもなるはずで
す。

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    <650号:結局、最後の、憑(つ)かれたバブルか(1)>
           2013年5月10日号

【目次1:本号】

1.08年9月の、リーマン・ショッから始まっている
2.FRBによるドル増刷は$2.5兆(250兆円)
3.FRBが模索している出口政策で、米国債の買い手が日本
4.金は、売り超になって下がった
5.日本の株価の高騰

【目次2:次号予告】
6.ユーロの危機は続く
7.通貨の売買(外為市場)が、もっとも巨額
8.奇妙なところがある、日銀の金融政策
9.「補完当座預金制度:当座預金に0.1%の金利」がある
10.日銀が言ってきたことの矛盾
[さらに続く]

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■1.2008年9月の、リーマン・ショッから始まっている

▼リーマン・ショックは、金融機関の債務超過だった

発生からは5年近くも経っていますが、現在の世界経済は、08年9月
15日のリーマン・ショックから始まっています。

90年代半ばからの米国の情報システム関連株への、期待バブル崩壊
の後、2000年代に、2倍の価格に上がった米国の住宅価格は、07年
から下がり始めていました。それが、08年9月には、住宅証券(AAA
格)の40%の下落が明白になり、この下落のため、住宅証券をもつ
金融機関の連鎖的な破産になったのです。

米国の住宅ローンは、日本(200兆円)の約5倍(1000兆円)と、巨
大な証券市場を形成しています。このため過去は、米国の債券では、
国債市場より、住宅証券市場のほうがはるかに大きかったのです。

住宅ローンの回収率で決まる価値(MBS等の市場価格)が40%下が
ると、金融機関が受ける損害は、400兆円です。他方、米国の金融
機関の、総自己資本は200兆円レベルです。

(注)住宅価格が下がると、デフォルトし、払えない世帯が増えま
す。このときローンを数100本混ぜて作った、ローンの回収権を担
保にした住宅証券(MBS等)が下落します。米国は住宅ローンが総
額で1000兆円もあり、証券化され内外の金融機関に売られたものの
も、600兆円はありました。

この証券になったローンの下落が、〔600×40%=240兆円〕はあっ
たのです。米国の金融機関は、この巨大損によって、瞬間に債務超
過に陥りました。その最大のシンボルが、他行から資金を引き揚げ
られて破産した、リーマン・ブラザースです。AIGも同様でした。

【信用恐慌を起こさない対策】
08年9月には、米国の、大手の、ほぼ全部の金融機関が実質で、債
務超過になっています。

金融機関の債務超過は、経済の取引に必要な信用量(流通するマ
ネー量)を、急減させます。株価も下がり、ドルも下落しました。

08年8月は、1929年に始まり1933年まで続いて、第二次世界大戦に
まで至った米国経済の大収縮、つまり信用恐慌になるスケールのも
のでした。日本のバブル崩壊(1990年~)に似ていたのです。
(注)戦争は、経済面では、武器生産と兵士の雇用を増やす公共事
業です。

信用恐慌を招くことが必定だった、金融機関の連鎖的な倒産を避け
るため、
(1)米政府は銀行に出資し、
(2)FRB(米国の発券銀行)は、銀行が保有する不良化した債券を
買い取ってドルを供給しました。

■2.FRBによるドル増刷は$2.5兆(250兆円)

その総額は、
・リーマン・ブラザースの倒産直後に$1兆、
・その後も$1兆を追加し、
・12年9月からのQE3の量的緩和(MBSの買い)も加わって、
FRBのバランスシートは、$3.3兆と08年9月以前の4倍に膨らんでい
ます。

金額で言えば、FRBは$2.5兆(250兆円)の米ドルを、金融機関に
対し、増加供給したままです。買ったのは、
・米国債($1.8兆:180兆円)と、
・値下がりして不良化した住宅証券(MBS$1.1兆:110兆円)です。
http://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/

FRBによる国債の巨額購入は、米国の金利を下げ、国債の価格は高
騰させます。

13年4月現在、米国の長期金利(10年物のドル国債の利回り)は1.6
%と、歴史的に言って資産バブルが起こるくらい低いレベルです。

【低金利と量的緩和の、目的】
この目的は、国債をもつ金融機関に利益を与え、住宅証券の下落で
失った自己資本を、回復させることです。同じ目的で、もっと直接
に、米国FRBは、40%は下落していたMBS(住宅ローンの回収を担保
にした証券)を$1.1兆も、券面の額面で買っています。

【額面価格で買い、損は、FRBに移転されている】
FRBが下がっているMBSを、マーケットの時価で買えば、金融機関に
は$0.5(50兆円)くらいもの損失が確定します。

このため時価ではなく額面でFRBが買って、金融機関に利益を与え
ているのです。MBSの下落損である50兆円はMBSを買ったFRBに移転
しています。

(注)13年3月は、米国の中古住宅の価格は、昨年比で5~10%の上
昇基調に乗ってきました。このためMBSの50兆円の損害も、若干は
減っているでしょうが、大枠では変わっていません。

実は、資本が$660(6.7兆円)しかないFRB自体も、これらの保有
資産を時価評価すれば、債務超過です。

FRBが債務超過であると言えば、金融市場とドルをもつ海外はどう
反応するでしょうか?

●認識すべきことを言えば、米国経済は、FRBのマネー増発である
$2.5兆(250兆円)の上に、乗ったものであるということです。

■3.FRBが模索している出口政策で、米国債の買い手が日本

FRBの増発マネー$2.5兆(250兆円)は、米国の金融機関の預かり
資産になって、それがファンドに貸されて、国際的な投機資金にな
っています。

2012年11月から日本円を売り(その結果が円安)、株を買ったのも
(その結果が株価上昇)、この資金です。

▼FRBの、出口政策への転換の模索

この5年間、米ドルを増発し続けてきた米国FRBには、そろそろ「出
口政策」に移行しようという考えがあります(仄聞(そくぶん)情
報)。

出口政策とは、FRBが量的緩和のために買ってきた米国債と住宅証
券のMBSを、市場に売って、金融市場から米ドルを吸収することで
す。これを行えば、米国の金利は上がって、米ドルは不足するよう
に変わります。

(注)経済を浮揚させるための金融緩和は、実体経済の成長に効か
ない時も多い。しかし出口政策のような金融引締めは、100%、経
済の引締め効果を生むものです。

●出口政策の理由は、FRBのバランスシートを$3.3兆(330兆円)
に膨らませたままでは、いずれ、金融機関に代わってFRB自体が陥
った、巨大な穴、つまり債務超過に気がつく人が増えるからです。
それがドル価値の減価、つまり、ドルとドル債売りになるからです。

▼対外純債務国の米国

将来のドル価値が下がると見て、海外がドル債を売り浴びせれば、
対外債務が$22.7兆(2270兆円:GDPの1.5倍)と巨大な米国経済は、
奈落に沈みます。

(注)米国の対外債務は$22.7兆、対外債権は20兆で、対外純債務
は$2.5兆(250兆円)っです。(2010度:2012年米国経済白書 P3
88)

海外から毎年$5000億の国債を買ってもらい、その分を増加保有し
てもらう必要がある対外純債務国である米国にとって、ドル価値の
減価を見越したドルとドル債売りが、実は、もっとも怖い。

これが起こると、(1)ドルの暴落、(2)米国の金利の高騰になる
からです。これを防ぐため、FRBは、出口政策に転じる必要がある
と考えているようです。

出口政策は、FRBが買ってきた米国債やMBSを、逆に売って、市場の
ドルを吸収して減らすことです。これを、FRBが行えば、米国債を
増やして買ってくれるパートナーがないと、米国はドル安になって
金利が上がり、経済は不況に沈みます。

【恰好の安倍政権】
従って、「FRBが売りたい米国債を買ってくれる、どこかの国がな
ければならない」。大口の候補は、世界に中国と日本しかいない。
ドイツはユーロで忙しくドルを買う余裕はない。これが、民主党に
替わった、安倍政権でした。

2012年の11月以降の、アベノミクスによる円安は、実は、米ドルと
ドル債買いであり、円と円債の売りです。

安くなる通貨は、その通貨(円)の売り超があったことを示すもの
です。これは、上がった通貨(ドル)の買い超です。

つまり、日本から、米国債の買いが大量にはいったから、円安に向
かったのです。

【大手機関投資家:生保】
事実、330兆円の巨額資金(運用すべき資産)をもつ日本の生命保険
は、「日本株は、経営を不安定にするから買わない。確かなドル債
を買う。」と言っています。こうした日本円によるドル買いが、ド
ルの高騰(=円の下落)の理由です。

■4.金は、売り超になって下がった

日本によるドル買いの増加でドルが上がると、ドルの価値下落と反
対の動きで上げてきた金が、下がる傾向になっています。ドルベー
スでみるべき金価格の下落は、2012年10月以降です。

【理由】
1オンスで$1800(2012年9月)と史上最高の高値だった金には、さ
すがに下落リスクを感じて、金を売って、日本が買うドル債に転じ
たファンドが多かったからです。

【金の売買の動き:買いの減少】
NY市場での、ファンドによる金(ゴールド)の買い越し額を見ると、
資金の、方向転換が分かります。

2012円9月には20万枚(620トン)だった、ファンドによる買い越し
額が、円安・ドル高に向かった12年10月以降減って、2013年4月に
は、10万枚(310トン)へと、半減しています。

(注)金の1枚は、100トロイオンス(=3.1キログラム:約1500万
円)です。20万枚は、600トンという量です。買い越しの600トンは
時価で3兆円くらいです。

これが、金価格が下がってきた主因です。
ファンドが金の買い越しを減らした理由は、$1800の高値警戒です。

これと同時に、中国と新興国も、海外からのドル買いで米ドルの価
値が安定したため、中央銀行が増加買いしていた金の購入を減らし
たのです。

以上が2012年10月以降、ドルベースの金価格が下がっていた理由で
す。そして、2013年4月第二週には、ファンドによる、金放出の売
りがあったのです。金が売られるときの理由は、3つです。

(1)持ち手が、他の債券で損をし、資金繰りに窮したとき
(2)1オンス$1800等では価格が上がりすぎたと判断されるとき
(3)米ドルの、世界の通貨に対する実効レートが上がると見られ
るとき

金の価格についての見通しは、後述します。
本稿はいったん。ここまでで送ります。
See you soon!

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次の項目です。

        <644号:デフレの原因と対策への異説(1)>
                     2013年3月20日号

【目次】
1. 3月まで日銀は、昨年の同期と比較して、
                        マネーを増発してはいない
2.期待相場
3.オフ・ショア金融が、
     世界の銀行資産の50%(5000兆円)に増えている
4.マネー・サプライの概念の、大きな変質
5.期待相場の動き:ヘッジ・ファンドによる5兆円の買い越し


     <645号:デフレの原因と対策への異説(2)>
            2013年3月27日号:増刊部+正刊

【目次】
1.オフ・ショア金融
2.オフ・ショアで、課税を逃れる仕組み
3.課税を逃れる方法は、出資関係のない現地法人を作って、そこ
で運用すること
4.オフショア・マネーとデリバティブは、
          マネー・サプライ量の増加の、攪乱要素になっている
5.日本のデフレの原因を所得とする構造派
6.80兆円の金融緩和で、2%のインフレが可能:リフレ派
7.80兆円のマネー増発の根拠
8.30%の円安が生じる
9.大規模な金融緩和の、副作用について

【後記:2013年の円安】

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