デリバティブの対象資産の数値の桁間違いの修整
Written by admin on 2011年7月28日 – 09:00
おはようございます。先ほどお送りした<548号:価格の歪みを狙 うヘッジ・ファンドの基本戦略(1)>の中で、三箇所、同じ数値 の桁間違いがあったので、お詫びしつつ修整します。 BISのデリバティブ統計の元資料を、参照先としていましたから、 お気づきになった方も多いと思います。 http://www.bis.org/statistics/otcder/dt1920a.pdf ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ■3.1980年代までの古典的な金融市場と現代のデリバティブ金融 の項 ▼古典的な金融市場の、相対的縮小 【原文】 現物を売買していた1980年代までの古典的な金融市場は、1990年以 降、幾重にもかかったデリバティブの対象になる金融商品の巨大化 ($6010兆:48京80兆円)のため、存在が薄くなっています。 ↓ 【修整】 ↓ これは($601兆:4京8080兆円)が正しい。 転記間違いをしていましたので修整します。 2010年12月のBISが集計した数値です。以前も述べましたが、BISは 中央銀行間の為替取引を決済している、各国中央銀行の上の中央銀 行と言えます。(BIS:Bank for International Settlements:スイ スの風光明媚なバーゼルにある国際決済銀行) 【別の箇所の修整】 <■8.デリバティブによる先物市場の巨大化が21世紀の11年だっ た>の項の真ん中あたりに、「$601兆(48京800億円)」としてい る箇所が2箇所あります。これも同じく($601兆:4京8080兆円) に訂正します。 訂正は、デリバティブの対象資産額を引用して示した、以上の三箇 所です。 【説明的な付記】 付記的に用語の解説をすれば、BISが集計している「店頭デリバテ ィブ」は、証券会社(及び投資銀行)の店頭で、売る金融機関やフ ァンドと買う方が、デリバティブの売買を行うものです。 米国では、わが国と異なり銀行と証券会社は一体になっています。 カード会社のAMEXすら、公的資金を入れるため銀行とされています 。 示したBISの統計にも、統計漏れがあると推測できます。含み損を 抱える全部が、BISに申告されているとは思えないからです。 今も、金融機関やファンド間で、お互いの決済期限がロールオーバ ーされているのも多いでしょう。デリバティブは、オフ・バランス であり、貸借対照表の資産や負債に、出てこないものも多いからで す。 2000年代の、米国と欧州の、デリバティブが多い金融機関やヘッジ ・ファンドの資産内容は、子会社への損失飛ばしが多く、連結もさ れていないので、伝統的な損益計算書や貸借対象表だけでは分から ないものになっています。 このためシャドー・バンキング(影の銀行)とも言います。(注) その点、わが国ではまだ金融機関のデリバティブは少ない。 デリバティブは、過去の統計では確率が少ないこと(想定外:例え ば全米の住宅価格の、同時で長期の下落)が、起こると巨額損が出 ます。 ごく稀に突然変異で現れることがある「黒い白鳥(ブラック・スワ ン)現象」とも言われます。 「過去に稀だったことは、しばしば続けて起こる」というマーフィ ーの法則は、2007年以降の金融では、正しいようです。大地震や世 界で頻発している天然災害も・・・でしょうか。 以上、3箇所の誤記を訂正し、付記します。 2011年7月28日 吉田繁治 記 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ |