中央銀行とガイジン買いによる金融相場に注意[特別号]
Written by admin on 2012年3月20日 – 10:00
おはようございます。2011年の冬以来、PIIGS債の3月危機が言われ ていたにもかかわらず、日米欧の株式相場が上がっています(10~ 15%)。通貨では、同時に、ユーロ高(=円安)にも向かってきて います。 多くの方にとって、 (1)日米欧の株価が10~15%上がり、 (2)2011年の秋から冬には、ユーロとドルの下落リスク回避のた めに買われ、80円割れという史上最高に上がっていた円が、12%安 くなった主因が何か、見定めるのに困難を感じるのが普通でしょう。 とりわけ、今後も、株高と円安が続くのかどうか、関心の所在は、 ここでしょう。2011年の、円高、株安での損を回復する機会が来た と、思われている方も多いかもしれません。 わが国で、株式投資を行う個人は約700万人、通貨先物やオプショ ンのFX(外為)口座を持っているのも、6業者合計で700万人です。 FXには、30代から40代が多い。女性も20~30%です。2011年は、 おそらく90%の方が、損をしています。 2011年冬には、損のためほぼ50%が休眠口座になっていましたが、 2012年の円安と株高を見て、2月、3月から、やおら再開している人 が多い。後追い(少し下がったときに買う押し目買い)の懸念も感 じます。本当は、ヘッジ・ファンドに先行せねばならないのです が・・・ いつまでが、回復の機会になるのか? 2012年度の経済にも大きく 関係します。 以降の論を進めるため、最初に、2項の事実データの確認をするこ とから始めます。マネーの動きつまり金融から、経済を先行して理 解できます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <中央銀行とガイジン買いによる金融相場に注意> 無料版 2012年3月20日号 【目次】 1.為替相場、つまり、各国通貨の売買市場 2.日本の株式相場、買いと売りから見る 3.2012年の、投資家別売買を分析する 4.結論 5.明確に、政府・中央銀行が主導した「金融相場」である 6.今後はどうなるか・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.為替相場、つまり、各国通貨の売買市場 円は、2011年9月から2012年1月末までの約5ヶ月間、1ドルが76円か ら78円の間を波動していました。 【昨年冬の、超円高の原因】 11年の8月から12年1月に、円が高騰した主因は、ヘッジファンドに よる、(1)ユーロ債とドル債の売りと、(2)円国債(短期債)と 日本株の買い越しでした。海外から、円が買い超になっていたので す。 とりわけ2011年は、ガイジンのヘッジファンドが、世界で最低の名 目金利の円国債(短期0.12%:長期1%)を買い越すという、 2010年まではなかった、特殊な動きを見せていました。 特殊と言うのは、ヘッジファンドが円国債を買い越す(2011年に約 30兆円:驚き)ことは、かつて、なかったからです。 このため、外人の円国債の手持ちは、60兆円から100兆円に膨らん でいるでしょう。2012年も、円国債を買い越しているからです。 円が最高値(=ドル・ユーロが直近の最安値)をつけていたのは、 いずれも、12年1月中旬でした。この、ヘッジファンドによる円国 債の買い越しこそが、$1=75円、1ユーロ97円の円高の理由です。 円が高くなることは、円が買われて(=ドルやユーロが売られ)、 わが国に、海外の資金が流入することです。本来、通貨が高いほう が国益です。通貨安は、その国のマネーが、外為市場で売り超にな って、マネーが海外に逃げることだからです。 円安になって輸出額が増えるより、原油を筆頭に資源・穀物国際場 が上が、わが国の貿易が恒常的な赤字になると、日本経済は、大き く沈みます。海外からの資金流入に依存する経済になるからです。 ただし、わが国は、2010年までは輸出超過の経済であり、しかも 20年の経常収支の黒字から累積した海外投資(563兆円:主はドル の証券)があるため、ドル安では損をする会社と金融機関が多い。 このため、円安・ドル高を歓迎する風潮が強い。 ▼世界の外為の売買額 円を中心に見て円高や円安とは言いますが。本当は、国際基軸通貨 の米ドルが、1日500兆円の外為の売買で、変動しているのです。 円・ドルの間の、世界市場での売買は、その1/10の50兆円に過ぎ ません。1日50兆円といっても巨額ですが・・・。 その多く(77%)は、通貨の実需ではないデリバティブの投機です。 貿易の実需のための必要な通貨の売買(世界で1年に1200兆円)に 対し、通貨デリバティブの残高は$64兆(5120兆円)と、4.3倍も あります。しかもこれが、年々大きくなっているのです。 この通貨デリバティブの未決済の残高の内容は、 (1)先物売買の残$31兆(2480兆円)、 (2)通貨スワップ$22兆(1760兆円)、 (3)通貨オプション$11兆(880兆円)です。 (2011年6月:BIS) こうした、世界の店頭デリバティブ取引が、各国通貨の水準を決め ています。店頭(OTC)とは、一般が参加できる公開市場ではなく、 金融機関の間の、相対(あいたい)で行われるデリバティブ取引で す。 契約者と損益の内容が分からない金融の闇(=シャドー・バンキン グ)とも言えます。ほとんど全部が、企業年金を2000億円も飛ばし たAIJも使っていたオフショア金融(ケイマン島など世界の100カ所 のタックスヘイブン)です。 株の売買でも、公開されていない店頭売買のデリバティブ分の決済 前の残高が、$6.8兆(544兆円)もあります。 日本の東証の売買の2年分と言えば、株式デリバティブの大きさも わかるでしょう。統計データは、BIS(国際決済銀行:スイスの バーゼル)に、半年サイクルで掲載されます。(注)拙著『国家破 産』ででは、こうしたデリバティブ化した金融の全体を論述してい ます。 (注)期限日の決済を待つデリバティブの残高が6京円(2011年6 月)にまで巨大化したのが2000年代の世界金融です。2%の含み損 でも1200兆円です。このため、2000年代の、世界の金融機関の本当 の損益は、AIJやオリンパスのように、分からなくなっています。 AIJやオリンパスの損失飛ばしは、1000億円や2000億円とは言って も、デリバティブの残高6京円から見れば、ほんの一滴です。 http://www.bis.org/statistics/otcder/dt1920a.pdf 【相場の反転】 円高の2011年1月中旬は、 (1)欧州中央銀行(ECB)が、PIIGS債危機を回避する目的で5000 億ユーロ(約50兆円)の追加投入を決める前であり、 (2)日銀が、資産買い受け基金を55兆円から65兆円に増枠して、 1%のインフレターゲットを言う前でした。 この政策表明の後、相場は反転しています。 (注)欧州ECBは11年12月に、5000億ユーロを投入しています。今 年との合計で、1兆ユーロ枠(100兆円)の政策資金です。これは大 きい。 ECBがなりふりを構わず、ユーロを増加発行し、欧州の金融機関が もつPIIGS債を買うか、あるいは担保にして貸し付けているのです。 普通の時期は、中央銀行による、こうした通貨の巨大な増加印刷 (金融の緩和)は、その国の通貨の価値が下がる原因になります。 しかし、2011年秋から冬のユーロはPIIGS債危機の非常時でした。 金融機関が切望していたECBによる1兆ユーロのマネー投入によって、 ユーロの3月危機が回避されたとの市場の認識から、2012年1月中旬 までは売られていたユーロ債が、買い戻されたために、上がってい ます。 直近の12年3月19日は、1ドルが83.4円(2ヶ月で12%上昇)です。 ユーロは110円(同13%上昇)です。 【円債の売り超】 円は、2月と3月で、ほぼ12%下がっています(=ドルは12%上昇、 ユーロは13%上昇)。 これは外為市場で、円債の売り超の分(円安要素)が、米欧債の買 い超(ドル・ユーロ高要素)になったことを示します。 ▼わが国財務省の、為替介入も加わっていた 日本の財務省が、1ドル75円の円高阻止の目的として、2011年には、 16兆円の「円売り・ドル債買い」の介入をしています。介入の中心 は、11年11月の、緊急だった9兆円の円売り・ドル買いした。 このため、財務省が管理する「外貨準備」は、2011年1月の$1.1 兆(88兆円)から、11年11月は$1.3兆(104兆円)へと、$2000 億増えています。 ▼相場の価格:金融資産の性格 通貨にせよ、株にせよ相場がこのように、今回のように、短期で大 きく動くときは、当局による介入があります。株にせよ通貨にせよ、 「市場で買い超ななら上がり、売り超なら下がる」からです。 理由は、短期の利益を求めた、市場の買いと売りの差であり、経済 のファンダメンタルズ(株なら次期予想利益、通貨では経常収支と いう基礎指標)からではないのです。 【介入と追随】 市場で動く総資金に対し、金融当局(中央銀行と政府)の介入額は 下の(注)に示すように少ない。 しかし、通貨や株を売買する投資家・投機家は、一度に大きな資金 を動かす当局の政策的な動きに追随することが(まだ)多いのです。 特に、政府のインサイダー情報も使うヘッジ・ファンドは、直接に、 金融当局の意向を受けて、あるいは反対に、買いや売りに回ること も多い。(注)PIIGS債(特にギリシア債)では、米国のゴールド マン・サックスは、CDSをかけた売りでインサイダーでした。 これが、当局の介入(あるいは介入の言明)を先導として、相場が 動く理由です。こうした動きを「当局による金融相場」と名付けま しょう。 ●【結論】11年2月からの円安・ドル高、および円安・ユーロ高は、 金融相場です。注意すべきは「当局の先導」であったことです。 (注)世界の為替相場では1日に500兆円の外為売買です。円とドル の交換はその10%の1日50兆円と巨大です。当局が1日に数兆円の介 入をしても、後が続かねば、少ないのです。 市場(投資家)に、政府の政策介入の後を追う「追随の売買」があ ると、相場が動きます。 ■2.日本の株式相場、買いと売りから見る 【日経平均の19%上昇】 以上の「金融相場」による2012年1月中旬以降の円安・ドル高・ ユーロ高と歩調を合わせ、全く同じ時期から、日経平均は8500円以 下だった価格が、1万141円(1年3月19日)へと、2ヶ月で1640円 (19%)も上がっています。 【次年度利益の回復期待もあるが・・・】 次年度である2013年3月期の企業利益予想(東証一部上昇1676社の 合計経常利益)が、12年3月期より30%は上がったからだ。相場は 「業績回復相場」であると言う人も多い。 確かに、(1)3.11の大震災、(2)原発問題、(3)秋のタイ大洪 水、(4)加えて1ドル75円の円高という、日本企業の合計利益を減 らす4要素が、2012年は、程度の差はあれ解消しています。 このため、2012年3月期に比べ、政府の復興対策費(5年間で19兆円 :建設需要になる)もあるため、1年後の2013年3月期の企業利益が 好転する可能性は高い。 【リスク要素も大きいが・・・】 しかし、2012年は、「イスラエル・イラン戦争の危機(原油高 騰)」、そして、原発の停止による原油とLNG(液化天然ガス)の 輸入急増から、貿易赤字が大きくなって、海外からの所得収支と合 わせた日本の経常収支の黒字(2011年は9兆6289億円と急減)が、 大きく減る可能性も高いのです。 相場は、科学的なものではなく、心理的なものです。この意味は、 何を要素として大きく見る人が多いかということです。現在の日本 の株価では、2013年3月期には、12年3月期より経常利益が30%大き くなるだろうという可能性を、大きく見ている人が多い。 何を、大きな要素として見るかは、情報と時間とともに移ろいます。 これを、見極めねばならないのが、通貨や株への投資および投機で す。 ・投資は保有のための買いですが、 ・投機は短期のほぼ3ヶ月のキャピタルゲインを得ることが目的の ものです。買って上がった後に売ります。期間3ヶ月が多いのは、 ヘッジファンドの決算が4半期毎に来るからです。 1万円の大台を回復した株式市場は今、「利益の回復期待」に賭け ています。この株価の現在と今後を見極めるには、売りと買いの主 体と、金額を見なければなりません。 東証は、約2週間遅れで、投資主体別の売りと買いの金額を公表し ています。これを見ると、誰が売って、誰が買って上がったのか、 その理由の多くが分かります。公表が2週間遅れであることが難点 です。 ■3.2012年の、投資家別売買を分析する 東証の原表は見にくいので、当方で加工し、単純化したものを示し ます。ここから、投資事情が分かるからです。 http://www.tse.or.jp/market/data/sector/b7gje6000000jkrj-att/J_stk2_120301.pdf ・証券会社の自己売買、 ・銀行・保険・投資信託を含む事業会法人の売買、 ・個人投資家の売買、 ・海外ヘッジファンドからの売買という4主体に単純化します。 集計時期は、株価が上昇し始めた2012年1月中旬からです。 [薄商いの市場が続いている] わが国株式市場は、株価が上がった2012年3月でも、1日の売買額 (東証1部)は、1兆1000億円しかない薄商いが続いています。時価 総額(約300兆円)に対し、わずか1/300の売買です。 つまり保有されている300株のうち、1日にほぼ1株が売買されるだ けの閑散さが続いています。このため、少ない売り越しや買い越し (週間で2000億円規模)で、相場全体を、大きく動かすこともでき ます。まずここを認識しておくことです。 (注)毎週の売り超と買い超は、全体を見れば一致しますが、捨象 したものがあるため、下表では一致しません。数値は、売り超をマ イナス、買い超をプラスにしています。誰が買ったため上がったか を見るためです。 ▼4主体別週間売買と、株価上昇率の相関を分析する 証券会社 金融を含む 日経平均 自己売買 事業法人 個人 外人 週間上昇率 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 1月3週 641億 -451億 -4986億 1939億 +3.1% 1月4週 1391億 -795億 -913億 450億 +0.9% 2月1週 599億 -536億 -347億 233億 +0.4% 2月2週 179億 -443億 -643億 961億 +0.2% 2月3週 301億 -624億 -1899億 2364億 +4.3% 2月4週 574億 -1403億 -772億 654億 +1.7% 3月1週 818億 -2136億 -62億 1382億 +1.5% 3月2週 1542億 -1118億 -768億 391億 +2.4% ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 8週合計 6044億 -7506億 -1兆410億 8373億 +19% ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【買い手は、ヘッジファンドと日銀だった】 8週間合計では、証券会社の自己売買の買い超が6044億円、外人ヘ ッジファンドが8373億円の買い越しです。つまり、日本の2月、3月 の株式市場は、 (1)オフショアからのヘッジファンドの買いと、 (2)証券会社の自己売買と、投資信託(上記事業法人に含む)の 中に覆面買いとして含まれる「日銀の資産買い受け基金」によって、 上がったと言えます。 【売り手は、国内の事業法人と個人】 一貫した売り手は、 ・国内の金融機関(保険・銀行・投資信託)を含む事業法人(8週 で7506億の売り超)と、 ・個人投資家(1兆410億円の売り超)です。 注目すべきは、1月も2月も、第3週のヘッジファンドの買い超の大 きさ(1月は1939億円、2月は2364億円)によって、週間で3.1%、 4.3%と高騰していることです。 ■4.結論 ●毎月の第二週の金曜日は、先物取引の精算日です。先物で売って 鋳れば買いの、買っていれば売りの反対売買をせねばならない。こ の清算の売買をした後、第3週に、ヘッジファンドが大きく買い越 して、相場を上げています。 3月になると、売り越してきた個人に、相場が上がったための買い 戻しが見え、3月の第1週の売り越しは、62億円に減っています。 以上の分析で、明確にお分かりでしょう。 2012年1月中旬以降、日本の株価が上げてきた理由は、 (1)外人ヘッジファンドによる、2011年の損(8000本のヘッジフ ァンドで合計6.5%の損害)を回復する目的での、欧州ECBが注い だ100兆円のPIIGS債対策マネーの一部を使った、日本株の買い、 (2)日銀による覆面介入での買いです。 以上2つの買い超の要因で株価が上がったのを見て、2011年の株と 外為での損から売り越しを続けていた個人投資家も、「遅れてはな らじ」と、3月の1週は売り越し額を減らしています。 ■5.明確に、政府・中央銀行が主導した「金融相場」である 【まとめ】 売り手:金融機関を含む事業法人+個人 買い手:ECBの印刷マネーを使うヘッジファンド+日銀 政府の介入を期に下がった円(=上がったドル.ユーロ)と同じく、 2012年の株価上昇は、日米欧の、同時増発されている中央銀行マ ネーによる金融相場です。もっと言えば、「政府介入の相場」です。 2008年9月のリーマンショックの後(2010年~11年6月)も、米国 FRBが約200兆円のドルを増加供給し、それが暴落していた米国株、 欧州株を買い支えて、回復させた主因でした。 この金融相場がQE21の停止(2011年6月まで)として切れたとき、 2011年8月初旬の暴落につながったのです。 ●今後の問題は、日米欧の、中央銀行によるマネー供給を、いつま で増やし続けることができるのかという一点です。 2011年11月から2012年3月までのマネーの増加供給で、もっとも大 きかったのは、欧州ECBによる約100兆円(12月50兆円、2月から追 加の50兆円枠)です。 【大切な参考情報】 (1)2010年1~4月には、FRBが増加供給したドルを使い、外人ヘッ ジファンドが日本株を3兆1146兆円も買い越しています。 (2)同じく、2011年1月~7月には、4兆1720億円もの、日本株の買 い越しを見せています。 しかし、こうした買い越しをいつまでも続けることはできません。 【外人が売り越しに転じると・・・下落する】 (1)の3兆1146億円の買い越しの後、2010年5月~6月には、1兆 5922億円の売り越しに転じて、株価を下げています。 同様に(2)の4兆1720億円の買い越しの後、11年8月~9月は、1兆 8182億円を売り越したため、日経平均は8000円の安値に沈んだので す。 日本の株は、上げも下げも、わが国株式市場の日売買の60~70%を 占める外人ヘッジファンドによる、買い越しか(上昇)、売り越し (下落)で決定されます。 外人ヘッジファンドの売り越しを、国内の金融機関、事業法人そし て個人が買い支えて、買い超にもって行くことはできないからです。 (注)本稿は、株価としては、金融のマクロの動きから判断ができ る日経平均(225種)を言っています。利益の成長性で買われ、利 益予想が減ると下がる個別銘柄の動きは別です。この個別銘柄の平 均値が、日経平均です。日経平均は、わが国で代表的な225社の株 価の単純平均です。 225種に含まれる小型株だけが上がっても、単純平均値は、上がり ます。このため、少額の資金で上がる小型株を買って(あるいは空 売りして)、日経平均を上げる(下げる)投資手法も見られるので す。 ●更に言えば、この外人ヘッジファンドが使う資金の源は、欧州 ECBと米国FRBが、株と通貨、およびPIIG債の保有で損失を蒙った銀 行に、資金繰りを助けるために貸し付けたマネーです。 金融機関は、中央銀行から借りたお金を運用し、利益を上げねばな らない。現金のままでは利益を生まないからです。ヘッジファンド のマネーは、米欧の金融機関が、ファンドに運用を預託したもので す。 ■6.今後はどうなるか・・・ 金融相場と言う理由が以上です。このため、中央銀行が、供給マ ネーを増やさなくなった時期に上昇が止まり、いずれ来る回収を迫 られる時期には、相場は下落します。 当然に、株式市場だけではなく、資源の代表である原油も1月末の $95(1バーレル)から2月末には$109(+15%)をつけ、$105~ $107辺りを波動しています。これも、ヘッジファンドの買いによ るものです。 1月半ば以降の円安(=ユーロ高、ドル高)も同じです。日本政府 の為替介入が止まる時期に横ばいに入り、介入の短期マネーを回収 する時期が来ると、反転するでしょう。 【米欧の消費者物価インフレは、長期金利より高い】 現在、米国の消費者物価のインフレは3.0%(11年1月)、ユーロ 圏は2.7%(2月)です。10年債の長期金利(米国2.28%:ユーロ 1.96%)より、1ポイントくらいインフレ率が高い。 インフレ率があと0.5ポイントくらいも上がる勢いになると(3. 5%付近)、米国FRBと欧州ECBはともに、急いで金融を引き締めて、 増発マネーを回収しなければならない。肝心なのが、このインフレ 率の動きです。 【後記】 3月9日の東京講演(263名の参加)には行けなかったが、その時の 講演の録画やレジュメを見たいという方から、当方にメールを多く 戴いています。ビデオで撮った2時間半の映像を編集中です。いず れ、何らかの手段で頒布します。そのとき、またお知らせをします。 本稿で書いたような、1998年の過去から幾度も繰り返してきた相場 の動きも(PKO相場と言っていた)、その原理的なことから書いて います。金融のPKOは、平和維持ではなく、当局の介入買いです。 拙著『国家破産』をお読みの上で、講演に参加された方も多く、当 方も感激しています。 アマゾン(紙) : http://www.amazon.co.jp/ 紀伊国屋Web(紙+電子) : http://bookweb.kinokuniya.co.jp/ 楽天書店(紙) :http://books.rakuten.co.jp/ 廣済堂bookgate(紙+PDF版): http://www.bookgate.info/ セブンアイネット(紙) :http://www.7netshopping.jp/ books/ 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ●インターネットで、偶然見つけた、書評サイトでの評価のひとつ です。気恥ずかしいのですが、当方の意図をよく理解していただい ていると感じたので、掲載します(掲載の承諾は、頂戴していま す) **は今、世界を覆う財政危機や金融不安の本質がどうなのか気に なっているのですが、 本書はこれ一冊読めば、 ・国債の信用リスク ・デリバティブの恐怖 ・米ドル安と円高の行方が及ぼす影響 ・不動産価格の見通し ・国家破産の可能性 ・資産防衛のためにすべきこと など、すべてが関連付けて理解できます。 とはいえ、ひとつひとつ理解しながら読んだので、読み終えるのに たっぷり1週間かかってしまいました。この本のすごいところは、 徹底的に数値をもとにした論理展開を行なっていること。 読者をいたずらに怖がらせたり脅したりするような表現は、一切使 っていません。類書では、著者が金融ビジネスに携わっていたりす ると、自分の商品の販売に結びつけたり、自分の権威を高めようと したりするポジショントークが含まれていたりするものですが、そ んなポジショントークも一切なし。 著者の吉田繁治さんは、【ビジネス知識源】というメールマガジン の発行人で、ビジネスメールマガジンではNo.1の人気を誇ります。 書いてあることは難しそうに見えるのですが、変に楽観論や悲観論 に偏っておらず、データを丁寧に紐解きながら、重要な部分は繰り 返し解説してくれるので実にわかりやすい。 読了した後、もう一度ななめ読みしただけで、理解がさらに深まり ました。ここに書かれている事実を自分はどうとらえるか、そして どう行動すべきか。腑に落ちるまで、何度も読み返すべき本だと思 います。 現在、そして今後の世界経済を語る本の決定版ではないでしょうか。 http://blogs.yahoo.co.jp/kit_45104/29108188.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。以下は、項目 の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ と記述の際、より的確に書くための参考になります。 気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考にもなり、 うれしく読んでいます。時間の関係で、質問への返事や回答ができ ないときも全部を読み、共通のものは、記事に反映させるよう努め ています。 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ◎購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール → reader_yuryo@mag2.com 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