こんにちは、吉田繁治です。ダイエーは10月13日、再生機構への
支援要請を行いました。
産業再生機構を活用するか、自主再建か、他の小売業から支援を受け
るのか?、主力銀行の金融支援は?、プロ野球球団は?、そして60
を超える子会社や他の複雑な事業など、一般には分かりにくい情報が
この間、繰り返し巷間で流れています。
しかしダイエー問題を、包括的に解いたものは見かけません。[銀行]
[財務省−金融庁−再生機構]、[経産省]、[ダイエーの経営
と錯綜した資産内容]、[流通外資]、[ハゲタカ・ファンド]、[
イオン]、[IY堂]、[総合量販の今後]という9の軸が絡まって
います。多くの要素があるため複雑になる。
現代の日本経済をシンボライズするものでもある。筆者の仕事とも、
間接的に関係しています。
時事テーマとして問題の本質と今後を解説します。大型の事業破綻の
モデルケースにもなります。様々に錯綜した内容を、もつれた糸をほ
どくように解く必要があります。日本の流通の今後に大きく関係しま
す。
今年から、イオン、IY堂の経営問題が、浮上しまs。イオンとIY
堂(本体)も決して将来の勝ち組ではない。
本稿は、先週、有料版の緊急号として13日の当日夜に書いたものを
ベースにしています。その後、雑誌掲載の要請もあったので加筆・修
正しお届けします。2回分の量があります。
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<Vol.199:緊急時事問題:事業の破綻>
【目次】
1.銀行の事情
2.経産省は不思議な動きをした
3.疑念があった資産内容
4.債務超過状態とダイエーの価値
5.再生機構側の事情
6.ダイエー問題の本質
7.「いいものをどんどん安く」
8.ブランド・アイデンティティの喪失
9.ある高齢の主婦
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■1.銀行の事情
90年代不良債権の、最大規模の象徴となるのがダイエーです。ここ数
年、ダイエー問題は金融機関の債権カット余力、つまり自己資本の余
裕がないという理由だけで、先送りにされていた。
まず解くべきは、銀行側(UFJ、三井住友、みずほ等)がなぜ「産
業再生機構」を使うことを主張したか?です。
▼理由となった3項
以下の3項の、銀行側にとって有利な処理が政府によって認められる
ためです。
(1)産業再生機構を使えば、債権放棄をしたあとは正常債権とみな
されること。従って銀行にとって不良債権の比率が下がる。
(2)わが国のいまの税法は、貸倒れ計上では、企業が倒産し担保の
売却処理をしたあとの「確定した損失」が税務上の損金(利益から引
かれる経費)としている。
わが国では、法的整理前の貸倒引当金の計上は、益金処分とされ大半
が課税になる。産業再生機構を使う場合は、放棄額が銀行にとって損
金になり無税扱いになる。
貸倒引当金は、銀行等が、融資の回収リスクを見積もってあらかじめ
資金を積み立てるものです。
損金は、経費をあらわす税用語です。利益は益金と言う。益金と損金
を計算するから、損益計算書です。利益には法人税・事業税等が約4
5%課税されます。
(3)メインバンクが慣行上の融資責任を逃れ、無担保融資の処理に
ついては、ダイエーへの融資額に正比例した損失負担になること。
以上のように、銀行側にとっては、不良債権処理の税務と残余債権の
評価で、再生機構を使うと有利になる事情があります。
上の3つの規定がどういう理由で、正当化されるのか理解に苦しみま
す。「お上に頼れば何でもOKとする」としか思えない、こうしたこ
とを含め、行政はいつも相当に任意的かつ裁量的です。
再生に必要な債権カットとしてダイエーが要請しているのは、当座だ
けで3900億円。資産査定の過程で、もっと多額が必要になる可能
性が高い。
過去2回の債権カットで、5200億円が放棄されています。カード
事業を含むダイエーグループのバランスシート上の長短借入金は1兆
5967億円です。
【1兆円は巨額】
ダイエーの社員は2万2000名。合計1兆円の放棄ですから、1名
当たり4500万円、平均年収の約10年分の支援(支給)ですから
、巨額です。これは社会的な損失になる。10億円の債権放棄で、1
000社もの中堅企業が救われる額でもある。1億円の1万倍が1兆
円です。
【不良債権処理の税務】
銀行の不良債権処理については「倒産しなければ損金と認めない」と
いう国税庁(=財務省)の、税収確保の策に問題の根があります。
【課税】
企業を法的に整理する前の「債権放棄」と「貸倒引当金」の積み増し
は、「益金処分」として多くが課税対象になる。米国では、一定額の
貸倒引当金の計上は、損金とされます。
【V革の勇士】
ダイエーの、80年代V革(営業利益を確保する経営への転換)の勇士
と言われた高木邦夫社長は、カネボウのように解体の恐れがあると見
た再生機構への要請を拒んでいた。
最後はリップル・ウッドなどのハゲタカ・ファンドを含む、外資によ
る1000億円の増資と支援に、望みを託した。ハゲタカ・ファンド
は、経営難の企業に資金提供し、解体または再生し、売却して利益を
得るリスクビジネスを行う。
【高木邦夫氏の無理筋】
しかしこの民間支援策も、3900億円の長短借入金放棄を前提とし
ていたから銀行側の同意が必要だった。
3900億円の債務をカットすれば、政府の同調と裁量的な税務がな
い限り、半分の2000億円弱は税金にとられてしまう。銀行が同意
するはずもない。
「銀行の債権カットを伴う民間企業への増資依頼」には無理があった。
銀行側は、政府から優遇策を受ける目的で、再生機構の利用を主張
しました。
【UFJの事情】
ダイエーのメインバンクのUFJは、検査妨害で、直前に金融庁から
刑事告発を受けています。
ダイエー処理の背景には「財務省−金融庁」ラインに従わざる得なく
なったUFJの問題がある。UFJには自己資本の余裕がないからで
す。
【ウォルマート、ヨーカ堂、イオンも絡んだ】
ウォルマートは海外戦略では買収法をとります。ヨーカ堂もダイエー
買収(おだやかな表現では支援)に手を挙げ、イオンも並ぶ。採算の
取れる店舗を活かして、ダイエーとの地域競合を緩和すれば利益が取
れるからです。総合スーパーには今、軒並みの業績低下がある。
ダイエーグループの最終的な帰趨は決定していません。第1幕が開い
ただけです。
▼資産査定以後の展開
再生機構で資産の中身を査定し、事業収益の可能性を判定をしたあと
は、ダイエー側の意向は無視して解体し、入札という方法で不動産を
売却するか、分割または一括で事業譲渡される。ダイエーには当事者
能力がありません。
しかし再生機構にも、ダイエーを経営する能力はない。
自社の本体事業の収益性が確かという条件があれば、買収には事業の
魅力がある。法的処理物件は、格安になるからです。
ダイエー球団の買収に、今日、ソフトバンクの孫氏が手を挙げている
たのは、御存知の通りです。
■2.経産省は不思議な動きをした
▼ダイエーへの経産省の関与
「財務省−金融庁ライン」が、銀行を動かしダイエーを再生機構に送
ることを主張したのに対し、ダイエーにOBの雨貝氏を会長として送
りこんでいた経産省は、高木社長を支え、再生機構送りに反対する動
きをとりました。
経産省幹部が「異常と思えるくらい強硬に」再生機構送りを、なぜ拒
んだのか、ここに疑念が残ります。ダイエー問題の迷走に輪をかけた
のが経産省です。高木社長の銀行に対する強気の姿勢は、再生機構に
は渡さないとする経産省のバックアップがあったからです。
【処理の構図】
経産省の、裏での目論見は、
(1)「丸紅−マルエツ」に食品スーパー事業を譲渡する。
(2)総合スーパー部門は、ウォルマートに売る。
(3)リップルウッドとモルガンスタンレーに他の不動産を売却する
ことでした。
これだけなら、経産省の異常な執拗さは必要ない。経産省は、諸々の
ダイエー関与の事情があきらかになることを恐れ、再生機構による資
産査定を拒みたかったのです。
高木社長はこの内容を知っています。経産省が言う民間支援の中身は
外資への売却です。高木社長は総合スーパー事業が解体されず残る可
能性も多少あると見た経産省の目論見に乗った。
外資の主役は、ゴールドマン・サックスを尖兵にしたウォルマートで
す。イトーヨーカ堂とイオンが、慌ててダイエー支援を表明したのは
、ダイエーを渡せば、売上高での首位の座を奪われる恐れがあったか
らです。
■3.疑念があった資産内容
しかしダイエーの資産内容と、簿外債務や簿外保証に不安をもってい
たウォルマートのCEOリー・スコットは、公正な第3者(例えば産
業再生機構等)による査定を、支援の条件として要求していました。
資産内容を不透明にしたままでの支援を要請する経産省と、資産査定
を求めるウォルマートの交渉は、再生機構への支援要請を高木社長が
決める10月13日の、ギリギリの昼過ぎまで続いた。経産省は、高
木社長をホテルに閉じこめ、ウォルマートとの交渉を続けた。
産業再生機構の委員長は、こうした経産省の関与に抗議し、辞任を考
えたと言います。経産省の行動は異常なものだった。
▼驚くべき踏み込み
ダイエーに関与していた経産省の頼りは、ウォルマートでした。日本
政府としてダイエーの資産内容には責任をもつから、ここで、支援決
定をしてくれとまで言ったと伝えられています。
ダイエー処理は経産省マターだと考えていた。経産省の不思議に執拗
な関与がなぜあったか? 真相はまだ闇です。経産省が描いたのは外
資への売却ですから、日本政府としてとるべき態度かとなると疑問が
残ります。
▼疑念
経産省が執拗だった背景には、OBを送りこみダイエーの経営に関与
してきたこと、過去の出店での行政便宜、ショッピングセンターの不
動産取得や、地揚げにまで絡む諸々の裏事情があるのは容易に推察が
できます。政治家も絡んでいます。
【闇】
論理的に言えば、産業再生機構による調査・査定で、経産省とダイエ
ーがこうした闇が明らかになることを恐れたとしか思えない。大臣の
中川昭一氏は何も知りません。彼は飲酒し荒れていた。レクチャーし
動かしたのは、次官・局長を含む事務方です。
【ウォルマート】
ウォルマートは最終的にダイエー買収にどう絡んで来るか? 産業再
生機構は、年末までに資産査定を終える予定です。あとは入札方式に
よって、ダイエーをバラバラにした分割売却か、食品スーパーと総合
品種部門や他の事業を活かした分割譲渡です。
資産評価の査定が済めば、ウォルマートが入札に応じる可能性は強く
残っています。
■4.債務超過状態とダイエーの価値
▼株式マーケットの現在評価
ダイエー(単体)は現在、株主資本では1500億円(1株当たり3
54円)のマイナスです。
店舗と土地の、収益還元法を使った店舗の時価での査定をしたあとの
債務超過は4000億円をはるかに超えているでしょう。3900億
の金融支援が当座に必要とされていることから推計できます。
株式マーケットは1株250円のプラス価格をつけています。(04.10.1
9)株式市場は「商権または店舗営業権と顧客」までを含め総合評価し
ます。時価総額では1100億円です。
比較して言えば、IY堂の時価総額(単体)はダイエーの15倍の1
兆6000億円、イオンは12倍の1兆2000億円です。
投機家が恐れていた法的整理で株券が紙屑になるのではなく、再生機
構入りで多くの個人ネット・トレーダーも、「つかの間は」安心でし
ょう。ダイエー株は今、機関投資家は持っていない。
新たに土地を買い大型店を作るのは、法的には容易でも、実際には障
害があり、地元の調整も必要です。最短でも1年余、時に数年の時間
がかかる。社員の働きの価値もあります。
整理後の6000億円〜5000億円の想定売上を、増資の1000
億〜2000億の投資だけで得られるならM&Aは成功です。
【銀行の態度】
銀行側は、ダイエーが再生機構の支援を受けなければ、一切の金融支
援を行わず、法的整理(倒産処理)をすると強く主張しました。これ
はダイエーが生きたまま債権カットをしたときに生じる税金負担は行
わないということの表明です。
【監査法人】
ダイエーの監査法人も、債務カットの支援を受けなければ、04年8月の
中間決算(9月15日発表予定)の承認ができないとした。財務省の
意を受けてのことです。財務省は、自分の手許に落ちる再生機構入り
を主導した。
▼財務省と経産省
問題のギリギリの焦点は、3900億円の債権カットをどうするかで
あったことであることが分かります。過去2回の5200億円の債権
カットは、金融機関への小泉政権(所轄は経済産業省)からの要請に
よるものでした。
財務省の意に染まない限り、債権カットは行わせない、倒産処理をす
るという姿勢があった。通産省の目論見は、財務省からの圧力に負け
たと言えます。通産省には今、敗戦の雰囲気が漂っています。
ダイエーの処理をめぐっての経産省と財務省の対立が、問題を複雑に
こじれさせたと言えます。経産省は産業再生は自分の領域とする。財
務省は金融支配です。予算の無駄遣で非難を浴び続けてきた行政権力
に、自分の存在感を示したいという意思がある。
■5.再生機構側の事情
【再生機構の喜び】
再生機構が使う資金は、金融機関からの借入でまかなわれます。政府
保証がつきます。再生機構は「再生の裁判官としての役割」を世間に
示す機会だと喜んでいる。
【財務省−金融庁】
脚光を浴びるダイエーから問題の処理を歓迎しています。もともと再
生機構が設立された目的は、ダイエー問題の処理でした。再生機構は
「財務省−金融庁」ラインです。
▼裏債務2兆円
私が推測する直下の最大の問題は、ダイエーグループの総額2兆円と
言われる「簿外債務と簿外保証」です。本来は、有価証券報告書の注
記に載せなければならない。載せていないから簿外保証です。
複雑に入り組んだ60余の子会社、リベートを受け取るトンネル会社
の債権/債務、他の内容が明らかでない膨大な債務、そして中内家の
私的債務に対するダイエーの連帯保証等です。
▼不動産経営
ダイエーの店舗不動産の相当部分は子会社が所有し、子会社が高いテ
ナント料でダイエーに貸し付ける方式をとっています。他に、テナン
トとして出店した不動産の、中途解約で発生する違約金も膨大です。
これについては、つまびらかな報道はありません。
【再生機構】
再生機構は、職員に再生処理での守秘義務を強く求めています。イン
サイダー取引になるような不正行為を行ってならないことは、だれで
も知っているようなことであり、あえて役員会で決定して規定する事
項ではない。
私は再生機構の「守秘義務」ということで、見えない問題の処理は、
タックス・ペイヤーである国民の目に不明瞭なままに終わる可能性も
あると見ています。または、多くの裁判の連続になる。問題である簿
外保証の問題が残っているからです。
再生機構にはリテイル・ビジネスを再生させる実務能力はない。裁判
官・検察官・弁護士に人を更正させる機能がないのと同じです。
債務と資産の整理をし、あとは民間企業に入札で売却する。最終処理
には二転、三転がある。
▼最終問題
簿外債務の額は資産査定の過程で明らかになっても、最終処理では、
結局はだれが損失を負担するかという皆が逃げたい問題になる。過去
の粉飾決算も明らかになるはずです。法に公正なら、起訴、逮捕され
る人も出るはずです。
■6.ダイエー問題の本質
「結果としてのダイエー再生」ではなく、なぜダイエーがここまでひ
どい事態に至ったかということを見ます。要点は単純で、たった4項
に絞ることができます。
▼(1)1土地含み経営が破綻
ダイエー問題はわが国の大手総合スーパーに共通します。端的に言え
ば、「土地含み資産の増加部分」を真の資本とする経営だった。これ
が銀行融資の不動産担保至上主義と結びついていた。
【無視された営業利益経営】
含み資産が本来の営業利益経営をないがしろにする結果を生んだ。不
動産投資と企業買収は中内CEOの独断だった。
役員も、全人事権をもち強烈な人間不信のカリスマの意志に従うだけ
だった。「CEOの意向です」という言葉に、皆が服従していました
。
【土地というマネー発行装置】
最初は商店街のはずれに、次は郊外に、あらかじめ周辺の土地を買い
占め、店舗を作った。団塊の世代の住まいは、郊外へ移動しつつあり、
地価は年率2桁で上昇していた。
銀行へは金利だけを払えばいい、店舗の営業での利益は必要ない。銀
行も、返済より確実な資産である土地担保のある会社への融資増加を
求めていた。「そごう」の水島氏、西友の堤氏も同じだった。
【不動産業が小売りを兼業した】
ダイエーは利益から返済をする気はもともとなかった。不動産が利益
だった。不動産では非公開の関連会社にもたせたものがあり創業家は
その株をもっていた。不動産を本業とする中内家にとって小売業は兼
業のように見えるのです。
資本の内容から言えば、ダイエーは不動産業です。
▼(2)意思決定の方法として衆議独裁の世代
【独裁】
「『衆議独裁』という言葉がはじめて出たのは、1963年(昭和3
8年)、西宮本部で開かれた経営会議の席でした。『皆よく協議して
くれ。しかし決めるのは私が決めるから』という発言でした。一瞬、
凍りついたような空気が部屋中に流れた。(『選択・中内力自伝』04
年8月刊)。」と弟の力氏は述べています。
株主から委託される経営においては、社長が結果の責任をとらねばな
らない。だからと言って、複雑に多角化し、多地域への出店で巨大に
なった経営全体にわたって1人ですべてを見通すことができるか?
実務では不可能なことです。
【ダイエーと西武グループ】
経営資源の集結は図られても、その結果では、独裁の意思決定の誤り
が運営の至るところに生じます。これについては西武流通グループも
同じです。
ダイエーの失敗の原因は、まずはここにある。ほとんどが結果は失敗
した様々な小売業態、百貨店、プロ野球、新歌舞伎座、警備会社、清
掃会社、ホテル、レジャー開発、レストランを含む事業全体を、1人
で決定し運営することなどできるはずがない。
トップに都合の悪い情報が上がることは途中で遮断される。情報が上
がっても、現場確認を行った判断はできない。それくらいダイエーの
事業全体は複雑です。中内氏が意図的に複雑にしたと言っていい。根
底の理由は、私財の確保です。
資産査定だけでも、250人の専門家が2ヶ月を費やし終わらないく
らいです。鱈(たら)のように大味なダイエーの経営と店舗は、こう
した独裁と、現場情報からの遮断が原因でした。
▼(3)店舗戦略の錯誤:駐車場が不十分で、運営コストが高い多層
階の店舗
【小型で多階層店】
ダイエーの最初の失敗は、80年代初期の「首都圏レインボー作戦」と
言われた首都圏への参入戦略でした。ダイエーは個人経営の小型の食
品スーパーを買収するという方法で東京区部へ参入した。物件価格は
高かった。
【無視】
すでに必須になっていた十分な駐車場と、広い売場面積(正確には部
門の、利益適正規模)をとる余地はなかった。これが、あとの致命傷
になる戦略ミスでした。
【怨恨に近い情念】
「レインボー作戦」は、IY堂への対抗だけを目的にした出店だった。
レインボー(虹)作戦が、結果として黄昏(たそがれ)作戦になっ
た。店舗戦略のミスは、運営の戦術では回復することはできません。
ダイエーは1兆円を超えた首都圏戦略の直後(84年)に、赤字に陥る。
その後の、営業利益重視のV革を推進した中心人物が、現社長の高
木邦夫氏と、前副社長として再建に招聘されスキャンダル絡みで辞任
した平山敞氏です。
【土地バブル】
しかし85年の米ドル切り下げのプラザ合意以降、86年から首都圏では
土地バブルが始まる。日銀が米国への資金還流を促すためと、前川リ
ポートが示した内需拡大の目的で利下げと大幅な金融緩和をした。
【絶頂期を迎える】
過剰流動性になったマネーは、土地と株投機に向かいスパイラルに価
格を上げ、ダイエーと西武流通グループの土地含み経営は90年に絶頂
を迎える。
店舗の営業利益で必要な商品部と店舗作業の改革は無視され、ダイエ
ーはリッカーや不動産事業のリクルートを買収します。
【没落した現在】
直近の、4大量販の比較データを見れば以下です。
04年8月 売場面積 1店面積
売上 前年比 (平米) 店舗数 月商 (平米)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
イオン 1488億 +0.5% 338万 378店 3.9億 8730
IY堂 1100億 +2.1% 170万 177店 6.2億 9600
ダイエー1030億 −6.7% 187万 265店 3.9億 7060
西友 808億 −3.6% 148万 402店 2.0億 3700
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ダイエー(総合スーパー単体)は98年には全国に378店をもってい
た。97年に赤字を出し、苦境に陥って以降、不採算の小型店110店
余を閉鎖した残りが上記の265店です。
類似の商品領域の総合品種スーパー・ストアであっても、イオンとI
Y堂は、郊外型で駐車場を確保できている店舗が多い。出店数で先行
した西友とダイエーは、都市部の店舗では駐車場に問題をもっていた。
【何を超えたSuper?】
ダイエーと西友は、近代化以前の商店街のシェアを奪っていた。しか
し80年代以降は、競争の中身は大型店間の競争になってきた。スーパ
ーとは「超える」という意味です。
ダイエーと西友は、プレ・モダン(前近代)の商店街型の店舗は超え、
百貨店の低価格部分と零細店のシェアを奪うことはできた。しかし
総合品種での大型店間のポピュラープライスの競争では、弱い店舗を
多く抱えた。
小売業では、店舗の三分の1が採算割れでも、三分の2が収益を出し
ていれば、経営は維持できる。しかし半数で利益を出せなければ、そ
こで経営は終わる。ダイエーの経営は店舗毎の採算をとる経営法では
なかったのです。
▼(4)2倍の資本を使った
【たった0.9回転】
ダイエーの最大の弱点は、総資本回転率(年間売上高÷総資本:ROA
:Return On Asset)の低さです。04年2月期ではたった0.9回転
(連結)です。1店舗が100億円の総資本なら90億円の売上しかな
い。
IY堂は1.3回転(100億円の総資産に対し売上高130億円)
、イオンは、1.5回転(同150億円)です。いずれも関連会社を
含む同年の連結での比較です。
総資本回転率は、設備投資に対し回収される売上高を示します。ダイ
エーの店舗投資は、売上に対し2倍も大き過ぎる。投資計画に初歩的
な誤りがあったと言えます。店舗の営業利益は全く無視したとしか思
えない過剰投資での出店です。
【本質】
仮に地価下落がなかったとしても、店舗の営業利益の赤字で、破綻す
る必然の経営であったと言うことができます。ここにダイエー問題の
本質が見えます。
(注)賃借のテナントの時は、テナント料から設備コストを算出し、
仮想的な設備投資分として総資本を計算します。西友はテナントが多
いため見かけ上の総資本回転率は1.8回転ですが、実質はダイエー
並みです。
【ROAの必要値】
04年での成長小売業では、投資基準とすべき総資本回転率は2回転
あるいはそれ以上です。貸借対照表上の総資本(=総資産)の少なく
とも2倍の売上を確保する出店でなければならない。
80年代のレインボー作戦で中内CEOは設備投資額と売場のバラン
スを無視し、IY堂への首都圏での対抗だけを眼目にしていた。利益
は地価の上昇だった。
首都圏を地盤にしていたヨーカ堂の伊藤雅俊氏への異常な対抗意識(
カット・スロート)が、営業利益経営の常識を誤らせたと言えます。
情念は仕事の動機にも、失敗の原因にもなる。
【ベンダーからの割引リベート】
店舗で営業利益を出し採算をとる利益経営ではなく、流通規制下の商
権と売上高の規模によって、ベンダーからリベートを受け取る経営が
ダイエーを支えていました
ダイエーを筆頭とする大手量販は、実は流通規制によって、地域[商
権]という利益を得ていた。サンクスコスト(埋没コスト)の逆です。
商権利益が、ダイエーの本質の1項であることを見ていないと、ダ
イエー問題は解けない。
【驚愕】
経営の末期では、翌年分の取引契約までを担保に、前倒しで割引リベ
ートをとっていた。不動産のホールディグング・カンパニーを中核に
作り、ダイエーに店舗に貸す方式であり、店舗は赤字を出さなければ
いいとしていた。
情報開示が必要な公開会社である自社店舗からの高いテナント料の一
部は、不動産をもつ非公開の関連会社から、中内家に流れている構造
です。税を払わないことと私益への敏感で、中内氏くらい本能的な嗅
覚をもっている人は珍しかった。
【背任的な経営】
株式を公開し、一般株主から資産運用の委任を受ける経営者として、
事実上の背任行為です。社員に罪はない。オーナーが私的自己利益を
図る経営構造に問題がある。
【CEOとしてのモラル・ハザード】
中内氏の精神には、株式公開会社としての基本的なところにモラル・
ハザードがあった。
公開会社である西武鉄道と非公開のホールディング・カンパニーであ
る「コクド」の不明朗な関係と同じです。西武グループも堤家の私的
カンパニーです。こうしたことを民度が高まった国民は許容しない。
株を公開しているのにもかかわらず、どこまでも中内家の私的な会社
であるという意識が、経営の基本的を誤らせたと言えます。
ダイエーの社員も役員も、こうした基本構造の問題について進言がで
きなかった。店舗にとっての不動産コストの高さを私的利益にする構
造です。
堤氏も中内氏も、会社では王だった。誰も抵抗できない。これは戦後
第一世代の、旧タイプの権力による統制経営(コマンド&コントロー
ル)です。現場訪問の時は、天皇の行幸のときのような準備がされた。
公開会社のCEOは、株主から経営権の委任を受けているという意識
はない。「俺の会社だ!、何が文句あるか?」という誤った認識です。
ここにも問題の根源がある。
【顧客】
店舗コストの高さは顧客が負担する売価になる。わが国の戦後流通を
代表してきた企業として、極めてお粗末に思えます。
▼価値観への罪
中内家に流れたマネーは売上に対する構成比は小さくても、社員の全
員が感じる経営の価値観では小さなことではない。価値観と行動様式
こそが暗黙の企業文化を構成する。
裏が見えればトップが公式の場で言う「顧客のために」は表向きのお
題目になる。これでは社員のエネルギーを束ねて引き出し、方向付け
ることは永久にできない。株主はマネーを出す。しかし社員は人生の
時間を捧げます。マネーと人生の時間のどちらに重みがある?
流通革命の理念に共感し集まった多くの有能な社員が、ダイエーを既
に去っています。様々な想い出が混じった無念な思いで、見つめてい
ることでしょう。とりわけ初期にダイエーに集まった人々には、品格
はともかく仕事の面では有能な人がいた。
それでも中内CEOに対し、幹部の中に熱い思いを寄せる人もいます。
彼には稚気愛すべきところもあった。
戦中派世代として、貧困からの脱出を目標にしていた。カネと資産へ
の執念は並はずれていた。人間不信の権化だった。
神格化された中内氏の精神には「自分しか信じない」という諦念があ
った。人を殺し自分が生きる、フィリピン前線での戦争体験はこうし
た、いびつな個性を作った。
■7.「いいものをどんどん安く」
戦後日本を代表する流通企業とされていたダイエーが経営目標にして
いたことは「いいものをどんどん安く」でした。
この言葉に、ある程度の内容があった時期、およそ70年代までは、ダ
イエーも発展していました。顧客の固定的な支持もあった。
紳士用スーツや学習デスクなどを象徴に、販売数量で日本1になった
品種は多かった。こうした品種では、確かに百貨店や商店街店舗より
は価格を下げていたからです。庶民の味方に思える時期があった。
▼円高以降の変転
80年代は、まず東南アジアが工業化した時期で、日本への輸入も増加
しました。これは皮肉にも、ダイエーを不動産と企業買収に走らせた
プラザ合意(1985年)以降の円高によるものだった。
円は短期間で2倍の価値になって、輸出メーカーは五月雨のように東
南アジアに工場開発をしていた。
【最初の会社は青山商事だった】
青山商事が、ダイエーよりはるかに少ない販売数量という制限で、サ
ラリーマンの制服と定義した紳士服を、開発輸入したのもこの時期か
らです。これによって、紳士服のポピュラープライスの水準は、2万
円以下に下落した。(現在は1万円〜8000円です)
【ニトリ、ユニクロが続く】
その結果、ダイエーのポピュラープライスは青山の1.5倍くらい高
くなった。90年代はニトリが家具・ホームファニシングの開発輸入に
よって価格水準を下げる。
94年以降はユニクロは、米ドルにリンクしている中国の元安を利用
し、カジュアルウエアの価格を約三分の1に下げる。
チェーンストアは価格を下げるには仕入れ規模が必要だとしていた。
しかし、価格革命はすっと規模の小さな企業が果たした。規模を求め
たダイエーは、90年代は価格を安くすることができなかった。
▼調達と店舗運営の弱点を露呈
総合品種量販は、今に至るまで、店舗の品揃え計画(商品計画)と開
発輸入で必要になる買い取り調達が整合して機能する仕組みが弱く、
輸入すれば物流センターに輸入在庫があふれる。
理由は、バイヤーが国内問屋の在庫管理に依存した流通網と在庫管理、
および返品許容の商取引とリベートに慣れてきたからです。リベー
トの要請が、荒利益率を上げる方法だった。
PBとは言っても、商品に最終責任をもってこなかった。
調達と店舗の商品計画が連動せず、調達だけが先行する。
商品調達の前工程は、店舗の商品計画です。店舗での販売計画から出
発し、その後に調達という仕組みがなければならない。
ダイエーで食品スーパー部門だけが残ると言われる理由は、とりわけ
わが国の食生活で重きが置かれる生鮮食品の流通では、少量の個店地
域品揃えでも対抗できるからです。
生鮮は、量を必要としない地域店舗で経営を行うことができます。量
を確保しようとすれば、逆に品質基準を落とさねばならないことがあ
る。
他方、中国・アジアからの開発輸入が主力になったアパレル(衣)と、
家具・ホームファニシングを含む住関連では、開発輸入を行う新興
の専門店チェーンに比べ、すでに競争力がありません。
家電では、80年代から家電量販に対し品揃えと価格での競争力を失っ
た。1坪当たりのコストを30万円以下に低くした専門店チェーンと
ディスカウンティング店にとって、総合量販からラインロビングする
ことは容易です。
ラインロビングで大きくなったダイエーや総合量販は、今、海外調達
の専門店チェーンから、部門の専門化をベースにした逆ラインロビン
グを受けている。総合量販が負ける理由は、部門の適正規模を確保し
ていないためです。
■8.ブランド・アイデンティティの喪失
▼ブランド・アイデンティティ
企業はその原点、言い換えれば「ブランド・アイデンティティ」とも
言うべきものの内容を失ったとき生命を終わる。ダイエーにとっての
アイデンティティは「いいものをどんどん安く」でした。
ブランド・アイデンティティは企業の原点と言ってもいい。社員の仕
事の拠り処でもある。これがなくなれば単に食べるための服従の仕事
に陥る。
いい仕事はブランド・アイデンティティから生まれる。仕事の意義付
けをするのがブランド・アイデンティティです。企業の存在意義、仕
事の動機と言ってもいい。ミッションと言い換えても同じです。日本
語では、物事の「義」に忠誠であることです。
1985年以降の専門店チェーン開発輸入によってダイエーの安さの
比較価値に中身がなくなって以降、「いいものをどんどん安く」をブ
ランド・アイデンティティとするダイエーの小売事業は終わっていた。
その後の10年は不動産経営だった。不動産経営が破綻したのが、地
価が下洛した93年以降です。
▼同業で世界最高のコストになってしまった
ダイエーの最大の問題は、売場1坪当たりのコスト(56万円=総コス
ト÷売場坪数)の高さです。ヨーカ堂・イオン・西友もほぼ共通しま
す。いずれも1坪(3.3平米)当たりでは50万円を超える水準で
す。3社とも同業で世界最高のコストです。
こうした高い、顧客にとって無駄なコストを抱えながら、「いいもの
をどんどん安く」提供することはできない。
ウォルマートはその半分の26万円/1坪の運営コストです。最近の、
ウォルマート・スーパーセンターを真似た新興ディスカウンティン
グ店の、1坪当たりのコストも26万円から20万円を競争ポイントに
します。
世界的な流通競争の根幹が、この26万円/1坪という店舗運営コス
トです。流通はもう国内競争、地域競争ではない。
▼常識は常に誤る、常に遅れる
日本は地価が高く建物コストが高い。人件費も高い。だから小売のハ
イコストは許容されるという経営常識に、誤りがあります。
すでにウォルマートを下回る20万円〜25万円の1坪当たりのコスト
の企業、および店舗モデルが出ています。地価は三分の1〜四分の1
以下、建物コストは半分以下に下がっています。
作業整備と情報システムおよび物流センターによる商品在庫管理で、
店舗の1人当たりカバー面積は倍増できます。これによって、1坪当
たりの総コストを25万レベルかそれ以下にすることができる。
▼日米比較
わが国の小売総額は135兆円です。総売場面積は1億3000万平
米。消費人口1人あたりの売場面積は1平米であり年間購買額が10
0万円です。
この単位面積当たりの売上げは世界最高です。世界最高売上げで、世
界最高の高いコストの経営をしているのが日本の小売業です。
他方、米国は総売場面積が日本の約4倍、消費人口1人当たりの売場
面積では日本の2倍の2平米です。
【半分のコスト】
米国は、わが国の半分の1平米当たり店舗コストで競争しています。
今後の日本の小売業の競争ポイントもここです。
▼30兆円の空白マーケットがある
試算では135兆円のうち30兆円(イオンの売上高の約10倍:人
口1人当たり年25万円)は、今後のディスカウンティング・マーケ
ットです。本格的なディスカウントストアは、わが国では真空です。
ウォルマートが日本を機会として進出する理由が、これです。
1坪当たりの店舗コストでは、量販大手の半分以下の20万円が競争水
準になる。これを経営のKPI(key perfomance indicator:鍵とな
る経営指標)とすべきです。
ディスカウントとはまずは店舗のコストダウンであって、20%以下の
低い値入率(値入額÷[値入額+仕入原価])による売価は、店舗の
必要コストを低めた結果です。
店舗の運営コストが高いまま、仕入れ原価の低減のみを求める。高付
加価値(高い粗利益率)とは、顧客にとっての高い付加価値ではなく
、自分にとっての高付加価値になってしまっていた。
ある地方都市で、経営者の共感を得てディスカウンティングの実験を
していますが、それを一部実行した結果、売上高はここ半年間、前年
比130%です。その会社が属する業界の平均前年比売上は93%です。
ダイエーの経営方式が行き詰まっても、「よいものをどんどん安く」
という理念とディスカウンティング・マーケットの将来は確実です。
■9.ある高齢の主婦
再生機構送りになった翌日、ダイエーしかない東北の町で、TVに出
た高齢の主婦が「ダイエーがなくなると困るんです」と言っていた。
夕食の買い物に来ていた。
高木社長とスタッフは、これを聞けば、泣くかもしれない。こうした
顧客の声に応えることが、ダイエーの再生です。仕事の原点は、顧客
への感動です。情感が仕事のベースになる。
高木社長は「ダイエーをピカピカの会社にする」と就任した。遅くは
ない。ダイエーうち優良な店舗は、所有が変わっても残る。
所有者が仕事をするのではない。残った社員の方々は「いいものをど
んどん安く」するために仕事をして欲しい。これは小売業の普遍理念
です。店舗が1円のコストを余分に使えば、その1円は顧客が負担し
ます。
商品の割には高いというのが顧客のダイエーに対する素直な感想です。
自店のコストを正当化し自己弁護の商売を行ってはいけない。
▼評論家、コンサルタントが言うまっ赤な嘘
「チェーンの売上規模と仕入れの量がすべてを解決する」というのは、
真っ赤な嘘です。評論的な言辞に過ぎない。
その証拠に、過去は売上高で日本ナンバーワンだったダイエーの経営
は、見事に破綻した。一時、商品調達量で全米ナンバーワンだったK
マートも破綻した。PB調達の量が決めるのでもない。小売業は1店
舗の経営です。始点も到達点もそこです。規模は結果であって、原因
ではない。
資本は、不動産ではなく店舗利益が引き寄せる。事業規模は結果であ
って原因ではない。最良の1店舗は、志に技術を備えればゼロから作
ることができる。事業はいつでも始点です。
【後記】
中内氏とダイエーには様々な感想が浮かびます。『利益経営の技術と
精神』は、ダイエー的な経営への反証として、その方法・技術・精神
を示したものでもあります。
最大手企業で、トップが社員の必読書として指定したと聞きました。
http://www.amazon.co.jp
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▼本無料版と姉妹編である有料版の、最近のものの目次です。
<173号:株で利益を上げる「不滅の真理」はあるのか(3)>
【目次】
1.ファンダメンタル派の株価の見方
2.株価の働き
3.しかし・・・問題がある
4.地価で例える3条件
5.チャート派(テクニカル派)の見方
6.チャート派の信念と方法
7.チャート派の信念の根拠になっている前提と問題点
8.チャート派の方法に関して検討すべきこと
9.バイ&ホールド(Buy&Hold)と比較しなければならない
10.売買のタイミングを見ることの困難さ
<174号:株で利益を上げる「不滅の真理」はあるのか(4)>
【目次】
1.原理は単純
2.7%の確率という結論
3.実際:日経平均(225種平均株価)の動き
4.テクニカル派の抵抗線:移動平均はどんな意味をもつのか?
5.抵抗線と支持線を、行動ファイナンス理論で説明すると
6.まとめれば
7.2つの方法
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