おはようございます。昨夜、久しぶりの雨でした。日本海側は大雪
ですが、列島の山稜を降りた大気は、気圧が上がり乾燥します。太
平洋岸の雨は、まるで少ない。
ラニーニャ(熱夏)があったときの冬は厳冬という通りになってい
ます。天候デリバティブの開発元は、利益を上げたでしょう。気候
異変の時の、ファッションや作物などの在庫損を保証する保険です
。
仕事部屋の空気清浄器内の、大きな水タンクが一夜で蒸発します。
マニアックに清浄器を三つ置いています。10年後は大問題になる水
資源と言われますが、空気も、それ以上の資源でしょう。
「空気」と言えば、組織内の空気(内部規範)と、社会の空気(外
部規範)が、大きく異なることがあります。(注)規範は、何を大
切に思うかという価値観の束です。
今八百長の証拠発覚で、相撲協会が存亡の危機を迎えています。証
拠が携帯電話(個のネットワーク)の記録というのが、現代的。企
業にも必要な「危機対応」の観点で見ると別の面が見えます。
問題になるのは、理事長の「過去、八百長は、一切ないと確信して
いる」という発言です。協会は後に引けなくなった。次々に現れる
不都合な事実を、言を左右して隠蔽せざるを得ない立場になった。
まずい危機対応です。残念ですが、今の危機対応では、自滅に向か
います。(注)理事長本人は、ガチンコ相撲だったとされています
。
ウィキリークスにも通じますが、21世紀は、内部告発の時代です。
インターネットで、「メディアを個人がもった」からです。
組織内の慣行や行動様式(内部規範)を、社会の外部規範を元に判
断する人が増えています。かつては世界中の組織にあった「二重規
範」が許されなくなった。二重規範は、社内規範が、組織の外部の
社会規範より重んじられることです。
時代の、相撲を見る価値観は変わった。今の危機対応は、「まだ外
部には漏れていないが、こんな事実があった」という自己摘発から
です。その上で、「今後の防止のために、**の対策を取る」とい
うことでしょう。
そこからしか、信頼される組織の再生はない。最悪は、組織防衛の
立場から過去は隠蔽してきたことが、次々に露呈することです。
*
もう一点、感じたことがあります。相撲の八百長も行ったときが危
機のはずですが、組織の危機になるのは「発覚したとき」、言い換
えれば「外部社会」が認識したとき、ということです。
法に反する犯罪や、金融での会計粉飾も同じです。犯罪、粉飾、飛
ばしを行った時点では危機ではない。「社会に認知されたとき」、
組織の危機になる。
殺人を犯したときも、まだ「殺人者」ではない。戦争での殺人は、
殺人者ではない。死刑執行人も同じです。捕らえられ、証拠を突き
つけられ、「社会規範(法)の中で殺人者」になって行く。
小説は個人のロマン(例えば恋愛や殺人)ですが、個人のロマンに
留まるうちは、小説にならない。
社会規範(例えば、不倫は悪という市民社会の価値観)に照らした
後の、個人の行動の真実を描くとき、小説になるのと同じでしょう
。(注)価値観=ものの見方、つまり評価の仕方。小説は、個人の
価値観と社会の価値観の相克を描きます。
ロミオとジュリエットの恋愛は、両家が不倶戴天と反目していたか
ら物語りになった。両人のロマンが、めでたく成就しましたでは、
世間の関心を惹かないウエディングでしょう。ロマンは、こうあり
たいと思う願いです。企業では組織員が描く共通ビジョンです。
人間は、誰もが自分を通してしか、外部社会を認識できません。個
人内に留まるときはロマンでしょう。その価値観が、社会と衝突す
るとき、小説になる。
企業のビジョンも、外部との戦いで成就します。サム・ウォルトン
は、業界とは「逆流に進め」と言っていました。
エジプトのように下克上の革命が起こり、王が、いずれ犯罪者とし
て処刑か、6兆円とも言われる蓄財の没収をされるのも同じです。
イスラム革命に至るまでは、ルイ王朝の奢侈と国民の貧困から起こ
ったフランス革命のように、妥協的な曲折がありますが、最終帰結
は、イラン(1979年)風の、王を追放したイスラム革命でしょう。
民主主義(=選挙制度)を、「この語、下克上(下が上に勝つこと
)と解すべし」と名言したのは明治の碩学、大槻文彦博士でした(
『大言海』)。
*
今回のテーマは<緊急号:エジプトのイスラム革命>で中断した、
<サプライ・チェーンにおける需要予測(売上予測)の方法>です
。
●最初に、科学的な結論を言いますが、個店では、品目単位での売
れ数予測は、可能ではない。
品目の売上を決める要因が多すぎ、人知を超えます。神の知はない
ので、不可能です。
店舗が700坪の面積で、仮に2万品目を陳列するなら、2万品目の、
品目別の翌週や翌日の売上数の予測をしなければならない。これを
品目単位で正確に予測するのは、不可能です。
ただし「蓋然的な(言い換えれば幅をもった)週間予測」はでき、
その幅に収まる「確率」を高くする方法はあります。
例えば、a品目の過去の売れ数が、以下の表だったとします。
POSを使っていれば、どの店舗でも分かるはずです。
【a品目の日販数】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1週目 2週目 3週目 4週目 4週平均日販数
3個 6個 4個 7個 5.0個
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
5個という日販数が「平均」とは、誰でも分かります。算数のレベ
ルです。単純平均の5個を、まだ来ない5週目の売れ数予測としても
、大きくはずれることはない。
(注)どの程度外れる確率があるかを統計的に計算するのが、後述
する「標準偏差」です。
売れ数予測は「平均」という概念でしか、行えない。その平均の取
り方に、移動平均、移動加重平均、指数平滑平均がある。予測は、
いろんな平均のとり方をした、過去の実績でしかない。
売れ数を決める原因となるデータがはっきりしているときは、売上
に先行するコーザル・データ(売上の原因となるデータ)が使えま
す。
例えば、医療用医薬を販売する調剤薬局(4万店:年商3兆円:個店
平均年商8000万円)では、医師が診断を行って発行する「処方箋」
が、患者の医薬購入に、ほぼ1日は先行しています。
週二回、定期的に処方箋を発行する医師が多いので、売上に3日は
先行すると言えます。処方箋は、傷病別に、必要な医薬の銘柄と数
量を書いたものです。
しかし店舗で売る一般商品(130万店:100兆円)では、コーザル・
データがない。
特売企画を打つと売上数が30%は増える、需要に季節変動があると
いった程度のものでしかない。いずれも、週間や明日の売れ数を決
める要因としては弱い。じゃ、どうするのか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<524号:サプライ・チェーンの、売上予測法(2)>
2011年2月8日号
【目次】
1.「標準偏差」の性質から
2.売れ数予測で、加重平均をとる方法
3.加重移動平均を自動化する「指数平滑法」
4.売れ数の予測精度を上げる仕組み
5.発注数が最適なら店舗の商品作業コストは低下する
6.商品構成計画についての仮説
【後記:インフレとデフレ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1.「標準偏差」の性質から
【売れ数の実績(平均日販)】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1週目 2週目 3週目 4週目 4週平均日販数
3個 6個 4個 7個 5.0個
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
標準偏差は、5個という平均値と、各週実績の差異(偏差)を、計
算したものです。
4週の平均日販を並べたのにも、理由があります。わが国の過半の
店舗では、過去4週単位で日販をとることが、実績の観察から最適
と判断しているからです。4週の「週間移動平均」でも同じです。
上表では、4個(1週目~4週目)の、週間移動平均を挙げています
。
エクセルを使い、4つの週間日販実績(3、6、4、7個)の標準偏差
をとってみます。まだ、標準偏差の意味は分からなくてOKです。
本稿を読んだ後でエクセルを開き、A列(カラム)に3、6、4、7と
入れ、A5の欄には「=STDEV(A1,A4)」と入れて下さい。
1.825742という「標準偏差」が計算されます。これを1.8と見ます
。少数二位以下は、意味がないからです。標準偏差も自分で計算し
てみないと意味が分かりません。(注)標準偏差の意味が腹で分か
ると、急に、CDS等のデリバティブにも視界が開く気分を味わえま
す。予測は、この方法しかないからです。
4つのデータから導いた標準偏差の1.8は、ガウスが発見した驚くべ
き性質をもっています。(注)標準偏差は、平均値からの、各実績
データからの「標準的な差異」と解釈しておけばいいでしょう。
▼標準偏差の性質
4週の日販の単純平均(=資料の合計÷資料数)は5個でした。標準
偏差、つまり平均値からの標準的な差異は1.8でした。以上のこと
は、以下を示すと判断できます。ここが、実に驚くべきことです。
単純平均値5個±標準偏差1.8個=3.2個~6.8個
3.2個から6.8個は「5個を中心に1.8個の幅をもった平均値」です。
●1シグマ:
「a商品の近い将来の売れ数は、3.2個~6.8個の間に分布する確率
が68.26%であると言える」・・・これが、標準偏差の特記すべき
性質です。(注)正規分布の法則という。
これを1シグマと言います。シグマは、ギリシア文字のS(標準や合
計)から派生し、標準偏差または数学記号の合計を言う記号です。
(注)68%としてもいい。
更に言えば、標準偏差1.8の、2倍の幅をとれば、
単純平均値5個±2×標準偏差1.8個=1.4個~8.6個になります。
●2シグマ:
「2シグマの幅をとれば、a商品の近い将来の売れ数は、1.4個~8.6
個の間に分布する確率が95.44%であると言える」ことを意味しま
す。
(注)95%としてもいい。これは、日販8.6個を上回る週は、2.5%
、つまり1年(52週)に約1週の出現確率であることを意味します。
個店での在庫管理での、以下で示す安全在庫数の計算では、一般に
2シグマ(標準偏差の2倍)をとることが推奨されます。
「3シグマの幅をとって、単純平均値5個±3×標準偏差1.8個=マイ
ナス0.4個~10.4個の幅」とすれば、近い将来の売れ数の99.73%が
、その幅に収まるだろうと「確率的に」言えます。
(注)3シグマをとれば日販で10.4個以上に売れる週が出現する欠
品確率は(100-99.73)÷2=0.175%に減りますが、その分、安全
在庫分が増えて、過剰在庫になる確率も高まります。
高度物流や部品生産で使われる「シックス・シグマ」は、100万分
の3.4個の、製造の不良品や、物流の誤品の出現率です。
商品や部品の、在庫管理における最適補充数(発注数)の計算では
、以上の、標準偏差の性質を使います。金融工学のCDS(債務保証
保険)でも、この、デフォルト率の標準偏差を使います。
個々の品目の、売上数予測は不可能です。
このため、
・売れ数が平均値から外れたときも、
・店頭在庫が欠品になる確率が少なくなるよう、
・「安全在庫」を積み増しすることで、
・売れ数予測の不可能性を補うのです。
売れ数予測がぴったりなら、安全在庫は要りません。
上表の実績を示したa商品の、「週間サイクル」での最適発注数は
、以下になります。発注から店頭陳列までのリードタイムを、若干
の余裕をもって2日としています。
▼週間 定期発注法の、標準偏差を使う安全在庫数
a商品の最適発注数=(発注サイクル7日+リードタイム2日)×4週
日販平均5個+2×4週日販数の標準偏差1.8個×√(7日+2日)-発
注時点の有効在庫数(仮に10個)
a商品の最適発注数=9×5+2×1.8×√9-10=45+10.8-10=45.8
個≒46個・・・a商品は、月曜日に46個発注するのが最適数という
ことです。(注)上記での欠品確率は、2.5%としています。
あらかじめエクセルに数式を入れ、各品目の売れ数実績と在庫数を
、POSデータからもってきて入れれば、最適発注数は、自動計算で
きます。
スループット(入力から結果を出すまで時間)が速く、高性能にな
っているので、計算は一瞬です。2万品目分の最適発注量の計算を
エクセルで行うのは、実務上は無理ですが、品目数が1000と少なけ
れば、エクセルでもOKでしょう。一般には、以上の論理(ロジック
)をコンピュータでプログラム化します。
(注)20年前でしたか、マイケル・ポーターの『競争の戦略』のエ
ッセンスを、プログラム化(定量化)しようと試みたことがありま
すが途中でやめました。今も、試みる価値はあるでしょう。
実にパソコンは、関数を使う「統計学の知識」があれば縦横に利用
できる偉大な機械です。ソロバンと計算尺の時代とは、まるで異な
ります。米英の全企業利益の30%以上を生んでいる金融工学も、こ
こから生まれています。
以上では、売れ数予測は、日販数の単純平均とし、近い将来の売れ
数の変動幅を安全在庫でカバーしています。
■2.売れ数予測で、加重平均をとる方法
予測が4週単純平均では、芸がないと思われた方も多いでしょう。
再度、実績を見ると以下です。売れ数に増加傾向が見られます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1週目 2週目 3週目 4週目 4週平均日販数
3個 6個 4個 7個 5.0個
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここで登場するのが「加重平均」という平均の取り方です。その考
えは「時間が遠いデータほど、将来実績への影響は小さいはずだ。
近いデータほど、将来実績を左右するはずだ。」という常識に基づ
きます。
首肯できるでしょうね。
遠いデータの加重を減らし、近いデータの重みを増やします。
(注1)店舗の2万品目の売れ数予測では、条件の変化(コーザル・
データ)を入れることは、実務上、不可能です。例えば、ある品目
を、競合店が、価格をそれまでより25%下げた特売を行い、自店が
前と同じ価格なら、それに気がついた顧客の反応から翌週の売れ数
が過去の平均値より50%以上減るかも知れません。
(注2)店頭の、多品目の在庫管理では、減ったあとの発注数減少
で追随する方法しかありません。あるいは店頭の担当が、システム
で自動計算された発注数を、経験的な見積もりで減らすしかない。
または、競合店への価格追随で、売れ数を増やす方法です。陳列場
所や、個品POPを変えたときも売れ数の変化が生じます。
【方法】
(1)単純平均=(3+6+4+7)÷4=5個
(2)加重平均=3×5%+6×15%+4×30%+7×50%=0.15+0.9
+1.2+3.5=5.75・・・次週日販予測数を6個とする。
重みをつけない単純平均では、日販数が5個でした。
加重平均では、売上の増加傾向を反映し、5週目の日販予測数が6個
と増えています。直近のデータを重く見たからです。
(注)売上が下がる傾向のときも、上記のような加重平均をすると
、売れ数が減った傾向に追随するのは当然です。
加重平均を売れ数予測とすると、5週目の最適発注数は以下に増え
ます。
a商品の最適発注数=(発注サイクル7日+リードタイム2日)×4週
日販加重平均6個+2×4週日販数の標準偏差1.8個×√(7日+2日)
-発注時点の有効在庫数(仮に10個)=54+10.8-10=54.8個・・
・55個の発注(9個増加)
以上が、週間発注をする商品・部品発注のロジスティクス原理です
。
3日サイクルの発注なら、発注サイクルを3日にします。発注から店
頭陳列の完了までのリードタイムが1日なら、上式のそれを、1日に
します。リードタイムには、実際は変動があるので、時間単位では
無理でしょう。その分、在庫は余分になります。
【リードタイム】
店舗のリードタイムで注意すべきは、補充商品が店頭陳列されるま
での時間であることです。この点が倉庫の在庫管理と異なります。
管理が悪く、入荷のバックヤードに置かれたままの時間が長いと、
バックヤードへの保管分は、売ることができる有効在庫ではない。
【注意事項】
なお注意を言えば、上記の定期発注法を取ると、店頭の、各品目の
棚陳列は「売れ数予測と、売れ数のバラツキの程度に正比例した在
庫」になることです。例えば、トイレット・パーパーのように、商
品の嵩がひと抱えもあるくらい大きくても、販売単価が低い商品が
あります。売れ数は多く、購買頻度は高い。
低単価で、大型、売れ数が大きな商品は、店頭に並べると壮観では
ありますが、棚や壁面は、トイレット・ペーパーの山になる。
こうした商品は、入荷分(=週間発注分)をバックヤードに保管し
ておき、店頭には陳列の適量を並べ、即座に棚補充する方法を取り
ます。
また、部門での売れ数が少ない高単価商品以外では、在庫3個未満
を欠品とすることも必要です。
■3.加重移動平均を自動化する「指数平滑法」
懸案の指数平滑法は、「遠くのデータの重みを小さくし、近くのデ
ータの重みを重くする、自動加重平均」と解釈される方法です。
前述の加重平均では、1週目の日販に5%、1週目に15%、3週目に30
%、4週目に50%の重み付けをしました。
この重み付けを、「平滑指数(α)」を使い自動化するのが、指数
平滑法です。指数平滑法は、店舗在庫管理のソフトで、代表的に用
いられる売れ数予測法です。
(注)平均の一種であることに変わりはありません。ランダムな変
化をする株価の予測にも、指数平滑法が用いられます。結果として
の算式は簡単です。
【指数平滑法の算式】
次週予測値=α×前週実績値+(1-α)×前週予測値
この式の意味は、
・前回の予測値(次週の日販予測数)と実績値(前週の日販実績数
)の誤差を出し、
・その誤差に一定の係数(α:0.3~0.5)を掛け、
・前回値に加減したものを、次週予測値とするということです。
以上の公式的な説明では、多分分からないでしょうから、実際に計
算を行ってみます。
【日販実績】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1週目 2週目 3週目 4週目 4週平均日販数
3個 6個 4個 7個 5.0個
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
5週目の最初の予測では、この単純平均値を用います。
(注)後では、予測誤差を加えますから、何でもいい。
この5個が上の式の、前回予測値になる。
(1)5週目の日販予測数=5.0個
(2)6週目の日販予測数=α×5週目の日販実績(仮に5.5個だった
とする)+(1-α)×5週目の日販予測数5.0個=α×5.5+(1-α
)×5=5.5α+5-5α=5+0.5α
「5+0.5α」は、
・5週目の日販予測数だった5個に、
・5週目の実績値5.5個と、その予測値5.0の誤差、
・つまり0.5に一定値(平滑指数のα)を掛けて修正し、6週目の日
販予測としたという意味です。
この方式で、次々に、
・6週目の予測誤差を入れた7週目予測、
・7週目の予測誤差を入れた8週目予測、9週目予測・・・
として売れ数予測をして行きます。
定期発注法の中の売れ数予測を、以上のような、実績追随型の指数
平滑法で行って行くのです。
↓
a商品の最適発注数=(発注サイクル7日+リードタイム2日)×(
指数平滑での次週の日販予測数)+2×過去4週の日販数の標準偏差
×√(7日+2日)-発注時点の有効在庫数
指数平滑の元の式を変形すれば、
6週目の日販予測値
=5週目の日販予測値(5個)+α×{5週目の日販の実績値(5.5
個)-5週目の日販の予測値(5個)}となり、上の式の結果と同じ
です。
指数平滑の一般式では、今回予測値=前回予測値+α×(今回実績
値―前回予測値)です。
指数平滑法は、「直近のデータを重んじる加重移動平均を自動計算
する」ものです。平均の一種である移動平均に、加重値を付けたも
のです。
平滑指数のαは、0より大きく、1より小さい数しか取り得ません。
1とすれば、直近の日販実績に100%の加重をかけたことになり、0
とすれば、直近の日販実績への加重を0%としたという、極端なこ
とになります。
●一般に、平滑指数のα(つまり過去のデータの重み付け)は、0.
3~0.5の範囲をとらせることが多い。
【αはシミュレーションで決める】
実際には、過去の日販データを使い、エクセル等で、予測日販数を
シミュレーション計算し、予測と実績の誤差が小さくなるようにα
(一定値)を設定します。ほとんどの品目は0.3~0.5に収まるでし
ょう。
【指数平滑の結果は・・・】
売れ数実績が少なくなると、自動的に発注量が減り、(過剰在庫な
らマイナス発注の警告が出て)、逆に売れ数が増えると、指数平滑
で売れ数予測を計算した発注量は増えます。
【異常値に対応するアラーム】
ウォルマートのように、過去の傾向から見て一定量を超える大きな
売上数の増加品目と、売上の急減品目には、「アラーム情報(警告
)」を出すようにします。部門マネジャーは、無線LAN端末を使う
。
以上で在庫管理(言い換えれば最適発注数)における、計算の原理
(ロジック)はお分かりでしょう。
【CPFRの方法は多様だが・・・】
サプライ・チェーンで、店舗の、多くの品目の最適発注数を計算す
る方法は各種ありますが、その内容を見れば、「大同小異」です。
CPFR(協働商品計画、予測、補充)での予測数の計算精度が、他よ
り5%高かったことをセールス・ポイントにするソフトもあります
が、個店単位ではほとんど意味をなしません。(注)i2やマニュジ
スティクスの高いソフト。
【問題点はここ】
個店では、例えば陳列する2万品目(700坪の店舗)について、売れ
数の大きな、A級に属する上位20%の品目(4000品目)で、今週は5
個発注するか8個発注かが問題であり、その差は、60%もあるから
です。
▼日配・生鮮・総菜と、特売対応((注)当方での開発事項です)
【日配商品と生鮮部門】
毎日発注する日配商品と生鮮三品(青果・鮮魚・肉)でも、発注サ
イクルとリードタイムを変更することで、この指数平滑法が使えま
す。
ただし、安全在庫分が大きな破棄処分になって、部門の営業利益を
圧迫するときは、上記の、安全在庫量を決める安全係数の2を、1や
0.5と小さくします。
結果は、入荷から時間が経った夕刻や閉店前の売り場では、欠品率
が増えます。欠品の増加による粗利益の機会損失と、廃棄によって
失われる営業利益の比較から、得なほうを取ります。
つまり、部門の営業利益を最適化する方法をとります。コンビニ(
特にセブン・イレブン)で、お弁当の入荷直前に行くと、欠品が生
じている状態を見ることがあります。これが、安全在庫のなさです
。
【特売への対応方法】
全店や部門特売の開始で、売れ数が、過去4週より30%あるいはそ
れ以上も増えるときは、どうするか?
週間サイクル発注を、特売日の直前に、3日サイクル発注に短縮す
れば、増える売れ数に対応した発注ができます。
発注ロジックの変更は要りません。そして特売終了前に、元の発注
サイクルに戻します。以上のことは、『販売革新(08年五月号)』
への寄稿で、検討済みです。
【安全在庫のグループ化の方法】
賞味期限が短い日配商品、総菜、弁当での、大きな売れ数変動に対
応する方法は、『代替需要可能品目』として、時間帯需要での類似
商品をグループ化し、その合計売れ数の標準偏差をとり、安全在庫
を設定する方法を示しています。(『販売革新(08年三月号)』)
例えば、売れ数の時間帯分析からトンカツサンド、チキンカツサン
ド、コロッケサンドは、需要動機からの類似品目とできるでしょう
。
実際には、時間帯別の売れ数グラフのパターンで判定します。この
ため、POSには商品が売れた時間を記録するタイム・スタンプ機能
をもたせます。
コンビニでは、POSに性別と年齢区分を入れ、顧客と関係づけた同
時購買のショッピング・バスケット分析を、品揃えと発注管理に使
っています。
どの曜日の、どの時間帯に、どんな顧客が、どんな商品を一緒に買
うかを知って、商品管理と発注管理に活かすためです。立地と時間
帯で、来店顧客と買う商品が異なります。
あらかじめ、各品目の売れ数の時間帯によるパターン分析で、代替
購買が可能な類似品目のグループを、発見しておきます。おにぎり
では、どれとどれが、代替購買が可能かということです。
(注)ウォルマートでは、1990年代初期に時間帯での品目の売れ数
変化を、当時は10億円と高価だったデータマイニング・ソフトで分
析し、10万品目の売れ数のパターンも、2500種くらいに収束するこ
とを発見しています。同じ品種内の品目でも、売れ数のパターンが
異なり、異なる品種類似するものがあった。
一例を挙げれば、乳児用品とミルクチョコレートは、パターンが類
似していた。理由は、ミルクチョコレートを食べると母乳がよく出
るから、一緒に買う人も多いと推計されたのです。
これらは、品種(及び部門)が異なっても、カテゴリーでは類似商
品として、部門を超えて売り場では「クロス陳列」されています。
新学期に、コップとサングラスが一緒に並んでいた理由は、当方、
分かりませんでした。大学生が、新学期に、コップとサングラスを
同時に買うのでしょうか? この理由が分かる人、いますか?
電池とミネラル水や、歯につまるポテトチップやビーフジャーキー
と歯間ブラシの組み合わせは、同時購買の理由が、よく分かります
が・・・この点を研究し、関連商品のクロス陳列を多用しているの
が、後述する大型食品スーパー『ウェグマンズ』でした。店舗の観
察で分かったのです。
店頭陳列までのリードタイムを短くした店内加工では、コストが高
くなります。遠隔のプロセスセンターで、集中加工を行うには、こ
れ以外に方法はない。
■4.売れ数の予測精度を上げる仕組み
米国の大手チェーンは、個店単位では大きくバラつく次週売上予測
について、「大数の法則」を利用し、品目別発注数の精度を上げて
いることが多く見られます。
100店から500店をカバーするDC(物流センター)で、店舗在庫(品
目のリアルタイム在庫数)と品目別売れ数を集計し、DC単位でベン
ダーやメーカーに発注する仕組みです。
個店では前週に10個売れていた商品が、翌週は3個や1個に減るとい
うバラツキも大きい。このため、売れ数の増加をカバーする安全在
庫は、売上に対し大きくなります。
ところがDC単位で100店分の売上を集計すれば、前週に1000個(100
店分)売れたものが、シーズン中の翌週に300個や100個に減るとい
うことは皆無です
このため店舗とDCを含む安全在庫は、理論計算では、集計店舗数の
平方根分の1に減少します。
具体的には、DCと個店を個々に計算した安全在庫が1000個必要だと
すると、100店を合計計算すれば、必要な安全在庫は、1/√100=10
%に減少します。必要な安全在庫が、1000個から100個に減るとい
う意味です。
同時に、次週売上予測の精度も、店舗数の平方根に正比例して上昇
します。
1店分の売上集計での予測(指数平滑)の精度が、仮に±30%だっ
たと仮定すると、100店分の同時集計では、10倍の精度、つまり、
±3%の予測誤差に収まる。
(注)これは、「サンプリングの数学的な原理(母集団の範囲の推
計)」から来ます。以上の、大数の法則の効果は、ほぼ10店~30店
分の、同時集計から大きく現れます。
6000店をもつウォルグリーンやCVS(ドラッグストア)は、
・500店をカバーするメジャーDC(RDC)を作って、
・RDCから発注し、
・RDCに常備在庫をもって、
・個店の売上予測を計算し、配送しています。
(注)RDC=リージョナル・ディストリビューション・センター(
地域ロジスティクス・センター)
このRDC法は、ウォルマートも、もちろんです。
米国の大手チェーンストア全体がこの方法と見ていい。
(注)付記すれば、わが国の慣行である、個店での売れ数実績を見
ただけの商品改廃(シーズン内)は、毎週の売れ数のバラツキと、
陳列の欠品状態だった品目も多いため、本来、無理なはずです。
個々の店舗が言う地域性ではないことが、実に多い。
むしろ、個店で異なる、商品の競合要因のほうが圧倒的に大きい。
■5.発注数が最適なら店舗の商品作業コストは低下する
発注精度が上がることは、店舗のコストを下げます。店舗では発注
した商品を入荷処理し、店頭陳列して、棚の商品改廃の管理をする
商品作業が、総人時(人件費コスト)の50%を占めるからです。
この点でわが国チェーンストアに、米国に比べた20年の遅れ(コス
トの高さ)があります。それが、店舗のコストの高さと、営業利益
率の低さになっています。
IY堂やイオングループが5兆円という大きな年商でも、小売事業の
営業利益率が0%~2%と低いのは、店舗の発注精度の悪さが根本原
因です。
店頭の商品作業を行う小売事業の営業利益は、米国では、粗利益率
の15%が基準(スタンダード)でしょう。25%の粗利益率なら、25
×15%=3.75%の売上対比営業利益率です。多くが、この利益基準
に達しています。わが国は、これがとても低い。
(注)利益率の高いコンビニ事業では、IY堂やイオン本体は、リテ
イルサポートの卸売業です。店舗小売は、フランチャイジーが行っ
ています。
発注の精度が低いことは、商品管理の作業を増やします。
売れ残りや欠品が出る。
それを防ぐための管理作業として、商品作業が増えるのです。
シーズン切れや、売れ数不振での陳列廃番の時、残った過剰在庫の
処理のコストも、大きく利益を減らします。これは、在庫に関係さ
せず、POS売れ数を発注し続けた結果のものです。
発注精度が低いままに、在庫数を合理化しようとすると、個店では
高頻度の少量発注を行わねばならない。
発注の回数に正比例して、入荷処理、バックヤードから店頭の棚へ
の補充陳列処理、および棚の商品の改廃処理に使う人時が増えるの
です。
現在のコスト構造、言い換えれば商品作業の仕組みの時間分析では
、こうしたムダが見えない。
例えば賞味期限、消費期限が長いグロサリーや、化粧品、家事・家
庭用品、日用品、OTCでも、週2回発注する会社の仕組みの中では、
・週2回の入荷処理、
・週2回のバックヤードから店頭の棚への補充陳列処理、
・および週2回の、棚の商品の改廃処理になっているからです。
こうした商品作業が、1週間1回発注の、2倍に増えているのです。
今どこも、経費削減と言ってはいますが、本来は「DCを含む発注の
仕組みをこう変えれば、商品作業は**%減る」という業務改革で
なければならない。
小売業の店頭業務は、個々の品目の、最適在庫数の管理をする業務
に他ならないでしょう。
■6.商品構成計画についての仮説
昨年末に出た『選択の科学』(シーナ・アイエンガー)を読んで、
改めて店舗の商品構成計画についての、定量的な枠を、考えました
。
アイエンガー女史は、盲目のNYコロンビア大学のビジネス・スクー
ル教授という。身体の障害は、時に、ヘレン・ケラーのように、特
殊な能力を発達させるのかとも思います。
そう言えば,スポーツの一流プレーヤーが、生涯最高のすばらしい
プレーを見せるときも、どこかに怪我や障害を抱えていることも多
い。タイガー・ウッズが最高のプレーをし、優勝した全米オープン
の時は、スイングの軸になる左膝を、歩けないくらいひどく痛めて
いた時でした。その後直後に手術しました。
小説の最高傑作(『明暗』)も、夏目漱石のように、未完のまま死
ぬくらいの病の時、書かれています。
店舗の売上の40%を決めると推計される「品揃えの豊かさ(前シリ
ーズ)」についてのものです。
これを実務にするには、定性的な、商品構成の最適と豊かさを、定
量的なものにしなければならない。(注)以下は試論です。
顧客の商品選択に最適な、商品構成の豊かさとは、何かということ
です。売り場面積700坪の、総合品種型大型店を事例にします。
▼検証結果:『7種以上からの選択では、過半の顧客は、選択に迷
って、売れ数が減った』、これが実験結果だった。
アイエンガーが、なぜこんな結果が出るのかということへの、仮説
的な理由として挙げるのは以下です。
「人は、たぶん店頭の商品では7種以上の、価格や特徴を同時記憶
ができない。同時記憶できる以上に選択肢が多いと、『もっとよく
考えよう』と決定を先伸ばしにする態度を示す人が増えるのではな
いか?」
常識的に言って、正しい気がします。今日会った親しい知人ではな
い人の顔も、最大7人くらいは同時に思い浮かべることはできても
、普通の人には、10人となると途端に名前を言うのが困難になる。
思い浮かべねば、比較はできません。
こうした原理を利用し、26種もあったフケ防止用のシャンプーで、
受注数の少ない品目を製造廃番して15種に絞り、そのカテゴリーの
売上を10%増やしたのがP&Gという。
(注)利益率の高い花王も、今、同じ方法を採っています。事例は
、数多くあります。最近、展示会で見た事例では、わが国卸のPalt
acが、同様に、類似カテゴリーの中の、品目数の店舗展示数を絞っ
て、店舗の部門売上を、有意に上げていました。
セブン・イレブンもその初期は、本部がお弁当を100品目も作って
いたと鈴木敏文氏は述懐しています。今は、1店舗では、カテゴリ
ー分類をした16~20品目でしょう。弁当部門の売上は、今がはるか
に多い。
特別に多くを記憶し、顔までも思い浮かべるできる人は、それらの
人々と関係の深いときでしょう。
【店舗のカテゴリーと品目数の計算】
700坪の店舗での、部門数(管理単位)を15とします。
1部門の平均値で47坪(30坪~70坪)です。
1坪は3.3平米で、畳二枚分の伝統的な面積単位です。
(1)1部門=大カテゴリーは最適が7種
(2)大カテゴリーには、中カテゴリーが最適7種
→中カテゴリー49種
(3)中カテゴリーには、小カテゴリーが最適7種
→小カテゴリー343種
(4)小カテゴリーには、最適が品目数3~5種
→Wal-Martが実証したファイン・ライン
以上の結果、700坪店の総合品種店では、以下の品目数が計算され
ます。カテゴリーは顧客サイドから見た商品の用途分類(TPOS:い
つ、どんな機会に、どんな場所で、使うか、食べるか)です。
同じ牛肉でもステーキ用、骨付き、細切れでは用途(TPOS)が異な
ります。店舗は、品種分類(品種は牛肉)の中で、カテゴリー分類
をして、陳列しなければならない。あらゆる品種(機能分類)に、
アイエンガーの7種仮説と、ウォルマートが発見したファイン・ラ
イン(カテゴリーの最小分類)を使うと、以下のようになります。
(注)ファイン・ラインは、同じ最小分類用途での3~5品目です。
ユニット価格もほぼ同じ(±5%以内)になる。
▼ファイン・ライン品目4種と3種のとき
1主力部門=大カテゴリー7種×中カテゴリー7種×小カテゴリー7種
×ファイン・ライン品目4種≒1370品目
(注)小カテゴリーの品目を、平均で3種に絞れば、1主力部門=7
×7×7×3≒1030品目
主力15部門×1部門平均1370品目
=20000品目
((注)ファイン・ライン3品目なら15000品目)
20000品目÷700坪
=1坪29品目(≒3尺ゴンドラ6段:1段で4~5品目=ファイン・
ライン)
15000品目÷700坪
=1坪21品目(≒3尺ゴンドラ6段:1段で3~4品目=ファイン・ラ
イン)
7種仮説と、ファイン・ライン内品目3~5種に基づく試算結果を見
て、びっくりしました。わが国700坪の、いろんな業種の総合品種
店舗における、陳列品目数に近いからです。
▼課題は、カテゴリー分類
商品構成の優劣で問題になるのは、店舗のカテゴリー分類です。例
えば、書店という専門店ではないコンビニや食品スーパーでの、雑
誌のカテゴリー分類は、どうすべきか? 主力部門では、大中小の
三層のカテゴリー区分をする。
スーパーでの雑誌は、売上の少ない「補助部門(中カテゴリー)」
です。品目数は、大書店に比べ、少量しか並べません。
アイエンガーが米国の大型食品スーパーで優秀な『ウエッグマンズ
(東海岸)』に行って調べると、補助部門の雑誌が、1.ホーム&園
芸、2.健康&ダイエット、3.スポーツ、4.コンピュータ&ホームエ
レクトロニクス、5.時事などと「小さいカテゴリーに分類され」、
うまく並んでいるということを発見します。
カテゴリー分類が多いため、雑誌の品目数が書店よりはるかに少な
くても、ウェグマンズは補助部門でも品揃えの豊富さの印象を与え
ていた。
しかしよく見れば、少数のマニア向けのオートバイの雑誌等はない
。読む人が多い日常的な雑誌です。(注)日本のコンビニに行くと
、ウェグマンズと似た雑誌売り場があります。劇画が多すぎるよう
に感じますが、それが、需要数比例の実情でしょう。
21世紀の今、店舗の大型化もあって生産品目数は増え続けています
。可能なあらゆる品目を並べるのを、トイザラスのような「カテゴ
リー・キラー(品目数を圧倒的に増やした部門の殺し屋)」とも言
いました。
しかし、カテゴリー・キラーの方法が、部門の営業利益から見て、
最適になるかというと、そうではない。品揃え品目数で最適規模を
超えると、言い換えれば陳列品目の過剰があると、店舗の設備経費
と商品作業費が増えるからです。
カテゴリー設定で技術が高い『ウエッグマンズ』は、長年の売上実
験(部門の営業利益の計算)で経験的に、需要(TPOS)でのカテゴ
リーの恐らくは7つに向かう分類が、顧客に選択の豊富さを感じさ
せるカテゴリーの最適種類ということに至っていたのでしょう。
http://www.wegmans.com/webapp/wcs/stores/servlet/HomepageView?storeId=10052&catalogId=10002&langId=-1&clear=true
以上は、部門の商品構成の枠組をする基礎部品になるでしょう。そ
ういえば、ウォルマートでは、陳列棚(ゴンドラ)のことを「モジ
ュラー(構成部品)」という聞き慣れない用語で呼んでいます。
モジュラー(例えばジャムの棚)には、五段から六段の棚があり、
その一段分に、3から5種のファイン・ラインが並んでいます。
ウォルマートを参照することが多い理由は、前人未踏の年商40兆円
であり、年商の大きさは買う顧客の多さであって、そこに、論理的
な方法があるからです。
インターネットの仮想店を見ても、大中小とファイン・ラインのカ
テゴリー分類は、参考になります。
ディスカウントストアが売るような日常財でも、インターネット通
販は二桁と、店舗の売上以上に増えています。スマートフォンを含
むインフラの整備と高度化で、インターネット通販は、売上が増え
るS字カーブにはいったのかも知れません。
http://www.walmart.com/
【後記】
資源・エネルギー・穀物のインフレが、商品の付加価値度が低い新
興国や後発国では、明確な消費者物価のインフレになっています。
インフレは、失業と並ぶ、経済における最大問題です。
新興国と後発国では、インフレに呼応した金利の上昇(=国債の下
落)もある。
他方、原材料に対する付加価値度の高い先進国では、工場や店舗の
操業度がまだ低い水準なので、消費者物価のインフレは、あまりな
い。
西欧と米国では、ユーロ安、ドル安と、新興国の通貨高で、輸入商
品が上がり、通貨要因でのインフレが起こりつつあります。
世界の通貨に対する実効レートで、2008年比25~30%の円高の日本
では、まだ、消費者物価上昇は見えません。
食品では、原材料高から2011年に、10%程度の企業間物価(卸値)
の値上がりがありそうです。しかし店舗は、最終売価が上がると急
に売れなくなるので、値上げはできない。
加工後の製品の生産指数は、わが国でまだ91.8です(10年11月)。
工場は、10%の過剰設備と過剰雇用です。
言い換えれば、あと10%実質GDP(商品販売の数量:50兆円分)が
増えても、消費者物価は、需要増加の要因では上がりません。企業
間物価(卸値)が上がるのは、原材料の高騰からのコストプッシュ
です。
【通貨増発】
世界の合計では、2010年までで500兆円、2011年で100~200兆円の
通貨増発が加わる感じです。ユーロでのPIIGS危機対策と、米国FRB
の国債買い(QE2がQE3になる)ためです。
この600~700兆円もの通貨増発を、各国中央銀行が、金利を上げて
絞ることは、ほとんどできない。このため、いずれの時期か、ほぼ
100%の確率で、金融・経済原理からのインフレによる金利上昇に
なる。
資源・エネルギー・穀物の一次産品は、生産量に限界があります。
このため、完成品の消費者物価に先駆けて、上がっています。
現在は、世界の金融機関が金融危機を克服したのではなく、政府・
中央銀行マネーの貸し付けで、蓋をした状態が続いていることを忘
れないでください。住宅証券とCDSを中心にした推計500兆円の不良
債券・証券、デリバティブは、飛ばされています。
米国の、利益率が高い主要企業には、$2兆(170兆円規模)のキャ
ッシュ・フロー(預金)が貯まっています。空前の規模です。
これと、ファンドによるゼロ金利マネーのキャリー・トレードが20
11年の株高(流動性相場によるリスク投資)をもたらしています。
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