根本的なところから転換する世界(前編:社会的な意識)
Written by admin on 2023年3月6日 – 12:00
2023年は、これから5年は続く、世界の転換点になる年でしょう。 (本稿は、有料版・無料版に共通とします) 昨年までの「集合的で社会的な認識」が、ベルリンの壁の崩壊 (1989年)のように、覆っていく年度でしょう。すこしだけ「社会学 的なこと」を言います。たぶん中国共産党の崩壊まで含まれます。 社会的な認識は、共通な価値観の、社会の階層のものです。 言葉を使うわれわれの認識は、以下の二層から、なっています。 1)個人の認識の階層・・・個人の感覚、心、認識、星雲状の言葉 2)社会の認識の階層・・・コミュニケーションされて作られる集合 的な意識 といっても、わかりにくいかもしれない。ミツバチを例にします。 ミツバチは、誰に命じられることもなく正6角形の見事な巣を作って、 蜜をためます。王のような女王蜂も生まれる。このミツバチの巣は、 誰が設計しているのか。 個々のミツバチに、大工の棟梁のような設計者はいない。個々のミツ バチを超える、上の階層の意識になる社会的な本能でしょう。これが、 ミツバチが自然にもっている「社会的な認識」です。昆虫は、個の認 識の上に、社会的な認識をもっています。これはAIでは作れない。 片時も変化を止めない人間の社会も、個人がビジョン(未来図)を作 って設計したものではない。 1)個人が、社会という場で行う、経済活動のコミュニケーション (共同体を作って維持・発展、または破壊する活動)と、 2)財の生産と取引の変化によって作られて行くものです。 社会的な認識の領域では、言葉によるコミュニケーションが本質的で す。言葉は、社会で意味をもちます。動物しか話す相手がいない無人 島では、社会がないので、言葉は意味をもたない。 ◎2023年は、社会の認識の階層=コミュニケーションされる集合的意 識の社会が転覆され、「新しい社会」に変化していく初年度でしょう。 【社会学という学問は・・・】 社会学(=社会的な集合意識の研究)の、創始者と言えるウェーバー は、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という名著を 書いています。 (1989年のソ連崩壊、1997年の資産バブル崩壊後の、日本の金融危機 のあとの、小室直樹氏の講演でわかりやすく、これに触れています: 日本の資本主義は、官僚社会主義だったというものです) https://www.youtube.com/watch?v=DfOc4EsP87E 20世紀の初頭に書かれ、当然に言葉と概念は古くさいのですが、現代 風に読むと、現代に通じます。「古典」を現代風に読むと、深い知識 になります。音楽でも、バッハがいい。グレン・グールドが行ったこ とでした。 免罪符の発行を典型的なことにした、カトリックの堕落に対し、マル チン・ルターは、1)隣人への愛、2)労働と禁欲を価値とする倫理的 な宗教を唱えました。 キリスト教には、人間は「原罪」を負っているという思想が根底にあ ります。その罪を軽くするのが、教会が販売した免罪符でした、 ◎免罪符は、統一教会が、祖先と資産の罪を言って、多額の献金を募 ることと同じです。統一教会のマネー集めは、カトリックの堕落から の延長線にあります。 【愛】 愛とは、献身の自己犠牲でしょう。妻を愛するとは、妻に献身する自 己犠牲です。他人に献身を求めるのは、権力的なサディズムです。 増えているDVでは、筋力の弱い妻と子供が対象になります。強い人を 虐めるのは、賞賛に値します。自分より弱い人に暴力を振るうのは、 卑劣です。法ではなく、倫理が復活しなければならない。倫理の基礎 は愛でしょう。親の愛が欠落して育ったと意識している子供は、自分 を責める鬱か、他人を責めるサディストになりやすいでしょう。幼児 は、どこまでも親を信用します。親が裏切るのです。 【労働】 労働は、社会が価値とする財の生産です、禁欲とは労働の所得以下に しか消費しないことで生まれて、利益と金利で増えていく貯蓄です。 その貯蓄は、社会的に(銀行の仲介で)集まって、マネー資本になっ ていきます。 免罪符は、献金の証拠物(手形の一種)ですが、この手形の発行は、 教会による通貨の発行(=免罪符の発行)と同じ、富の搾取だったの です。教会による免罪符の交付が、金額の書かれない通貨発行だった のです。 【免罪符と資本の違い】 免罪符は、社会にとっても合理的な資本主義の資本にはならなかった。 しかし奢侈をせず、節約と貯蓄で貯まっていく資本は、社会を発展さ せたのです。例えば、ケチともいわれるトヨタが大きくなっていくこ とは、日本の社会にとってプラスでしょう。 ウェーバーは、労働と禁欲は、奢侈(バブル)に向かう消費ではなく、 貯蓄になり、貯蓄がマネー資本を拡大させいくことを合理的とする資 本主義の精神を生んだとするものです。 精神とは、人間の心です。心が、言葉、行動、労働、消費、貯蓄を生 む動因になります。 【日本の特殊性】 日本の資本主義は、明治政府が資本を出す殖産興業、郵便(現在の郵 政)と電話(現在のNTT)、国中に大きな設備投資を続けた国鉄(現 JR)から作られました。 明治の元勲が作ったのは、アヘン戦争の中国のように英米の植民地に ならないための「富国強兵」としての、国家資本主義でした。三菱、 三井、住友は商業資本ですが、これも政商だったのです。戦後は、米 国からの支配です。(注)現代中国が、国家資本主義です。 【敗戦後】 占領軍は日本の統治のため、大蔵省は戦前の組織を残したので、77年 間、最強の官庁になっています(自民党と財務省の合作による日本の 1955年~現在の体制)。自民党は弱体化しましたが、現在も、財務省 は最強の官庁です。 東大に多かったのですが、就職して「国の仕事をする」というのは、 上級公務員試験に通って、財務省(旧大蔵省)に採用されることでし た。彼らの頭では、国=政府、だったのです。経理部=会社とすする ような間違いですが、間違いとは思っていなかった。(注)国は、政 府+企業+世帯の集合体です。 日本では、この官僚統治の転覆がないと、「成長する日本」は戻って きません。(注)忖度(そんたく)を強制されるので、今は、希望者 が減っています。財務省の地位低下として、日本の構造改革になって いきます。 【財政破産とは、何が破産するのか?】 ◎5年内にも想定できる財政破産は、財務省の破産です。これが、 GDPにおける、財政の役割が弱体化していく構造改革です(=改革は 旧体制の転覆)。 そこから「民間主導=国民主導の経済」の、弱いが長い成長(1人当 たりGDPの増加)が、始まるでしょう。(注)長期的には、産業過程 に導入されるAIは、石油革命以来の、成長を促します。 日本政府の財政破産は、日銀と財務省の転覆です。日銀の最後の将軍 が、植田和男氏でしょう。自民党の最後が岸田文雄首相でしょう。米 国民主党のバイデン大統領がいなくなるときと、ほぼ同時でしょう。 【社会的な認識】 プロテスタントの倫理(道徳)と資本主義の精神も、個人のものでな い。宗派としての、プロテスタント集団の、社会的なものです(集合 知ともいう)。(注)言葉と数字で作る学問も、社会的なものです。 【江戸時代の儒教の倫理と、明治時代からの新聞の報道】 論文や本を書いた個人の、社会に向かってのメッセージです。明治時 代に新聞が登場したあとの近代では、論語の儒教に代わって、メディ アが、大衆の社会的な意識を作ってきました。近代の学問に頼るエ リートと、新聞・TVに頼る大衆を生んだのです。 【メディアの分解】 この新聞・TVは、2010年ころから、個人が情報を発信するSNS (youtube、twitter、face-book、インターネット、Line、TikTokな ど多様)に分解しました。メディアでは「社会的な意識の分断」とさ れますが、分断ではない。個人の投稿情報が加わって、新聞・TVの視 聴時間が、後戻りすることなく、減っているのです。 こうしたものが、個人を超える集合的・社会的な認識です。 以上から、社会の認識の階層、コミュニケーションされて作られる、 集合的な意識の階層も、わかるでしょう。 【米欧の没落】 米欧では、2000年代のデリバティブという手段が増進させたレバレッ ジの利益で強欲化した金融資本主義が、衰退していくでしょう。 カトリックの教会が、免罪符で貴族のお金を集めて、倫理的にも堕落 していったことと同じです。金融に、愛の倫理はありません。 米国のウォール街金融では、古典的なプロテスタンティズムの隣人へ の愛、労働、禁欲、貯蓄を価値とする倫理的な精神が、完全に失われ てしまったからです。 プロテスタンティズムの精神が、中世風の教会の強欲(=株価高騰に よる資本家の強欲=オプション株)に変わった。これが「2024年から の資産バブル崩壊」で弱体化していきます。 これくらい根本的なことが、2023年からの米国の軍事と金融の、世界 への覇権の後退として起こっていることです。 ◎米国金融の崩壊に至る最後の現象が、 ・コロナ後のゼロ金利と5兆ドル(650兆円)の増刷が生んだ、 ・国債と債券のバブルと、資産のバブル(不動産、株式)です。 崩壊の前には、崩壊するバブルがあります。 バブルは、市場でバブルと認識されたとたんに、崩壊します。 日本では、米国では消えた隣人への愛、労働、禁欲、貯蓄を価値とす る倫理的な精神は社会(日本語では世間)に、残っています。 米国や西欧とは違い、ムラの「共同体」を、ぼんやりと残存させてい るからです。共同体は,相互扶助の自然的な組織です。会社にも、こ の共同体の意識があります。個人より、チームの勝利を優先的な地位 に置く精神がこれです。 その点で、この社会には希望があると考えたい。2000年代の社会で、 AI並みの藤井聡太や、ベーブルース以来の大谷翔平が生まれたのは、 偶然ではない。個人には偶然があっても、社会には偶然はないからで す。 世界の転換は、最初は大衆の社会的意識(空気)を作ってきたメディ アの、2022年からの、大型タンカーのようにゆっくりした方向の転換 として、徐々に、しかし確実に現れています。 * 以降に書く予定の項目を示します。いずれも、社会の集合的認識(空 気)の階層のものです。 ■1.新型コロナは、人工のウィルスだった(ほぼ確定した) ■2.ノアの方舟の中で内部分裂した自民党:ビジョンのない政党。 ■3.イタリアと日本の対比 ■4.G7に共通な長期政策は、3つ ■5.バイデン一家のウクライナ、中国疑惑、機密文書の発覚は、FBI のバイデンおろしである ■6.世界的な、金融業と資産バブルの崩壊 ■7.内部闘争が絶えない中国共産党も、崩壊に向かっている ■8,バブル崩壊の後の世界、AIを論じながら・・・ 圧縮して、20ページにまとめるつもりです。 水曜日の有料版正刊として、送ります。 【前編の後記】 個人の意識(=認識)と、個人を超える、空気のような社会の意識に ついて書きました。社会の意識は、主流派のメディアが、政治面、経 済面、社会面で伝えるものです。社会の意識は、意図して作られる架 空のものです。思想に似ています。「空気」と考えいいでしょう。個 人を取り巻く街や商店の空気、市の空気、県の空気、国の空気です。 「社会の空気」は。事前にはどこにあるか分からない破断界(=変曲 点=臨界点)に来ると、突然に、流れが逆方向に変わります。 2023年には、この社会の意識が、大きな方向転換に向かっているよう です。微妙な表現の変化ですが、記事や論の、最後尾にある結論部の 「論調の変化」にも見てとれます。 ツイッターに続いて、クオリティ・ペーパーとされたワシントン・ポ スト紙も、方向を転換しつつあります。FRBと仲がいいWSJが、方向転 換に、一歩先んじました。日経と朝日の2紙しか見ていませんが、日 本の新聞は方向の転換が6か月は遅れている感じがします。 今、国会中継をやっています。政治家と官僚の言葉は、世界のリアル な動きには、周回遅れに見えます。 日本の政治家(与党と野党)と官僚は、金魚鉢の中を泳ぎ、撒かれる 餌に群がっているかのようです。言葉が、そのように聞こえるのです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~ 【無料版:読者アンケート&感想の、項目のメド】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は、進みましたか? 3.疑問な点は、ありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲で、横顔情報があると、テーマ設定と記述の際的 確に書くための、参考になります。 気軽に送信してください。感想は、励みと参考になり、うれしく読ん でいます。質問やご要望には、可能なかぎり回答をするか、あとの記 事・論考に反映させるよう努めます。返事や回答ができないときも全 部を読み、頭にいれています。読者の率直な感想・意見・疑問・質問 は、考えを広げるのに役立ちます。 著者のメールアドレス:yoshida@cool-knowledge.com 購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール(↓)。 配送の管理は、著者ではなく配信サイトの「まぐまぐ」が行っていま す。著者は、どこに配信されたか、分からない仕組みです。 reader_yuryo@mag2.com ■1. 新規登録は、最初、無料お試しです(1か月分)。その後の解除 は自由です。2か月目から、消費税込みで660円が課金されます。 (1)『会員登録』で支払い方法とパスワードを決めたあと、 (2)登録方法を案内する『受付メール』が送ってきて、 (3)その後、『購読マガジンの登録』という、安全のための2段階の 手順です。 【↓まぐまぐへの会員登録と解除の、方法の説明】 http://www.mag2.com/howtouse.html#RSegist 登録または解除は、ご自分でお願いします。 著者は、登録、解除を行うことができません。 (有料版↓) http://www.mag2.com/m/P0000018.html (無料版↓) 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