新年増刊:金利の上昇によるデリバティブでの損失
This is my site Written by admin on 2023年1月7日 – 20:00
新年があけ、2023年の金融・経済の予想が盛んにおこなわれています。
インフレは収まっていくのか、金利はどうか、株価はどうなるか、
GDPはどうなるか、賃金はどの程度上がるのかといったものでしょう。

今年最初の、日曜増刊です(有料・無料共通)。有料版は水曜日に送
ります。

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<Vol.1298号:日曜増刊:
       世界金利の上昇で生じるデリバティブの損失>
      2023年1月8日:増刊:有料版・無料版共通

【目次】
■1.デリバティブの予想は欠落している
■2.世界の銀行に対するBIS規制:
      一般に知られていないBISの支配
■3.国債の格付けBBB以下はリスク資産、銀行間の担保にならない
■4.BISのデリバティブへの警告(22年11月30日)
【後記:挨拶】

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■1.デリバティブの予想は欠落している

その予想の中で、仕組みが難しいため、ほとんど言及されないものが
「金利上昇による、デリバティブの巨大損」です。マネーのデリバテ
ィブの上に、われわれの金融・経済があるのですが、その説明と解説
は行われていません。

突飛な例えですが、デリバティブは、船を浮かべる水、または飛行機
を飛ばす空気に相当します。水が減ると船の高さ(金融・経済)は、
全体が沈みます。空気が薄くなると揚力を失う飛行機(株価)はエア
ポケットに入って墜落するかもしれない。

【契約残高】
デリバティブの契約残高は、632兆ドル(8京2160兆円)もあります
(2022年6月末:BIS)。地上のマネー(=銀行マネー)のすべてにほ
ぼ2重にデリバティブがかかっているとしていいものです。
(銀行間デリバティブのBIS統計)
https://stats.bis.org/statx/srs/table/d5.1?f=pdf

中央銀行の上に中央銀行と言えるBIS(スイスのバーゼルにある国際
決済銀行:トウモロコシを半分に切って、立てたように見えるビル)
が集計したものです。BISに加盟していないと、SWIFT回線での、通貨
交換にドルやユーロが関係する国際送金と決済は行うことできません。
国際的な決済は、通貨交換を含みます。例えば、「円をドルに変換→
ドルで送金→人民元に変換」です。

【ロシアの事例】
国際送金、借り入れ、決済ができないと、西側の銀行は決済の機能を、
停止します。ウクライナ戦争勃発の直後、米国は、BISに要請してロ
シアのルーブルを、SWIFT回線から締め出しました。

ロシアの銀行(最大手はズベルバンク:資金量380億ルーブル:71兆
円)は、SWIFTを使えなくなり、瞬間に、西側との貿易ができなくな
ったのです。(注)ロシア国債のデフォルトも言われましたがロシア
は返済額を、ドルに対して高くなったルーブルで支払ったので、デフ
ォルトしていません。西側のメディアは、ロシアの困窮を言いたかっ
たのです。

ロシアは、現在、中国が主宰する国債同菌も送金網のCIPS回線で、
BRICSと新興国と貿易しています。原油の輸出(300万バーレル/日)
は、中国とインドに対して行っています。ロシアの輸出は減っていず、
貿易は大幅な黒字です。なおCIPSには、中国貿易で人民元の売買取引
が必要な日本のメガバンクも加盟しています。

【CIPSの加盟国はBISより多い】
CIPSの加盟国数は、BISより多い89か国です。中国、インド、ロシア、
ブラジル、南アフリカ、イラン、中東の産油国まで含んで世界のGDP
の約50%がCPIS圏にあります。

エネルギー、金属資源、食糧の世界輸出国は、CIPS加盟国に集中して
います。日本のようにBISとCIPSの両方に加盟している国が多い。

■2.世界の銀行に対するBIS規制:
      一般に知られていないBISの支配

BISは、国際的な銀行間取引の安定のため、加盟銀行に、自己資本規
制を行っています。「自己資本(TIER 1)÷リスク資産(株、債券、
貸付金など)=8%以上を取引条件とする」ものです(バーゼル3)。

BISには、主要63か国が加盟しています。加盟していない銀行、ある
いは加盟が認められていない銀行は、BISのSWIFT回線が使えません。
インターネット回線がないPCと同じです。

【BISでの、国債のリスク債券化の案】
国債を時価評価して、株価、債券、貸付金に準じるリスク資産に加え
る案は、日銀(黒田総裁)の要請でペンディングされています
(2016年)。リスク資産と、価格変動が大きな金融資産です。

安倍首相に、この報告をしたのは黒田総裁です。「大変な事態だっ
た」という(2016年)。日本のメガバンクが、国際取引(ドル借り入
れと送金)ができなくなるからです。2016年に予定されていたバーゼ
ル4は、期限を示さず、延期されています。

2008年のリーマン危機のあと、銀行のデリバティブでの破産を防ぐ自
己資本を拡充する目的で、バーゼル4の制定が検討されていたのです。

日本の、国際決済を行うメガバンクに対しても、リスク資産の下落損
から自己資本が8%を割ると、世界の銀行はマネー取引や一時的な貸
借が発生する国際送金に応じなくなります。

これが現行の「バーゼル3」と呼ばれる規制です。

■3.国債の格付けBBB以下はリスク資産、銀行間の担保にならない

今のところ、金利が上がると市場価格が下がってリスク資産になる国
債は、金融業界の会計慣行では、時価評価されていません(格付けで
シングルA級以上の国債が対象)。

主要国の銀行間の取引では、「格付けでBBB(トリプルB)以下の国債
では、時価評価を含む自己資本比率」が計算されています。(注)こ
れは日本のメディアが報道しないことです。

コロナ後の国債の急増と、22円12月の日銀の利上げにより、長期金利
が0.25%から0.50%に上がって、額面の約2%(総額で24兆円)の含
み損が出ている円国債の、世界の格付けは24位に下がり、エストニア
や中国と同じランクの低くA1級です(ムーディーズ)。

「国債の信用に問題あり」とされるBBB級まであと一歩です。BBB級の
国債の国は、大国ではスペイン、イタリア、メキシコ、インドです。

「リスクの低い安全資産」とされてきた円国債であっても、格付けが
BBB級に下がると、国際的な銀行間借り入れの担保としては受け入れ
られず、国債担保の借り入れができなくなります。

銀行にとって、
1)ドルやユーロが調達できず、
2)逆に追い証が必要になり、返済を迫られる、
3)保有国債の価値は一層下がる、という重大な事態が起こるのです。

銀行は、銀行間取引で業務が成立しています。
これができない銀行は、破産同様になるのです。
企業が銀行取引停止処分を受けると倒産することと同じです。

円国債は、2010年までは、米国と並ぶAAA級で世界トップクラスの信
用でした。実はこの米国債も、金利が4.25%に上がった22年12月は、
格付けが世界10位(ダブルA)に後退しています。

格付けの1位は、財政赤字と国債発行が少ないドイツです。海外から
のスイスフランと国債買いが多いスイス国債の格付けも1位です。

国債をもつ日銀と銀行は、円国債の格付けの、この急落を、参照して
いるでしょうか。格付けが下がった国債は価格が下がり、金利(発行
時固定金利÷国債の時価)は、上がります。
(世界の国債の格付け)
https://lets-gold.net/sovereign_rating.php

【国内のBIS規制への認識は、低い】
麻生元財務大臣は、「国債の格付けは国内銀行が90%の国債をもつ日
本では意味がない」と国会で答弁していました。国債の信用は、国内
では天井がないということです。財務省が銀行を管理している国内で
は、そうかもしれない(法域という)。

麻生財務大臣は、大きくなってきた「金融の海外取引と通貨交換」を
無視しているのです。麻生氏の立論は、円国債はいくらでも発行でき
るとするリフレ派のエコノミストに共通しています。先般、TVで、専
門家の話を聞いても、円国債がデフォルトなることがあるのか、ない
のか、全く分からないという政治家がいました。

その理由は、専門家が、日本の金利を上げる要素になる、
・日本からの円での外貨買い(マネー脱出)と、
・海外からの円売りを、言わないからです(国債の金利と関係のある
為替レートの仕組みを知らないかもしれない)。

円の外為取引は、世界市場で、日本の貿易額の約300倍の100兆円/日
もあります。「1日で」です。FXも、これに含んでいます。円は東京
だけではなく、世界の主要銀行(外銀)で売買されているのです。円
売り一辺倒になると、1ドルが200円以上の超円安になって、円の金利
は上がり、円国債はデフォルトします。このとき日銀と政府の介入は
無効になるのです(現在のトルコと同じ状態)。

【国債の格付けと海外取引の関係】
円国債の、国債的な格付けがBBB級に下がると、日本の3大メガバンク
(三菱UFJ、三井住友、みずほ)は、海外銀行とのドルの取引が難し
くなってついにはできなくなっていきます。

各国銀行の担当は、取引に当たって、相手国の国債の格付けを参照し
ているからです。日本の財務省の権限は、海外には及びません。

1995年以降の金融ビッグバン(外貨規制の廃止)のあと国際的な取引
が急増したのです。1995年以降、外貨交換に制限の枠がない。

【海外進出企業のドル借り入れの金利】
企業の社債と民間債券の信用は、国債の格付けを下回るので自国の国
債より、金利が高くなります(カントリーシー・リングのルールとい
う)。海外に進出している、輸出大手企業の借入金利が上昇し、ドル
調達が困難になっていくのです(短期金利4.25%のドルなら6%~7%
に調達金利が上がります)。

【今後、円国債の格付けは下がっても、上がることはない】
インフレ率が高まり、金利が上昇していくなか。発行残高がGDPの
230%を超え(1200兆円)、しかも、毎年35兆円から60兆円は増えて
いく円国債の国際的な格付けが上がることはない
(注)中国は資本を自由化せず「元→外貨」の交換を規制しています。

【金利が上がっていくと・・・】
1)インフレ→2)時間をおいて金利が上昇→3)既発国債の時価の下落→
4)国債の格付け低下→5)国債の担保価値の低下→6)銀行の海外借り
入れ取引の困難から停止へ→7)銀行の危機→8)財政危機になってい
くのです。

インフレは、実質所得(価格が上がった商品の購買力)を下げて世帯
を困らせます。加えて、国債の信用評価を下げることから、銀行経営
と政府財政も困らせるのです。

先進国では、GDP比の国債残が突出して多い日本(250%)、イタリア
(150%)、米国(133%)、フランス(115%)、英国(108%)、カ
ナダ86%)、ドイツ(72%)の順です。コロナ後に、GDP比の国債残
が急上昇しているのが、以下のグラフに見えます。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/007.pdf

インフレ(=通貨価値の下落)、または外為レートの下落に並行して
金利が上がるときは、価格が下がる、その国の国債格付けを下がりま
す。国債の金利が上がって、国債の評価の格付けがあがることはない
のです(これが2023年)。

以上は、2023年秋からの、世界のデリバティブに生じている問題の予
備知識です。

金利は、債券・債務の将来リスクを示すものです。このため、将来の
リスク交換を契約するデリバティブは、金利への反応がもっとも速い
債券・債務です。

今回のテーマは、金利の上昇から生じる、最初に生じているデリバテ
ィブの損失です。世界の金利は、ウクライナ戦争前のゼロ%付近から
3%~5%に上がっています。

利上げを主導したのは、7%から8%台と高いインフレの米国です。
2022年の3月から、急速に(普通の利上げの、3倍の速度で)4ポイン
ト(%)上がっています。米国の国債の格付けも、下がっています。
外貨交換の中心にある基軸通貨(ドル)の金利上昇は、世界の金利を
上に引っ張ります。

■4.BISのデリバティブへの警告(22年11月30日)

BIS(国際決済銀行)は公開市場のない銀行間の店頭デリバティブに
ついて、総契約高と時価価値を集計している唯一の機関です。

デリバティブは、金利上昇や、世界の国債を含む債券のデフォルトで
生じるリスクを、銀行間で等価交換するものです。

BISは、22年12月に、米国FRBが世界をリードしている金利上昇がもた
らすデリバティブの損失(=時価価値の上昇になる)を警告していま
す。

2022年6月末でのデリバティブ契約の総残高は、632兆ドルに増えてい
ます。そのうち金利スワップ(固定金利と変動金利の交換)が502兆
ドルの契約高であり、79.4%を占めています。

・個人にとってデリバティブは、株の先物取引と、一定価格で買う権
利または売る権利を買うオプションです。
・しかし世界の銀行とシャドーバンクにとっては、「債券と債務の固
定金利と変動金利」の交換取引です。

銀行は、自行の利益を安定させる目的で、所有する債券・債務の変動
金利を、固定金利に交換するスワップ取引を頻繁にしかも多額に行っ
ています。

金利が上がるとして、米欧と日本で問題になっている住宅ローンの、
・高い固定金利(=契約金利が高くなるリスクはない)と、
・低い変動金利(=固定金利より高くなるリスクがある)の将来リス
クは、実は確率的には「等価」なのです。

将来リスクが等価なので、銀行間で、住宅ローンの固定金利も変動金
利とスワップされています。

以降で、冒頭のレジュメを、翻訳して示します。BISのデリバティ
ブ・リポートを読む人は、日本ではマレでしょう。BISに加盟してい
る日銀の関係者だけかとも思います。先物やオプション以外の、金利
デリバティブ(金利スワップ)を一般投資家が取引することは、ない
からです。<>内が翻訳です。

< 1)未払いの店頭デリバティブの契約元本は、2021年末の598兆ド
ル(7京7740兆円)から、632兆ドル(8京2160兆円)に増加した(22
年6月末)。2016年以降の、増加傾向は著しい。

2) 未払いの OTC デリバティブの市場価値(=リスク移転額)は、
2022 年上半期に著しく上昇し、18 兆 3000 億ドル(2379兆円)に達
した。金利デリバティブの時価損益が増加した。 コモディティ・デ
リバティブの損益も、食料やエネルギー価格の上昇を背景に急増した。
(ここまで)>
(原文)
https://www.bis.org/publ/otc_hy2211.pdf

BISは、重大なことを、あっさりと書いています。意味を知るには、
金利デリバティブ(=金利スワップ)の仕組みと損益の発生を知る必
要があります。

【金利スワップの仕組み】
金利スワップは、デリバティブのうち502兆ドル(6京5260兆円:22年
6月)を占めています。仕組みを以下に事例で示します。

1)A銀行は、今後も、低金利が続くと考えている。A銀行は、金利が
3%の固定金利の債務を1000億円かかえている。変動金利の1%という
低金利が続いても、3%の固定金利の利払いをしなければならないと
考えている。

2)一方、B銀行は今後、金利は上がると考えている。B銀行は1%の変
動金利の債務を1000億円かかえている。金利が上がると、変動金利な
ので利払いが増えるリスクがある。変動金利は、FRBの利上げに正比
例して上がるから。

このようなとき、A銀行の、固定金利の債務1000億円と、B銀行の変動
金利の債務1000億円を等価交換するニーズが発生します。このとき銀
行間で行われるのが(公開相場のない)金利スワップです。

米欧が中心の契約残高は、天文学的に大きな502兆ドル(6京5260兆円
:22年6月)です。その損益が2022年3月からのFRBの利上げによって、
18 兆 3000 億ドル(2379兆円)に拡大したのです(22年6月末)。

[A銀行の損失:事例]
自行の債務の、3%の固定金利を(そのときは低かった)B銀行の1%
の変動金利と交換したA銀行には、FRBの利上げで変動金利が5%に上
がると、利払いの増加(2%)が生じます。これが、過去より多く資
金流出(1000億円×2%=20億円)する、デリバティブの損失になり
ます。

[B銀行の機会利益:事例]
自行の債務、1000億円の1%の変動金利を(そのときは高かった)3%
の固定金利の、A銀行の債務と交換したB銀行は、は、FRBの利上げで
変動金利5%に上がっても、3%の固定金利に代わっているので、金利
は3%のままであり、利払いの増加はない。
 20億円の「機会利益」になりますが、機会利益は利払い経費の減少
であり、マネーの流入はないので、デリバティブの利益には計上しな
い。

以上が、FRBの3月から6月までの利上げによる、デリバティブの損失、
18 兆 3000 億ドル(2379兆円)になるのです。6月以降もFRBは利上
げしているので、この損は、22年12月では2倍の36兆ドル(4680兆
円)になっているかもしれない。

【金利スワップの損失は巨大】
インフレ期待(行動経済学がいうプロスペクト)により、日米欧と日
本の金利が急上昇している現在、A銀行がもつ債務の固定金利と、B銀
行がもつ債務の変動金利を交換していると、
・債務の支払金利が上がる変動金利を買ったA銀行が巨額損失を蒙る
可能性が、出てきたのです。

FRBの利上げにより総損失の金額は、金利スワップと、他のデリバテ
ィブで急上昇しています。損失の時価が18兆3000億ドル(2379兆円)
に増えたとBISは報告しているのです(22年6月)。2379兆円と言えば、
世界の預金(約2京円)の12%にあたるでしょう。2022年12月時点で
は、FRBは7月(0.75%)、9月(10.75%)、11月(0.75%)、12月
(0.5%)に利上げしたので。その損は、2倍になっている可能性が高
い。

銀行は、資産・負債のなかで、預金の12%~24%の価値をすでに失っ
ています。ただしデリバティブの損益は、契約満期まではB/Sの簿外
なので、まだ一部しか表面化していません。

2023年中に金利が大きく下がらないと、2389兆円の簿外の損が順次、
表面に現れ、銀行危機になるところが出てきます。

◎2023年の金利(米国)は、23年5月ころ5.125%超でピークをうつか
もしれない。しかし物価の気配から見て23年末も4%台でしょう。ウ
クライナ戦争前の1%や2%には、下がらない。ということは金利スワ
ップでの、損が23年の半ばから表面化することが、ほぼ確定したと言
えるのです。

金利の上昇は、銀行の貸付金の金利が上がることなので、銀行に有利
だとする説があり、FRBの利上げで確かに金融株は上がっています。

しかし銀行は、固定金利の債務が低金利のとき、固定金利より低い0
%から0.5%だった変動金利にスワップしているものが多い。

FRBの利上げと一緒に、過去の固定金利より高く上がっていく変動金
利の支払いをしなければならない。つまりFRBの利上げは、銀行にと
って、一律に有利とは言えない。(注)日米欧の銀行の利上げによる
デリバティブの総損失は2379兆円に拡大したとBISは見ています。

◎金利スワップ(固定金利と変動金利の交換)の契約残高は502兆ド
ル(6京5260兆円:22年6月)と大きい。銀行の債権・債務の全部の金
利が、スワップされています。自行が保有している債券・債務の、金
利スワップをしていない銀行はないということです。

以上が、BISの12月リポートの意味です。
再掲すると、
<未払いの OTC デリバティブの市場価値(=リスク移転額)は、
2022 年上半期に著しく上昇し、18 兆 3000 億ドル(2379兆円)に達
した。金利デリバティブの時価損益が増加した。 コモディティ・デ
リバティブの損益も、食料やエネルギー価格の上昇を背景に急増した
>

デリバティブ契約が多い欧州と米国発の金融危機は、確定したと見て
います。FRB(米国)とECB(欧州)は、このBISのリポートは読んで
いるはずです(22年12月30日)。正月休暇で読んでいないか?

それでもFRBとECBは、2023年の利上げをします。FRBの3月利上げは0.
5%か、0.25%です。ECBは、FRBに追随します。

銀行システムが崩壊しても、インフレを抑えるためには、仕方がない
と考えているのでしょう。それとも、BISリポートの意味を理解して
いない、あるいは無視しているという、「考えられないこと」が起こ
っているのか。

【後記:挨拶】
今年も、メディアが書かないことを、懸命に書きます。2023年があな
たとご家族にとって善き年になるよう願っています。起こったことは
必然だったと否定や後悔しないで受容し、先行きを非観せず、その中
に機会を見出す姿勢です。後悔はストレスを生みます。当方はいつも
この姿勢を意識しています。過去の事象は、記憶されるだけであり、
消えます。時間でいえば人間には現在と未来しかない。今年もよろし
くお願いします。

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