緊急号:ロシア・ウクライナ戦の状況(1)
This is my site Written by admin on 2022年2月28日 – 14:00
本緊急号(1)の内容は、有料版の増刊と無料版に共通とします。

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ロシアのウクライナ侵略以来4日ですが、刻々と状況が変化していま
す。ロシア軍は、キエフ空港を抑え、制空権を確保すれば、数時間で
ウクライナを制圧できると考えていたようです。

【民兵による市街戦】
ところがウクライナは、市街戦に正規軍ではない民兵も投入し、住宅
地の市民を盾にして抵抗を続けています。

米国とドイツは、民兵用の小型ミサイルと銃器を、ウクライナの北西
の大国、西側のポーランド経由で運び込む予定です。民兵が戦いに参
加すれば、戦闘は難民が660万人に達したシリアのように泥沼になっ
て長期化します(米軍とISの戦闘:ウクライナに比べれば小規模)。
シリアでは、米軍がロシア軍の役割でしたが、2019年10月にトランプ
が撤収を表明しました。事実上、米軍の敗戦です。

ウクライナは、第二次世界大戦の末期に、日本の軍部の一部が唱えて
いた「本土決戦」に近い。(注)日本は、ヒロシマ・ナガサキのあと、
昭和天皇が、国民の命を奪われるのは忍びないとし、8.15の無条件降
伏を決断し、犠牲者の多い本土決戦は避けました。

米国と西欧から兵器の提供を受けているゼレンスキー大統領は、18歳
から60歳までの国外脱出を禁じ、「市民の戦いへの参加」を求めてい
ます。4000万人の、対ロシア軍への戦いを言ったこととおなじです。

【ロシア軍】
19万人の圧倒的な軍の配備から短期(数日)での勝利を確信していた
ロシア軍は、燃料や弾薬の十分な補給路を確保していなようです。地
上戦の戦車は燃料と弾薬がなくなれば、ただの鉄の箱です。ロシアは、
戦略の再考を迫られています。

プーチンの目的は、首都キエフを制圧して、ゼレンスキー大統領と脅
迫的な停戦交渉をすることでした。目的は、ゼレンスキーを辞任させ、
親ロシアの傀儡政権を作ることです。それによって、侵略のの正当化
の理由になっている、ウクライナのNATO加盟要請を、ウクライナが取
り下げることです。

【民兵】
正規軍は、タテマエでは、軍隊ではない市民を攻撃することはできな
い。ところが民兵は、軍事的な要塞ではなく、住宅や住宅地に潜み、
対空・対戦車ミサイルも使って、ロシアの戦車と軍を攻撃する。これ
が市街戦のゲリラです。

ロシアの正規軍にとっては、「沖縄」のように市民と兵士を区別せず
に殺傷することが、ウクライナ軍と戦うことになっていきます。
中東で、米軍が繰り返してきた空爆と同じです。市街地への空爆は、
軍と市民を区別できません。

【抑止力】
おそらく、手間取って苦しくなったプーチンは、公式のスピーチで
「核の抑止力を使うこともためらわない」と、軍に示唆しています。
抑止力を戦闘に使うことは論理矛盾ですが、矛盾をためらわないとこ
ろに、プーチンの苦境が見えるのです。脅しだけで終わるか、本気
かは、不明です。

しかし内外から追い込まれると、究極の選択肢に逃げることも、想定
できます。ロシアの内部で「プーチンの辞任要求」があるからです。
プーチンは孤立しているように見えます。

退役軍人の組織、「全ロシア将校の会」(レオニード・イワショフ退
役大将(78歳))が、ウクライナ戦争はロシアの自滅行為になる。
NATOも対ロシアに宣戦布告する。プーチンはウクライナ侵攻を即時に
やめ、辞任すべきだというものです。
https://echo.msk.ru/news/2976072-echo.html

今後、以下の4つが想定できます。

(1)ゼレンスキーが停戦交渉に応じて辞任し、反NATO、親ロシアの
政権ができる。この可能性は、ドイツと米国から、ミサイルを含む武
器支援を受ける民兵が参加する市街戦によってほぼなくなりました。

(2)市街戦が長引き、補給路が十分でなく、軍の士気が下がるロシ
アが撤収をする。

しかし、ロシア軍はロシア領のクリミアから侵攻し、ウクライナの東
部(ルガンスク、ドネツク)と南部(黒海に面する地域)を制圧して
います。島に水路のないクリミア半島に、ウクライナ南部からの水路
を作ることも、ロシアの侵攻の目的でした。ここから引く可能性は低
い。そうすると、市街戦は長引きます。

(3)ロシア軍が、市街戦で「サーモバリック弾」を使う。12気圧と
2500度の空気爆弾で、半径数百メートルの地域を、小型核のように破
壊します。「サーモバリック弾」を搭載した軍用トラックは、すでに
配備されています。市街戦が激しくなってロシア軍に多数の犠牲が出
ると、可能性があるでしょう。

(4)苦しくなったロシアが、ミサイルに搭載した小型核兵爆弾を使
う。これを行えば、NATO軍(ポーランドには核ミサイルを配備済み)
が国境を接するモスクワへ、NATO(≒米軍)の核ミサイルが先に飛ぶ
でしょう。戦況の苦しさが、核を使う理由になるのです。

これは、第三次世界大戦です。核を先に使った側が、負けます。
軍内部が一枚岩ではないように見えるモスクワの体制が、NATOの一発
の核爆弾で壊滅すると思っています・・・。

3000発とされるロシアの核兵器では、発射命令の暗号はプーチンがも
っていても、米ロ戦争は避けると思われる軍が管理しているからです。
モスクワが、NATOからの核ミサイルの攻撃に遭えば、プーチンはたぶ
ん逃亡するでしょう。

プーチンには、核兵器で先制攻撃した直後の展開が、分かっています。

地上戦での貧者の核兵器とも言われる「サーモバリック弾」は使って
も、ミサイルで撃つ核を使うことはないと見ていますが、この観測は、
どうか? どう考えますか?

【ロシアは本土決戦ができない】
プーチンは、国民の強いプーチン支持と団結が必要な本土決戦は、で
きません。「核戦争」は、世界がもっとも恐れている事態です。

度(たび)重なる中東の戦争は、核をもつ5大国(米国、中国、ロシ
ア、フランス、英国)にとっては間接的でした。今回は直接的です。

【SWIFT】
国際送金網のSWIFTから、ロシアの銀行を排除する金融戦略は、短期
では、停戦への効果がありません。経済的手段の効果の発現は、影響
が及ぶのに6か月から1年はかかるものです。

ロシアとウクライナが、ベラルーシとの国境で停戦交渉を行うとの
NEWSもあります(2月27日)。一方で、「核も使う特別体制」を軍に
命じたプーチンの表情は、軍への感謝も述べて切羽詰まっているよう
にも見えます(TV画像)。

「真情は常に隠す政治家」の、言葉外の情報は表情に出ます。深層学
習のAIで読むと、面白いかも知れない。音を消して、見てもいい。

ウクライナ側が停戦交渉に応じたのは、事実でしょう(ゼレンスキー
のTV画像)。結果はまだわかりませんが、ロシアの意思には沿わない
感じがしています。

ウクライナをバックアップしている西側は、昨日、ロシアの銀行の一
部(全部ではない)を、SWIFT網から排除すると決定しただけの段階
です。ロシアから40%の天然ガスを買うドイツが反対していましたが、
戦況を見て、応じたのでしょう。

銀行間の国際的な決済網のSWFT手順では、1日に500兆円くらいが送受
金されています。世界の通貨の交換高である外為市場に等しい、主要
な通貨はドルとユーロです。ロシアがもつ外貨準備は6306憶ドル
(73兆円)と大きい(日本はロシアの約2倍)。ユーロが32%、金が
22%、ドルが16%、人民元が13%です。

ウクライナ危機後のロシア原油・天然ガスは、エネルギー輸入国の中
国に回し、人民元で決済することが、習近平と約束されています。こ
れは、ロシアの「ドル圏」からの離脱です。

世界の産油高では、
・1位米国  7億1200万トン
・2位ロシア 5億2400万トン
・3位サウジ 5億1900万トンです。

ロシアは、SWIFT回線から締め出されても、輸出入と送受金では困り
ません。イランが、SWIF回線から締め出されたとき、原油を中国に輸
出し、金と人民元で決済していることと同じです。

【金融相場】
原油価格は、1日で5.36%上がり、1バーレル95.5ドルになりました
(WTI:ブレント原油は98.9ドル:2月28日:午前11時)。
https://nikkei225jp.com/oil/

NYダウ現物は2.5%、米ナスダックは1.6%反発していますが、シカゴ
のCMEダウ先物は、1.5%下げています。月曜日の日経平均は動いてい
ません。

欧州のFTSE100は3.9%、ドイツDAXは3.7%、フランスCAC40は3.6%、
スイスSMIは3.0%、イタリアFTSE MIBは3.6%上げています。

金先物も1.4%上がり1オンス1913ドルです(2月28日:午前11時)。
下がっていたビットコインは、1.0%上がっています。
(株と資源・コモディティの差金取引の価格)
https://speculators8.com/cfd

世界の株式投資家とファンドは、核戦争を想定していません。
逆に、買いが多く、平常時の株価です。
原油、天然ガスが高騰しています。
98ドル付近のスポットの原油は、150ドルを超えるかもしれない。

【インフレの時代へ】
2022年、23年が、40年ぶりの第二次石油危機に準じて、米国・欧州を
先にして、「5%台のインフレ」の時代になることは決定したように
見えます。

コロナ後の金融インフレ(マネー量の膨張)に加わった、ウクライナ
危機の複合からです。日本の消費者物価も、2022年平均の米国CPIが+
5%なら+3%には上がるでしょう。世界の長期金利も上がります。

つい先ほど、ウクライナのゼレンスキーと、ソ連軍の代表がベラルー
シ(親ロ派)の国境で、停戦交渉をすることが決定しました(28日:
午前)。

ゼレンスキーは、「結果には期待できない」と言って交渉に臨んでい
ます。市街戦を続ける腹(ハラ)です。ロシア軍が弱気になったのか
もしれません。事態を見守りましょう。

コロナからウクライナ危機へとすすむ世界は、世界史のレベルで、ど
うなってしまったのか。暗澹とします。静観しているように見える習
近平は、どう動くか。

【無力さを晒す国連】
国連の安全保障理事会(常任5カ国、非常任10か国)では、ロシアが
拒否権を発動し、中国、インド、アラブ首長国連邦は、ロシアに味方
する意味で棄権しています。11カ国がロシアのウクライナ侵攻には当
然と反対し、ロシアが拒否権を発動し、3カ国が棄権でした。

日本政府が重んじる国連は、国連軍をもたないので、常任理事国が拒
否権を発動すれば無力です。日本の外交が頼りにしている「国際社会
(西側のみ)の正義」のへ言葉は戦力にはならない。相手に勝つ戦力
が背後にないと外交力もないのです。

常任理事国が、抑止力の核を使うことはないということが、戦後世界
の前提です。その体制が、壊れるのか、壊れないか、瀬戸際に来てい
ます。言論では、観察して予想を書くしかない。

西側世界の世論は、激しく反プーチンになっています。

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