緊急号(2):PCR検査の感度と特異性の問題
This is my site Written by admin on 2020年3月15日 – 12:00
新型コロナについては、以下の状況です。メディアも混乱しているの
で、緊急号の(2)PCR検査の感度と特異度について、を送ります。

(1)中国では、新規の発表感染数の減少から、収束に向かっている
とされています。しかし共産党が新規感染の計画値を設定し(経済数
値と同じです)、省政府は従っているといわれ、実態は明らかでない。

確かに交通封鎖により、爆発的な拡大期は終わっているかもしれませ
ん。累計感染数は8万824人(3月14日、以下同)です。

3月12日に発表された新しい感染は、「8人/日」とされています。
「本当か???」と思える数です。主席の命令で、約1か月、停止し
ていた「経済の再開」が優先されています。党の命令は絶対です。

(2)欧州では増加が続き、WHO(世界保健機構)によって中国に代わ
るパンデミックの地域とされました。イタリア1万7660人、フランス
3661人、スペイン4231人・・・です。中東ではイランも1万1364人と
多い。

(3)米国では、PCR検査数を増やしている途中であり、確認感染数は
1678人(死者数41人)と少ない。一説では、中国より増えるはずだと
いわれます。欧州からの入国は全面的に制限し、国家非常事態宣言が
発布されています。

米国の医療機関では、収束を5月と見ている医師も多いようですが、
長引く可能性も高いでしょう。

(4)日本では、PCR検査数が1500件から1800件/日と少ないなかで、
確認された新規感染数は増加しています。国内確認感染数722人、死
者数21人、クルーズ船感染数696人です。日本では、「重症者の診療
ができなくなる医療崩壊を防ぐこと」が優先されています。検査可能
数では、8000人/日が政府の目標とされています。

実際の検査が、その20%程度の1500件台なのは、医療のパンクの防止
が目的です。おそらく1日では100人や50人以下の確認感染に抑えなけ
ればならないのでしょう。

世界全体では、確認感染数が14万201人、死者数5373人(3.8%)です
(3月14日:土曜日)。
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/

【テーマ:PCR検査の感度、および特異度に潜む問題】
調べていくと、「現在のPCR検査の感度と特異度(1-測定誤差率)」
には、
・経験ある医師によるスクリーニング(抽出)をせず、
・全数検査をしたときは、陽性と陰性両方の、誤差数が大きくなると
いう問題があると分かってきました。

あらゆる医療の検査で、感度100%、誤差数0%(特異度100%)はあ
りえないものだからです。ファジーなところが残ります。

【感度80%】
検査の感度は、陽性の人を1回検査したときの陽性率です。

ただ新型コロナのPCR検査では、まさに新型でありデータが少ないの
で、感度は統計的に確定していません。

現時点では、個人的な経験から70%から80%と言われます(ここでは
楽観して80%と仮定します)。真の陽性の人を100人検査したとき、
80人で陽性を示すが、20%の20人は陰性(=偽陰性)という結果です。

なお、偽陰性とされた真の陽性者20人の人を再検査すれば、感度80%
から16名が陽性になります。しかし、真の陽性の4名は、2回目でも偽
陰性とされます。これが、感度80%の意味です。

【特異度90%】
特異度とは、感度とは逆に、(1-特異度)が陰性の人を偽陽性として
しまう確率です。PCR検査の特異度は、80%~90%程度と言われます。
これでも、ここでは楽観的に高く見て90%は正確であるとします。
100人の陰性の人を検査したとき10人(10%)は偽陽性になるという
ことです。

【検証モデル】
以上の統計的なデータをもとに、「人口に対する感染率が1%のウイ
ルス性の疫病」に対して、100万人の都市で、全員に対してPCR検査し
たと仮定します。(注)真の感染数は1万人です(感染率1%)。

PCR検査での80%という感度から、本当の感染数1万人に対して、
8000人が陽性と診断され、感染でも2000人は偽陰性になります。これ
は、「陰性かもしれない」という結果です。

(注)医療の検査全部で100%の感度はない。世論調査のように、ア
イマイなところが残ります。各種のガンの診断でも同じでしょう。総
合的な診断には、専門医師の、豊富な経験知が必要な理由です。

医療体制のパンクでの問題が大きいのは、「陰性の人を陽性としてし
まう特異度」です。検査数の「1-特異度90%=10%」を陽性にしてし
まいます。100万人の全数の検査をすれば、本当の感染は1%の1万人
なのに、「偽陽性が10%=10万人」も出てしまうのです。

以上から、経験知の高い臨床医によって感染の可能性が高いというス
クリーニング(抽出)を経ないで、ランダムに検査したときの、問題
が生じます。

真の感染を、100万人のうち1万人(1%)とした場合、1回のPCR検査
では、
(1)陽性の発見は、感度80%から8000人ですが、
(2)特異度の90%から来る、偽陽性(これも検査での陽性)が(1-
90%=10%)、つまり、100万人×10%=10万人もでてしまいます。

まとめれば、感染率が1%のウイルス性の疫病について、
・100万人に対して検査を実施したときは、
・陽性とされる人が10万8000人(真の陽性8000人、偽陽性10万人)も
出てしまうのです。

(注)2回検査なら、100万人に対する偽陽性の10万人が、陽性1万人
に減るでしょうか。それでも、真の感染数1万人に対して、1万8000人
が陽性になります。

【人口100万人の都市または県】
わが国の現在の法と厚労省の指針では、感染での陽性は、軽症でも入
院しなければならない。1回のPCR検査で、陽性と認定された人を入院
させれば、入院数は10万8000人になってしまうのです。

受け入れ可能な病床数からみて、入院はとても無理ですから、公共施
設、善意で提供されるホテルへの収容、または、多くが自宅幽閉にな
るでしょう。武漢では、バラックの強制収容所を作っています。

1回のPCR検査での発見確率は、「真の陽性8000人÷PCR検査の陽性10
万8000人=7.4%」という低い数値です。

(注)2回検査なら、1回目に出た10万人の偽陽性は、感度90%で1万
人に減ります。それでも陽性は1万8000人。実際の感染数の1.8倍です。

【見逃しが20%】
1回の検査で、「人口100万人の都市の10.8%(10万8000人)の人を陽
性として入院または武漢のように隔離しても、真の感染でありながら
入院・隔離されない偽陰性が2000人です。

2000人は「自分は白だ。PCRを受けた」と一層の自信をもって普通に
生活し、病院の外での感染を広げることになるでしょう。PCRの全数
検査をしても、その都市での感染の増加は止まらない。

【日本の全人口に対してPCR検査なら・・・】
日本の全人口に対して、1回のPCR検査した場合、10%(日本の全体で
は1260万人)が、PCR検査での陽性から、強制入院になってしまい、
検査する前に医療は完全にパンクします。医療のパンクとは、感染者
が軽症、重症にかかわらず、診療を受けることができず、自宅幽閉に
なるということです。

中国では、院内感染が40%だったとされますが、それも増えるでしょ
う。

【現状の検査体制は、ある程度は、正しい】
窓口で、医師がゲートキーパー医として、新型コロナへの感染を疑っ
た人のPCR検査を、専門病院に委任してコントロールしている、現在
のわが国の医療体制は「正しい」といえます。

100%の感度と特異度(測定誤算)のウイルス検査は、ないからです。
ここでは感度を90%としましたが、実際は、検体のとり方で71%に下
がるとする医師も多い。極端な医師は、感度40%と言っています。

【感度が60%と低く、特異度は高い簡易検査は、行うべきではないで
しょう】
3月末から利用可能とされる、インフルエンザのような簡易検査キッ
トの感度は高くでも60%とされます。特異度は不明です。「1-特異度
=陽性と誤差する確率」も、正規の検査より高いでしょう。

治療薬があるインフルエンザでは、医薬の処方を決めるために簡易検
査は有効です。

しかし陽性と決まっても治療薬がない新型コロナの「簡易検査」を実
施すれば、偽陽性の激増から、必要入院数は10倍以上に増えて、医療
の体制は崩壊します。つまり医療を受けられない人が増えた武漢のよ
うなパニックを、わが国にひき起こすだけでしょう。

メディアと一部の医師からは「検査を増やせ」という声の一辺倒です。
当方もPCR検査の誤差について、浅慮しかなかった。このため「PCR検
査を増やすべきだ」と書いてきましたが、恥を忍びつつ、今日、訂正
します。

新型コロナの確認感染数と収束の予想に、大きくかかわるからです。

【結論】
今回分かったことは、「有効な医薬」、「有効な対症療法の医療体
制」ができない限り、気温だけでは減らない新型コロナウイルスへの
感染の、世界的な広がりは収束しないということです。

ドイツの感染症の専門機関と、メルケル首相は、国民のうち60%から
70%が感染すると公式に発表しています。ドイツ医学は信頼に足るで
しょうか。

新型コロナの抗体が人体にはないので、抗体のあるインフルエンザ
(最大10%付近)より高くなります。80%は軽症です。その点は安心
できます。しかし免疫力が低くなった60歳以上では、感染後の死亡率
も10%付近と高い。新型コロナでは、特に高齢者対策が必要です。

治療医薬と体制は半年後でしょうか。1年後か? 早期であることを
期待しましょう。

大阪大学では、「有効なワクチン」が開発途中です。森下竜一教授と
バイオベンチャーのアンジェスは3月5日、新型コロナウイルスの予防
用ワクチンなどで共同開発に乗り出すと発表しています。

<通常のワクチンは病原体(ウイルス)を使用するため、開発、製造、
治療の各段階で一定の感染リスクは避けられないが、DNAワクチンで
はウイルスそのものではなく、遺伝子の設計図を使うため、感染の心
配がない。さらに大腸菌で大量培養できるため製造コストが安く、製
造に要する期間も通常ワクチンに比べ、短くて済む。通常のワクチン
は製造・供給までに5~7カ月かかるが、プラスミドDNAを使うと2カ月
程度で済むと森下教授は説明する>という。(東洋経済からの引用)
https://toyokeizai.net/articles/-/335256

東京オリンピックでは、日本政府も、「どうやって、開催延期を発表
するか」という落としどころを探るプロセスになってきました。国民
を悲観させるのが怖いからです。仮に日本が収束期になっていても、
選手と、大量の観客を派遣する海外が問題です。

中止ではなく、1年か2年の延期でしょう。米国のTV会社からの、世界
への放映権(これがスポンサー)が決めます。日本政府と東京都には、
開催の決定権はありません。

【後記】
医学を含む実証科学は、測定の数字からのものでなければならない。
あらゆる測定器には、必ず、標準偏差の誤差があります。PCR検査も
同じです。現在の、PCR検査の感度と特異度を前提にして、検査、医
療の体制を組むべきです。

【観念の株価】
株価は、人間の観念であり期待の領域に属するものです。幻想的な期
待がバブルを生みます。現在の、世界の株価の暴落を、「金融緩和で
のバブル株価」と見るかどうかで、株価の将来予測が違ってきます。

◎当方は、20年2月までの、日米欧の株価の予想PER 18倍の水準は、
リーマン危機のあとの、超金融緩和によるバブル株価だったと判断し
ています。特に米国株は、自社株買い(年で5兆ドル)のバブルです。
バブル崩壊は、売りが売りをよぶ非合理な相場になるので、「行き過
ぎます」。

米国の感染数の増加と、人の移動の禁止が、世界の株価のカギです。
金融緩和で膨らみ切った株価の下落に対しては、金融的な対策は、一
時的にしか効きません。米国FRBが1%~1.25%の政策金利を0%に下
げても、ドル安が起こるだけであり、新型コロナの収束の気配が見え
ない限り、「株価には一時的な効果」しかないでしょう。

3月13日金曜日のダウは、FRBが2日間で1.5兆ドル(157兆円)という
異例の、短期マネー投入(レポ金融)をしたことから、2万3185ドル
へと、1日で9.36%反騰しています。

日経平均先物は、3月13日の金曜日は、3か月1度の、未決済建玉の強
制清算日(SQ)で売りが増えて、1万7431円へと6.08%下げています。
その後は、米国FRBのレポ金融への巨大介入(2日間で1.5兆ドル:
157兆円)を受け、日経平均も1万8134円へと4%反発しています。

月曜日はどう動くでしょうか。投資家が、157兆円の短期ドルの増発
を見て、上げるか、効果がないと下げるかです。70%投資は、コンピ
ュータプログラムで行われていますが、売りとポジション解消のサイ
ンしか出さないので停止して、トレーダーの裁量になっているようで
す。

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