緊急号:新型コロナのピークと収束の予想
Written by admin on 2020年2月27日 – 17:00
マクロの金融・経済、そしてミクロ経済の交通、仕事、消費に大きく 関係する新型コロナの感染数の予想、そしてピークから収束時期の、 数値的な予想を、昨日に続き行います。本稿は無料版としても送り ます。われわれ全員にかかわる緊急事態だからです。 公表・集計された、確かなデータ種類とその数が少ないため、相当に 概略での計算しかできない。しかし数値予測はどこでも行われていな いので、必要だと思うからです。数値化しないと具体的にならないか らです。 【1.ウイルス一般】 ウイルス一般は細胞膜がなく、遺伝子であるDNA(またはRNA)をタンパ ク質が包んだ構造という。単体では増殖ができず、他の生物の細胞を 利用して自己を複製する(増殖)。細胞に入り込むヤドカリのような 感じです。動物と人類は、有害、無害の多種のウイルスとともに生き ています。コロナウイルス一般は、大きなRNAをもち、インフルエン ザに似て、変異を起こしやすいという。2002年から2003年に中国は流 行ったSARS(感染数約7000人:死亡率10%)は、今も、その由来が何 か、確定されていません。 【2.韓国と中国】 韓国では2月26日だけで約334人の感染が報告されました。累計感染数 は1595人と、中国(感染7万7658人:死亡2663人:死亡率3.4%:2月 25日)についで世界2位です。 武漢では、1日2万人のPCR検査が行われているとされます。 韓国では2月23日で6039件が検査されたという(中央防疫対策本部: 韓国聯合ニュース)。 今日は、韓国では1万人の検査体制という。これは厚労省が言う日本 の最大検査容量3800人の約3倍です(2月24日~)。日本は遅れ、人口 は約1/2の韓国が、検査体制が、人口に対して6倍進んでいます。 遅れの原因は、民間企業の検査能力(最小でも可能数は1万件/日とい う)を、厚労省が開放していないからです。患者が来た指定病院から、 保健所が連絡を受け、保健所で判断されて認可されたものだけが、検 査されているからです(権益保護の匂いがします)。このため、検査 数が少ないので、感染率の推計データとしては使いにくい。 【3.日本での、発熱+肺炎に近い人の、検査数に対する感染率は8.5 %】 わが国では、PCR検査数が20日から21日で90件、2月25日時点の累計で も1846人です(厚労省:クルーズ船は除く)。 不安をもち押し寄せる患者に対して、1日平均で100人くらいしか検査 されていません。クルーズ船を入れても、200人平均であり。これは、 国立感染症研究所の検査可能数(通常は200件/日:24時間稼働の最大 で400件/日という)に一致しています。 このうち陽性は156人。PCR検査を受けた人の感染率は、8.5%と高い。 肺炎に近い患者だけを、選択的に検査しているからです。これも、検 査済み感染率の参考数値にはなります。 【4.PCR検査のハードルが高い】 現在、38.5度が4日以上続くと、保健所でPCR検査の判断もされること があります。38度以上の発熱は、肺炎の疑いがあります。通常の風邪 は38度以下の発熱が多いからです。PCR検査を受けたごく少数者は、 肺炎に近い症状だったでしょう。そうすると、肺炎に近い症状の人で、 幸運にもPCR検査を受けた人の8.5%という数値が、新型コロナへの感 染率かも知れないという暫定値になります。ただし、いつの日か、多 くの人が、PCR検査を受けることができる検査体制になると、検査の 母数が大きくなって感染数は大きく増えますが、感染率は下がるでし ょう。 (注)閉鎖空間だったクルーズ船では、PCR検査数に対して、感染率 が22%と高い。解放空間の地上と違う環境なので、感染率の参考には なりませんが、閉鎖空間での、高い感染率の参考にはなります。 【5.韓国のPCR検査での陽性率】 PCR検査で結果が出るのは、最速1日後から数日です。自治体や政府か ら発表される感染数は、数日前の検査のものです。韓国では、2月23 日で6039件がPCR検査されたという正確な数値があります。このうち 3日後の2月26日の感染数は334人です。感染率は5.5%です。20人の PCR検査のうち1人が陽性です。 日本の8.5%より感染率が低いのは、韓国の検査の母数が6039件と多 く、日本の約20倍だからです。「検査数20倍→感染率-3.5%(-41 %)」の関係が得られます。これは感染数が多い武漢ではなく、日本 と類似性のある環境での感染率と評価できます。検査数に対する感染 率5.5%は、概算の暫定値としては、信頼できる数値でしょう。 【6.インフルエンザのモデル】 次の問題は、この感染率を何に掛けるかです。日本イフルエンザの感 染数は1000万人でした(2017年、18年:厚労省)。今年は暖冬である ことと、1月から手洗いとマスクを励行する人が増えたためか、500万 人にペースです。20秒以上の丁寧な手洗いは、ウイルスの拡散防止に 効果があります。マスクは、自分の感染より、近くの人を感染させに くくする効果です。エチケットマスクと言われます。 インフルエンザからは、高齢者を中心に約1万人(0.1%)が重症の肺 炎と合併症になって死亡されています。このため、インフルエンザで の死亡率は0.1%とされています。(注)新型コロナ起因では2%付近 (WHO) 米国では今年が2600万人です。米国(3.27億人)の人口は日本(1. 26億人)の2.6倍ですから、ちょうど2.6倍。人口比でのインフルエン ザは、日米で比例しています。 日本で、さまざまな原因がある肺炎での死亡数は12万人です(65歳以 上が中心)。インフルエンザ由来の1万人の12倍です。 【7.インフルエンザの症状は新型コロナに類似する】 38.5度以上の熱が4日間(高齢者は2日間)以上続き、診療所・病院で 受診するのが日本で何人になるか? これは、検査対象になる熱が出 た患者の母数を確定して、新型コロナの検査感染率を推計するためで す。インフルエンザの症状は、重症の風邪です。 38度から40度の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感という、新 型コロナと類似の自覚症状になります。こうした人は、多くが診療 所・病院に行くでしょう。入院は少なくても通院です。診療所、病院 では、今回は、PCR検査を保健所に依頼するでしょう。依頼の全数で PCR検査ができたとすると、「インフルエンザ罹患数×韓国の感染率 3.5%」、が、暫定的な推計での、新型コロナ感染の仮定数になりま す。 【8.インフルエンザの感染数】 日本では、今年のインフルエンザは500万人です。感染者1人が約2人 にうつすインフルエンザは、発生の5週目くらいに、指数関数的な増 加(a×週乗=感染数)のピークを迎え、7週目には急激に減っていき ます(7週目が収束期)。 インフルエンザは、はやり始めた最初の週を30万人の罹患とすると、 およそ5週目(2月初旬)に、「30万人×2の5乗=30万人×32=960万 人」へと2の累乗の指数関数で増えます(日本の事例)。実際の1000 万人(2019年)に近い数値です。 今年は罹患数が半分の見込みです。1人からの感染率が従来の2人から 1.74人に減っていて、「30万人×1.74の5乗=30万人×16=480万人」 になっているかも知れません。480万人は、昨年の半分の500万人(実 数推計)に近い数値です。 https://www.bcnretail.com/market/detail/20190309_110115.html 【9.新型コロナの発症と基本再生産数】 新型コロナの発症は、インフルエンザより遅くおよそ2週目です (WHO)。これは、2週目に新型コロナ陽性と認定される人が多いとい う意味です。約80%は軽症で終わりますが、高齢者を中心に20%が重 症化し、2%~3%が死亡率になっています。 1人からの感染率(基本再生産性という)は初期のデータですが、1. 5~2.5人とされています(WHO:World Health Organization:世界保 健機関)。 中央値は2人です。1週間で2人に感染させる可能性が高いと言えます。 わが国でも、倍増の期間は、7.6日とされています(政府の対策会議 議事録:2月8日)。 https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/議事録%E3%80%80新型コロナウイルス感染症%E3%80%80拡大対策会議VER2.pdf 1週目の感染は、仮定によるほかはありませんが、これを100人としま す。倍増の期間は、7日とします。7.6日としても大差がなく、日数計 算に端数が出るからです。 【10.新型コロナの感染数のモデル(日本)】 2週目(1月15日):100人×2の2乗=100人×2=200人 3週目(1月17日):100人×2の3乗=100人×8=800人 4週目(1月24日):100人×2の4乗=100人×16=1600人 5週目(1月31日):100人×2の5乗=100人×32=3200人 6週目(2月 6日):100人×2の6乗=100人×64=6400人 7週目(2月13日):100人×2の7乗=100人×128=1万2800人 8週目(2月20日):100人×2の8乗=100人×256=2万5600人 9週目(2月27日):100人×2の9乗=100人×512=5万1200人 (注)現在の実数での感染数は、全国で5万人付近でしょうか。 PCR検査の、クルーズ船を除く総数が、1846人と少ないので感染数が 少ないだけです。 10週目(3月5日):100人×2の10乗=100人×1024=10万2400人 11週目(3月12日):100人×2の11乗=100人×2048=12万4800人 12週目(3月19日):100人×2の12乗=100人×4096=40万960人 13週目(3月27日):100人×2の13乗=100人×8192=81万9200人 ・・・感染率が2人を保てば、14週目に164万人が想定できます。 現状のままなら、ピークは3月末の82万人でしょうか。現在の中国の、 公式発表の10倍ですが、中国の7.7万人とされる現在の感染数も実数 は10倍しなければならないでしょう(2月末時点)。 PCR検査の陽性とCT(コンピュータ断層撮影)で発見された、新型コ ロナと疑われる肺炎の10倍ということです。 【11.基本再生産性の低下と、感染数のピークの関係】 手洗い、マスク、集会の中止、移動の減少、遠隔労働という予防が効 果を生んで、感染率が1.7人に減るとどうなるか。 (1)13週目(3月下旬)の感染数は、「13週目(3月27日):100人× 1.7の13乗=100人×990=9万9000人」と、急激に減ります。これが、 ウイルス感染の指数曲線の特徴です。 (2)仮に、1.5人に減って行くと、13週目(3月27日):100人×1.5 の13乗=100人×195=1万9500人と、現在のように国を挙げての大き な問題にならない患者数になります。感染数が2人か、1.7人か、1.5 人に抑えるかが、重大な問題です。 なお、厚労省が作った日本のPCR検査の体制には、「なぜPCR検査が少 ないのか」という強い非難が浴びせられています。民間機関なら1万 人の検査が可能とされているからです。厚労省の権益保護とは思いた くないのですが。 https://note.com/gold_experience/n/n13d41ea7508d 【12.感染数を抑える方法】 1人からの感染率(基本再生産性)を、2人から1.5人に抑えるには、 感染者の発見が肝心だからです。 PCRで感染が分かった人は、隔離とまでは行きませんが、人と会うこ と、人混みに出ること、外出するこことはなくなり、1人からの感染 率は下がっていくからです。 ただし問題は、発症前の平均12.5日の、自由な行動です。この間の行 動は、武漢のような「発生数が多いクラスター都市の閉鎖」しかあり ません。重症への対症療法はできますが、治療薬はないからです。 感染率は、希望的には、暖かくなると減ると想定されるので、感染の ピークは3月末になると予想しています(当方の予想)。日本では行 う人が多い個人の予防処置でも、感染率の2は減っていくでしょう。 【3月末の感染数予想】 3月末の感染数は、25万人から50万人(死亡数5000人~1万人)と予想 します。(注)先ほど安倍首相は、全国の公立高校と小中学校を3月 2日の週明けから一斉休校にするとしました(2月27日)。 ただしPCR検査で発見されるのは、このうち25%の12万人から25万人 でしょうか。検査の体制が遅れているからです。10分のインフルエン ザのように、20分から30分で結果がでる簡易検査キットができたとし て、正確度は、1回では60%といわれます。数週間で開発できるとい う医師もいますが、新薬やPCR検査でも遅れることが多い政府の認定 は、3月中には間に合わないでしょう。 【軽症】 風邪のような軽度の症状で、自然に治る人も、20%の重症者の2倍、 40%くらいはいるだろうからです。個人で違う免疫力によります。個 人は、風邪に対するような対策の徹底です。手洗い、うがい、ノンス トレス、睡眠、栄養、ビタミンC、葛根湯、寒暖差のない暖房。当方 もしばらく深夜の原稿は止めます。 前号で、株価を中心に述べた経済・金融への影響は、消費税増税後の GDPが-6.3%(年率換算)に下がった日本経済ともに、別稿で再検討 すべきテーマでしょう。臨時緊急号はここで送ります。無料版ともし ます。 【後記】 2月24日の週から、日米欧の株価と原油が、新型コロナの世界的拡散 を原因に下がっています。今度の展開を予想するには、ピークと収束 を予想する必要があります。本稿は、そのためにも書いたものです。。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源無料版:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 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