「期待」で動く、日米の株価の急落は何の兆候か(前編)
This is my site Written by admin on 2018年12月31日 – 18:00
今年も、今日までです。毎年のことですが、年末から年始は、机に
座っていても、気ぜわしい気分。平成の30年が終わる来年は、どん
な年になるか。前回は、昭和からが平成に変わったときから、資産
バブルの崩壊が始まりました。1世代は30年サイクルという、オル
テガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』もあります。

初めての球形で、マグネットを背面から質量で支持する新しく作っ
たスピーカーで、いろんなジャンルの曲を聴いて音を確かめていま
す。いつも目標としている想定、つまりは心の基準(経済学では期
待という)に対し、現在、70%くらいの到達度でしょうか。予想外
の成功でした。ただしその基準は、ワインの味のように、アイマイ
で微妙なもので、音のデータではなく直観でしか分からない。

【テーマは、「期待」で動く株価の急落です】
本稿のテーマは、<「期待」で動く株価の急落は何の兆候か>です。
「期待」とは、プロスペクト、つまり近い未来への、人びとがいだ
く予想です。数理的なファイナンス理論では、株価は、未来の期待
利益の合計を、「金利+リスク率」で割ったものです。

ファイナンス理論の株価=期待利益の累積÷(金利+リスク率)
予想PER倍率=現在株価÷次期予想純益

【PERの意味するもの】
ここから出てくる指標が、予想PER(株価/収益率)、つまり次期予
想利益(3か月や6か月あとの決算)で株価を割った倍率です。予想
純益(税引き後利益)の何年分が現在の株価であるかを示すもので
す。

PERの逆数(1÷PER)は、株価の期待金利にあたる株価収益率です。
期待収益率=金利率+リスク率です。

たとえばPERが12倍なら株価収益率は、1÷12=8.3%です。上の式
の金利は、日本ではほぼ0%ですから、この8.3%が下落リスクに対
応した期待収益率になります。

PERが12倍付近のとき株を買っている人は、意識はしなくても、年
間で8.3%の収益を期待していることになります。これはあくまで
「期待」です。期待が実現する可能性はあっても、実際は分からな
い。株価が下がって、PERが下がる(期待収益率は上がる)ことも
あるからです。いつになっても、その先の未来は不確定です。

わが国の代表的な株価指数(大手企業225社の単純平均の株価)で
ある日経平均の予想PERは、現在、11.22倍に下がっています(株価
は2万14円:18年12月28日の大納会終値)。

年末の日経平均の価格2万14円には、これから先の、11.22年分の、
225社の1株当たり平均純利益を含んでいることになります。
https://nikkei225jp.com/data/per.php  (1か月)
https://stock-marketdata.com/kabukashihyo.html (1年)

18年の年初の予想PERは、今より高く15.5倍付近でしたから「11.
22倍÷15.5倍≒0.73」・・・27%分の、投資家の、集合的な将来期
待が、剥がれ落ちたことになります。集合的期待とは、金融市場の、
合計された心理をいうものです。

【2018年の株価】
2018年の最高価格は、10月の2万4245円でした。大納会の2万14円は、
秋からの約3か月で、17%下げています。

PERと、株価の下落幅が違うのは、それぞれの時点で、225社の次期
予想純益は変化するからです。わが国では次期予想純益は、上場企
業が東証に提出する「経営計画書の純益予想」からとったものです。

【株価の、経済への影響】
株価は、所得(世帯所得+企業利益)とともに、先行きの経済を決
めるもっとも重要な要素です。

(1)株主にとっては、株が上がることにより、金融資産の増加が
もたらされる。
(2)株を発行する企業にとっては、増資と社債による資金調達が
容易なることにより、投資が増加する契機になる。
(3)経済成長を期待する、国全体の心理になる。

経済の結果が、株価です。しかし、その株価上昇が情報になって、
人びとの将来への期待を高め、世帯の消費、企業の投資を促進させ
ます。大きな上昇と下落のときは、株価が経済を動かします。

株価の下げは、下落前の期待より、来年の経済の悪化すること示す
ことになります。投資家の「期待で作られた株価」が、次年度の経
済(GDPの成長率)を、「逆の期待で下げる」ことになって行くの
です。

【大きな幅の急落】
18年10月に始まった、17%の急落(12月27日は、1万9023円で21%
下落)は、もし、このまま、1か月約10%の速度で下げると、ピー
クから50%安のころ(時期は2018年3月)から、金融恐慌になる規
模のものです。

株式は、金融機関と投資家の金融資産になっています。下落すると、
資産の減少になり、金融機関と投資家の借り入れの信用が急減する
からです。

【リーマン危機のときの株価下落幅は34%だった】
前回の暴落は2008年9月のリーマン危機のあとでした。日経平均は
8月の1万2400円付近から8200円(10月10日)と34%下げています。

その後、2012年秋までの3年間、7000円台から1万円が続き、2012年
末からのアベノミクスと異次元緩和により、2万円以上の価格に上
がっていたのです(2017年)。

2018年10月からの下げは、19年の1月、2月次第では、リーマン危機
のときの下落幅(34%)よりも大きくなる可能性もあります。

1月、2月、3月がどう向かうか。今回の下がった原因を確定し、そ
の原因となるものの要素がどう向かうかを予想する方法により、株
価を想定しておく必要があるでしょう。

【売買で決まる株価】
株は、市場で売りより買いが多ければ上がり、買いより売りが多け
れば下げます。

したがって、株価の予想とは、投資家の集合が、どんな原因で売り
を超過させるか(下げ)、買いを超過させるか(上げ)の見通しで
す。あらゆる情報を見通す神ではない人間には、原因分析と論理し
か方法はない。「将来の新聞」はないのです。(注)本稿は、無料
版オリジナルです。

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<399号:「期待」で動く、
        日米の株価の急落は何の兆候か(前編)>
      2018年12月31日:無料版
【目次】

1.AIの予想は、株価では無効である
2.米国株の下落が、日本株の下落になる構造
3.外人投資家の売り越しと、日銀の、株ETFの買いの対抗で決まっ
た2018年の株価
4.18年10月からの、米国株下落の原因とその展開・・・
 (以下は後編)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■1.AIの予想は、株価では無効である

世界中で使う機関と会社が、急激に増えているAIにも、株価の将来
予想は、原理的なことからできません。

【深層学習型AIの方法】
2014年ころから、人びとに知られるようになった深層学習型のAIは、
過去の情報をデータセットにして学習して、将来を予想します。

将棋や碁では、過去と将来のルールは同じです。
このため、
(1)トッププロの過去の棋譜(=データセット)をまず深層学習
させ、
(2)つぎにAI内の自己対局で人類が経験していない数千万局を学
習すれば、名人クラスの棋士を打ち負かす棋力を身につけます
(2016年秋から)。

しかし、過去の棋譜を深層学習したAIは、例えば、「今日から桂馬
は前に1コマ進めるようにルールを変える」と日本棋院が決めると、
途端に超初心者に戻ってしまいます。過去の棋譜が無効になるから
です。

AIでは、将棋や囲碁などを「フレーム(枠)が変わらないゲーム」
と言います。自然科学では、フレームである原理(例えば引力や化
学反応の法則)は、古今東西、変わっていない。したがって、深層
学習型のAIが有効です。

工学や医学も同じです。病気の原因と経過は、昔から世界中で同じ
です。違うように見えるのは、医学は、例えばがんなどで、全部の
病気の「原因となるもの→経過→結果と対策」が解明の途上だから
です。医学も、実証が求められる自然科学です。

【AIとフレーム問題】
過去から将来までフレーム(=原理)が変わらない自然科学と違い、
株価では、投資家によって日々現象が変化し、加わっています。投
資の判断、買い方、売り方が変化し、今日の株価を作っているので
す。

人間の、知識と判断が関係する経済と株価(他の金融商品も同じ)
では「フレームの変化」が生じています。このため、過去のデータ
セットの深層学習からは、未来の株価は予想できません。

たとえばリーマン危機も、新しい金融相商品である証券化されたサ
ブプライム・ローンの下落から起こったので、今後、同じようなこ
とが起こっても、AIには予測ができません。これは、深層学習につ
いての原理的なことです。

地震の発生の原理も自然科学です。ところが地震学がまだ「データ
セット」を作り得ていないので、AIはまだ無効です。地震の原因に
なる数千メートルの地下の地殻と火山のリアルタイムの動きがデー
タセット化されれば、気圧、気流、気温、湿度を測っている気象の
ようにAI予測できるでしょう。

【AIによる株式投資が急増した】
それにもかかわらず、証券会社、ヘッジファンド、投資信託による
株式や証券の売買には、現在、多くで、ロジックは極秘のAIプログ
ラムが使われているのは事実です。結果については、一般の投資家
より成績がいいという情報と、熟達したファンドマネジャーには劣
るという話が錯綜しています。

どの期間の、どの金融商品を、どんな方法(先物、あるいは現物)
で投資したか、そして完全にAIに任せたのかが、同じ条件ではない
からです。それに、投資を募集するファンド、投資信託、証券会社
からの発言だからです。

車の自動運転では枠組は変わらず、自動車の予想できない欠陥では
ない限り、新奇な事故はないので可能です。しかし株価では、過去
にはなかった新しい現象が生じるので、AIの適用は無理です。

【ロボット・トレーディングのシェアは、米国で80%に増えた】
現在、米国の株式市場では、HFT(数千分の1秒単位の超高頻度売買
:アルゴリズム取引ともいう)が60%、システムトレードとAIト
レードが、20%を占めていると言われます。

合計で80%が、コンピュータによるロボット・トレーディングです。
数年前から「ウォール街に、人間の投資家はいない」と言われてい
ます。

ロボット・トレーディングでは「株価が下げのトレンドになると、
下がった株価情報が正帰還されて、いわばマイクロフォンの発信状
態になって、結果は、先物やETFの売り一方になり、下げが一層強
化される傾向」があります。

■2.米国株の下落が、日本株の下落になる構造

米国株の時価総額は、NYSCとナスダックの合計で3000兆円くらいで
す。他方、日本は約550兆円(米国の18%)。ヘッジファンド、投
資信託、金融機関、そして個人が売買しています。米国では個人の
所有株が約50%のシェアです。

【日本人の保有額と売買は、減り続けている】
日本では、外国法人(ヘッジファンドが主な持ち手)が持ち株シェ
アが、もっとも高くなっていてシェア30%、金融機関が29%、事業
法人が23%、個人その他が18%です(2017年末:日本取引所グルー
プ)。

1990年の株価バブル崩壊のあと、金融機関、事業法人を含む日本人
は株の所有を減らしました。この約30年も、売り越しを続けたので
す。バブル崩壊後の日本の株価は、外人の買い越しによってのみ上
がってきたと言っていいくらいです。

【日本株を増やしたのは外人投資家】
日経平均が3万9800円だった株価バブルが崩壊し始めた1990年は外
人の持ち株シェアは5%程度と低かったのです。その後、国内の金
融機関、事業法人、個人が売り超になって持ち株シェアを減らす中
で、米国株の好調を背景にして、外国法人(ヘッジファンド)が買
い進みました。

ヘッジファンドは短期売買をするため、売買のシェアでは、東証の
70%を占めるという高さになっています。

売買のシェアが高い主体が株価を動かします。国内からの売買は、
東証の全売買の30%でしかなく、価格形成をしていません。

【外人投資家が価格を決めている日本市場】
外人主導の売買構造のため、日本の株は、外人投資家が買い越すと
きに上がり、売り越すときは下がります。

終わった2018年は、主は英米のヘッジファンドである外人投資家は、
過去最大の、5兆8000億円を売り越しています。(注)先物の買い
含むと11兆円になります。ただし先物では、反対売買の期限日があ
り、買ったものは売るので、長期では売買が同じになります。先物
買いが増えていくときが、買い越しになります。

国内で買い越したのは、日銀の、株ETFの買いの6.5兆円です。

外人投資家は保有株のシェアは30%ですが、売るときも買うときも
短期ポジションなので、1日平均2.5兆円の売買の。東証での売買金
額では70%になっています。

【ポートフォリオを組んでいる】
ヘッジファンドが売り越すのは、米国株(ダウ、S&P500)が下が
ったときです。ヘッジファンドの多くは、世界の株と金融商品に対
して、構成比を一定に保つ「ポートフォリオ投資」をしています。
米国株のポートフォリオが30%なら、日本株は、多くの場合、株価
の時価総額に対応し、およそ「30%×18%=5.4%」になります。

【投資残高は3000兆円】
世界で約8000本のヘッジファンドが投資家から預かった元本資金は、
約300兆円ですが、平均で10倍のレバレッジをかけた先物やオプシ
ョン、そしてCFD(外為証拠金取引のような差金取引)しています。
金融商品の売買額では、約3000兆円と巨大化し、多くの取引所でナ
ンバーワンのポジションです。つまり、世界の、金融商品の価格の
先導をしているのは、ヘッジファンドです。

ポートフォリオの方法では、米国株が下がったときは、1秒に数千
回の、プログラム化されたHFT(High Frequency Trading:超高頻度
売買)で日本株を売って、構成比を維持します。このため、東証の
売買のシステムであるアロー・システムにおけるHFTの売買シェア
は、60%を超えています。(注)米国市場では約70%と多い。

【日本株の先導は、ヘッジファンド】
以上の結果、米国株が上がったときは、日本株を買い越す。米国が
下がったときは、日本株を売り越して、日本株も下がるという価格
のコピーが起こります。

外人投資家の売買は、東証の70%を占めているため、日経平均と、
TOPIXの価格を先導しています。

(注)日経平均は、NYダウ(最大手企業30種)のような、225社の
単純平均で、TOPIXは、S&P500社のような東証2116社の加重平均で
す。

・米国株が下がると、外人が売り越して日本株も下がり、
・米国が上がると、日本株を買い越して上がるという「コピー相
場」になっているのです。これは、日本人の、株式の売買金額が減
っているためでもあります。

【日本株の価格変化の原因は、米国にあり】
聞けば変な話でしょうが、日本株の上昇も下落も、その原因を求め
るには、米国の市場を分析しなければならない。国内勢の売買シェ
アは、買い一方の日銀を含んでも30%しかないからです。国内の要
因では、日本の株式相場は大きくは動くことできません。

なお外人投資家(ヘッジファンド)の買いは、ほとんどが、世界で
約100か所もあるタックス・ヘイブン(租税回避地)からです。日
本を含む世界の投資家の実名と会社の21万4500社を暴いたパナマ文
書(2016年公開)も、ごく一部にすぎません。タックスヘイブンに
は、IMFの公式の推計では、世界の銀行マネーの50%はあるとされ
ています。

【投機ということ】
新聞は、ヘッジファンドの売買を、なぜか悪者めかして「投機筋」
と書きます。短期売買だからでしょうか。投機とは、キャピタルゲ
イン(株の売買益)を得ることが目的の株の売買を言います。会社
所有と経営へ関与が目的ではない株買いは、日本人が売買しても全
部が投機です。

名寄せ後で、推計700万人といわれる株を売買している人の99.99%
は会社所有と経営へ関与を目的にはしていません。上場株のバイ&
ホールドも金融商品への投機でしょう。株は値動きの幅(ボラティ
リティ≒2×標準偏差)が大きなリスク資産だからです。

ここまで、日本株を見るときの前提となることをまとめて書きまし
た。結論を言えば、日本株の先行きを予想するときは、米国株の騰
落の原因を決定した上で、原因となったことがどう変わるかから、
米国株の今後を予想しなければならない。

■3.外人投資家の売り越しと、日銀の、株ETFの買いの対抗で決ま
った2018年の株価

2018年は、外人投資家は、1か月ごとに見ると、以下のような売り
越しをしています(12月は3週まで)。外人売りに対抗している日
銀による株ETFの買いを、その右に示します。

2018年は年間で5.2兆円という最高額を買い越しています(ここに
は先物は含んでいない)。日銀が買うときの金額は決まっていて、
1回が703億円です。月間で10回(10日:開業日の半分)買うと、
7030億円になります。

日銀は、株ETFの買いを始めて以来、売ることはほとんどない。所
有額はどんどん増えて、26兆円になっています。年間6兆円規模と
している、日銀の買いがなかったとすれば、外人投資家の売りがモ
ロに働いて、日経平均は1万円台に暴落していたでしょう。

プラスは売買の差額での買い越し、マイナスは売り越しです。単位
は、億円です。当月の日経平均は、月間の騰落額を示します。

【外人売買と、日銀の買いによる株価騰落:2018年の12か月】

  外人投資家    日銀のETF買い越し 日経平均騰落
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1月    -4773億円   +4638億円   +333円(+1.5%)
2月  -1兆1424億円   +6276億円  -1030円(-4.5%)
3月   -9975億円   +8333億円   -614円(-2.8%)
4月    +2071億円   +2382億円  +1014円(+4.7%)
5月     -7412億円   +6012億円   -266円(-1.2%)
6月    -6641億円   +7282億円   +103円(+0.5%)
7月    +4114億円   +2363億円   +249円(+1.1%)
8月    -4825億円   +1682億円   +312円(+1.4%)
9月     -1557億円   +4434億円  +1255円(+5.4%)
10月    -2565億円   +8436億円   +391円(+1.8%)
11月    -2998億円   +4921億円   +431円(+1.9%)
12月  -1兆0877億円    +7731億円   -2337円(-10.5%)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
年計 -5兆1876億円 +6兆4493億円  -2751円(-12.1%)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(注1)先物、オプションの売買は含まない。先物の売り越しを含
むと、日銀の、株ETFの年間の買い(6.4兆円)より、外人投資家の
売りが大きくなります。
(注2)2017年末の日経平均は、2万2765円でした。18年末の大納会
は2万14円(終値)だったので、年間で2751円下げています。外人
投資家が1兆877億円も売って、12月の下げが2337円と大きかったか
らです。

外人の売買は東証から、日銀の株ETFの買いは、ブルムバーグと日
経平均株価AI予想のサイトからとりました。
https://nikkeiyosoku.com/boj_etf/

表に上げた外人と日銀以外の、国内金融機関、機関投資家、事業法
人、個人の売買もあって、株価が作られています。ただし、国内の
金融機関(銀行と生保)は売り越しを続けています。機関投資家も
類似しています。聞いてびっくりすることですが、国内には、日銀
以外には、株価を上げる買い越しはしていない。これが約30年も続
いています。

・個人投資家は、「株価が上がったときは売り、下がったときは買
う逆張り」の傾向が強い。
・事業法人は、2015年から、米国のように自社株買いを増やしてい
ます(年2.5兆円から3兆円:18年は2.5兆円:米国の70兆円の28分
の1)。

上の表を見ると、18年に大きく下げた4か月の、2月(-1030円:-
4.5%)、3月(-614円:-2.8%)、5月(-268円:-1.2%)、12
月(-2337円:-10.5%)には、いずれの月も、外人の売り越しが、
日銀の買いを上回っています。

外人の売りに対して、日銀が買い支え目的の買いが、十分金額では
なかったことを示しています。

【2月と12月の暴落】
特に、2月と12月の、外人投資家による、1兆円以上という大きな売
り越しのとき、日銀の月間5000億円平均(=703億円×7回の買い)
では対抗できていません。2月4.8%。12月10.5%という大きな下げ
を記録して現在に至っています。

他方、上がった8か月の、1月(+333円:+1.5%)、4月(+1014円
:+4.7%)、6月(+103円:+0.5%)、7月(249円:+1.1%)、8
月(312円:+1.4%)、9月(+1255円:+5.4%)、10月(391円:+
1.8%)、11月(+431円:+1.9%)は、いずれも、外人売りより、
日銀の買いが勝っています。

(注)8月の上げが、このパターンの例外です。この8月には、事業
法人の、自社株買いが主の買いが2376億円ありました。これが、外
人の売り越しが4825億円と大きい中で主導し、個人の買いを誘って、
312円上がった主因になっています。自社株買いは、価格上昇を予
想する個人株主と投資信託の買いも呼ぶので、株価を上げる力は強
いからです。

以上のように、日本の株式市場は(情けないことに思えますが)
・外国人投資家の買い越しで上げ、
・売り越しで下がる相場になっています。

外人売りに対抗しているのが、市場を歪める官製相場とも言われな
がら、26兆円も買い越した日銀の株ETFの買いです。外人の主なも
のは、300兆円の元本で3000兆円投資をしている英米系のヘッジフ
ァンドです(8000本)。ヘッジファンドは、米国株が下がると同時
に、ポートフォリオの日本株を売ります。米国株が上がると日本株
も買い、米国が下がると日本株も売る。

日本の株価の原因分析には、国内の経済と金融ではなく、米国の株
を動かしている米国経済と金融の原因分析をしなければならない。

NTダウが2万6773ドルをつけて、下がり始めたのは18年の10月2日か
らです。年末の株価は2万3062ドル(14%安)です。10月から、米
国株に対して、どんな投資家の認識と判断の変更があったのか。こ
れを以降で見て行きます。目的は、2019年の株価予想を、根拠をも
って行うことです。

■4.18年10月からの、米国株下落の原因とその展開・・・

本稿は、年内の無料版特別号として送ります。次号は新年に送りま
す。


有料版は、以下のサイトで申し込むことができます。新年から、い
かがですか?
     https://www.mag2.com/m/P0000018.html

有料版のバックナンバー(以下に過去の全部があります↓)
        https://www.mag2.com/archives/P0000018/

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ビジネス知識源無料版:感想は自由な内容で。
                                     以下は、項目の目処です
】

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2.理解は進みましたか?
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