臨時号:トランプ新政権と新刊書の案内
Written by admin on 2017年1月22日 – 09:00
おはようございます。臨時号をお届けします。日本時間の1月21日 深夜は、4年に一度の大統領就任式でした。昨年ワシントンに行き ましたが、トランプ大統領が「Make America Great!」の一般教 書演説をした純白の議会は、なだらかにのぼった芝生の、丘の上に、 天を示すように建っています。 予測を外れることも多いスピーチは、3つの意味で注目されていま した。 ・復古的な選挙公約(3つの柱:保護貿易、減税、公共事業)を強 調するものか、和らげるのか。 ・別のことを言いだすのか。 一般教書は、新大統領の、政策への価値観(どんな政策に重点を置 くか)を示します。政策は、まだないものなので、言葉でしか示す ことができない。 その政策への価値観を、金額で具体化するのが、2月上旬に議会に 出される一般教書の予算案です。大統領単独で出せるのは大統領令 です。これは、憲法と法令に違反しない限り有効です。予算案には、 国会の承認が必要です。 株価と通貨の10秒毎の反応を、左のディスプレーに映し、嘘つきメ ディアと名指されたCNNを、午前4時ころまで、見ました。日米の株 価と通貨(ドル/円)が、トランプのスピーチで激しく動くと思っ たからです。 http://nikkei225jp.com/chart/ 就任式が始まる前は、新大統領を歓迎するような、株高(米国ダウ、 日経平均)と、ドル高(円安)でした。 スピーチが始まり、保護貿易と雇用の増加を強調する内容が分かる と、 ・ダウは1万9840ドルから1万9760ドルへと、0.5%下げ、 ・ドル/円は、115.2円から114.3円へと0.8%のドル安・円高に振 れたのです。(たった20分の変化としては、大きなものです) 注目すべきは、「政治・経済・金融の、エスタブリッシュメントが 得ている不当な利益を、国民に取り戻す」という、マルクス的な言 葉でした。これが、トランプ氏が重視する「米国雇用の増加と保護 主義」にむすびついていたのです。 スピーチのあと、新大統領は、早々と、大統領令を出して、 (1)国内の雇用を奪うとトランプ氏が見ている、北米自由貿易協 定のNAFTA(対メキシコ、カナダ)の見直し、 (2)TPP(環太平洋戦略的経済協定;自由貿易)からの離脱、 (3)国民皆保険を目指していた「オバマケア」の撤廃を指示した のです。 これは、関税で物価を上げて、国内雇用を守るという宣言です。経 済学的には、この3つは、目的とする雇用の拡大と、論理整合的で はありません。しかしトランプ氏は、経済学説など、まるで意に介 さない独善を貫きます。 (注)北米のNAFTAや環太平洋のTPPでの自由貿易は、リカードの比 較生産費論であきらかなように、生産性の低い労働の移動により、 長期的には、双方の国の生産性を上げて、GDPを増やします。 NAFTAのメキシコには、日本の自動車工業(部品・製品)も進出し、 70%は対米輸出です。35%の差別的関税が課されると、影響は甚大 です。 114.3円の円高だったので、日経平均もダウの後を追い、1万9300円 付近から1万9080円へと、1.1%下げました。これが、瞬間の市場の 反応だったのです(20分間)。 今は1ドル114.6円、日経平均は1万9137円付近に戻しています(1月 21日:18時)。トランプ相場は、今後、2万円を超えたとしても、 瞬間で終わりそうな気配です。 通貨と株価の動きから見ると、新大統領の施政方針演説にあたる一 般教書が、米国の投資家の「想定内」であったことが分かります。 日本では深夜でした。昼の、シカゴの先物市場が通貨(円、ドル) と株(米国株、日本株)を動かしていました。 【最近の市場の性格】 2013年以降の日本株は「円安→株高」、「円高→株安」という動き をします。原因は、ヘッジファンドの売買が市場の70%を占め、そ の売買の70%がHFT(超高頻度取引:1秒に数千回)であり、そのプ ログラムには、「円先物売り(円安)=日本株買い」、「円先物買 い(円高)=日本株売り」が組み込まれているからです。 次に注目すべきは、2月初旬の「一般教書予算案」です。選挙公約 だった減税、公共事業、財政赤字がどの程度であり、通貨政策がど うなるか、明らかになります。2月初旬に、株価と通貨は大きく動 くはずです。 【ドルでの、政権内の矛盾】 新大統領は、米国の輸出増加と輸入の減少のために、「ドル高は行 き過ぎ」と言い、財務長官に指名されるムニューチン氏(元ゴール ドマンサックス)は、「強いドルが必要」と相反するメッセージを 出しています。 (注)自由貿易は、変動相場(米国のように貿易赤字ならドル安) により、赤字と黒字が調整される仕組みです。関税を課していない NAFTAや、これからの自由貿易圏のTPPを解消すれば、関税で、国内 の海外製品を高くするしかない。 トランプ政権は、輸入製品を高くして、貿易で負けていた、コスト の高い国内生産を増やす方法をとります。外資は別にして、国内資 本の工場が、新設工場を作る可能性は少ないので、関税で、米国の 物価を上げるだけに終わるでしょう。小売業でナンバーワンのウォ ルマートの製品は、食品以外では、90%以上が輸入でしょう。 ドルについての、政権内の発言の矛盾は、口先介入の効果が計算さ れたものではない。財務長官が言うドル高が必要なのは、海外が米 国債を買っても、為替差損を蒙らないためです。ドル安になると、 米国債と米国株の保有では損をします。 財政と経常収支で赤字国の通貨が、世界の貿易に使われる国際通貨 であるという根本的な部分での矛盾があるため、トランプ氏(ドル 安)とムニューチ(ドル高)の矛盾が出るのです。 世界の株価と経済にとって肝心なのは、新政権がドル高かドル安政 策かです。ここがまだ、不明です。2月の予算案からは、読み取れ るでしょう。予算案が、トランプショックの第二弾になります。 (注)トランプ相場は終わった感じです。 選挙公約の「10年で$6兆の減税と$1兆の公共事業」からは、 ・年間で$7000億(80兆円)財政赤字が増え、 ・現在の赤字$7582億(87兆円:2016年IMF予想)と合わせて、$ 1.45兆(167兆円)という、巨大な国債発行になります。 こうなると、「ドル安と、金利上昇(国債価格の下落)」に向かう からです。 【就任時の支持率40%という危うさ】 就任式には、90万人の参加があったという(オバマ大統領のときの 約1/2)。要塞になっていた会場の周辺には、2万8000人の警官が動 員されていました。25万人のデモがあったという(団体数100以 上)。就任式では、異例です。 普通55%以上はある、就任時の支持率が40%しかなく、その後の支 持率が下がった場合、任期を全うできるのか。就任時の支持率は、 後で下がることに例外はないからです。 オバマ前大統領も就任時は80%という高い支持でしたが、2年目は 48%に下がっています。30%以下に下がると、議会の与党議員も反 逆して政策の実行ができず、政権の維持は困難になって行きます。 * 本稿では、新刊書の案内を兼ねます。 1月20日から、『財政破産からAI産業革命へ(PHP研究所刊)』が、 全国の書店とアマゾンなどで、発売が開始されました。 副題は、日本経済、これから10年のビッグシフト、です。わが国の 財政と経済の基本書になることを目指して、書いたものです。 2027年ころまでの日本経済を、年を追って予測しています。その中 の「はじめに」を載せます。 『財政破産からAI産業革命へ』 はじめに ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 本書は、 ・早ければ2018年から19年に、遅くとも20年から21年に、財政がデ フォルトに陥ること(確率70%)、 ・そして、22年ころから、AI(人工知能)の幅広い利用により、生 産性革命に入り、1人あたりの実質所得が大きく成長する経済に向 かうことを、論拠をもって示すものです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~ (注)多くの要因が錯綜する複雑系である経済の未来は、確率でし か言えません。 ■1.財政破産はあり得ないとする論 エコノミストのほぼ8割は、「日銀が国債を買うことができるから、 デフォルトはしない」と述べています。代表的なものは、以下に示 す5項でしょう。 (1)日銀は、国債を買って、政府の負債をマネーに変換し、減ら すことができる。全部の国債を買い尽くすこともできるから、財政 は破産しない。これは、マネタイゼーション論(国債の現金化論) ということができるでしょう。 (2)日銀は、通貨の発行によりシーニョレッジの利益を得る。そ の利益があるから、財政は破産しない。これは、シーニョレッジ論 です。 (3)政府部門には、1277兆円の負債がある。一方で、532兆円の金 融資産をもっている(日銀資金循環表:16年6月末)。純債務は 745兆円であり、名目GDPに対する債務比率は、147%に過ぎない。 国の貸借対照表でも、負債は1178兆円だが、資産が679兆円もある ため、純債務は492兆円と、名目GDPより少ない(2014年度)。国債 発行には余力があり、財政が破産することはない。これは、純債務 論と言っていいでしょう。 (4)わが国は、対外資産を904兆円ももっている。一方、対外負債 は577兆円に過ぎない(日銀資金循環表:16年6月)。対外純資産が 327兆円もある国が、財政破産するわけがない。これは、対外純資 産論です。 (5)国債の金利は、現在、8年債までがマイナスで、10年債が0. 039%である。30年債の金利も0.599%にすぎない(財務省 国債金 利:16年11月)。 国債の金利の低さは、国債の信用が厚く、金融機関が欲しているこ とを示す。今後も、国債はいくらでも発行できるから、財政は破産 しない。これは、国債ゼロ金利論と言っていいでしょう。 本書では、これら全部の論に対し、根拠を挙げて検討を加えていま す。結論は、右記の期間での破産確率は、70%程度ということです。 30%は、日銀が市場の実勢を無視して、金利を低く保つ金融抑圧の 成功です。 日銀は16年10月から、10年債の金利を0%に誘導する、新たな金融 政策を発表しています。これが一般にはなじみのない「金融抑圧」 です。これが成功し、物価が2%程度上がるなかでも金利が上がら ず、0%から1%台の金利が続くとすれば、危機は続いてもデフォル トにはなりません。 ■2.英国での、「金融抑圧」の成功 第二次世界大戦のあと、戦費のため、国債残がGDPの2.5倍だった英 国で、イングランド銀行がとった、金利0.5%に抑える政策が、こ の金融抑圧です。GDPの2.5倍の国債があると、金利が2%に上がる と財政が危機になり、3%では破産するため、国民生活の貧困とい う副作用を出しても、金利を下げ続けたのです。 当時の英国のGDP比2.5倍の債務は、現在の日本と同じです。 金融抑圧された通貨は、金利が理論的な均衡値より低く保たれるた め、戦後の英国ポンドのように、価値(購買力)を下げ続けます。 戦後は1000円だった英国ポンドは、まず800円に下がり、1975年に は500円、90年は250円と下げ続けています。2010年代は125円付近 です。(注)17年1月は141円。 結局、金融抑圧後のポンドは、円に対しては、1/8に下がったので す。これは、英国民の所得と金融資産が、円から見れば1/8に下が ったことと同じです。 1ポンド1000円のときは、米国経済のように大きかった英国のGDPは、 現在209兆円であり、日本の40%でしかない(2016年)。GDPは、世 帯と企業の所得でもあります。 ■3.金融抑圧が成功した結果の、所得と社会保障費 日銀の金融抑圧が成功すれば、ポンドのように、円は長期下落を続 けます。これは、物価と金利の関係から明白なことです。 通貨が下がり続けると、輸入物価が上がるコストプッシュ型のイン フレが続き、戦後の英国のように、実質的な、国民の所得と社会保 障費が下がり続けます。 計算すると、所得・年金・医療費・公務員報酬の実質額が、財政破 産のときと同じ結果になります。実質所得は〔名目所得-物価上昇 〕です。 所得や社会保障の支給額が同じでも、物価が2%上がり続ければ、 10年で22%、20年では48%、所得が減ることと同じです。 (1)財政破産のときは、年金(56兆円:16年)、医療費(38兆 円)、公務員報酬(地方と合わせて約35兆円)は、現在の給付額か ら、20%から30%の削減が必要になります。 (2)物価が2%や3%上がるなかで、金利を0%から1%台に維持す る金融抑圧をとると、10年後の所得、社会保障費、公務員報酬は物 価を引いた実質では、22%から34%減ることになります。金融抑圧 とは、所得の実質額を減らすことだからです。 この結果、 ・財政破産のあとの歳出の、必要な削減と、 ・金融抑圧によって生じる実質所得の下落分は、 実質額では同じという驚くべきことになるのです。 (注)なお、金融抑圧によるインフレが2%とマイルドでも、政府 債務の実質額も、10年で22%、20年では48%減少します。これが、 戦後のイングランド銀行がとった政策でした。 ■4.インフレ目標2%の意味 日銀がかかげているインフレ目標の2%は、金融抑圧によって社会 保障費(年間116兆円)と政府負債(1277兆円)の実質額の減少を 狙ったものであることがわかります。 ケインズは、『一般理論』のなかで「人々は名目所得が減ることに は、強く反対する。しかしインフレにより、実質所得が少しずつ下 がることは容認する」と言っています。 異次元緩和が目標にしている2%のインフレは、実質所得、社会保 障、政府債務の、同時削減です。デフォルトの場合は、金融抑圧で、 長期で生じる結果が、2年くらいの短期で起こります。 11章で詳述するように、円安が生じ、国債の損が300兆円(-30%)、 地価で500兆円(-30%)、株価で150兆円(-30%)、合計で950兆 円の資産価格の下落が想定できます。 ただし、これは資産の評価額の低下です。戦争での物理的な破壊と は違い、建物、住宅、土地、工場、店舗、オフィス、街、そしても っとも貴重な自然は、現在のまま存続します。 資産の下落も、1990年からのバブル崩壊の資産損(土地で1000兆円、 株価で400兆円)より小さい。資産損は、08年のリーマン危機の米 国並みです(損失1000兆円)。 ■6.・・・3年で回復 しかし、人々の心理ショックは大きい。このため、資産の下落は オーバーシュートしますが、「約3年をおいて回復する」というの が人類の歴史です。 傘の準備をすれば、慌てることはない。恐慌には底があり、底から はリバウンドします。財政破産のときも、底抜けになり続けること はないからです。 ハイパーインフレになるという人もいますが、これもない。戦争後 のように、生産力の50%以上が破壊された経済の中で、マネーが 100倍以上供給されないと、ハイパーインフレは起こりません。た だし、通貨安による輸入物価のインフレは起ります。 財政破産と金融危機、その結果の資産バブルの崩壊は、いつも、経 済での世代交代を促(うなが)してきました。ほぼ60%の人は保有資 産(株価と不動産)の下落で損をします。しかしこれから資産をも つ、あるいは買うべき40%の人にとっては、50年に一度もない機会 が訪れます。 ロスチャイルド家は、近代化(資本主義)の200年、数十年サイク ルで繰り返した恐慌を機会と見て、理論値のはるか下にさがった資 産(株式、国債、不動産)を買い、その後の回復期に資産を膨らま せています。 「羊は太らせて食え」というのが、その方法です。バブルの頂点と 見たときに売り、皆が逃げだした底値で買う。万古不変の鉄則です。 これができる理由は、株や不動産で損をした人が、明日しか見てい ない恐慌のなかで、5年先を見ているからです。 (注)ロスチャイルド家が、FRBと米欧の大手銀行の、株式の所有 を通じて、支配している金融資産は2000兆円と言われます。 例えば、三菱UFJグループも、293兆円のマネーを支配しています (16年9月:IR)。2000兆円も荒唐無稽ではないことがわかるでし ょう。平均年率5%の利回りを200年続ければ、1万7292倍に膨らみ ます。金融資産は、ロスチャイルド家が活動した200年、GDPの成長 率より高い平均5%では増えてきたからです。これが、資本増殖の 秘密に見える複利効果です。平均年率5%での運用なら、いつの時 代も可能です。 多くの人は、恐慌のときは、恐怖から資産を手放します。歴史を長 期的に見るロスチャイルド家は、暴落は常にチャンスとみて、売る 人から感謝されつつ買い漁ってきたのです。 なおロスチャイルド家が、いつも「陰謀論」のなかで語られるのは、 活動を架空のことと思わせるために、自身も意図したことでしょう。 ■7.生涯に二度はない、資産作りのチャンスが来る 2018年から2021年には、その後の経済を想定できる人々にとって、 生涯に一度のチャンスが到来するでしょう。暴落のさなかでは、ほ とんどの人には、奈落に沈むと思えるため、資産価格(株、不動産、 証券)は、均衡価格をはずれて下がるからです。 直近では、08年のリーマン危機、その前は2000年のIT株バブル崩壊、 更に10年前は、世界で最大規模のわが国の資産バブルの崩壊、その 10年前が基軸通貨のドル危機があり、その7年前は石油危機でした。 資本の利益がGDPの成長率より大きな、資本主義経済の宿命である 長期循環を指摘したのは、ソ連から追放された、コンドラチェフで した(1992-1938)。 追放された理由は、恐慌のあとの共産主義ではなく、資本主義の再 興を発見し、事実と論理に基づいて書いたからです。コンドラチェ フが発見した、40年から60年のサイクルで言えば、2010年代は、戦 後の技術革新の底の時期です。 1913年にFRBが作られたあと、恐慌は、中央銀行のマネー増発によ り防ぐことができるとされていました。しかし、政府の債務が大き すぎた戦後の英国と現在の日本には、金融抑圧の継続の結果、政府 信用も示す通貨が下がって、1992年のポンド危機のように、国債の 下落(英国債価格が50%下落:金利は15%)も激しくなるため、マ ネーの増発は適用できません。 (注)米国のリーマン危機は、FRBの4兆ドルの増発(3度のQE)で乗 り切りました。これは、原因が銀行の信用縮小だったからです。政 府の財政信用が下がって、国債のCDS(保証保険料)が上がる財政 危機とは、原因が違います。 ■8.2022年からのAI産業革命 次の技術革新は、2022年ころから、産業に広範囲に導入される人工 知能(AI)です。この革新は、18世紀の蒸気機関のように、大きな ものになるでしょう。 【1人あたりに換算したGDPとは】 GDPは一人あたりに換算すれば、〔実質GDPの増加(%)=1人あた りGDPの増加(%)+労働人口の増加(%)〕です。 わが国では、1995年から2050年まで、働く世代である生産年齢人口 (15歳~64歳)が、年率1.0%で減り続けることが確定しています (国立人口問題研究所:出生率中位モデル)。 1人あたりの実質GDP増加は、1980年代が3%でした。90年代は1%、 00年代は0.5%付近です。AIの導入を加味しない限り、〔実質GDPの 増加=1人当たりGDP(0.5%)+労働人口(-1%)=-0.5%〕でし かない。 (注)マクロ経済の予測(SNA)では、技術革新の要素は、不確定だ からという理由で、普通は入れません。この式が、日銀が、日本の 潜在成長力(2016年)は0%付近と言っている根拠です。 2015年現在、3.7兆円(GDPの0.7%:15年)でしかないAI市場は、 15年後の2030年に、87兆円の累積市場になると予想されています。 年間平均で5.8兆円(GDPの1%)の、AI市場が誕生することを意味 します。 24時間休まず、人間の3倍は働く500万円のAI機器が、1500万円分 (3倍)のGDP生産性を上げると、低めに仮定します。年5.8兆円の AI導入が、17.4兆円(3.4%)のGDPを上げます。 これは全体にとっては、人的な労働のほぼ3%の増加とおなじです。 日本は米国のような移民は受け入れず、AIと人工知能のロボットを 入れることになります。 このため、上記の式は、以下になります。 〔実質GDPの増加=1人当たりGDP(0.5%)+労働人口(-1%)+AI 導入率(3%)=2.5%〕 1980年代の1人あたり実質GDPの増加率(年率3%)よりは低い。し かし、働く人が1%減るなかでの、実質GDPの2.5%の増加ですから、 1人あたりの実質所得では、3.5%増です。80年代より高い個人所得 の増加率になります。 2020年代のインフレを、政府と日銀がいう2%とすれば、1人あたり の平均名目所得では、5.5%という高いものになります。これは10 年先に、1人あたり所得で70%増が実現する社会です。 【1人あたり所得での、高度成長】 1960年代の戦後復興だった、高度成長期に匹敵します。平均で5.5 %増の場合、上位20%の人は、年率8%以上、10年で2.2倍の所得増 になるでしょう。 本書では、70%の確率の財政破産、30%の確率の金融抑圧による停 滞のあと、2022年からは、AIによる高度成長と、AI時代の経済、産 業、生活のイメージを構想して書いています。 未来を予想しながら行動する性質をもつ人間は、未来を目的に、永 遠の現在を生きています。現在はけっしてわれわれの目的ではない、 過去と現在は、われわれの手段であり、未来のみが目的であると言 ったのは、17世紀の哲学者パスカルでした。 2025年ころから、日本の至るところで「覆(くつがえ)された宝石の ような朝(西脇順三郎)」が来るでしょう。 本書が、多くの人に読まれることを希望しています。AIの導入が早 まり、経済成長に拍車がかかることにもなるからです。 * 「はじめに」からの抜粋です。410ページと分厚く、普通の単行本 の約1.5冊分ですが、1900円です(税込み2052円)。アマゾンや楽 天にも出ています。大手の書店では、平積みになっていると聞いて います。 財政破産からAI産業革命へ 日本経済、これから10年のビッグ・シフト(アマゾン) 電子書籍(Kindle等)も出ていて、1590円です。キンドルの専用端 末だけではなく、アマゾンでソフトを無料ダウンロードすれば、ご 自分のPCの画面で、快適に読むことができます。当方も最近は、キ ンドルで電子書籍を買うことが増えています(まだ30%くらい)。 編集部により、帯には、「2018年から2021年、経済の勝者となる生 涯に一度のチャンスを見逃すな」と帯に書かれています。なるほど、 内容から、こういった見方があると自分自身でも気がついたので、 載せます。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲で、あなたの横顔情報があると、今後のテー マ 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