(1)日銀がETFを買う手口 (2)大地震の確率
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こんにちは、吉田繁治です。前号の<世界金融は2015年内に再来す
るのか>の3号のシリーズの中で、官が管理するマネーでの、株の
購入を書いています。

「4頭のクジラが、株のプールで泳いでいる」とも言われます。
4頭とは、
・最初が日銀、
・次はGPIF(公的な年金基金)、
・今後は、ゆうちょ銀行、そしてかんぽ生命保険です。

*本稿は、有料版では臨時号にしています。二重に届いた方には、
お詫びします。

▼株価への、官の巨大介入:株式市場の4頭のクジラ

日銀が、株価指数であるETF(Excange Traded Fund:上場投資信
託)を買い始めたのは、リーマン危機後、株価が下落していた
2010年でした(日経平均で1万円付近)。

当初の買い枠は1兆円でした。開始後3年経った2013年6月には、保
有額が2兆円に達していました。ETFが、ほぼ2倍に上がったためで
もあります。

2014年10月末に追加緩和を発表した日銀は、同時にETFの買い枠を、
それ以前の3倍の3兆円に増やすとしています。

本稿では、日銀が、どういったタイミングで、いくら買って来たの
かわかったことを示します。

目的は、今後、日銀、GPIF、そしてゆうちょ銀行による株ETFの買
いが、どういった形になるかを見るためです。GPIFとゆうちょ銀行
の株ETFの買いは、日銀の方法を見習うからです。

(注)日銀は、14年10月以後は、年間3兆円の枠でETFを買い続けて
いて2015年5月で、保有株の残高は6.3兆円に増えています。月間で
7兆円平均の国債の買い増しとともに、月間平均で2500億円くらい
の株ETFの買いを続けています。

・日銀の国内株の買い枠は3兆円/年、
・GPIFは、資産構成で25%としている国内株の買い枠の残りが7兆
円、
・ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険では、ほぼ10兆円の国内株の買い
枠が予想できます。
(注)ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は、国内株の買い枠をまだ公
表していません。

200兆円の管理資金量を持つゆうちょ銀行と87兆円の資金量である
かんぽ生命保険は、2015年の秋に、株式を上場し、公開する予定で
す。かつての、民営化されたNTTのようなイメージです。

2015年は、ゆうちょ銀行までに至る、官の巨大な買いが想定できる
ため、年末の日経平均では、2万6000円水準を予想しています。
2015年6月5日の日経平均(午前中の前場)は2万400円です。

ただし、官の資金での買いは、市場による株価の形成を大きくゆが
めるものです。その買いが終わった後の、下落も予想できます。

日銀による国債の大量買いと同様、本来、こうした介入は行っては
ならない。

しかし、2014年4月に異次元緩和を開始した後の政府は、「2%のイ
ンフレ目標達成ためなら、何でもあり」になっています。

異次元緩和とこの官の資金による株の大量購入の異常さと、必ず来
る出口政策のときに生じる問題を指摘するエコノミストは、ほとん
どいません。(注)数名は存在します。

▼大地震の確率ついて

もうひとつのテーマは、巨大地震が起こる確率です。先の5月30日
に、東京から小笠原列島の海域の深いところでマグニチュード8.1
という巨大地震が起こっています。その5日前の5月25日には、関東
で震度5弱の地震がありました。

箱根山(大涌谷)では、一時より弱まったとはいえ、地中の水蒸気
の噴出が続いています。鹿児島県の口永良部島(くちのえらぶじ
ま)では、大噴火以来1週間たちました。ニュース報道は少なくな
りましたが、火山活動は強まっています。

日本列島の地下深くが、何だか変だと感じられている方は多いでし
ょう。大地震の予想確率の上昇を受けて、地震保険の保険料は、昨
年に続き、今年も19%程度上がります。

政府の公式予想では、太平洋岸の南海トラフで、マグニチュード8
~9クラスの巨大地震が起こる確率は、「30年内に70%」とされて
います。この数値は、おそらく80%以上の人は、知っています。

しかし30年内に70%という確率は、とてもイメージがしにくい。

例えば30年内には、鉄筋の建物までを吹き飛ばすような、かつてな
い超台風が、70%の確率で日本を襲うという予想があっても、30年
という長い期間のため、想像ができなくなってしまいます。

普通、人が予想の範囲に置くことができるのは、長くても5年でし
ょう。いや3年がいいところか。1年ならはっきりします。30年に
70%というこの確率は、1年では何%か、3か月では何%にあたるの
かということです。


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<Vol.329:1.日銀がETFを買う手口 2.大地震の確率>
        
         21015年6月6日:無料版

【目次】

1.「ETF」とはどういった証券か
2.日銀によるETFの買いの手口
3.市場の指値(さしね)の売り板と、買い板
4.投資家主体別の売買では、証券会社の自己売買に入っていた
5.日銀による、ETFの買いの時期と金額

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■1.「ETF」とはどういった証券か

日銀は2014年10月に、それまでは1兆円の枠としていた株ETFの買い
を、3兆円に増やすと表明しました。

2015年6月時点で、残り枠の残りが7兆円と推計されるGPIF(年金積
立金管理運用独立行政法人)の株の買いとともに、この日銀による
ETFの買い増しが、2万円を超えた日経平均の原因です。

▼株価は、他人の予想の予想で動く

株価は、「多くの人、どう予想するかを予想すること(他人の予想
の予想)」で動きます。ケインズが見事に言った美人投票論です。
美人投票の、誰が1位になるかで勝つには、「皆が誰を美人と思っ
て投票するか」を予想せねばならない。自分が美人と思う人ではな
い。他の多くの人が誰を美人と思うかという予想です。

[2つの情報]
(1)日銀がETFの買い枠を、1兆円から3兆円に増やした、
(2)GPIFが、137兆円の運用資金のうち25%(34兆円)を国内株に、
25%を海外株に振り向けることを決定した。

[他人の行動の予想]
この2つが、2014年10月末の「サプライズ」でした。この情報によ
って、日本株は。買いが増えて上がると予想する人が増えるだろう。
買いが増えれば上がる。従って、われわれは、日本株を買い増すと
いう決定をしたのが、英米系ヘッジ・ファンドです。2015年に2兆
円を買い増しています。外人買いも加わって、年初の日経平均1万
7000円は、2万円水準(15年4月末)に上がったのです。

日銀やGPIFは、個別の銘柄を買うのではなく、株価の指数である
ETF買います。ETF(Excange Traded Fund)は、わが国では2001
年に導入された、株価指数に連動する仕組みの上場投信です。

日本の東証では、証券会社によって、それぞれにグループ化した株
や金を対象に40種くらいが売られていて、株価のように日々変わる
価格がついています。

(注)Excange Tradeは市場で売買するという意味であり、ETFは
市場で売買される債券(ファンド)という意味を持ちます。

わが国でもっとも大きなものは、野村証券が作っているTOPIX(東
証株価指数)に連動するETFです。時価総額が2兆7292億円です(6
月5日)。東証1部に上場している1891社の株価の、加重平均です。
日経平均は、対象225社の株価を合計して割った単純平均ですが、
TOPIXは、時価の大きさに比例させた平均です。
http://www.nikkei.com/money/fund/etflist.aspx

ETFには、現物拠出型と、リンク債型の2種があります。

【(1)現物拠出型ETF】
現物拠出型では、ある人が、例えば1億円の「TOPIX連動型ETF」を
野村証券(指定参加者という)に申し込むと、野村証券は、その1
億円を運用会社に払い、TOPIXの構成割合で現物株を買って、1億円
分のETFを合成するよう委託します。(注)ETFも現物(株式)から
派生したデリバティブ証券と言えます。

このETFが買われると、東証の株全体が1891社の時価総額の構成比
に応じて、買われたことになります。野村証券は、ETFの持ち分を
示した「受益証券」を受け取ります。受益証券は、ETFを買った人
の所有ですが、普通、証券会社に預けます。ETFは、株のようにい
つでも売買でき、配当もあります。

日経平均225社で構成したETFもあります。米国株の全体(99%)を
示すラッセルのETF(1000社、2000社、3000社)も日本で買えます。
金ETFや中国(上海)を含み、世界中のETFが買えると言っていい。
ただし、日本ではまだ、ETFの利用者は少ない。

現物拠出型のETFでは、その構成割合で、個別の株が売買されるの
で、ETFの価格は株価指数と一致します。個々の株からの配当もあ
ります。

価格が下がると、その下げの2倍が利益になるETFもあります。
(TOPIXベア2倍上場投信)

【(2)リンク債型ETF】
リンク債型ETFでは、現物株の拠出は行わず、USB(ユニオン・バン
ク・オブ・スイス)のような信用の高い金融機関が、現物株の指数
と100%連動するように保証した証券です。USBが発行する株価指数
に連動した社債と考えてもいいでしょう。現物の拠出が難しいとき、
このリンク債型ETFが作られます。

リンク債型ETFは、発行会社の信用に依存します。仮にUSBが倒産し
たちとき、USBが発行したリンク債型ETFがどうなるか定かではない。

日銀が買っているのは、現物拠出型の、国内株で構成したETFです。

【日経平均ベア2倍上場投信】
日経平均の価格が下がると、その下げの2倍が利益になるETFもあり
ます(日経平均ベア2倍上場投信)。

日経平均の価格は、傾向として上がっているので、日経平均ベア2
倍上場投信は、上がった価格の2倍下がっています。現在の価格指
数は6330でした。下がればその下落の2倍が利益になるように仕組
まれた証券は、株価が上がったときは2倍の損をします。ベアは弱
気という意味です。
http://www.nikkei.com/markets/company/index.aspx?scode=1360

【ETFの価格】
株もETFも、1週間後に上がるか下がるか、その確率は常に50%:
50%で等価です。(注)ランダム・ウォークと言う。

しかし今回のように、官の資金での買いが連続し、その金額が大き
いことが確定しているときは、過去の売りの傾向である限り、株価
は上がります。ETFも、日経平均やTOPIXと同じ分、上がります。

【4頭のクジラによる官製相場】
官製相場では、
・巨大な資金で買い続ける限りは上がり(あるいは下がらず)、
・買いを減らして止めるとき下げるという性格をもっています。

政府・日銀は、消費者物価の上昇が2%になるだろうというメドが
つくまで、官の資金による株ETFの買いを続けると明言しています。

これを考慮すると2016年のほぼ6月までとなりますが、予想PERで
22倍以上に上げすぎると、その後のバブル価格の崩壊が大きくなる
ので、日経へ金で2万5000円くらいからは、買いにブレーキがかか
ると判断しています。

■2.日銀によるETFの買いの手口

【後場で、するすると上がる】
しばらく前から、「前場(午前中)に、1%くらい下げると、後場
は、どこからともなく買いが入り、するすると上がり始める」と言
われていました。

確かに、午前12時までに日経平均が150円(1%)くらい下げ、今日
は、300円(2%)は下げるかみ知れないと思っていると、逆に150
円くらい上げることが多かったのです。この原因は、日銀のETFの
買いの発動だったのです。

【日銀の、ETFの買いのルール】
・前場の日経平均が1%下げると、後場の買いを入れる。
・買い付けの時間は、後場が始まった直後の午後1:15分。
・金額は1回約360億円。

2013年までは、前場が1%下げると、ほぼ100%の確率で、日銀が
ETFの買いを入れていました(1%ルール)。住友信託銀行に、その
指示を出していたものと思われます。官僚らしい方法です。証券会
社は、受託している住友信託銀行の、ETFの売買を注目していたの
です。

当初の1%ルール(日経平均で150円)は、2014年から0.3%(60円
くらい)下がったとき買うと、変更されています。株価の水準が2
倍に上がると、上げるのに必要な資金も2倍になるからです。

この筋で言えば、2014年10月末に、日銀がETFの買い枠を3兆円と3
倍にした理由がわかります。

株価が、日経平均で言うと2012年まので8000円から2万円に近くな
って、同じ額で上げるのに、2倍や2.5倍の資金投入が必要になった
からです。
http://www.skam.co.jp/files/topics/15951_ext_02_0.pdf

▼買うのは官と外人、売るのは個人

東証の売買額は、多い日で3兆円、少ない日は2兆円です。

売買の2兆円は、買いが1兆円、売りが1兆円です。この売買額の約
70%(7000億円+7000億円)は、外人投資家(英米系のヘッジファ
ンド)による売買です。

日銀が参加しないとき、均衡している売買(売買額の一致)が、午
後に360億円の余分な買いが入るとどうなるか? ETFの買いは、そ
の中の構成比での、現物株の買いです。

「売り板」に出ている指値(さしね)の、高いほうに価格がつきま
す。

■3.市場の指値(さしね)の売り板と、買い板

株式市場では、売り板と買い板で、一致した価格で売買が成立して
その売買の価格が、刻々と変化する株価になっています。

[単純化した売り板と買い板]
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[売り板のオファー] 1万5000円  1000枚
           1万4950円  1000枚
           1万4900円  1000枚
[買い板のオファー]   
           1万4850円  1000枚
           1万4800円  1000枚
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(注)価格幅を持たせない「成り行き価格」での買いは、売りの指
値がいくら高くても成立します。成り行きの売りは、買いの指値が
いくら安くても整理します。

以上の状況のとき、売りがない1万4850円では、買いが成立しませ
ん。1万4900円での買いをオファーすれば売りに出ている1000枚を
買うことができます。このとき、そのETFの価格は、1万4850円から
1万4900円に上がります。

更に高い1万4950円の指値をすれば、あと1000枚を買うことができ
ます。相場は1万4950円に上がります。

こうしたものが、日銀のETFの、金額を決めた買いです。前場で1%
下がったとき、売りの高い指値のものを買う目的で、360億円の買
いを入れていたのです。

国家・地方公務員の年金基金と、国民年金・厚生年金の基金(保険
料のストック)を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政
法人)の株の買いは、信託会社を通じるものです。

東証が、毎週公表している「投資家主体別売買」で、信託銀行(信
託銀と表示)の買い超が増えた週は、年金基金からの、相場支えと
上げのための買いが入ったと判断できました。

■4.投資家主体別の売買では、証券会社の自己売買に入っていた

投資家主体別売買は、安藤証券が、毎週のものを、見やすく集計し
ています。
http://www.ando-sec.co.jp/market/movement.html


▼証券会社の自己売買への疑問

投資家主体別売買で、当方がわからなかったのが、証券会社の、大
きくなった自己売買が、誰による売買かということでした。(たぶ
ん日銀と推量はしていましたが・・・)

証券会社が、自己資金や、銀行からの借金で買ったものは、ほぼ3
か月内に売り、売買額は均衡するはずです。

ところが2014年、2015年と、証券会社の自己売買での買い超が、
4000~5000億円規模に超過する週が増えています。この原因がわか
らなかった。

【住友信託銀行を経由して、証券会社の自己売買になっている】
調べると、案の定、日銀のETFの買いが反映したものでした。日銀
は、ETFを買うときは、住友信託銀行に注文を出しています。住友
信託は、日銀によるETFの構成比での現物株の買いを、証券会社に
委託します。証券会社は、ETFで日銀が買った分、現物株を買うこ
とになります。

それが投資家主体別売買では、証券会社の自己売買に含まれていた
のです。

証券会社は、売買の主体を秘密としています。特に、情報をもつ証
券会社の、インサイダーが絡む恐れが高い自己売買は、「奥の院」
です。

なお、インサイダーと見分けがつかない証券会社の自己売買は、コ
ンピュータプログラムでミリ秒単位の取引をする超高速取引(HFT
:High Frequency Trading)とともに、市場の価格形成をゆがめる
ので、禁止すべきと考えます。

ところが、東京証券取引所は、取引が大きくなれば手数料が増える
ので歓迎しているのです。

【直近の、証券会社の自己売買】
日経平均が2万円を超えて上がった、2015年5月の、証券会社の自己
売買を見ると、
・1週 487億円の売り超
・2週1486億円の買い超
・3週2827億円の買い超
・4週 855億円の買い超です。

これが、日銀のETFの買い超に相当しています。

この5月の3週には外人投資家が4260億円を、4週には3964億円を買
い越しているのです。日経平均が2万円を超える中で売っているの
は、700万人の個人投資家です。5月の3週は5849兆円の売り超で、
4週も4643億円の売り超です。

【売買のパターン】
売買のパターンは2010年以降、同じです。
・株価が上げるとき=自己売買、または外人の買い超→個人は売り
超
・株価が下げるとき=外人投資家の売り超

(注)外人投資家は、ほぼすべて、世界に50ヶ所のタックス・ヘ
イブン(租税回避地)からの売買です。その主体は、投資家からの
預託を受けて、ポートフォリオ運用するヘッジ・ファンドです。ヘ
ッジ・ファンドは、金融機関と富裕者を対象にした私募の投資信託
と言ってもいいものです。

日本の個人投資家(約700万人:口座数は4000万)は、
・2012年1.9兆円、
・2013年8.7兆円、
・2014年3.6兆円、
・2015年(1月~5月)4.1兆円と、
この3年半で18.3兆円も売り越しています。

個人投資家は、外人投資家の次に売買額のシェアが大きな主体です。
これが1か月平均で4400億円、週平均で1000億円も売り越しを続け
ています。買い越したのは、2015年1月の3522億円だけです。株価
が上げると逆張りで売ることを続けています。

【金融機関も売り超】
日本の金融機関(銀行・生保)も、売り超を続けている点で個人と
同じです。銀行と生保は、1990年代まで、株式所有シェアがもっと
も大きかった。保有の最大シェアは外人投資家に振り替わっていま
す。

個別株で言うと、外人持ち株比率は。ほぼ30%付近ですが、50%を
超えたところも多い。例えばソニーは57%です。

繰り返せば、買い超の主体は、
(1)ETFを買う日銀、
(2)公務員年金の基金、
(3)公的年年金の基金(GPIF)、
(4)そして外人投資家です。

買って上げているのは、外人投資家と官のマネーです。
売って下げるのは、個人投資家と、金融機関(銀行、生保)です。

この単純な売買の構造が、2年半前から株価を2.5倍に上げたわが国
の株式市場です(日経平均8000円→2万円水準)。

■5.日銀による、ETFの買いの時期と金額

日銀がETFの買いを開始したのは2010年12月の142億円でした。その
時から現在で、ETFの買いを、週単位で公開しています。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_etf.htm

2013年度以降の、買いを月別に示します。2014年10月までは年間購
入が1兆円枠(1か月平均833億円)で、2014年11月以降はその3倍の
3兆円枠(1か月2500億円)です。

日銀のETF買いは、売りがなく、買いの一方です。このため、日銀
がもつ株ETFは、2015年5月末で6.4兆円に膨らんでいます。

▼日銀のETFの買い:2013年~2015年5月実績

     2013年  2014年    2015年
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1月   227億円  1104億円   3443億円
2月   238億円   866億円   1322億円
3月   574億円   949億円   2464億円
4月   1266億円   696億円   2555億円
5月   752億円   476億円   2166億円
6月   990億円   390億円 (毎月2500億円平均)
7月   744億円   720億円     ↓
8月   1664億円  1276億円     ↓
9月   1056億円   438億円
10月   917億円  1323億円
11月   485億円  1900億円
12月   1456億円  2244億円
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    9617億円  1兆2382億円  1兆9950億

【2013年の方法】
2013年は年間ペースで1兆円の枠で、月平均800億円くらい買ってい
ます。1回の買いが150~200億円くらいでした。少ない月で2回から
3回、多い月は5回から7回くらい買っています。2014年10月までは、
以上のような買いのペースでした。

日経平均で、前場に1%(約150円)下がると、後場の1時15分ころ
から、「どこからともなく買いが入って、するする上がる」という
動きになっていました。日銀が1回当たり150億円から200億円の買
いを入れていたからです。

2013年は、外人投資家(ヘッジ・ファンド)が、年間で15.1兆円
(月平均1.26兆円)の日本株を買い越し、日経平均をほぼ2倍の1万
6000円に上げた年でした。この2013年でも、日銀は、下がる日には、
ETFの買いを入れていたのです。

【年初を下回っていた株価:2014年】
2014年1月の年初の日経平均は1万6147円でした。5月末は1万4632円、
8月末は1万5454円、9月末は1万5708円と、年初を下回っていました。

【外人投資家の買い増しの停止があった】
原因は、前年に15.1兆円も買い越した外人投資家が、2014年1月か
ら10月までは、6037億円の売り越しに転じたからです。

【公務員年金による買いの出動:2014年5月~】
このため、2014年5月からは、公務員共済年金、私学共済年金、
GPIFが、信託銀行を通じて1か月に6000億円くらいを買い越して、
株価を上げていたのです(投資主体別売買)。

実際、2014年1月以降、日経平均で1万4000円を割ろうとしていた時、
買い支えて1万5000~1万6000円に保ったのは、公務員共済年金によ
る買い増しでした。

(注)2014年5月から12月までで、信託銀行を通じた買い越しは2兆
7000億円になっています。月間平均で3400億円の買い越しだったの
です。

【2014年10月末の、日銀の決定】
2014年10月末には、日銀は「国債を1年に80兆円買い増す追加緩
和」ともに、ETFの年間の買い枠を、3倍の3兆円に増やす発表をし
ています。

理由は、2014年の株価の上昇が、はかばかしくなかったからです。
買い枠1兆円/年では、株価を上げるに足りないと見て、3兆円の枠
に増やしたのです。1か月平均で2500億円、1回では360億円の買い
です。日銀は売ることがないので、買い一方です。

上表を見ると、2014年11月から、月2500億円をメドとしたETFの買
いになっているのがわかります。

現在のルールは、
・前場で0.3%(60円)くらい下げると、
・後場の13:15分から360億円のETFの買いを入れて、株価の下げを
止める。または上げることです。
(注)8000円の時期に比べて、株価は2.5倍に上がっているため、
買い支えや上げるにも、2.5倍の資金が必要です。

【日銀の買いに、GPIFも加わった】
日銀のETF買いに、14年11月以降、GPIFによる買いが、加わってい
ます。残った枠は7兆円です。

1年で使うには大きすぎる枠ですが、これからの1年で使うとすれば、
毎月5800億円の買いになります。日銀2500億円と合わせると、
8300億円/月です。

向こう12か月のペースでは〔8300億円×12か月≒9.96兆円〕
ほぼ10兆円/年です。今後、年間10兆円ものETFの買いがあると、日
経平均は、現在の2万円水準が、少なくとも2万4000円には上がるで
しょう。

【更に、ゆうちょ銀行の、想定枠が10兆円】
200兆円の資金を運用しているゆうちょ銀行も、日銀に国債を売っ
て入ったマネーで、国内株の買い10兆円、米国株の買い10兆円とい
う枠をつくる感じです。

こうした官の資金の投入は、「消費者物価の上昇目標2%を達成す
るための金融政策」の一環とされています。日銀と財務省は、是が
非でも、消費者物価が2%上がるマイルドなインフレ経済にもって
ゆく。このための株式の購入とされているのです。

ゆうちょの銀行の想定枠10兆円の買いが、
・日銀のETFの買い(月間2500億円平均:決定分)と、
・GPIFの買い(5800億円想定分)に加わると、
株価の上げは一層大きくなって、2015年末には2万6000円に上がる
感じがしています。

官の公的資金での、株の買いを停止するとき、あるいは停止の発表
をするとき、株価の大きな下落が予想されます。それが、いつか?
 

そこまでは、政府と日銀は考えていないでしょう。株価を上げ、イ
ンフレ目標2%を達成するまでの想定しかないのです。日銀のもっ
と新しい予想では、物価目標2%の達成のメドがつくのは、2016年
会計年度の初旬(2016年5月ころ)とされています。 

日銀の予想に基づけば、来年の2016年5月までは、異次元緩和と、
株価への介入を続けることになります。波乱要因は、FRBの利上げ
の時期です。2015年9月説、12月説、2016年春という3つの説があり
ます。

大地震の確率については、紙幅がなくなりましたので、次号としま
す。


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【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。
                              以下は、項目の目処です】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点、ご意見はありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ
と記述のとき、より的確に書く参考になります。

気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考にもなり、
うれしく読んでいます。時間の関係で、質問への返事や回答ができ
ないときも全部を読み、共通のものは記事に反映させるよう努めま
す。
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<766号:信用創造についての「新説」(1)>
   2015年5月6日

【目次】

1.民間銀行によるマネーの創造は、貸付金の増加として行われる
2.銀行による信用創造(つまり貸付)が、マネー・ストックを増や
す
3.貸し出したお金は、支払いに使われるので、銀行預金の増加には
ならないのではないかということについて
4.日銀が量的緩和をしても、銀行の貸出が増えていない理由につい
 て
5.投資の期待ROIがとても低い

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<767号:信用創造についての「新説」(2)>
    2015年5月13日

【目次】
1.日銀が、信用創造して増発できるマネーはベース・マネーである
2.ベース・マネーとマネー・ストックは区分しなければならない
4.異次元緩和の、プラス効果がない
5.円安になった理由
6.円安による上場企業の利益の上昇が、株価を上げた
7.株価の時価総額の意味
8.GPIFの、新しいポートフォリオ(運用の枠)
9.GPIFの株買いは、100%の確率でのリスクがある
【後記】

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くなった。」との問い合わせが、当方にも多いのですが、ほとんど
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開き、登録していた旧アドレスとパスワードでログインして出てき
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