金価格高騰への根拠(2)中編
This is my site Written by admin on 2023年12月17日 – 12:00
政治資金の不記載問題で、岸田内閣と国会が激震に見舞われています。
派閥のパーティー券収入のノルマ超過分を、個人の政治資金の収支報
告書(総務省に提出)に記載しない「裏金」になっていたというもの
です。これが、もっとも単純な手法です。

辞任した西村経産大臣の、1年に約10回から20回、一回平均が700万円
くらいの企業献金を集めていた「架空パーティー」という方法もあり
ます。都市センターホテルに会議室を借りて看板だけを出し、経産省
職員10人くらいで講師を招いた勉強会。それをパーティーと称し、名
前の載らない20万円未満になるよう子会社に分けて買った企業からは
参加がない。パーティー詐欺です。企業は、公共事業への関連企業で
すから賄賂です。

推計ですが、与野党を含み時効の5年間で、議員の約半数は、金額に
大小はあっても、工夫した方法で裏金作りを行っていたでしょう。
パーティー券を売っていた議員秘書にも、販売の報酬があったのです。

政治資金不記載問題のもっとも大きな原因は、
・派閥がパーティーを主催し、
・政治家と秘書が販売係として売ってきたことです。

この構造があるかぎり、ノルマを超えたとき現金授受での不正が起こ
ります。本稿では、政治資金の裏金をなくし、裏金での金権政治を解
消する方法を示します。政治改革とは、選挙制度ではなく、派閥のマ
ネーをなくすことです。

(1)派閥主催のパーティーと献金は禁じる。政治家個人への献金は
可とするが、100%の報告義務を課す。

パーティー収入には記帳の義務を課し、20%の分離課税で有税とする。
国民の金融所得と同じ仕組みです。

派閥にマネーが集まる仕組みが、派閥政治の悪弊、及び今回の裏金問
題の根源です。派閥への献金とパーティーを禁じれば、派閥の領主が、
裁量で分配している政治資金がなくなり、派閥問題は解消されます。
政治的主張と、リーダシップによる派閥に変容するからです。

これは、個人献金が主である米国の議員制度に似ています。

ただし、米国には「スーパーPAC」という無記名で金額無制限の政治
献金制度があって、数千億円の贈賄の温床になっています。軍需産業、
エネルギーメジャー、製薬会社、ウォール街金融、メガテック
(GAFAM)は、食料メジャーは、匿名のスーパーパックを使って、多額
の献金をし、議員と大統領を動かしています(ロビー活動とされま
す)。日本には、幸い、この制度はありません。作るべきでもない。
米国のように、中国マネーも巨大に入り込むからです。

実は米国は、日本より激しい金権政治です。スーパーPACは、米国の
頻繁な、戦争の理由になってきたものです。戦争は財政支出の巨大化
であり軍需産業、エネルギーメジャー、食料メジャー、製薬会社、ウ
ォール街金融、メガテックを潤すからです。この米国政治の裏側も、
パレスチナ・イスラエル戦争で終わるでしょう。

(2)政党への政治献金には、政党から個人への分配の報告を100%義
務づける。個人は収入を報告し、使途と領収証を添付する。

派閥の権力は、1)政治資金の分配と、2)人事でのポスト配分、3)
選挙応援をすることから来ています。政治資金のない派閥は、強制権
力を失います。自民党政治の悪弊は、無税のマネー集める派閥から来
ています。「政治資金」といっていますが、これは不適です、無税の
収入です。

(3)党首と幹事長の権力源になっている、1年315億円の政党助成金
は、個人議員に公平に交付する。衆議院465名、参議院248名ですから、
議員1名平均で4400万円。個人議員の政治活動用の資金とし、政治・
政策活動の使途と、その領収証があるものは、無税にする。

貯蓄されたものは、議員所得と会わせた総合課税の対象になる。企業
会計と同じです。これで、党総裁と幹事長の、マネーによる権力源が
なくなります。

(4)企業からの贈賄の源泉でもある、実質的に政治家個人が主催し
ている「政党支部の制度」は、解消する。支部も政党として、献金は
政党に上げなければならない。企業の支店での売上と同じです。

(1)から(4)は、いずれも、経済活動では「当たり前」のことです。

派閥の幹部が、議員支配のマネー権力を失う、もっとも簡単な制度変
更です。岸田首相がこれをやれば、人気は復活しますが期待はできな
い・・・野党は、この3つの主旨で、議員立法を行うべきです。「災
い転じて、福(国民の利益)となす」ことです。大きなスキャンダル
は、政治改革のチャンスを提供します。

世の中の出来事は古くさい格言ですが、「万事、塞翁(さいおう)が
馬」であることが多い。不幸なとき「塞翁が馬」と唱えておけば、事態
は変わることが、当方にも多かった。

起きたことを原因にして変わっていく不確定な未来をいう、中国の知
恵です。「馬が逃げた塞翁(さいおう)が、ある日、立派な馬を連れ
て帰った(幸運)。その馬に乗った塞翁の子が落馬し、脚を折った
(不運)。おかげで兵役を免れ。命を失わずに済んだ(幸運)」

個人を襲ってくる世の中の出来事、あるいは人生の苦境は、次の展開
では、いいほうに転じることも多いという知恵です。

安倍政権の誕生から暗殺まで、そして岸田政権の誕生から現在までを
見れば、まさに人間万事塞翁が馬です。禍福(かふく)はあざなえる
縄のごとしともいう。

◎政治改革とは、選挙制度であるより、派閥政治のマネーの改革です。

衆議院には、無派閥の議員が55人(12%)、参議院には74名(30%)
がいます。無派閥の議員は、派閥に恃(たの)まず、個人支持で集票
する力のある人たちです。これでいいのです。

「派閥解消」は幾度となく言われてきましたが、一向に進まなかった。
しかし派閥の資金源を絶てば、派閥の権力はなくなります。

ところがなぜか、無税の派閥の収入が許容されてきたのです。マネー
権力を失いたくない守旧派の派閥幹部からの、「派閥をなくしたくな
い改革」だったからです。本質に迫らない、世論向けの「茶番改革ご
っこ」は、もう、止めたほうがいい。

今回は、「名目所得から物価上昇を引いた実質所得が減って5公5民の
国民の怒り」は、歴史上最大規模に大きい。国民の多くが、将来の実
質所得増加を期待してないからです。政治家は、ここを見ていなけけ
ればならない。「やっと政治貴族になった」と浮かれることのできる時
代は、完全に終わっています。

しかし野党も、信頼されていません。次の衆院選挙では、既存政党で
はない「色のない成熟した保守系新人」が有望になるでしょう。立つ
チャンスです。

これから約5年間、2回の選挙を経て、自公支配は終わると見ています。
実は、自民党と統一教会の癒着が端緒だったのです。

土木・建築・農業・小売業、宗教団代の、自民党候補と派閥への応援
が政治家を作ってきた条件は、SNSとともに終わっています。

ネットの調査では、自民支持は、約10%です。岸田内閣の支持は11%
です。共同通信では、内閣支持率が17%に落ち、20%という政権維持
の危機ラインの下に下がっています。
(ヤフーニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5b9be36e5688b3f0126c8461761aaced9467f0a/images/007

安倍派の裏金は、東京オリンピックリベートの森元首相(2000-2001
年)から激しくなりました。「上げ底の菓子折り」で動く、土建政治
家であることが知られています。

現在、日本の政治で起こっている騒動も、コロナ危機、ウクライナ戦
争、ハマス・イスラエル戦争と続く世界の転換とつながるものす。

既存の制度(上部構造)が、耐用年数をすぎた建物のように。時代の
嵐で自壊しています。時代の嵐とは、人間の社会の「空気の乱気流」
です。個人の意識ではない、社会の根底を覆す革命です。

◎社会と金融が、ともに、約100年サイクルの「飽和の臨界点」に達
しています。ひとりひとりがもつ、「このままではどうようもない」
という漠然とした意識の集合です。

これが、1)社会学の社会知、2)哲学ではへーゲルの時代精神、3)
経済学ではケインズのマクロ経済、4)政治では政党支持率、5)医学
では、個々の要素に還元ができない漢方のような、複雑系の人体です。
ノーベル賞をもらった細胞のオートファジー(ストレスからの自己再
生)がまさにこれです。

【中国の不動産債務の危機】
2010年までは若かった中国は、13年で、住宅価格崩壊への臨界点に達
しました(売れ残り未完成住宅1億戸、作りすぎた不良在庫)。中国
では、GDPの30%が不動産投資です(普通の国の2倍)。

住宅価格の崩壊と商業用不動産価値の低下は、開発会社の倒産→銀行
とノンバンクの危機になって(750兆円の、不動産不良債権)、日本
や米国より深刻な、金融危機になるでしょう(2024年)。

習近平による党幹部の粛正はこれが原因で起こったものでしょう。中
国は、台湾侵攻ができる時期ではない。台湾海峡の危機は「演出」で
す。台湾サイドもこれが分かっています。

2023年から始まったのは、中国が不動産会社のドル建て債務の返済が
できないドル不足です。中国の対外債債務は2.2兆ドル(319兆円)と
大きい。
(中国のドル不足:市岡繁男氏:週刊エコノミスト誌:23年
9月)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20230901/se1/00m/020/001000d

一方で、対外資産である外貨準備が3.2兆ドル(435兆円)。(国際決
済銀行のBISの集計)。ドルは人民元発行の担保ですから、使うこと
ができない。ドルペッグ制の人民元は、担保の外貨準備を減らすと、
発行を減らさねばならないからです。不動産不況の時期に、人民元の
発行を減らすことはできない。

不動産の不良在庫が、中国の成長マネーを減らし、中国のGDPはマイ
ナスになっています(政府発表ではGDP5%増加ですが、明らかにウソ
です)

マイナス10%くらいと見ています。その証拠に、世界がインフレのな
か、物価はデフレです(-0.2%)。原油価格の下落(1バーレル:69.
8ドル)も、もっとも多く輸入していた中国の輸入減少が原因です。

中国では、金利を下げる金融緩和が必要です(元安の要素)。その上
で、中国にはドルが必要です。希望になる対米輸出(5815億ドル:84
兆円)では電気自動車(EV)用の蓄電池が伸びていますが(元高の要
素)、米欧日の、中国投資からの資本引き揚げが増えいます(元安の
要素)。

◎中国の成長期は、住宅バブル崩壊と不良債権不況とともに終わって、
世界経済の牽引車は、なくなりました。

OPECの230万バーレル/日への減産にもかかわらず、原油の69ドルへの
低下は、中国の経済活動が低下し、世界1の原油輸入が減ったからで
す。米欧の、物価と金利の上昇からの、商品需要の低下も、金利の低
下の原因です。世界は、2024年不況に向かっています。

今回、詳しくは言いませんが、米国では世論の面でバイデンが人気を
なくし、トランプの復活の可能性が、日々、高まっています。2020年
の大統領選挙は不正だったという認定が、増えています。

人間万事塞翁が馬。日本では権力と栄華を極めた平家の「盛者必衰」。
読み継がれてきた古典は世の「真理」を示しています。西欧では第一に
聖書、ムスリムはコーラン。口語訳の古事記(神話)もあります。伊
勢に天岩戸(高天原:たかまがはら)があります。寂しいところでし
た。石清水が命だったでしょう。観光客は来ない。
https://www.iseshima-kanko.jp/spot/1357
              *
以上は、2の時事問題の、原因と対策の解説です。

以降は、<金価格高騰への根拠(2)中編>。もっとも古い国際マ
ネーである金の本質を知るには歴史を遡る必要あります。前号の続き
です。

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   <Vol.1391号:増刊:金価格高騰への根拠(2)中編>
        2023年12月17日;有料版・無料版共通

【目次】
■1.金は通貨であるのか?
■2.ブレトンからスミソニアン体制、1973年からの変動相場
■3.素材が何であっても、変質せず偽造ができないものは通貨になる
■4.1973年からのドルは、ペトロダラーになった
■5.1980年から1985年(プラザ合意)までのドル
■6.金ドル交換停止の1971年から、変動相場の1973年までの金価■7.
1978年から1980年イラン革命のときの、金価格の6.7倍への高騰
■8.1980年から20年間:金価格の200ドル台への低下
■9.1980年から20年間、米国FRBが行った金価格の下げ介入
【後記】

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■1.金は通貨であるのか?

(1)金は古来、ひとびとが、政府から強制された紙幣ではなく、自
然に認めてきた国際的な交易のマネーだった。政府・中央銀行が発行
する信用通貨は、国内でしか流通しない。しかし重い金を運搬し船で
輸送するのは不便なので、金兌換通貨(金と交換できると中央銀行が
約束した紙幣)が使われた。

金兌換通貨は、現代の、金ETFと同じ金証券です。1944年から71年ま
でのドルは、金兌換通貨でした。1882年の明治の日銀設立から1945年
の敗戦までは、円も金兌換通貨でした。(注)円安から、金兌換が禁止
された時期もありました。

明治の金価格は、1グラム1円=1ドルでした。1930年以降は1グラム4
円=2ドルでした。現在は、金1グラムは約1万円です。

(2)世界の中央銀行は、1971年以降も金を通貨と認識し、ドルとと
もに、外貨準備にしている。ただし日銀やFRBは、国民に向かっては
「金は単に金属だ」としている。

極めて単純なこの二項です。

◎信用通貨の紙幣と金の価格の関係が、この原稿を書かねばならない
くらいややこしくなっているのは、とくに日銀とFRBが、1971年の
金・ドル交換停止のあとは、「金は通貨ではない」としてるからです。

中央銀行が発行している信用通貨が通貨(マネー)である。金は通貨
ではないとしています。日銀に問いあわせてください。「金は通貨と
はしていません」と答えます。

全部の中央銀行が、日銀やFRBと同じかというと、違います。BRICS
(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と産油国、及びグ
ローバルサウスは「金は通貨である」として、1999年以降、外貨準備
として買い集めています。スイス・英国を筆頭にして、欧州は「アイ
マイな態度」です。

連邦制の国家であるEUを作った戦後の欧州は「米国に従うか、従わな
いか」を、はっきりさせません。日本は、米国に強く従属しています。

本増刊では、金兌換通貨のドルを、貿易に使う国際通貨(=基軸通
貨)と、44カ国の戦勝国が合意した1944年の「ブレトンウッズ体制」
から述べます。

■2.ブレトンからスミソニアン体制、1973年からの変動相場

戦後の国際通貨は、1944年のブレトンウッズ体制から始まりました。
金1オンスを35ドルとする固定相場です。1ドルは360円だったので、
1オンスの金は1万286円、1オンスは31.1グラムですから、金1グラム
は331円でした。

1944年から71年までの国際通貨は、金を本源的な通貨として、1オン
スを35ドルとして決めた「金為替通貨(金と交換できる通貨)」だっ
たのです。世界の通貨は、ドルを基軸にした固定相場でした。1ドル
は360円でした。

基軸通貨は、その価値を維持しなければならない。このため、1オン
スの金と35ドルを、交換可能としたのです。個人ではなく各国の中央
銀行がFRBにドル紙幣との交換を要求すると、FRBは金を渡すことを世
界に向かって、約束していたのです。

ところが、1960年代のベトナム戦費の支出から、米国の財政は赤字に
なり、黒字だった対外的な経常収支(貿易収支+所得収支)も赤字に
なりました。

経常収支の赤字とは、その赤字分、ドルが余分に海外に流出すること
です。(注)世界の経常収支=赤字国の赤字(米国)+黒字国の黒字=
ゼロです。当時の黒字国は、西欧と日本でした。

西欧(英国、フランス、ドイツ)は、受け取ったドルの価値が下げる
ことを懸念し、FRBに金との交換を要求し、当時のドゴールは軍艦で
金をフランスに運びました。軍人だったドゴールは米国を格下の国と
見ていたのです。人物が小物の、マクロンとは違います。

米国FRBが持っていたとされるたぶん3万トンの金は、西欧に流出し、
1971年には8133トン(IMFの集計)に減っていました。世界のドル外貨
準備(=ドルの海外流出分の一部)が、FRBの金を上回っていたから
です。

(注)推計3万トンの金とする理由は、米国から流出した金の公式な記
録がないからです。

当時の大統領ニクソンは、議会に金委員会を作り、「FRBの金がなく
なるとドルはどうなるか」を審議させました。議会が出した結論は以
下でした。
1)金は通貨にとって、重要な金属である。
2)FRBから金がなくなると、ドルは暴落する。

このとき、ニクソンは突然、世界に向かって「金ドル交換停止」の大
統領令を出したのです(1971年8月15日:ニクソン・ショック)。

世界は震撼し、ドル売りが激増しましたが、日銀だけはドルを買い支
えたのです。世界への窓が米国を通じているものしかなかった日本は、
ニクソン・ショックの意味を理解しませんでした、

1971年から73年は、「スミソニアン体制」として、金1オンス38ドル
としました。円は、1ドル360円から308円へと15%の円高になったの
です。

1973年には、固定相場の裏での、通貨変動の激しさのため、米国はス
ミソニアン体制を放棄して、世界の通貨、は現在まで50年続いた「変
動相場制」になったのです。固定相場でなければならない基軸通貨の
変動相場ですから、1973年以降のドル基軸は矛盾を含むものになった
のです。(注)1973年以降の、米国の戦争関与の、多くの目的は「ドル
基軸体制の防衛」でした(典型は、2001の9.11からの2003年イラク戦
争)。

変動相場は、以下の原理に基づくものです。
(1)経常収支の赤字国(米国、英国)の通貨は、売られて下落する。
(2)通貨が下がれば、輸出物価が下がり、輸入物価は上がって、赤
字の貿易は均衡に向かう。
(3)変動相場制では、通貨価値が変わることで、貿易は均衡に向か
う。

1973年から現在までの50年、この原理から、変動相場になっているの
です。

金兌換のときは、金が本源的通貨なので、金との交換率に比例した固
定相場になります。変動相場では、金のアンカーのように本源的通貨
はない。通貨は、外為市場の売買で変動します。価値をつなぎ止める
金の錨(いかり)がないので、変動相場をフロート制ともいう。

浮き輪のようにぷかぷか浮かんで、相対的な通貨価値(レート)が変
動する通貨の意味です。

■3.素材が何であっても変質せず偽造ができないものは通貨になる

金は通貨ではないと否定するグループは、金は、通貨とって意味がな
いとしています。これは、「虚言のイデオロギー」です。

金は、「FRB、大英銀行、日銀の3カ国が通貨としていないだけのもの」
です。

通貨は、その本性からは、「通貨として認める人には、何であっても、
通貨になるもの」だからです。日本と中国の古代は、貝殻が通貨であ
り、西部劇の時代の米国では、タバコも通貨の役を果たしていました。
南太平洋では、イエの玄関の巨石が通貨信用でした。

大きな事例では、リーマン危機(2008年)のあと誕生した、ブロック
チェーンのビットコイン(固定相場のないICO型:CIAの秘密委員会が
作った)は、今日は、1単位が598万円(4.2万ドル)で売買されてい
る通貨です。

デジタルの暗号にすぎないものを、ひとびとは通貨と認めたのです。
数字を印刷した紙を、政府は通貨にしたのですから、偽造ができず、
変質しないものなら、素材は「何でもいい」のです。

個人の小切手や手形も、価値を認める人にとっては通貨です。大谷将
平のサインは、ファンにとっては10万円や20万円以上の価値のある通
貨かもしれない。サインを、高く買う人がいるからです。10年の年俸
が約1015億円、1年101.5億円、1日が2780万円です。1時間116万円、
5分は約10万円ですから、大谷が5分使って書いたサインは偽造できず、
10万円の価値でしょうか。

ビットコインは、ピザの購入に使われた最初は、1単位が1ドル付近で
した(2008年)。15年間での、仮想通貨市場での売買による騰落を経
て、4万2000倍になっています。総時価の価値は、117兆円です
(1956万単位)の巨大通貨になっていまs。

ビットコイン1単位が100万円くらいだった2018年初頭に『仮想通貨:
金融変革の透視図』を出版しました(2018年3月)。

今、50歳代までの、にわか仮想通貨成金が、銀座や新地で豪勢に遊ん
でいます。秋、誘われて上品なホステスが多い北新地のクラブに行き
ましたが・・・。

ここでも、「禍福はあざなえる縄のごとし」でしょう。
サービス価格は、ひどく上がっています。

書いたときは、1ビットコイン100万円は、高すぎるかなとも思ってい
ましたが、その後の5年で6倍(598万円)ですから、通貨価値の不思
議さには、恐れ入ります。買いの増加が上げているのです。

2023年1月の228万円への暴落(約1/3)を経て、11か月で2.6倍に上が
ったのです。ここでも、皆が悲観する暴落が暴騰へのチャンスでした。
純益が1年で6倍になる企業はない。2023年のビットコインはそれでし
た。

【パラダイムの転換】
ドル基軸のFRBや日銀サイドに立つ人には信じられない事態かもしれ
ない。しかし、従来のパラダイムから「信じられない」ことが現実に
起こっているときは、通貨も「新しいパラダイム」に向かっているの
でしょう。パラダイム(枠組み)は、個人の意識を超える集団的な社
会的意識です。

コミュニケーションの人間集団で作られる「空気」でもあります。ス
ポーツでは「流れ」です。今、日本では「裏金」の自民党への失望がパラ
ダイムの転換でしょう。
(ビットコインの長期価格チャート:コインチェック)
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/bitcoin/

SWIFT回線を使わなくていいインターネットでの国際送金の用途があ
るからでしょう。原因はたぶん中国、ロシア、ウクライナ、パレスチ
ナ、イスラエル、産油国での利用増加でしょう。

「自国通貨→ビットコインへの変換→国際送金→相手国でその国の通
貨に変換」ができるからです。交換所(仮想通貨の銀行)での、変換
手数料は0.5%くらいでしょう。短時間のビットコインの利用なので
価格変動リスクは小さい。すべてインターネット上で行えます。ビッ
トコインで決済しても、ドル基軸(媒介マネー)は要らない。媒介マ
ネーとは、

例えば、円を中国に送金するとき、「円→ドルへの変換→SWIFT回線で
国際送金→中国でドルを人民元変換」のとき、仲介に使うマネーのこ
とです。これが現在の国際送金です。送金・交換手数料が、「1%+1
%+送金手数料」、時間も2日から4日くらいかかる。旧式なものです。

2024年からのBIRCSデジタル国際通貨は、金価格と連動するビットコ
インのようなものです。現在は、60%のドル基軸を30%くらいにし減
らして、順次、終わらせます(2026年か)。

■4.1973年からのドルはペトロダラーになった

ドルの価値を保証していた金がなくなっても、米国は、基軸通貨を続
ける意志をもっていました。下落する米ドルが基軸通貨を続けるには、
下がるドルの買いが必要です。

このとき、ニクソン政権の国務長官だったキッシンジャー(8月の中
国訪問のあと100歳で死亡)が、天才的な外交センスを発揮したので
す。

(1)サウジの国王制は米軍が、民主革命から守る。
(2)サウジは見返りに、原油をドルで売ることとする(リヤド密
約)

1973年は、第4次中東戦争からの第1次石油危機として、原油価格が1
バーレル2ドルから、10ドル(5倍)、15ドル(7倍)と上がっていた
時期です。

西欧と日本は、原油・エネルギーを輸入します。原油輸入の決済のた
めにはドル外貨準備の、プールが必要です。

経常収支が赤字であり、基軸通貨の黒字条件をなくしていたドルの
レートが下がっても。世界から買い続けられる仕組みが、この「リヤ
ド密約」でした。(注)現在の世界の外貨準備は、15兆ドル(2175兆
円)です。

経常収支の黒字国(ドルが流入)が、ドル国債、ドル債券、ドル預金
として、いったんは米国の赤字として超過して海外に出たドルが、
FRBと米銀に還流してくる仕組みが、ペトロダラー制です。(注)対外
負債は増えるが、ドルは国内にあるという仕組み。

第一次石油危機のあとの、米国経済は、ペトロダラー制でのドルの還
流によって、ドル基軸通貨の命脈を保ちました。国内の銀行から預け
たドル預金は、米銀に送金されているのです。このドル預金は米銀に
とっては日本・ドイツ・産油国・中国からの、対外負債になります。

海外からの借金(対外負債30兆ドル:4350兆ドル)により、経済を動
かす仕組みが米国経済です。

1973年には、1ドルが265円でした。第2次石油危機の前の1979年には
1ドルが200円に下がり25%のドル安(円高)でした。

石油危機のあとのドルは、米欧の経済の弱体化と、日本経済の輸出主
導での成長を示すものでした。「西欧の没落(シュペングラー:
1976年邦訳)」が言われていた時期です。とくにヒドかったのが、英
国です。通貨レートは、国のい合的な経済力を示す指標です。

総合的というだけではアイマイですが、国の経済の、各種の要素を統
合した指標ということです。例えば体温が、原因が多数の人体の総合
指標であることと同じです。病院で体温を測るのは、病気の原因が何
かを探るためです。

政治家は、判断の根拠をアイマイにするため、総合的経済対策、総合
的判断という用語を多く使います。しかし動機と原因を明確にする刑
事裁判では、犯人の人格からの総合的な判決とはしません。総合のア
イマイさが、分かるでしょう。

ただし人を好きや嫌いになるのは総合的なことでしょう。好きな絵画、
音楽、小説でも同じ感性の総合。国の経済は、要素が超多数の複雑系
ですから、直感的な売買で決まる通貨レートも、総合的指標です。新
聞で通貨レートや株価の解説を読むと、様々な原因が書かれています。
原因は、一つではないからです。
https://www.komazawa-u.ac.jp/~kobamasa/reference/gazou/yenrate/yenrate1.pdf

■5.1980年から1985年(プラザ合意)までのドル

1980年はイラン革命(ホメイニ革命)を起点にした第2次石油危機で
した(原油価格2倍:1バーレル30ドル)。

1人あたりでは、日本の約3倍の、エネルギー多消費の米国は、物価高
騰のため15%のインフレになったのです。FRBの議長のボルカーは、
インフレを退治するため、金利を二桁に上げる利上げと禁輸引きを敢
行したのです。

ドル金利が10%を超えれば、欧州と日本からのドル買いが起こります。
7%から10%のドル預金の金利が、企業利益より多いこともあって、
「財テク」と言われました。80年代初期の、ドル高金利のため1970年
代に20%下がっていたドルは、1ドル200円にまで、回復したのです。

このドル高は、インフレ対策の利上げと金融引き締め(需要の減少)
よる米国の80年代不況と、引き換えのものです。2022年3月から2023
年の米国の利上げと似ていますが、1980年の、ボルカー利上げは、現
在の約5%の2倍でした。
(ドル円のレート:1979-1979)
https://www.komazawa-u.ac.jp/~kobamasa/reference/gazou/yenrate/yenrate1.pdf

■6.金ドル交換停止の1971年から、変動相場の1973年までの金価格

【金価格:1オンス35ドル→100ドル:3年間で3倍】
1973年の金価格は、1971年の1オンス35ドル(固定相場のとき)の約
3倍の、100ドルに上がっています。(注)その50年後の2023年11月は、
金1オンスは100ドルの20倍の2000ドル付近。

◎金の価値が上がったのではない、金から離れ、1973年からは信用通
貨になったドルが、通貨信用を失って売られて下がったのです。この
時期に「金はドルの反通貨」になったのです。ドルの実効レートと金
価格は、逆に動くということです。

【信用通貨の、信用とは何か?】
信用通通貨は、各国政府の財政信用、言い換えれば国債の返済信用を
担保にする通貨です。中央銀行が通貨を増発するとき国債を買うのは、
このためです。

国債を、中央銀行が買って現金化したものが信用通貨であり、ドル、
ユーロ、円です。通貨の増発は、中央銀行による、政府財政の赤字国
債の買いで行われます。

ここもマネー論が言わないことです。財政の用語では、「インフレに
なるまでは有効とされている国債のマネタイゼーション」です。

◎3年間で3倍は、ドルが国際的な信用を失って暴落するときの金価格
の動きとして、2024年以降も、参考になるものです。

このあとも、金が上がるときは、およそ例外なくドルの実効レートが
下がり、金が下がるときはドルが上がるでしょう。

【ドルの実効レートで見る】
「ドル/円」の通貨ペアではなく、ドルの世界の通貨に対するものが
「実効レート」です。これも、中央銀行が金をドルの反通貨として扱
っていること示す傍証です。
(実効レートの解説)
https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_0406.html

(ドル、ユーロ、人民元、円の実効レートの動き:1980-2023)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html
(注)、1995年からの28年間、ゼロ金利と通貨増発の円だけが、ひどく
下がっています。人民元、ユーロ、ドルは上がっています。ドルの実
効レート低下の約5倍が、金価格の長期的な上昇です。金価格をこの
グラフに入れると、面白い。次号の正刊で、作ってみます。

■7.1978年から1980年イラン革命のときの、金価格の6.7倍への高騰

イラン革命は、親米だったパーレビ国王の体制を、ホメイニ師を指導
者にして倒した、イスラム革命でした。パーレビ国王は、イランの原
油輸出代金を、王家の金融資産にして、米銀へドル預金として預けて
いました。

米国は、このイラン革命のとき、イランのドル預金を凍結して事実上、
没収したのです。

〔歴史的な対比〕その42年後、2022年のウクラナ戦争のとき、米国が、
ロシアが輸出代金として貯めていた外貨準備3000億ドル(43兆円)を
凍結し、SWIFTでの国際送金をできなくして、ロシアの貿易を封鎖し
たことと、同じです。

イランのドル資産の凍結を見て、中東の産油国の王家は、「米銀にド
ルを預けておくと危ない」と考え、外貨準備のドル(オイルダラー)
を売って、米国が奪えない金現物を買ったのです。

産油国の「ドル外貨準備の売り/金買い」が増えたため、金価格は急
騰しました。イラン革命前の、1976年の金価格は、1オンス(31.1グ
ラム)が124ドルでした(年間平均)。1980年には850ドルにまで、6.
7倍に急騰したのです

この時期、円では、1グラム1976年の1260円から、1980年の6495円ま
で、5.2倍に上がっています(現在は1万円付近)。

以上は、大きな「ドル売り/金買いの増加(金買いのオファー)が
1000トン/年くらい)」になったとき、金価格は、1年くらいで4倍か
ら5倍に急騰することを示すものです。金は、ドルに代わる反通貨だ
からです。

今、米国株が上がっていますが、米国株の買いの超過によるものです。
相場の金融商品は、評論家が示す原因は、あれこれあっても、投資家
による「買いの超過で上がって売りの超過」で下がります。金、株、
原油先物も全部同じです。

何を理由に何を予想して買いが超過するのか、あるいは売りが超過す
るのかを予想することが、金融商品の価格予想です。

(1980年前後の金価格、1オンス=ドル、1グラム=円)
https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/y-gold.php

■8.1980年から20年間:金価格の200ドル台への低下

ところが1980年に1オンス(31.1グラム)が800ドルまで急騰した金価
格は、1999年までの19年間も、300ドル台から200ドル台に低迷しまし
た。一体、何が起こっていたのか? 

【通貨戦争】
原因を示しているのは、フェルナンド・リップスの『GOLD WAR』だけ
です。リップスは、スイスにあるロスチャイルド銀行の、1990年代の
支配人でした。原書を買っています。邦訳の『いまなせ金は上がるの
か』は、ひどく省略されているからです。

リップスは、
・金を「誰の負債でもない正貨(Sound Money)」、
・米ドルを中央銀行の負債である信用通貨としてます。

正貨の金が、偽貨(ぎか)とはいわなくても負債の信用通貨であるド
ルと戦ってきたのが、1973年からの、変動相場制のなかの通貨戦争だ
ったとするのです。
(1980-2023年の、年次金価格)
https://ecodb.net/commodity/gold.html

中央銀行のB/Sでは、通貨発行は、以下のように記帳されます。数字
は任意のものです。世界の中央銀行に共通しています。

   【資産】       【負債】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国債購入 100兆ドル  ドル発行 100兆ドル
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このB/Sは、通貨の信用価値は、国債の、満期での返済価値で担保さ
れていることを示すものです。

具体的には、
1)国債の満期日に、発行額面の100%を政府が返済できること、
2)返済ができないときは、低利の借り換え債を発行でき、満期が来
た国債を返済することです。
(注)これはキャシュ・フローでは返済期限の延期(飛ばし)です。

以上のように、国債の満期返済が、現金で国債を買う金融機関に信用
されているので、通貨の価値が保たれています。

借り換え国債の発行金利が高騰したとき、国債は発行難になって。満
期到来分の国債の返済ができなくなり、政府は破産します。

1200兆円の既発国債がある日本では、
・借り換え債の長期金利2%から(現在は0.7%)、
・33兆ドル(4785兆円)の既発国債がある米国では、長期金利5%
(現在は約4%)から破産に向かうでしょう。

・日本では、当年度の財政赤字の新規債(約40兆円)とは別に、1年
に150兆円、
・米国では、1年に3.7兆ドル(536兆円)の借り換え債を、金利を上
げることなく発行しないと、満期が来た国債がデフォルトするからで
す。

1)FRBがインフレ対応で利上げをし(長期金利1.5%→4%)、
2)日本の金利も上がっているので、ここが日米の財務省にとって、
最大の問題です(長期金利0%→0.7%)。

■9.1980年から20年間、米国FRBが行った金価格の下げ介入

FRBは金を8133トン(市場の2年分)しかもっていません。

(注)世界の中央銀行がもつ金は、合計で3万トンくらいです(IMFの統
計)。地上の金在庫は、宝飾を含むと公式には20万トンとされていま
すが、正確な集計はありません。金は、古来、秘匿されるマネーだか
らです。当方は、30万トンはあると推計しています。金の鉱山生産は、
1年に約3500トンです。100年分で35万トンです。約1000トンのリサイ
クルは地上の金を増やすものではない。採掘可能な金の埋蔵は15万ト
ン、3500トン掘ると約40年で枯渇するでしょう。カナダに行くと金の
廃坑が多数あって、観光地になっています。

ドル反通貨の金価格が800ドルへと急騰したことは、ドル基軸体制の
危機を示します。価値が、金に対して1/6に下がったドル外貨準備が、
西側以外の中央銀行から売られて金が買われ、ドルは一層下がって、
金が上がるからです。

海外からの、こうした資金還流がないと、赤字の米国経済は崩壊する
からです。

FRBは、以下の巧妙な介入を考えました。

(1)FRBの金を、投資銀行(JPモルガン、ゴールドマン、シティバン
ク、バンカメ、リーマン等)に利率2%などでリースする。

(2)投資銀行は、金先物を売って価格を下げ、限月に清算して、「先
物売りの価格ー買い戻しの清算価格」の利益を得る。金価格が下がっ
た分が利益になります。

投資銀行が、合計で例えば500トンの金を一斉に先物で売ると、年間
4500トンの売買がある金価格は下がるので、莫大な利益が出ます。こ
れは違法なインサイダー取引での市場操作ですが、政府政策なので、
摘発されません。

リースしたFRBには、投資銀行から買い戻した金現物が戻ってくるの
で、8133トンの金は減りません。変わらず、FRBの資産になっていま
す。金価格が、800ドルから200ドル台に下がったことからの先物売り
の利益は、莫大に、FRBの仲間である米国投資銀行に行きました。

他人のお金の運用で、長短金利の利ざやの利益を得る銀行はこういっ
た本質をもつ機関・組織です。人格が壊れます。

親しかった支店長は、「銀行は酒を飲まないとやってられません」とも
言っていた。パーティー券を売る政治家にも、似た面があるでしょう。

英国とスイスの中央銀行も、ドル基軸を続けたいFRBに協調して手持
ちの金を売ったのです。

以上ような仕組みで、1オンスが800ドルだった金は1999年には278ド
ル(年平均価格)下がりました。この時期、市場では「金は死んだ」、
今後、復活はないとされていました。

実はこの1999年に、その後の金価格を上げる重大な決定が行われてい
ます。(注)1999年は、欧州19カ国が、統一通貨のユーロを使い始めた
ときです。

金価格200ドル台に安心したFRBは、西欧と日本の中央銀行を集め、
1999年に、金の売却を400トンに制限するという奇妙な決定を行いま
す(ワシントン合意)。

この協定が、1980年から1999年までの20年間、「赤字通貨の基軸通貨
という矛盾した体制を守りたいFRB」が、金を売らせてきた反証にもな
ったのです。この20年間、西欧(中心は英国とスイス)の中央銀行は
米FRBに協力し、間欠的に500トン以上の金を売り続け、市場の金価格
を下げていたのです。目的は、ドルの世界支配(ドル覇権)への協力
でした。

【金の売却を400トン/年に制限したワシントン協定】
(1)金は、中央銀行の資産として重要である。
(2)1年間に中央銀行から売る金は400トン以内とする。

1999年まで1000トンくらいだった中央銀行から金の放出が400トンに
減ったため、1999年から2012年までの13年間も、金価格は279ドルか
ら1669ドルまで5.8倍に上がったのです。あらゆるモノの価格は、供
給が減るなかで、需要が増えれば上がります。
(金価格/1オンス・ドル:1999-2012年を見てください)
https://ecodb.net/commodity/gold.html

円では、1グラム1019円から4280円(2012年)まで、4.2倍に上がりま
した。ドル価格での高騰が5.8倍と、円価格より高かった理由は、こ
の13年間、38%の円高だったからです。

金は、ドルで価格が決まり(ロコ・ロンドンで現物価格、NYのCOMEX
先物価格)、ドル価格を円に換算したものが円価格です。金の売買が
世界1少ない日本は。金の価格決定にはほとんど関与していません。

米国が日本政府と日銀の、ドル基軸を支えるため金買いを禁じていて、
「ドル国債を買え」としているからです。
本稿は、2012年までの動きの分析です。
            *
1999年のから2012年、13年間の長きにわたり5.8倍に上がった金価格
は、1670ドル(2012年)をピークにして、2015年の1160ドルまで31%
も下がりました。

しかし円では、2012年から、「500兆円の増刷のため」、1ドル80円台か
ら120円台の円安になったので(-50%)。金価格は、円では下がって
いず、逆に上がっています。しかし、金の動きとしては、売買量の多
い、国際的なドル建て価格が重要です。
(2012年1グラム 4282円→2015年 4514円:年平均価格)。
https://ecodb.net/commodity/gold.html

2016年からは、再び高騰が始まって2023年は、1オンスが2000ドル台、
円では1グラム1万円台(消費税10%込み)です。

2008年のリーマン危機(=ドルの下落危機)のあと、こうした変化を
した金の市場に、どんなことが、新たに起こっていたのか? そして
2024年からの金価格は、何を主な要素に、どうなっていくのか。水曜
日の有料版で、結論部を示します。基礎から論じると、やはり、3回
分の60ページが要りますね。

【後記】
基軸通貨のドルと、反ドルの金価格については、歴史的かつ予想的に、
新著『金利と通貨の大転換』で基礎となる原理から書いています。抽
選に当たった読者から、お礼状が届きうれしく読みました。
アマゾンにもリンクしています。↓
https://www.cool-knowledge.com/

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【プレミアム読者アンケート&感想の、項目のメド】

1.内容は、興味がもてますか?
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確に書くための、参考になります。

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