過去の確率を未来に投影する金融工学の誤り:反論を期待して・・・
This is my site Written by admin on 2011年9月21日 – 09:00

おはようございます。ついこの間の台風12号に続く15号が、各地で
再びの豪雨をもたらしています。NHKは、緊急特集を組み、厳重な
警戒を呼びかける。土砂ダムという、いままで聞いたことのなかっ
た災害と、大型河川の氾濫が懸念されます。

ご無事で生活されているでしょうか。それにしても、3.11以降、
自然災害が多い。気象の異変には原因があるはずですが、まだ「原
因→結果」の関係は明らかではない。「複雑系」ともされる。

複雑系;
相互に関連する多くの要素が組み合わさって、全体としてある結果
をもたらすものをいう。全体として起こる結果(たとえば豪雨)は
、個々の部分である要素からは、明らかにならない。

気象では、海洋の温度と状態が、大気にもたらす変化が70%くらい
を決定しているとはいう。スーパー・コンピュータによるシミュレ
ーションでも、数理的に不確定な要素が多すぎ、無理なのでしょう
。地震と同じように、予測ができるようになれば、事前対策が打て
るので悲惨な被害は減るでしょう。

経済も、要素が多い複雑系です。経済が自然科学と異なる点は、事
実が原因になって、線的な論理で結果が決まるのでないことです。
事実に対する「人間の異なる解釈」がはいり、その解釈によって経
済行動が決まる。

自然科学=事実としての原因→線的論理→結果

たとえば引力は、人間がそれをどう解釈するかに係わりなく、働き
ます。「線的論理(法則とも言う):2つの物体の間には、物体の
質量に比例し、2物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する」
 

いや私は、距離の3乗に反比例すると解釈すると言っても、無意味
です。ビルから落下するとき、「頼むから、引力よ働くな」と言っ
ても、意志にかかわりなく地面に落ちます。

工学(エンジニアリング)は、こうした自然の法則を、物理・化学
的に発見し、利用します。自然科学では「原因→結果」の関係は、
1:1です。

しかし、経済は以下です。
経済=事実として事象→人間の解釈→買いと売りの行動

今日の日経平均は、8741円でした。これは事実です。1万円だった
ということはできない。この8741円に対し、人間の解釈がはいる。
「高い」と考える人がいる。別の人は「安い」と考える。これを原
因に、「買う行動と売る行動」が起こります。その買いと売りの一
致点が、8741円という、今日の、日経225種の株価の結果です。

明日はどうなるか? 安いと考え、買う人が多いか、高いと考え売
る人が多いか決まります。下がると思って売る人(正確には売る金
額)が多ければ、価格は下がる。上がると考えて、買う人が多けれ
ば価格は下がる。

●金融商品の売買で利益を出せるかどうかは、「売りが増えるか、
買いが増えるか」の予想にかかっています。

今日、(たとえば)ユーロの危機対策は中味がないことが明らかに
なったと解釈する→PIIGSのデフォルト懸念からユーロ債売りが増
える→ユーロは下落する→輸出国の輸出は減少する→アジアと日本
の株価は下がる→日経平均の先物は売りが増える→日経平均株価は
下落する。

逆の解釈もあります。EU、ECB、IMFによるユーロの危機対策は効果
を上げ、PIIGS国債のデフォルト懸念は後退した→ユーロ買いが増
える→ユーロは上がる→輸出国の輸出が増える→アジアと日本の株
価は上がる→日経平均の先物は買いが増える→日経平均株価は上が
る。

事実の解釈の違いで、真逆の結果になります。

金融工学(デリバティブ)は、「今日実現した金融商品の価格には
、歪みがある」と前提することから始まります。実現した価格は、
確率的な理論値と比較して「高すぎるか」、「安すぎる」。そこで
、その価格差を利益にするよう売買する。高すぎるものと判断した
ものを売り、安すぎると判断したものを買う。

理論値は、過去の価格変動からの確率値とする。これは、前提です
。この方法が正しいかどうか、実は、誰にも分からない。そのあと
は線的な論理です。金融工学と言われるゆえんが、ここにあります
。

                     *事例*

【過去の確率を、未来に延長した】
サブプライム・ローンの証券化では、「全米の住宅価格が、同時・
多地点で大きく下がるのは、70年に一回」とする前提があった。大
地震の確率に似ています。1929年からの大恐慌のとき、同時・多地
点で大きく下がっただけだったからです。

その後70年、部分的・短期的には、上げも下げもあった。たとえば
1980年代後半から90年代初頭のS&L危機です。このとき、住宅価格
が下がり、発生した不良ローンは1184億ドル(9.4兆円:1991年)
だった。

しかしそのときも、「全米の住宅価格が、同時・多地点で大きく下
がる」ものではなかった。同時・多地点で大きく下がる確率は、70
年に1回、つまり、1年に1.4%としていいだろう。保険会社もこれ
を正しいとする。

サブプライム・ローンは、当初は金利が安いが、あとで金利上がる
。金利が上がったあとは、ローン3000万円に対し、1ヶ月22万円を
払えない世帯も増えるから、デフォルト率増加する。しかし3ヶ月
、支払いが滞れば、担保の住宅を接収できるから、心配はいらない
。失業中の人にローンをおろしてもいい。

改装して売れば、住宅価格が下がらない限り、転売した代金で、ロ
ーンの100%回収ができる。部分的には、未回収のローン額より低
い価格でしか転売できない物件もあるかもしれない。

【大数の法則を使う合成証券】
下落リスクを避けるため、全米各州、各都市の1000軒の住宅ローン
を組み合わせる。証券の総価格は、平均価格3000万円×1000軒分で
300億円になる。

この1000軒の住宅が、全米で同時・多地点で下落する確率は、1年
に1.4%に過ぎないとしていい。このため、1.4%の料率(プレミ
アム)で、回収を保証する保険をかける。

1年の元利回収金は、1軒(3000万円のローン:30年)で、金利を8
%とすれば、1ヶ月22万円、1年で264万円である。1000軒(300億円
)のローンに対し、1年に26億4000万円の回収額である。

1年の保険料は、回収金26億4000万円×1.4%=3696万円とすれば
引き受け手がある。1年に3696万円をAIG、ベアスターンズ、あるい
はリーマンに払い、回収を保証するCDSを引き受けてもらう。(注
)AIG、ベアスターンズ、リーマンの3社はいずれも破産しています
。

1年の、当方の手数料は、当方の26億4000万円×1%=2640万円とす
る。30年間、2640万円が入り続ける。

MBSを買った投資家は、300億円に対し、1年に、26億4000万円-CDS
の保険料3686万円-当方の手数料2640万円=25億7674万円の配当を
受け取ることができる。

【利回りが高い安全証券ができた】
300億円が、30年で25億7674万円×30年=773億220万円になる。利
回りが高く、回収リスクがないこの証券(MBS)は、低金利の世界
に飛ぶように売れだろう。

特にゼロ金利の日本の金融機関や年金基金、そして基金をもつ大学
等である。MBSが売れれば、住宅ローン資金が集まるから、その資
金でまた別のローンを作ることができる。

【MBSの売りで米国に資金が集まる】
ローンを組めば、住宅の買い手は増える。買い手が増えれば、住宅
価格は上がるから、回収リスクは低くなる。上がれば住宅の買い手
は、一層、増える。

こうした、合成住宅証券(MBS:デリバテイブ)を最初に作ったの
が、ゴールドマン・サックスの「ゴールデンチーム(6名)」でし
た。次第に、商業用不動産ローン、車のリース、消費者ローンも一
緒に合成して、ABS(資産担保証券)として、大きく、複雑になって
いったのです。

気象の複雑系から、思わず、話しが発展しました。実は、この金融
工学がつくった、住宅証券は、誤りだったのです。

デリバティブは、誤りの前提の上に築かれていると感じます。以下
でそれを論証します。短文ですが、現代金融に根本的なところで、
疑問を提示するものです。反論を期待します。

私が誤っているのか?
あるいは、世界の金融が誤っているのか?

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 <556号:過去の確率を未来に投影する金融工学の誤り:
                   反論を期待して・・・>
             2011年9月21日号

【目次】
1.過去を未来に投影するリスク確率論は、誤っている。
2.未来の確率で、誤りやすいこと
3.正しい確率論
4.確率の、類似の事例
5.株価
6.未来に投影した確率への疑問
7.オプション取引のオプション料に関する注記

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■1.過去を未来に投影するリスク確率論は、誤っている。

科学的ではなくても、稀なことは、続けて起こる、日本の格言では
、二度あることは三度あるというマーフィーの法則が、いまは、正
しい時期にも思えます。あるいは、ブラック・スワン現象でしょう
か。

近年、大震災や原発事故も含め、だれもが一生に一回も経験しない
ようなおおきなことが、連続して起こっています。2000年代の、大
地震を含む自然災害は、国連の集計(災害疫学研究所)では、すで
に述べたように90年代の2倍です。

(注)科学的には思えない格言も、人間に関しては、意外に正しい
ことを言っています。

■2.未来の確率で、誤りやすいこと

オプション価格も決めている確率計算を、現実に適用するときの、
基本的な誤りと考えられることを指摘します。

たとえば、東南海でマグニチュード8以上の大地震が起こる確率は
、今後30年間で87%とされています(政府機関)。

その根拠は、過去、100~150年のサイクルで、地下の固い岩盤であ
るプレート(地殻)のゆがみがおおきくなって、M8級の大地震が起
こってきたという過去の歴史しかない。

われわれの地球は、薄皮饅頭です。固い地殻のほぼ30km下、および
海洋の6km下は、どろどろに溶けた圧力の高い岩石(マントル)で
す。このため、皮が薄い海底で、大地震が発生しやすい。

 1944年(昭和19年)に、東南海の大地震がおこって以来、65年間
、その付近では大地震がない。そのため、今後30年間をみたとき、
87%の確率で大地震がおこるとされています。静岡県の浜岡原発が
停止されたのは、これを理由にしています。

 30年で87%というように7%までつくのは、どうかと思います。そ
んなに正確なのか。決してそうではない。実証的な地震学は、変で
す。過去を調べ、ごくおおざっぱにしかわからないというのが、真
実です。

地震学も、政府から研究資金をもらっているので、原発を作ってき
た原子力工学のようにゆがんでいるとすれば、情けないことです。
他の科学も、政府の補助金を得るために、学説をつくるという点が
みられます。

 もともと不正確なはずの、30年で87%という確率を、タイム・ス
ライス(時間分割)し、1年に起こる確率は、87÷30=2.9%とする
ひとも多い。

元経済・財政大臣だった竹中平蔵氏は、1年に2.9%、1ヶ月なら0.2
4%しかない。交通事故や飛行機事故より確率は下だ。事故を理由
に車や飛行機に乗るのをやめるひとは少数だろう。だから原発も安
全だとしています。

確率をタイム・スライス(時間分割)する方法は誤りに思えます。


■3.正しい確率論

われわれは、正しく、以下のように考えておかないといけないでし
ょう。金融商品のリスク率(オプション料を計算するときのボラテ
ィリティがリスク率です)も、地震学と同じなのです。

外からは中が見えない箱に、赤玉が87個(87%)、白玉が13個(13
%)入っている。あなたは今後30年間うち、いつの日か分からない
が、一回だけ、指定された日に、その箱から、一個の球を取り出さ
ねばならない。それがいつになるかだれもわからない。そのときは
、87%の確率で、危険な赤玉をひくだろう。これが30年で87%とい
う東南海の大地震の確率である。

重要なことは、その日は、明日かもしれないことである。5年あと
か10年あとかもしれない。30年間、神からの指定がないかもしれな
い。いつかはだれにもわからない。だれにもわからないことを、神
のみぞ知るという。球をひくのは、30年間に1回だけである。

こうした観点で、「全米の住宅価格が、同時・多地点で、大きく下
がるのは70年に一回」ということを見直すと、1年での下落確率は
、1÷70年=1.4%とするのは間違っていることがわかるでしょう
。

住宅ローンの回収保険であったCDSの料率(保険料)を、1年で回収
額の1.4%とするのは、誤りだったのです。

いまこのCDSは、国債、社債、住宅ローン、各種証券に対し、世界
で2400兆円もの、金融原資産に対し、かかっています(BISのデリ
バティブ統計:2010年12月)
http://www.bis.org/statistics/otcder/dt1920a.pdf

●どうか、当方の確率論に対し、反論をお願いします。
もし、私が言っていることが正しいなら、世界の金融は、大きな間
違いを犯していることになるからです。

■4.確率の、類似の事例

ラスベガスのルーレットの赤黒(奇数・偶数)でも、赤が出続けた
から、黒が出る確率が高くなったとはいえない。いくら赤や黒が続
いても、次は赤黒が50:50である。

ところがルーレットにある0と00の2つは奇数でも偶数でもない。つ
まり赤でも黒ではない。このため一回の赤、または黒への賭けで2
/38(5.2%)も損をする。これがルーレットのゲーム代になって
いる。

唯一の儲けるコツは、元金より増えたときにやめることだが、ほと
んどのひとがやめない。その日はやめても、翌日儲けたお金を賭け
、1回平均で5.2%ずつ失う。

0.948の30乗は20.1%だから、30回賭けると、元金は20%に減る。1
晩で100回賭けるのは容易だが、100回賭ければ、元金は0.5%に減
ってしまう。結果の平均は、10万円が500円である。

赤が5回続けて出たから、つぎは、黒が出る確率が50%以上に高く
なったという期待も誤りである。100回も続けて赤が出る稀なこと
が起っても、次は赤50:黒50でしかない。

正確にはゲーム代として一回につき5.2%ずつ損をしている。あき
らかに損をするラスベガスがなくならない理由は、ひとには、自分
だけはと、悪運より幸運を期待する性格があるからである。行動フ
ァイナンス理論は、こうした非合理的な人間の行動を説いているが
・・・。

■5.株価

ランダム・ウォークをする株価や金融商品でも、おなじである。あ
がると思うひとが多ければ、その株価は、買いが増えるため、今日
すでにあがっている。買いが増えれば株価はあがる。さがると思う
ひとが多ければ、その株価は、今日すでにさがっている。

株価はこうした思惑を、今日の価格として実現する。言い換えれば
、今日のあらゆる相場価格は、投資参加者の価格予想からくる思惑
を折り込んだものである。

価格が動くのは、なにかの新情報または新しい解釈をもとに、その
予想が変わるからである。ひとは、情報や事実では動かない。事実
や情報の解釈、つまり意味づけで動く。

過去、相場があがっていると今後もあがると解釈しやすい。さがっ
ているときは、多くの人がまださがると解釈してしまう。このため
、相場の金融商品の価格は、上げも下げも行き過ぎる。不動産価格
も同じである。ここに、ヘッジ・ファンドが利益を上げるスキがで
る。

相場商品として価格が変動する原油もおなじである。金も同じであ
る。長期トレンドは終わった過去にすぎない。価格をグラフにした
罫線や移動平均の長期トレンドであがっているから、今月もあがる
とは言えない。

今日、あるいは今月、またはこの3ヶ月、株価が上がるか下がるか
、50:50である。先物であれ現物であれ、売りがふえれば株価はさ
がる。買いが増えればあがる。

株式での利益の機会があるのは、人々が、ある時点でマーケットが
歪んだ価格をつけているときである。それと、株の売買に参加する
ひとと、買いの金額が増え続けるとき(米国の1995年~2000年は40
1Kで個人株主が急増した)である。

2000年のIT株バブル(ナスダックで約5000ポイント)は、退職基金
を自己運用する401Kの制度で、米国世帯の50%(5000万世帯)が株
を買ったことによるものだった。2000年の春にはじけている。

 以上のような確率への知見が、今後30年間で87%という大地震の
発生の、本当の意味でしょう。住宅ローンは、返済期間が30年です
。以上の確率を知った上で、住宅ローンが組めるかどうか・・・米
国では住宅価格は、同時・多地点では70年間も下がっていないとさ
れていました。

 われわれは、過去よりはるかに大きなリスクに、さらされている
ように感じます。政治や官僚組織を含めて、20世紀型のものが次々
に壊れる非常時かも知れない。政府を見ていると、1989年のソ連崩
壊の前に似ています。企業もほぼ同じです。

 米国の住宅価格では、神の日が、06年夏~07年に来て、それが誰
の目にも明らかになったのが世界金融危機の08年8~9月でした。19
98年には、天才達のヘッジ・ファンド、LTCMもロシア国債のデフォ
ルト確率を低く見て、それを大量に買い、破産しています。

■6.未来に投影した確率への疑問

▼未来は、明日になっても未来

 人間の、過去の事実に基づく知見では、これがわからない。明日
という未来は、明日になっても、1年後でも、未だ来たらぬもので
す。

未来を予想はできても、知ることはできない。1週間後の株価の新
聞を、今日作ることはできない。人間の知見は、過去の事実からの
ものです。

 ただし人間は、自分の自由な意志によって、明日はこうすると決
めて実行できます。これが未来を作るということの意味でしょう。
リーダシップがこれです。

▼過去の確率を未来に投影し、タイム・スライスする間違い

 住宅ローンの回収権を担保にしたRMSB(住宅ローン担保証券)やM
BS(不動産ローン担保証券)という合成証券を組成したクオンツ達
は、見事に、間違えています。

その間違いは、確率を元経済・財政大臣のように、タイム・スライ
ス(時間分割)して未来に投影し、CDS(回収保険)とオプション
料も組んでしまったからです。

全米の住宅価格が、同時・多地点で下落したのは1929年、大恐慌の
ときしかなかった。70年前が、正確な記録が残る、さかのぼれる最
古だった。70年は長い。返済期間30年の住宅ローンは2回終わる。
おおくの異なる価格の動きをするローンを集めて合成する。

これで、ポートフォリオ(分散投資)が組める。個々の住宅はまだ
しも、同時・多地点で、全体の住宅価格が下落する事態は70年に一
回しか起こらな。70年前を、人は忘れる。

大恐慌を本で読んでも、昔と今は事情が違うとする。(注)世代の
記憶は30年と言います(オルテガ・イ・ガセット:『大衆の反逆』
)。

 混ぜ合わせた住宅ローンから、優先・劣後の構造を使い、
(1)優先債、
(2)メザニン(中二階)債、
(3)劣後になる劣後債(エクイティ債)の三層に、
トランシェ(切り分け)する。

合計1000億円の住宅ローンで、優先債が800億円、メザニン債が150
億円、劣後債が50億円とする。100億円(10%)という高い率でデ
フォルトが生じても900億円のローンが回収されたとき、優先債は8
00億円の全額、メザニン債で100億円が回収できる。

リスクがあるメザニン債やエクイティ債も、回収保険のCDSをかけ
ておけばデフォルトが増えたときでも、回収は安全である。メザニ
ン債やエクイティ債は、そのCDSの保険料を十分払えるよう、年間
の配当利回りを高く設定する。

これで[利回りは国債より高く、しかも安全な住宅ローン担保証券
(RMSB)]が1000億円できる。年金基金や、国内での運用金利が19
97年以来ほぼゼロの日本の金融機関は、歓迎し、買うだろう。

▼事実

2007年からの事実は、全米の住宅が同時に多地点で下落し、ローン
のデフォルト率は、一挙に15%や20%に上がって、住宅証券は優先
債で60%に暴落しました。

保険料をもらってCDSを払うべき義務をおおきく負っていたAIG(世
界最大の保険会社でした)は保証していた債務が払えず倒産してし
まった。このため、CDSが保証していたメザニン債やエクイティ債
は市場で価値がほぼゼロになり、流通市場も消えて3年になる。

FRBだけが額面で$1兆(80兆円)も買ってくれたが・・・ 70年に1
度のことが、わずか2、3年あとだった。

【大地震】
前記の「大地震」の確率に似ています。福島県を巻きこんで、東日
本に巨大地震が起こる確率はゼロとされていた。東電もこのため、
経費縮減から、建設後40年も経って利益は出るが配管が老朽化した
原発の安全投資をおこたっていました。

これが原発事故です。「稀なことが、連鎖して起こった。」これが
、08年9月の世界金融危機でした。米国のみならず、英国、南欧、
そして全欧州も、米国のほぼ6ヶ月から1年遅れで同じことでした。
実は、大地震も、デリバティブと全く同じ構造で、確率計算されて
います。

リスクの確率をタイム・スライスし、過去の確率を未来に投影した
デリバティブは、壮大ですが不可能な実験だったのかもしれません
。たぶん、現代のファイナンス理論の確率は誤りでした。しかし今
日も続けられています。在庫管理のおける安全在庫なら標準偏差を
使ってもいいのですが・・・(注)安全在庫=安全係数×標準偏差
×√(商品の入荷日数)

【理論株価は・・・】
 20世紀末のファイナンス理論のベースである理論株価は、
(1)会社の予想キャッシュ・フローを、
(2)期待金利、
(3)及び利益実現のリスク率で割り引いた「現在価値(NPV:Net 
Present Value)」です。

10倍は低い、25倍は高いとされている予想PERの倍率(株価/1株当
たり次期予想利益)も、未来の利益を想定した、この割引現在価値
に基づいています。

これも確率計算です。予想の予想の予想と、予想が3乗されて重な
った、不確定なものです。たとえばリーマン・ショックの波及によ
る世界の信用収縮と企業利益の大幅減と赤字、そして、今後の予想
される巨大経済ショック(国債リスク)は、予想できていません。


 会社の買収や合併(M&A)のとき、株価見積もりのめどにはなり
ますが、現実価格とはちがう架空のものです。現代の金融工学は基
礎となるところで、言い換えれば、未来の確率の、正規分布の想定
においてタイム・スライスの間違いをしています。

 デリバティブの価値計算(オプション料等の価格計算)は、全体
的なシステミック・リスクリスク(波及して全部が下がる現象で、
時々起こる)には、完全に無効です。

 普通は、ひとりひとりを独立して襲い、連動しない命のような、
個別のリスクには、過去の確率を未来に投影するのが有効です。

しかし、個別リスクをカバーする生命保険でも戦争・騒乱・疫病・
自然災害で、多くの人が同時に亡くなるケースは、免責されていま
す。そうでないと、保険料が高くて商品にならないのです。

 デリバティブは、例に挙げた、箱の赤球・黒球のような正しい確
率論で、つくりかえねばならないでしょう。そうすれば、巨額に損
をして、金融危機が起こる確率も減るでしょう。21世紀のデリバテ
ィブ金融は、確率論の誤りから、バブル価格とその崩壊を高頻度で
繰り返し、人々の生活、企業、金融資産をおおきく苦しめる、無用
な信用恐慌すらを生んでいます。

                     *

以上、本稿は、現在のオプション理論やCDSで使われている確率論
で誤りと感じることを述べました。しかし、実際には、デリバティ
ブがかかった金融資産や証券(原資産)は、2010年12月で$601兆
(4京8080兆円)という、途方もない金額です。

世界の金融資産は、こんなにはない。推計ですが名目金額で1京500
0兆円(08年;預金+株+債券+国債)でしょう。

金融資産の元本をもつ人が知らないうちに、金融機関やヘッジ・フ
ァンドによって、デリバティブがかかった運用と売買(例えば日経
平均の先物取引)が行われています。

■7.オプション取引のオプション料に関する注記

オプション料は、自分で計算できます。インターネットでは、エク
セル等にし、統計的な価格や金利変動をもとにした正規分布(言い
換えれば標準偏差)によって、オプション料の計算を公開している
人や会社も多い。今は、これくらい一般化しています。このサイト
は一例にすぎません。
http://kakakufx.com/option/calc.aspx

スポット価格が現物価格です。権利行使価格が、自分が買いたい価
格です。ボラティリティは、過去の価格変動率(歴史的な変動率=
価格変動の標準偏差)+未来の予想変動率(市場の期待変動率)で
す。

過去の価格変動率は、毎日、価格が決まったものなので標準偏差で
計算ができます。予想変動率は、未来ですから、世界中の誰も理論
値を計算する方法をもちません(当たり前のことですが)。

過去の価格変動率から「上げが大きくなっている」、あるいは「上
げは小さくなっている、下げる」という判断しかない。これこそを
、投資家が自己判断します。

一般に予想変動率は、ブラックショールズ方程式から計算されるオ
プション料から逆算して出しています。インプライド・ボラティリ
ティ(折り込まれた変動率)とも言います。この計算でのオプショ
ン料が高すぎるとあなたが思えば、オプション権を買う必要はない
。

オプション料以上に、価格が上がると判断するなら買い(コール)
です。逆に、払うオプション料以上に下がると思えば、売り(プッ
ト)です。

オプション取引では、オプション料と、あなたの未来の想定価格(
権利行使価格)の差が、買いか売りを決めています。以上のように
、デリバティブも原理を見れば、意外に単純です。

要は、現物価格と同じで、上がるか下がるかの予想です。レバレッ
ジがかかって、利益も損も10倍から数十倍になるのは、株価先物、
FX、空売りに共通です。

現物売買にはレバレッジがない。

オプション料÷権利行使価格が、全部の金融商品のリスク率です。

在庫管理の安全在庫とほぼ同じ概念です。ブラックショールズ方程
式を使う安全在庫計算も、素敵かも知れません。別書で書く予定で
す。

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■(2)解約していないのに、月初めからメールマガジンが来なく
なったとき(このメールが当方によく来ます)

クレジットカードの有効期限が切れ、新しいカードになっていない

か調べてください。ほとんどの原因は、クレジットカードの期限切

れです。お手間をかけますが、「新しい有効期限とカード番号」を
再登録してください。月初めの分の再送を含み、届きます。
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でログインし、出てきた画面で、新しい期限と番号を再登録します
。
(以上)




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