臨時号:本を買うことのお奨(すす)め
Written by admin on 2012年1月27日 – 21:00
こんにちは。正刊ではなく臨時号です。やっと、増刷分が配本され、 ネット書店の欠品状態から解消された拙著の、概要の案内と、購入 のお奨めをします。宣伝になるでしょうが、そのつもりはないので す。 ●われわれがその中で生きる、これからの経済・金融で必要な知識 を、この機会に、基礎から得ていただきたいということ、 ●今後の経済のために、有効な政府政策を提案していますので、多 くの人に、読んでいただきたいという願いをもっているのです。 予備知識が必要ないように、面倒をいとわず、短く解説しています。 高校の常識で読めるようにとの思いからです。 ただし、わが国では金融のリテラシー(常識)について、まるで学 校で教えていないので(米国では中等教育で、基本的なことを教え ます)、若干の骨があるかもしれません。これを読んで、日経新聞 がすらすら読めるようなったとの評価も得ています。(本稿は、6 ページです) 金融から見ると、経済は理解できます。同様に、金融から見ると、 経済と経営が分かるようになります。経営もマネー増やすことだか らです。当方、経済と経営を理解しようとして、金融に行き着いた のです。ビジネスは経営ですが、その必須知識は利益です。利益は マネーです。 国家の財政も、収入が税金と借金、支出が公務の費用である金融で す。国家の収入と支出を司る(統制する)のが、財務省です。 ▼「国家」とは何か? 【国家は官僚機構】 まず「国家」です。国家は、国と混同されますが、国ではない。 国は5000万の世帯と255万の企業、そして政府からなります。 政府が国家です。世帯や企業は、住所が国家に属しても、国家では ない。 たとえば国会議事堂や県庁は、国家(=政府:法人の一種)の不動 産であり、世帯や企業のものではない。所得の20%の税金を、30年 間払ってきたから権利があると県庁に申し入れても、その所有権は ない。 税金をいくら払っても、(決して欲しくて言うのではありません が)菓子折も贈ってきませんね。かつて、日銀からは「短観」のア ンケートに協力すると、三越の菓子折が贈ってきました(笑)。 言いたいのは、国民の納税に対する、公務員からの感謝の心です。 これがあれば、権益を拡張したムダな支出はしないはずですが、ま るで欠落しています。東電に見える、発電コストが上がれば、電力 費を上げるのが当然とするのと同じ思考法です。明治政府は、納税 に対し、褒賞していました。 政府は、中央政府と自治体、独立行政法人であり、人員数は約400 万人です。民間の平均より手厚い退職金、年金、福祉、給料を含む 総人件費は40兆円で、1人平均で1000万円/年です。 国家は、国と地方の、代議士を含む公務員と準公務員の組織です。 つまり、政治・官僚機構が国家です。公務員は、名目上は国民のた めという公務を行います。「公僕」の概念がこれです。(注)公務 員改革では、公僕の概念を明らかにした上で、仕事をすべきと考え ます。 【公務の本来】 公務とは、国民や法人のための事務です。顧客満足(=顧客に奉仕 すること)という概念が、必要な商品生産は行いません。税の分配 と公務です。「国民満足」という概念がないため、抜きがたくなる のが、省庁の権益と立場の、拡張の傾向です。統治と考えているか らでしょう。統治の範囲を拡大すれば、立場は高くなるからです。 企業は、商品販売の増加を果たすために顧客満足を目的にしている ので、品質の上昇とコストダウンで、他社に劣れば、つぶれます。 しかし独占企業の東電を見ると、経営法で、まるで政府と同じにな っていました。 政府の公務も独占です。たとえば年金も、民間の年金会社と、政府 年金を競うようにしておけばよかったのです。国民は、政府年金か 民間年金を選択できる、あるいは年金をかけない選択もあるとすれ ばいい。(注)当然に、政府からの補助金も当分に与えねばならな い。 剰余金はあっても、他社より高品質でコストダウンした結果生じる 利益という概念がないので、経営(マネジメント)という概念もな い。非営利企業も、ビジョンとマネジメントが必要ですが・・・国 民の統治(ガバナンス)ではダメです。 民主国家では、国民は、何かにつけ、公共事業と政府支出の増加を、 そして企業と世帯が補助金を要請するため、財政赤字は恒常化する ことが多い。非民主国(独裁国)でも同じです。独裁国は、支配者 の奢侈、不正、汚職、及び軍事費の増大を原因につぶれます。 ▼時代 武力または財政破産で政府が倒れることを、「時代」が変わると言 いますが、徳川幕府(封建の独裁政権)が倒れたのも、財政赤字で 軍事費がまかなえなかったこと原因です。幕府は、金の含有を減ら す改鋳を行っていました。 過去、世界中で、政府(国家)は幾度も倒れています。民主国では、 政権交替という形をとるので、「時代変化」に見えないだけです。 崩壊したソ連、そして北朝鮮、中国を想えば、これが分かるでしょ うか。国家は、民主社会では曖昧になっていますが、国民の統治 (ガバナンス)を行う、人為的な組織体です。 1989年のソ連の崩壊は、インフレつまり、政府赤字をまかなうため のルーブルの増発しすぎが続き、公務員(共産主義では全員が公務 員)の年金の価値、つまり購買力が無効になったことが原因でした。 他国からの侵略や戦争で、滅ぼされたのではない。自滅したのです。 崩壊したのはソ連政府であり、国民経済ではない。 【公務の大きさ】 国民所得(概略で言えば、世帯所得+企業所得)に対する、日本の 国家による公務の割合は、金額で言えば40.6%と大きくなってい ます(2008年:財務省)。 今後も、高齢化でますます大きくなる。 このため、つぶれるのです。 http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/020_2.htm ▼国家破産 国家破産とは、公務を行う行政機構の赤字が大きくなって累積し (現在、約1000兆円の負債)、国民(金融機関、企業、世帯)が、 政府の借用証である国債を、低い金利ではファイナンス(購入)し なくなることです。国家破産は、政府ではなく、株式市場に似てい る債券市場が決めます。 (注)なお、企業は、自然人でないので選挙権と生存権はありませ んが、財(不動産、マネー、商品)の所有権はもつ法的な人格を認 められた国民です。従って、法人には納税の義務があります。 もっと言えば、企業や世帯が国債を買うことは少ないため、金融機 関に勤める債券のディーラーやクォンツが決めます。更に言えば、 ヘッジファンドが先行する、国債の先物売り、オプション売り、ま たはCDSの料率高騰で決めます。 (注)日本の国家財政は、負債が1000兆円と大きいため、現在1% 付近の長期金利が、2ポイントあがって、3%になると破産します。 ほぼ50歳以下の方に訊ねると、ほとんどの人は、その約束額(名目 ではなく実質金額)と支給開始時期を期待していないと言う公的年 金は、保険会社のような事務を、国家が行っています。これは、民 間保険会社でも、行えることです。他を言えば、医療保険は日本で は国家ですが、米国では約1000社の民間です。 「国家破産」と言うと、国民経済が、何もかも終わりになるような イメージで語られますが、それは、誤りです。公務の、いまの状態 が終わりになる。国民経済は、続きます。 国家破産とは、政府が、約束した支出、あるいは払わねばならない 金利、負債の満期償還ができなくなり(これをデフォルトと言う)、 公務を、ほぼ30%(100万人)は縮小せねばならないことです。こ れが国家のリストラです。 財政破産の過程では(数年間)、ギリシアやスペインのような混乱 が起こりますが、数十年単位の長期で言えば、公務の割合の縮小 (国家のリストラ)ですから、いいことにも思えます。 この時、金融資産は、「ご破算で願いまして・・・」の感じです。 妙なコトバですが、「戦後の幕府体制」が終わります。 ただし、国家破産は、国民にとっての副作用があります。 金利の高騰と金融資産の価値の低下です。 平均的に言えば、金融資産をもつのは、所得が増える時代を経験し た50歳以上です。1990年に勤務し始めてから約20年、給料がごくわ ずかしか上がっていない40歳以下の人達には、負債(住宅ローン) を上回る金融資産はない。このため、40歳に以下にとっては、金融 資産の価値が下がるのは、いいことです。 40歳以下は、自分たちには戻ってこない年金と医療費の掛け金で、 65歳以上の高齢者を支えています。「おあいこ」と言っていい。 40歳以下の人々の、高齢者に所得移転する負担は、実に、忍びない。 給料も増えず、社会福祉の負担は増え、非正規雇用から正社員に登 れない40%の人は結婚すらままならない。「希望」がないのです。 ▼偏った金融資産 以下は、世代別の負債を引いた純金融資産です(プラスが純額)。 50代以上の世代は、金融資産(預金)の保有のリスクが大きい。 40代以下は、住宅ローン負債が固定金利なら、資産インフレで利益 を得ます。 ・20代以下 + 66万円(ローン負債285万円) ・30代 - 45万円(ローン負債754万円) ・40代 + 223万円(ローン負債935万円) ・50代 +1127万円(ローン負債602万円) ・60代 +2127万円(ローン負債252万円) ・70代以上 +2401万円(ローン負債116万円):(総務省) 米国は30代、40代の金融資産も多い(若い富裕者がいる)のですが、 日本の金融資産は、高齢者に偏っています。 国民の立場から言えば、 (1)増税(消費税では25%が必要)として負担するか、 →これは物価の20%高騰になります、 (2)財政破産が必ず招く、国債の価格下落と金利の高騰として負 担するか、 (3)日銀が、売れない国債を買い、明確に円を増刷し始めると、 その2年後には起こる数10%の物価と資産のインフレで負担するか、 の違いです。このときは、50%近い円安(輸入物価の高騰)も同時 です。 いずれにせよ、負担せねばならない。どれがいいかです。 以上、普通は分かりにくい「国家」についてです。 【わかりにくい国家】 なぜ「国家」が分かりにくくなっているのか? 教育では、これを 教えないからです。共産主義が台頭した19世紀は多かったのですが、 近年はめぼしい本もない。このため、人々も「国家」を問うことが ない。国家を問わないから、政治家と公務員が行う「公務」の概念 も分からない。 ジャーリズムは、本来、国民の立場から政治と公務を問い、提案す べきですが、果たしていません。ジャーナリズムは、二つから生ま れています。一つは、社会(民)の、普通の人は経験することが少 ない事件、スキャンダル、不正、犯罪を報じること。もう一つは、 国家と公務を批判的に問うことです。 国家が何かを明らかにしていないため国家破産というと、国が終わ りになるような怖いイメージになっています。 企業と世帯は、国家とともには、終わりません。徳川幕府がつぶれ た後、職を失ったのは、幕府と大名が雇っていた武士階級でした。 いまは武士ではありませんが、公務員がそれに該当します。 国家破産は、公務員機構の、金融的な破産です。国の財政が破れて、 山河、設備、企業、世帯在りです。国家破産は、愛されていた命を 奪い、慈しんできた街や家を壊滅させる大津波とは違います。 国家破産は、政府のお金の問題です。国民所得の40%にもなった公 務を縮小せよという、債券市場からの警告を無視するから破産しま す。国家破産で皆が困ると言い(そのようにイメージさせ)、公務 を拡大し、大増税に向かう政府は、糾弾せねばならないと考えてい ます。 以上で、拙著『国家破産』が、楽観論であることが分かるでしょう。 国家破産の章は、1章のみです。 次の「番外号」でも、全9章を、順次、要約します。 要約が余りも長くならないようにします。 再度言います。自薦で、すこし恥ずかしい。しかし、強く、お奨め です。政治を奉仕に、公務を公僕に、つまり国民に奉仕するための ものに変えるための、世論にしたいという想いもあります。 何事でも、必要なのは「知識」です。知識は、事象を見極める力で す。拙著は、それを提供することを目的に書いたものです。強く奨 める理由がこれです。 『国家破産:これから世界で起こること、ただちに日本がすべきこ と』 アマゾン、楽天、紀伊国屋web等と、街の書店です。 アマゾンが、在庫と販売数が最も多いので、便利でしょう。お陰様 で、読者評価(まだ6つですが)は、全部が星5つで高い。既にお読 みになった方には、評価や感想もアマゾンに書いていただくと、あ りがたいです。 アマゾンは、双方向です。これがあるので、受けたのでしょう。2 位のネット書店(楽天)の、5倍以上の売上の、1275億円です(09 年)。書籍だけなら、たぶん10倍以上と推計します。配送は翌日で す。 http://www.1book.co.jp/003743.html http://www.amazon.co.jp/ 検索で、国家破産、または吉田繁治と入れると出てきます。 高い中古本を買ってしまった方々に、増刷の遅れを、お詫びします。 See you soon! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。以下は、項目 の目処です。】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ と記述の際、より的確に書くための参考になります。 コピーして、メールに貼りつけ記入の上、気軽に送信してください。 感想やご意見は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。時間 の関係で、返事や回答ができないときも全部を読みます。時には繰 り返し読みます。 【著者へのひとことメール、及び読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ■最近の有料版のテーマと目次 <573号:1929年~33年の世界恐慌を振り返れば、 将来が見える(1)> 2012年1月18日号 【目次】 1.国債のファイナンスの問題 2.銀行損失は、2年後では、未確定のまま過ごされる 3.ユーロと、日本の違い 4.欧州の政府負債と財政赤字(GDP比:2010年) 5.欧州は、平均でGDP比10%の国債の新規発行がある 6.PIIGSの対外債務と、1年に70兆円(推計)の、対外返済 7.ギリシア国債のヘアカットは、50%では足りないと言われ始め た 8.1929年からの世界恐慌の推移 【後記:3題】 <574号:増刊+正刊: 世界恐慌を振り返れば、将来が見える(2)> 2012年1月25日号 1.1210兆円の、不良債券の根雪の上を、中央銀行と政府マネーの 500兆円が覆っているのが現在 2.日銀が集計した、日米欧の資金循環表 3.米欧の金融機関に必要な、自己資本額の計算のために 4.日本、米国、ユーロの官民の金融資産合計は、1京2919兆円 5.1929~1933年の大恐慌のときは、どうだったか? 【後記:外人の日本国債買い】 ■1.無料のお試しセット(最初1ヵ月分): 有料版では、いつ申し込んでも申し込み月の既発行分は、全部を読 むことができます。最初の1ヶ月間分は、無料お試しセットです。 その後の解除は自由です。継続した場合に、2ヶ月目の分から、課 金されます。 (1)『会員登録』で支払い方法とパスワードを決めた後、 (2)登録方法を案内する『受付メール』が送ってきて、 (3)その後、『購読マガジンの登録』という3段階の手順です。 【↓会員登録と解除の、方法の説明】 http://www.mag2.com/howtouse.html#regist 【登録または解除は、ご自分でお願いします】 (有料版↓) http://www.mag2.com/m/P0000018.html (無料版↓) http://www.mag2.com/m/0000048497.html 購読に関する問い合わせは、ここにメール → reader_yuryo@mag2.com ■2.解約していないのに、月初からメールマガジンが来なくなった とき(このメールが当方によく来ます) クレジットカードの有効期限が切れ、新しいカードになっていない か調べてください。ほとんどの原因は、クレジットカードの期限切 れです。お手間をかけますが、「新しい有効期限とカード番号」を 再登録してください。届かなかった月初の分の再送を含み、届くよ うになります。 https://mypage.mag2.com/Welcome.do ↑ この「マイページ・ログイン」から、メールアドレスとパスワード でログインし、新しい期限と番号を再登録します。 (以上) ◎ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則 のバックナンバー・配信停止はこちら ⇒ http://archive.mag2.com/0000048497/index.html |