緊急:安倍自民党は、本当に支持されたのか?
This is my site Written by admin on 2012年12月17日 – 12:00
国政を決める総選挙で、自民は、解散時の118議席から2.5倍にな
って単独で過半数以上の292議席を得ました。議席の半数は、240議
席です。

連立を組む公明(30)と合わせれば、322議席。三分の2は320です
から、参議院が過半数でなく、反対があっても全部の法案が通りま
す。

2009年、麻生内閣のときの前回選挙(第45回)では、民主党が308
議席を得ました。それに似ています。

さかのぼれば、小泉首相のときの郵政民営化解散(2005年:第44
回)では、自民党が296議席を得ていました。小泉、小沢と冠した
「**チルドレン」が誕生しました。今回は、橋下チルドレンです。

任期に近い、ほぼ4年サイクルの総選挙のたびに、自民→民主→自
民と、それぞれ300議席くらいになり、政権の交代が繰り返されて
います。

●本稿は、今回は自民党は、どんな支持を得たのかをみます。

ポイントは、国民のほぼ60%を占めている、流動的な無党派層の支
持が、どこへ向かったかです。

結論を言えば、前回は民主党に投票した無党派層が、維新の支持に
回ったことです。自民支持へも若干は回っていますが、それより多
くが、維新、みんな、未来に、分散したのです。

比例代表の出口調査で、これをみることができます。小選挙区では、
政党を要素する要素、個人への支持の要素が混じるので、政党の支
持では正確ではありません。

出口調査は、投票所から出てきた人に、どの政党を書いたか聞くも
のです。世論調査のような、個々の不正確さは当然にあります。

しかし、それはAに投票した人がBと答え、Bに投票した人がAと答え
るものですから、相殺されて、全体では、ほぼ正確になります。

以下は、無党派と答えた人たちの、投票政党の変化です。

(注)元データは世論調査で、もっとも正確な結果を出す共同通信
社のものです。もともと大きくぶれて、支持にも不支持にもあいま
いなところがある投票行動は、概略で示したほうが、かえってわか
りやすいと思います。

【ほぼ60%の無党派層の、比例区での投票政党:全国】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
                 民主   自民    その他政党
2009年選挙      50%    15%      35%
                  ↓     ↓
今回選挙        民主   自民   維新  未来  みんな  その他政党
                16%    20%   23%  8%   14%      19%  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

▼最も多い無党派の支持が、以下のように動いた

前回は、投票に行った無党派層のうち民主を支持したのは、約50%
でした。自民は15%でした。

今回は、民主が16%に急落し、これは、前回の自民とほぼ同じです。
自民への支持は、20%に増えていますが、増え方は5ポイントに過
ぎません。これは、結果では大勝した自民への支持は、積極的なも
のではないことを示します。

100人の無党派のうち、前回は15名が自民を支持し、今回は5名増え
て、20名だったという結果です。比例区の政党支持では、自民の大
勝とは、決して言えません。ここが肝心な点です。

比例区では、無党派の100人のうち新党の維新へ支持が、23人で、
自民支持の20人を超えて、比較多数を制しています。

●端的に言えば、前回は民主を支持した無党派の50%(50人)が、
維新(23人)、未来(8人)、みんな(14人)に分散して、離れて
います。

【議席の結果】
この結果、比例区(175名枠)の議席では、自民56名(32%)、維
新39名(22%)、民主29名(17%)、公明21名、みんな14名、共産
8名、未来6名、社民1名、大地1名でした。

1位だけが当選する、小選挙区(299議席)では、議席の結果は、自
民236名(79%)、民主27名(9%)、維新14名(5%)、公明9名、
みんな4名、未来2名、社民1名、国民1名、無所属5名でした。

第三極への投票の分散によって、自民が236名と、民主の27名の、
約9倍もの当選になっています。

極端な結果が出た、もうひとつの理由には、投票率が、衆院選挙で
はこの65年間で、最低の59%だったこともあります。前回より約10
%低く、前回は選挙に行った100人のうち10名が棄権に回っていま
す。

特に、大都市圏ではなく、かつては高かった北海道、富山、鹿児島
などの地方で、投票率が大きく(15~16ポイント)低くなっていま
す。これは、今後の、保守地盤の、退潮傾向を示すものでもあるの
です。

▼結論

結論を言えば、第一に、
・議席の結果だけでは、自民が大勝したように見えるが、
・自民党支持の増え方は、5ポイントと大きなものではないこと。

第二に、民主党が、4年間の政策迷走によって大きく信頼を失い、
・4年前の民主党支持が、
・まず維新、つぎにみんなに、分散した結果であるということです。

以上の動きから、自民党が圧倒的な支持を得たとして、国政をおご
って担当すると、ほぼ4年後の次回選挙では、今回の民主党に似た
ことになるということです。

以上を伝えたいため、緊急に送ります。
「維新への期待」は、メディアの予想以上に大きかったのです。

安倍総裁の、「公共事業を増やす、日銀にマネーを印刷させる」と
いう発言への「折り込みから」、今日の月曜日の前場では、日経平
均が150円上がって、9,887円です。1万円の大台を超えそうな買い
の勢いです。

買っているのは、11月から続いているように海外ファンドと、証券
買会社の、自己売買です。これは短期の買いですから注意が必要。

円も、まず、$1=85円をめざした円安(=円売り・ドル買い)の
動きになります。通貨の増発は、マネーの価値を下げることだから
です。

以上、緊急号です。2013年の経済・景気がどうなるか、これは別稿
にします。

【お詫びと再掲】
前回案内した、新著(『マネーの正体』:ビジネス社)への、アマ
ゾンへのリンクが、当方の不注意で、改行によって切れていました。
ご指摘をいただいたので、訂正し、載せます。済みませんでした。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93-%E5%90%89%E7%94%B0%E7%B9%81%E6%B2%BB/dp/482841682X/ref=pd_rhf_gw_p_img_1

本の読者からの評価は、レビューに5件あります。日銀がマネーを
刷ることが、経済にとってどんな意味を持つのかも、根拠とともに、
論述していますから、読むのにタイミングがいいかと思い、自薦し
ます。

【新著の目次】
はじめに
第一章 「お金」とは何か
第二章 マネーの発行は、なぜ「秘密」と思われてきたのか
第三章 中央銀行のマネー発行と、銀行システムによる信用乗数の
効果がもたらすもの
第四章 信用乗数と経済成長、人々の所得が増えるのはなぜか(減
るのはなぜか)
第五章 ゴールドと、FRBの40年戦争と最終勝者
第六章 21世紀の新しいマネー、巨大デリバティブはどこへ向かう
のか
第七章 われわれのお金は、どこへどう流れているのか
終章 金融資産の防衛

417ページは、一般的な本の2冊の量です。必要な基礎知識は短く解
説しながら、論理的であることを意識して書いています。金融・経
済に不案内な人も、十分に読み通せるはずです。

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<624号:マネーを発行する中央銀行の信用とその限度>
               2012年11月28日

【目次】

1.11月中旬からの「円安と株価の上昇」
2.日銀の実際のマネー増発は、8ヶ月間で11兆円にすぎない。
3.マネーの価値の構造
4.信用というもの:「Credit」とは何か?
5.中央銀行の信用拡張には、金融市場の認識による限度がある
6.2012年のマネー増発に対する、金融市場の反応
7.世界のマネーは、どうなっているのか?
8.2007年までの不動産に代わった、国債バブル

【後記】

<622号:2013年; 世界の経済・金融と、日本>
           2012年11月14日号

【目次】

1.南欧債の危機が続く
2.欧州銀行の資産圧縮の必要額は最大350兆円
3.不良債権は動的なもの:売りが多ければ不良債権になる。
4.参考:日本の「中小企業円滑化法の停止」は2013年3月
5.2013年の金融は、低金利リスク(=国債下落のリスク)
6.インフレ型に転じることができるのか?
7.マネーサプライの増加は、1年に12兆円しかない
8.GDPの成長に必要な、貸付金の増加
9.GDPの増加に必要な、民間設備投資の増加
10.2013年は、世界の物価は、下落に向かう

【後記】

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