緊急特集:サブプライム・ローン問題から露呈した8.09信用危機(1)
This is my site Written by admin on 2007年8月17日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。40度に近い異常な暑さが続いています。
今年7月、ラスベガスに行ったとき、生涯最高の灼熱を経験しました。
この8月の体感は、ラスベガスに近い。

ほぼ例年8月は、世界金融に重大な変化が起こります。
「ファンドマネジャーが、休暇をとる間の異変」です。
わが国でも、お盆休み。

本稿の論調は、あの9.11のときのように、緊迫しています。
金融では、9.11より大きな問題だからです。

▼8.09信用危機の勃発

【8.09信用危機】
今年の8月は、
(1)米国の「サブプライム・ローンの焦げ付き増加」によって、
(2)ローン債権を担保にした証券が暴落(市場価格が50%以下へ
下落)したことが引き金になり、
(3)ローン証券を多額にもつヘッジファンド、証券会社、金融機
関に「信用危機」が起こっています。

【金融機関間の資金融通】
世界の金融機関の間では、毎日、短期の相互貸しつけ(コールロー
ン)が多額に行われています。コールはCallで、電話で申し込むこ
とが原義の貸し借りです。

今日余った資金をもつところが、足りないところの要求に応じて貸
し付け、1日の利ざやを稼ぐ。金融機関間の、短資市場です。

このときの金利が、コールレート(オーバーナイト・レート)と言
われ、金融機関が顧客に貸し付ける(あるいは短期証券を買う)と
きの短期金利のベースになっています。

【普通の時期は・・・】
普通、金融機関が、相手の銀行や証券会社の信用(=財務内容)に
疑いをもつことは少ない。信用とは、金利をつけて返済できるとい
う意味です。

【8.09という異常日】
2007年8月9日、まず、欧州の金融市場で「コールローン取引」が、
事実上、停止するという稀な事態が起こりました。

「信用危機」です。実に、信用危機までが起こった。
・・・新聞を見て、思わずあっと叫びました。

お互いが、相手の資金状況を、疑ったためです。

放置すれば、銀行、証券会社、ファンドの資金不足から、連鎖倒産
が起こります。

金融の「システミックな危機」の勃発です。

日本にも1997年と2003年ころに、金融機関の信用危機が起こってい
ます。対策はゼロ金利と、日銀による30兆円の資金投入(量的緩和
)でした。

わが国の金融危機は、自己資本の少なさ、あるいは会計上の債務超
過の問題だったため、ゆっくりした対策でも間に合いました。

●今回の欧州と米国金融市場は、緊迫しています。
1日を争う資金繰り問題と、担保差し入れだったからです。

理由は、欧州と米国の金融機関、及びヘッジファンドが、「証券の
売買業」であるためです。証券の金融機関間の売買が停止すれば、
一夜で、連鎖倒産が起こります。一刻も、猶予(ゆうよ)がない。

●その理由は、欧米の多くの金融機関と証券会社の資金調達と運用
は、2000年代で、1998年に破産したLTCM(Long Term Capital Mana
gement)に近くなっているからです。

【3日間で42兆円の資金注入】
この「信用危機」を見た欧州中央銀行と米国FRB(連邦準備銀行)は、
3日間で、緊急に、42兆円相当という巨額の「債券買い」を実行し
ます。これは、異常な金額の買いです。

金融市場に売りに出た「証券」を中央銀行が買い上げ、42兆円の現
金(流動性)を注入した。

金融機関が、証券を買わないので、マネーの無限発行権をもつ中央
銀行が買って、市場の混乱と連鎖破綻を収めたと言っていい。

この緊迫した流動性の注入によって、連鎖倒産の危機は(今のとこ
ろ)回避されています。

【発表はのんびり】
世界に向かい、欧州中央銀行と米国FRB(連邦準備銀行)が、「
ザプライムローン問題であって、部分的」と発表するのは当然です。
FRBの学者:バーナンキ議長は「せいぜい10兆円の問題」言う。

しかし金融機関が売りに出た証券を買わないという事態は深刻です。

(推測)実は、ザプライムローン問題だけでない。推測ですが、米
国の住宅ローンうち、証券化されたのの全体(約600兆円の証券の時
価価値)の問題でしょう。

サプライムローン問題は「隠れ蓑」に思えます。サブプライムロー
ン証券の、時価価値の問題だけなら、42兆円もの投入は要らない。

【その証拠に、株価は、即刻反応した】
その間、世界の株式市場(約5000兆円の時価総額)は金融株を中心
に、(上海を除き)暴落と言っていい5%から15%の価格低下を示し
ています。時価総額は、300兆円も失われました。

実際にお金を賭けている多くの人が「相当な疑心暗鬼」になったこ
とを示します。損をした人は多いでしょう。読者の方々中の5人に1
名くらいの人は、株や外為(FX)、あるいは投資信託をやっている感
じを受けます。

前日の8月8日まで、世界の株価は、絶好調と言える最高値をつけて
いたのです。

【テーマ】
この「信用危機」が、

●「世界の資産バブル崩壊(信用恐慌)」になって行くのか、
●当局の発表と、多数派の見方のように「部分的、一時的な調整」

で終わるのか、本稿では、ここを探って行きます。

予測するのに「リスク」があることは、承知しています。
大切なことは、何を根拠に、どう論理展開するかです。

特別な情報を、持つわけではない。特別とされる情報は、むしろ信
用できない。せいぜい主要新聞や経済誌です。経済誌を読むのは習
慣になっています。そこから、重要と思えるデータを拾い、データ
にまかせ、論理で考えるだけです。

【警鐘】
06年から「世界の資産バブルの崩落予想」を、その根拠とともに、
10編以上も、書いてきたことは事実です。

根拠は、9.11(2001年)以後の、世界の低金利とマネーの過剰です。
今回の8.09ショックで、予測が当ったという気持ちはありません。
世界のマネー量と、資産価格を、統計から拾えば「資産バブル」は、
誰でも予測できたからです。

1年でわずか2〜5%の、リスクのある利益見込みに、世界の投機資金
が殺到するようになっています。原因は、それより低い金利で、投
機資金の多額借り入れができるからです。

気持ちでは「予測どおりのことは(いずれ、やはり)起こる」とい
う感じです。その方法は、「人々の認識の転換点」を推測するとい
うものです。

株価や不動産は、いつも、理論価格から適正と判断される水準を超
えるか、下回ります。

まずこの理論価格の構造から検討します。

(注)本稿は3回分です。
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<Vol.250:緊急特集:サブプライム・ローン問題から露呈した
           8.09信用危機(1)>

【目次】
1.理論価格の構造から
2.期待金利とリスクプレミアムを含む「株式益回り」
3.リスクプレミアムこそが動的な株価をつくる
4.相場は、過去の傾向をはずれ、急転することが多い
5.認識の転換:過去からの傾向が、ある時点で「強く認識」される
6.英米の住宅ローンの特徴は証券化
7.サブプライム・ローンは米国の住宅価格高騰州に多い
8.今後、もっと上がる延滞率
             (以下次号)

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■1.理論価格の構造から

言葉で難しく表現すれば、
「株の理論価は、会社の将来見込み純益を、期待金利とリスクプレ
ミアムで割り引いた現在価値に等しい」ということ。

▼理論的な時価価値(NPV)の計算

これを「NPV(Net Present Value):割引現在価値」とも言います。

不動産なら「不動産の理論価は、不動産の見込みレント(賃貸の純
収入)を、期待金利とリスクプレミアムで割り引いた現在価値に等
しい」ということです。

割引現在価値は、ファイナンス理論のもっとも重要な仮説。

具体的に見ます。

将来にわたって、公開された経営計画書から1億円の純益(=税引き
後利益)を期待されている会社があるとします。

期待金利(市場が共同予測する長期金利)を2%、会社の純益と金利
の実現リスク確率化したリスクプレミアムを3%とします。

これは1億円の純益と、2%の金利の将来確率を合成し、97%の実現
性と見ていることになります。

【問い】期待純益1億円、期待金利2%、リスクプレミアム3%のとき、
その会社の金融的な価値(=株価時価総額)の理論値は、いくら
になるか?

(注)3要素の見積もり方法:
(1)純益予想は、会社の長期経営計画を読んで、見積もります。
(2)期待金利は、長期金利の将来傾向をベースに見積もります。
(3)リスクプレミアムの実際は、ほぼ勘ですが、過去の株価変動
   率(ボラティリティ)を計算した上で見積もることもできます。

数理的な計算でも、グラフを見た勘と(実際は)大きな違いはない
と言えば、デリバティブの設計者は立腹するでしょう。

【答え】
理論時価総額=
 {1億円÷(1+2%+3%)の1乗}  →1年後の純益のNPV
+{1億円÷(1+2%+3%)の2乗}  →2年後の純益のNPV
+{1億円÷(1+2%+3%)の3乗}  →3年後の純益のNPV
+{1億円÷(1+2%+3%)の4乗}  →4年後の純益のNPV
+・・・・             →無限等比級数の和
 =1億円÷(5%)=20億円

[考え方]例えば、3年後の1億円の割引現在価値(NPV)は、金利が
2%、リスクプレミアムが3%なら、{1億円÷(1+2%+3%)の3乗}
です。

3年後の1億円
      =1÷1.05の3乗≒1÷1.16≒8620万円(現在価値)

(注)合計が、1億円÷(0.05)になる理由は、無限等比級数の和の
計算結果です。これは預金準備率と信用創造の総和の計算と同じで

http://www.findai.com/yogow/w00322.htm

時価総額の理論値は、20億円です。100万株発行していれば、1株の
理論価格は、20億円÷100万株=2万円です。

(補足)時価総額を会社価値とする説がありますが、それは「株(
証券)の金融的な価値の側面」を言っているにすぎません。私は会
社価値=時価総額とする市場原理主義の見解とは、違う意見をもっ
ています。

【実際の株価は異なる】
実際の株価は、2万円の理論価格付近を中心に、ちょうど誘蛾灯(理
論価格)の周囲に集まる蛾や昆虫のように、乱舞します。

ファンドは、多額の資金を投じ、時に誘蛾灯を壊すので、かぶと虫
でしょう。個人は蚊でしょうか。金融機関が蛾の大きさ。これで価
格形成をイメージ化できます。

理論価格が2万円で、実際価格は、1万5000円以下や2万5000円以上に
なることも多い。

株価2万円のときのPER(株価/収益率)は、時総額20億円÷期待純
益1億円=20倍です。

以上がファイナンス論で、[未来の不確定な要素を含む利益を現在
価値にするとき]使う方法です。

まだ、これ以外の方法は、ない。
会社の買収価格を計算するときも、これに類する計算をします。

■2.期待金利とリスクプレミアムを含む「株式益回り」

「PER:株価/収益率」の逆数は、重要な意味を含む「株式益回り
(=収益/株価)」です。

PERが20倍なら、株式益回りは、1÷PER20=5%です。

金融商品として、5%という高い利回りが期待されていることを意味
します。

1÷PER=株式益回り=期待金利+リスクプレミア

株式益回り=「期待金利とリスクプレミアムの合成」として見る点
が重要です。

株には、債券のような価格保証がない。そのため(確実な)長期金
利に、(不確実を確率化した)リスクプレミアムを加えたものより
高い利回りが期待されないと、売れません。

(1)期待純益は、企業の業績によって変化します。現在は赤字で
   も、将来、大きな純益が見込めれば、高い株価がつきます。

(2)金利も変動しています。従って、リスクプレミアムも変化し
   ます。金利が将来「上がる」という見込みが多いときは、株
   価も下げます。

(応用)NPVの公式は、住宅、不動産に応用できます。住宅や不動産
では「期待純益」のところに、「賃貸料水準−固定資産税−管理料
−所得税」をもってきます。

以上のことから、景気がいいため、企業の将来期待純益が大きく、
低い金利が長期間続くと多数派が見ているとき(認識しているとき)
は、株価水準は高騰するということができます。普通の結論に過
ぎません。逆なら、株価は下げます。

【重要】問題は、事実そのものではなく、多数派の「事実への認識」
の変化です。ここが肝心な点です。

原発も事実ではなく、事実への人々の認識で有効かどうか決まりま
す。食品の偽装も同じです。

20年前からの事実でも「問題だ」と多数の人に認識されなければ問
題にならない。例えば、下関に水揚げされた「ふぐ」はどこで取れ
た物でも、今は、下関産です。これは、まだ、問題になってはいな
い。

▼実際の株価収益率

8月16日の東証一部上場株の株価収益率(PER)は、次期予想純益の1
7.5倍くらいで、株式益回りは5.7%前後です。

わが国では長期金利(10年もの国債の利回り)が1.7%前後と低い。

しかし株式益回りが5.7%と4ポイントも高いのは、参加者が「リス
クプレミアム」を4%と(比較的)高く見ていることを示します。

日本人の日本株に対する見方は、米国人の米国株への見方より、は
るかに多く「(数倍の)リスクプレミアム」を見ています。

1÷PER=株式益回り
    =期待金利(1.7%)+リスクプレミアム(4%)=5.7%

これが東証一部上場株(=証券)で、現在期待されている利回りで
す。

▼導かれる仮説

株の理論価格を説明してきた理由は、以下の3項を導くためです。

(1)世界の金融市場は、低金利が、相当期間続くと予想している。
(2)世界の、予想経済成長率は4%から5%と高いため、企業の期
   待純益も、高く予想されている。
(3)以上のことから期待金利と期待純益についてのリスクプレミ
   アム(変動率:ボラティリティ)を低く見ている人が多い。

【結論】上記3要素が、世界の株を売買する人のうちの「多数派の認
    識」だったと言えます。しかしこれは過去形。

<世界経済は、中国を含み、グローバル経済(世界交易)で、大き
な成長軌道に乗った。グローバル企業の利益には、高いものが期待
できる。ところが日米欧の金利は(歴史的に見れば)低い。>

以上のような「共通認識(共同幻想)」が、世界の株と不動産価格
を押し上げ、価格を支えて来ました。

■3.リスクプレミアムこそが動的な株価をつくる

リスクプレミアムが確定できるなら、株価や不動産価格の予想は簡
単です。株価も固定します。株式市場は、期待金利だけで価格が上
下する債券市場と同じになります。

現在のところ、人類の知恵の範囲では、リスクプレミアムは確定で
きていません。(注)永久に確定できません。

リスク(=将来変化)を高く見る人もいれば、低く見る人もいる。

「さいころ」なら、リスクは確率的には確定しています。1が出る確
率は、いかさまでない限り、誰がどう振っても6分の1です。

従って、1が出れば6万円もらえる賭けの「現在価値」は、6万円×
6分の1=1万円と確定できます。リスク率は6分の5(83.3%)です。

われわれは、未来を見るとき、確率という方法しかもたない。人の
知恵は、過去の株価の変動を集計し、「リスク率」をはじき出しま
す。どんなに精緻に計算しても、この方法しかない。

これを[ヒストリカル・ボラティリティ]とも言います。
例えば1ヶ月での平均的な価格変動の幅が、10%だったとします。こ
こから、普通は、来月も10%の幅で変動する確率が高いだろうと、
想定します。

▼ボラティティ(価格変動率)指数:VIX(Volatility Index)

(誤解を恐れず単純に言えば)こうした過去の価格の確率、言い換
えれば、一定期間の価格変動の値の「標準偏差」をとって、それを
平均価格で割ったものが、「ボラティリティ(価格変動率)」と言
われます。

【有名なVIX】
シカゴ証券取引所では、1993年から、S&P(スタンダード&プアーズ)
の米国500社分を合計し、計算しています。「VIX」と呼んでいま
す。「Volatility Index」のことです。

過去の一定期間の株価変動から計算したボラティリティの指数が高
ければ、株を買うとき、大きなリスクプレミアムを見込まねばなら
ない。

逆に、ボラティリティ指数が低くなれば、平均的な変動幅が小さい
と判断でき、リスクプレミアムは小さくなって、株価予測に確実性
が加わります。

株価の売買は、不確実な将来予測を、お互いに競い、自分が勝つと
思って売買することです。

▼S&P500社の、歴史的(ヒストリカル)なボラティリティ指数

S&P500社は、米国の代表的な企業500社です。

【S&P500社のヒストリカルVIX】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2001年       20%〜45%
2002年       18%〜40%
2003年       15%〜35%・・・01年〜03年まで高かった
2004年       15%〜20%・・・04年から、低くなった
2005年       10%〜18%・・・多くの人が上がる予想
2006年       10%〜20%・・・多くの人が上がる予想
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2007年8月17日     30.83%・・・価格変動が大:損をする人
                  が多くなっている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

▼2003年まではボラティリティ指数が高かった

上記データで、01〜03年までのボラティリティ指数は、15%〜40%
近くと「高かったこと」が分かります。

1万円で株を買う人は、1500円〜4000円の損失を、覚悟しなければな
らなかったことを意味しています。株(=賭け)では、逆もまた真。
うまく売買したときの利益も、大きかった。なかなかうまくは売
買できませんが・・・

しかし、株価も不動産も、その価格変化の性質では、「上げるとき
はじりじりと少しずつしか上がらない。」

逆に、下げのときは、「数ヶ月の上昇を1週間で食うような下落をし
ます。」

そのため、ボラティリティ指数が大きくなると、数年(または数ヶ
月)の売買利益を、一瞬で失う人が増えます。

2003年まではそうしたボラティリティ指数の大きな相場でした。

▼2004年〜2006年はボラティリティ指数が低くなった

高かったボラティリティ指数が、2004年〜2006年は10%〜20%のレ
ンジ(幅)に縮小します。これは、何を意味するか?

【重要】
04年〜06年は株価の変動率が小さくなって、多くの人に「儲けが確
実」に見えるようになっていたということです。1万円で買うとき、
損の見込みは1000円から2000円に縮小していました。03年までの
1500円〜4000円の損失の覚悟と大きな違いです。

言い換えれば、2004年〜2006年は、米国株(S&P500)に投資して、
損をする人が少なかった。ブームは、ボラティリティ指数が小さい
ときです。

【2004年から金利は上がったが・・・】
2004年〜2006年は、米国FRBは17回にわたって2ヶ月に1度0.25%ずつ
政策金利(3ヶ月もの国債の利回り)を上げています。

同時多発テロの9.11の世界の低金利策以後、2003年には1%にまで低
下していた政策金利は、2006年には、5.25%に上がる。

金利の上昇は、株価と不動産価格にとって、下げの要素です。
(注)前述したように、理論価格は、将来純益を、金利とリスクプ
   レミアムで割り引きます。

【しかし、株価と不動産は上がった】
1%から5.25%への短期金利上昇にも係わらず、米国の株価と不動産
価格は、短期波動しながら、上げ続けます。

理由は、貿易黒字国(中国、産油国、日本)からの、巨額な米国債
券買いがあり、長期金利は上げなかったからです。

【神話の形成】
ここで、米国と世界には、米FRBが将来のインフレ懸念から、利上げ
をしても、海外からのドル債券買いによって「株と不動産は上がる」
という資産神話が形成されたと言っていい。

その原因は、世界の余剰マネーの、ドル帝国への循環です。
米国が世界の資金を集めた。
同じことですが、中国、産油国、日本が米ドル債権を買った。

■4.相場は、過去の傾向をはずれ、急転することが多い

しかし今日、2007年8月17日は、前述のVIX(株価指数変動率)が
30.83%に急上昇しています。

2007年は、
・2月末の上海発の世界同時株安(灰色の火曜日)と、
・今回の「8.19ショック」で、
 世界の株価は共通に、相当に不安定です。

しかし、多くの人は「過去の2004年〜2006年は、株価の変動率が小
さかった。たぶん2007年も変動幅は小さいだろう。うまく売買すれ
ば、まだ利益が出る。」と考えます。

専門家とされる金融機関、証券会社、ヘッジファンドも、この点で
は、何ら変わらない。

若干、多くの要素とデータを使い、複雑に考えるだけにすぎない。
人は、少なくとも6ヶ月くらいは、過去の認識に支配されます。

重要な点は、「自分だけは他の人より『うまく売買できる』と考え
るからこそ、株・債券・不動産証券を売買する」ということです。

皆が、自己への過信がある。
しかし実際に行えるのは、人並みのことです。
ファンドマネジャーでも、これは変わらない。
恐怖心と歓喜に踊らされる。

2007年の「ボラティリティ指数」の(約1.5倍以上への)急上昇は、
「過去の傾向は、ある日、突然に変わる」ということを実証してい
ます。

【原則】
高騰には、数ヶ月以上の時間がかかる。
相場が、突然に変わるのは、ほぼ常に「価格の急落」からです。
決して、急騰ではない。急落は、1週間以内の一瞬です。

上げもゆっくり、下げもゆっくりではない。
上げはゆっくり、下げは急速です。

理由は、損への恐怖は、儲けへの喜びより強いからです。
下げれば、過去の儲けを確定しようとあわてて売る人が多く出る。
そのため、下げるときの速度は速い。

元本の数倍を運用する信用売買なら、損で破産しますから、なおさ
らです。

■5.認識の転換:過去からの傾向が、ある時点で「強く認識」さ
   れる

今回の株価の下落の起点は、8.09の、欧州金融市場に発する信用危
機でした。

●その信用危機は、「米国のサブプライム・ローンの焦げ付き率の
 上昇」を、市場が、強く認識したことから来ています。

●ところが、160〜170兆円の残高があるサブプライム・ローンの延
 滞率(60日延滞)は、07年8月になって、急上昇したわけではない。

【事実】
米国住宅価格は2006年から大都市部で下落し、サブプライム・ロー
ンの延滞率は、05年の10%から、06年には12%に上がっていました。

しかし2007年7月まで、相場の反転はなかった。
7月には、米国ダウは史上最高値を、日経平均はバブル後最高値をつ
けていました。

●延滞率が毎月じりじりと増え、14%を超えたころ、人々は、強く
認識し始めた。「事実が、多くの人に強く認識されるとき」が相場
の転換点です。これが8月でした。

【原理】
「何事も、事実の進行は、ゆっくりしている。プレートの動きのよ
うです。しかし人の認識の変更は、ある日、突然に起こる。たまっ
ていた地殻のエネルギーが、一瞬で解放されるように。」

そして、サブプライム・ローンの債権を組み込んだ抵当証券(約21
兆円:$1990億)は、今、昨年比で50%も、市場価格が下落してい
ます。

●今は「価格がつかない」状態、「去年の半分の価格でも売れない。」

7月には「考えられなかった事態」。米国の住宅ローンと将来住宅価
格への「認識の転換」が起こったためでしょう。

そして、サブプライム・ローン(ローン全体の13%くらい)だけで
はない。

●米国の住宅ローン($10兆:1100〜1200兆円)全体に、『延滞率
 増加の疑念』が向けられ始めています。

ここで、英米の住宅ローンの特徴を、見なければならない。

■6.英米の住宅ローンの特徴は証券化

なぜ、米国の住宅価格の下落が、欧州大陸を含む世界の金融機関、
証券会社、そしてヘッジファンドの「信用危機」へつながったのか?

これを理解するには、米国の住宅ローン債権で発達した「証券化」
に触れなければなりません。(住宅が高騰した英国も、ローンの証
券化では米国とほぼ共通です)

●米国の住宅ローンは、残高が$10兆(06年:1100兆円〜1200兆円)
 と巨額です。

住宅が高い日本の、住宅ローンの残高は200兆円です。約6倍。米国
人は実に多く住宅ローンを借りています。1世帯当りで、日本の2.5
倍です。5000万円のローンはざらです。払えるのか・・・

日本の政府部門(国、自治体、特別行政法人)の総負債1100兆円に
匹敵します。わが国では、政府部門の負債、利払い、巨額借り換え
(08年で約170兆円)が、経済の最大問題です。

●米国には、日本のような巨額政府債務の問題は、ない。
 代わりに、世帯の、住宅ローン債務の巨額化の問題があると言って
 いい。世帯の財政が、問題です。

貯蓄率ゼロを続け、負債が増え続けている世帯の財政が、米国の問
題です。世界経済にとって、大問題と言ってもいい。

【米国住宅ローンの増加】 【うちサブプライム・ローン比率】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2000年   $ 5兆       3%
2002年   $ 6兆       5%
2004年   $ 8兆       12%
2006年   $10兆       13%
2007年推計($11兆)     (15%)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●2000年から2006年の6年間に、住宅ローンの残高は、$5兆(600兆
円)から$10兆(1200兆円)に倍増しています。

この間、海外から、米国の債券買いに集まった約500兆円〜600兆円
が、そっくり住宅ローンになっていると言っていい。

米国の住宅ローンは、3種に分けることができます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・プライムローン・・・30年返済の固定金利(普通住宅ローン)
・Alt-T ローン・・・・審査書類を減らし、すぐ貸す住宅ローン
・サブプライム・ローン・・・最初の数年間は4〜5%の低い金利、
 その後、10%くらいの高い金利に変わる契約の、回収リスクの高い
 ローン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・プライムローン(優遇ローン)がもっとも金利が低く、
・次に審査を簡易化したAlt-Tローン(オルトTローン)、
・そして一定期間(2年〜4年)後に、10%やそれ以上にローン金利
が高くなる、危険なサブプライム・ローンです。

(注)サブプライムローンを単に、低所得者向けと言うのは誤りです。
2軒目、3軒目のローンにしている高額所得者人も多い。

●住宅価格がどんどん高騰していた2003年ころから、
・審査が簡単なAlt-T ローン
・金利の高いサブプライム・ローン、
・一定期間は金利だけを払うインタレストオンリー・ローン、
・頭金までを組み込んだローンなど、所得が低くても、最初の借り
 入れが容易なローンが増えています。

住宅価格が10%上がる中、人々は競って、これら「最初の数年は容
易なローン」を借りています。

【MBS証券として売却】
それら住宅ローンは、住宅抵当権つきの証券(MBS:Mortgage B
acked Securities)として、証券会社が、金融機関、年金ファンド、
海外金融機関、機関投資家に売却しています。

MBSが買われる理由は、国債より利回りが高いためです。

【住宅担保つきという安心】
ローン返済が滞っても、住宅が担保だから、それを競売すれば回収
できるという安心があった。

住宅が値上するという条件下では、MBSは、他の債券より利回り
がよく確実な証券だったのです。

安易な住宅ローンは「貧者からの略奪ローン」とも言われました。
3ヶ月返済が遅れれば、ローン会社が抵当権を執行し、住んでいる人
を追い出し、競売したからです。そのとき、住宅価格が上がってい
れば、余分な利益もあった。

▼MBS証券(Mortgage Backed Securities)を世界に売る

これらの住宅ローン証券の発行残は、2006末で$5.7兆(680兆円)
と巨額です。全住宅ローンの約60%が証券化され、MBSとして、
国の内外に売られています。

米国内だけでなく、(1)欧州の金融機関、(2)世界のヘッジフ
ァンド、(3)日本や中国・アジアの金融機関、証券会社が買って
います。

▼そして8.09ショック

●住宅抵当証券(MBS)の価値を決めるのが、延滞率です。
延滞率が高くなれば、MBSの市場価格は急落します。

欧州に8.09ショックが起こった理由がこれです。

利回りがいいからと、米国住宅ローン証券(MBS)を多額に買っ
ていたファンドや金融機関が、短期資金の調達ができなくなって、
破たん寸前に陥った。(注)わが国金融機関は、MBSの購入は比
較的少ない。これは若干の安心。株価が問題ですが。

【疑心暗鬼が信用縮小になる】
●今、金融市場に起こっている「疑心暗鬼」は、相手金融機関やフ
ァンドが「どんな内容のMBSをどれくらい持っているか? 含み
損はいくらか?」ということです。

[短期資金が欲しいのは、MBSの値下がりの含み損失のためでは
ないか?]→[それならリスクが高い]→[手控えよう]となった。

●【結果】これが、欧州の金融機関間の、貸し借りが急減した8.09
ショックです。金融機関間取引が、事実上なくなってしまった。

欧州中央銀行は、金融破たんの連鎖と、短期金利の急上昇を恐れ、
8月9日から、緊急の巨額資金注入を行います。

こうした緊急処置は、2001年の同時多発テロの9.11ショックで、米
国証券市場が売買を停止して以来です。1週間での緊急資金注入は、
3000億ドル(36兆円)でした。異例なことです。

今回はそれより多い。9.11は、とんでもない衝撃でした。それより
多い。

欧州中央銀行が、どれくらい慌てたかを、この金額が実証します。

中央銀行は公表する「見解(言葉)」は重要ではない。重要なのは
「資金の行動」です。42兆円の緊急資金注入が、行動です。これは、
異例です。

■7.サブプライム・ローンは米国の住宅価格高騰州に多い

延滞率が急に上がったのは、2005年ころに実行されたサブプライム
・ローンが、2007年から「金利10%」の時期にはいったからです。

▼2007年〜2008年の延滞予測のための、2005年の貸付データ

住宅ローンの延滞率が、今後、どう向かうかを判断するため、2005
年の主な州別の、住宅ローンの新規貸付額を見ます。(資料:みず
ほ総合研究所NY)

2005年   新規住宅ローン   うちサブプライム  割合

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
加州    $7570億(90兆円) $1950億(23兆円) 26%
フロリダ  $2490億(30兆円) $ 530億(6兆円)  21%
NY    $1290億(15兆円) $ 240億(3兆円) 19%
・・・・・          (他州もNYに類似)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
全米   $2兆8800億(345兆円)$6190億(74兆円) 20%

米国の住宅価格は、2005年は、全米平均で10%以上の高騰でした。

●2005年の住宅ローンの新規実行額は、$2兆8800億(345兆円)に
も上ります。たった1年で、ものすごい額の住宅ローンが組まれた。

この年、住宅は、超ブームだった。

これが、米国の消費景気を支えていました。米国では住宅を買うと、
3台は所有する車もほぼ同時に、リースで買います。インテリアや
家具も、中流の世帯は、約400万円分も買います。ホームデポも家具
店も好調でした。

同年のサブプライム・ローンも74兆円(20%)と巨額でした。

その中で最大は、90兆円のローンを組んだカリフォルニア州です。
加州は、住宅価格の値上がりが、もっとも高い州でした。(注)直
近では下落しています

●今年、延滞率が急に増えたと言われるサブプライム・ローンは、
2005年に組まれたものです。

当然、これは2006年も同じように組まれています。

●容易に想定できるのは、住宅ローンの延滞率は2007年、2008年と、
今の14%より、相当に上がるということです。これは「確定的事
実」です。

「認識」はどう変わるでしょうか?

■8.今後、もっと上がる延滞率

住宅ローンの総残高$10兆(06年末)のうち、延滞が生じているの
は(サブプライム・ローンの延滞14%を含んで)、約5%です。

今後、新たに、3%の延滞が加わる可能性が高いとされています。
延滞率は8%($8000億:100兆円分)に上がる見込まれています。
(米国調査機関:07年2月時点)

この予想は、まだ延滞率が低かった07年2月時点のものです。今は
8月です。

●6ヵ月後の今予想すれば、延滞率は、少なくとも$10兆の10%、つ
まり$1兆(120兆円)にはなるでしょう。
・・・もっと高いかもしれない。

その理由は、米国の住宅ローン証券(MBS)が、8.09ショックを
起点に、世界で、ほとんど売れなくなったことです。

●サブプライム・ローンを組みこんだ証券だけが売れないのではな
い。Alt-Tはもちろん、普通のプライムローンを組みこんだ証券も売
れなくなっています。

欧米の大手証券会社は、住宅ローン証券を組みこんだヘッジファン
ドの証券に対し、資金を融資しないと言明しました。(Financial
Times:07.08.16)自分を守るためです。これは激烈です。

住宅ローン証券(MBS)が売れなければ、あるいはそれを担保に
融資がなければ、元になる資金がないので、ローンが組めません。

ローンが組めなければ、住宅は売れない。延滞からの競売も増える。

価格はもっと下がる。

【07年8月現在】
●直近で言えば、ローン審査が厳しくなって、サブプライム・ロー
ン、インタレストオンリー・ローン、頭金のないローン、審査の容
易なAlt-Tは、組めなくなっています。

住宅価格が下がれば、目いっぱい借りたローンの延滞率は、どんど
ん上昇します。

米国では、ホーム・エクイティ・ローンがある。3000万円の抵当権
のローンを組んで買った住宅が時価4000万円に上がると、1000万円
分を使途自由のローンとして借りることができていました。住宅価
格が下がれば、この分も、追加の担保か、返済を迫られます。世帯
の破産でしょう。

放置すれば、米国の住宅価格は、今後も、スパイラルに下がる可能
性が高い。

米国の住宅ローン残高(1200兆円)の、割引現在価値(NPV)は、
いったいいくらなのか? 今、誰も、これを計算できない。

米国の半分の、5000万世帯が借りているとして、1世帯平均で2400万
円の住宅ローンです。

▼どうなるのか?

本稿は、8.09までの解説です。今後を予測するには、現在までの推
移を、論理的にたどることが必要だからです。

【対策】8.09ショックが、金融の連鎖崩壊にならないように、日米
欧の中央銀行は合計42兆円の、短期債券買いをしています。

●今報じられているのは、住宅ローン関連の金融会社やヘッジファ
ンドの、次々に明らかになる損失です。信用危機は、現在進行形で
す。

【300兆円】
8.09ショックで、世界の株価が下がって、失われた時価は、合計で
300兆円の巨額です。これは、金融機関、証券会社、そしてとりわけ
ヘッジファンドの、含み損を増やしています。

日本の株は、今1日に総売買の50%〜65%が外人ファンドの売買です。
資金が不足したファンドからは、株は売られるでしょう。

・米国住宅ローンの延滞率の増加が、直接的なローン証券の価格低
 下だけではなく、
・間接的に世界の株価ショック(300兆円の時価の喪失)にも連鎖し
 ました。

米ドル(及び米ドル債券)は世界で売られています。
そのため、円も、急に上がってきた。

肝心なことは、「今後どう向かうか」です。
世界の恐慌の引き金になるのか?

信用縮小は、日米欧の中央銀行の奮闘で、一定線で止まるのか?

2001年以降の世界は、低金利と過剰流動性を原因に、「資産(株・
不動産)」価格の高騰の7年でした。上がりすぎたものは、下がる
のが原理ですが、果たしてどう向かうか?

とりあえず確定したことは、7月には予想されていた日銀の8月利上
げ(+0.25%で0.75%)はないことです。

次号で、もっと踏み込んで予測します。

日本の新聞は、一般紙はもちろん経済新聞を含め、お盆休みのため
か「のんびり」した論調です。

米ウォール・ストリート・ジャーナルや英フィナンシャル・タイム
ズは、現下の、相当に緊張したシーンを伝えています。記事量は10
倍以上。

ウォール・ストリート・ジャーナルとフィナンシャル・タイムズは
「論説報道」です。わが国の新聞は「発表された事実の報道」です。
相当に違います。

当局は「たいしたことはない」と言う。本当でしょうか?

25ページと、3回分に長くなりました。
以下、次号で・・・

see you soon!

【後記】
無料版の発行が、2ヶ月ほども遅れたことを、深く、お詫びします。
その間、申し訳ないことですが、毎週発行の有料版で、住宅価格と
金融問題、資産バブルの問題を論じ、警告していました。

言い訳にですが、複数の会社のため、経営分析と戦略リポートも相
当量、書いていました。

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ビジネスの成功原則、関連事項、経済を原理からまとめ、明快に
解いてお届けしています。以下は最新号の目次です。

<327号:わが国の医療と医療費問題を考える(1)>
      07年5月23日号
【目次】

1.増える医療費と医療保険の赤字
2.医療費の総収入と総支出
3.医療用医薬品の公定価格の切り下げ
4.診療所・病院・調剤薬局の薬価差収入を減らす政策
5.厚生省の、薬価差の削減のための対策
6.旧厚生省が導入したもうひとつの政策が医薬分業
7.院外処方を有利にする策
8.政府策のまとめ
9.2006年度からの政策

<328号:わが国の医療と医療費問題を考える(2)>
      2007年5月30日分
【目次】

1.世界の資産・株バブルのリスク材料
2.米国では住宅も金融化した
3.医療費負担と食費はほぼ同じ
4.米国の医療費、医療制度、医療保険
5.米国の医療保険の制度
6.医療保険のプランによって治療と医薬は異なる
7.多様な民間保険
8.医療保険の支払い制度も異なる
9.米国のフィー・フォー・サービス(FFS:出来高払い)
10.マネージド・ケア(HMO:管理払い)の保険制度
11.保険では指定病院制をとることが多い
12.米国の医療費が高い理由
13.わが国大手病院は、収入比で5%から10%の赤字経営
14.06年〜07年のわが国の医療政策は一変した

<329号:世界経済の不均衡発展はいつまで続くか?>
      2007年6月6日分

【目次】
1.世界経済のリンク構造が21世紀
2.ファンドによる運用
3.AHLプログラム
4.ドルに対する円安・元安とユーロ高
5.通貨の価値調整が自然
6.低い金利の中国の株が乱高下している
7.中国は輸出経済:米国は輸入経済
8.米国の小売売上の急落がもたらすこと

<330号:時事:下がるドル、上がる金利(1)>
         2007年6月13日号
【目次】
1.審美的なフィッシャー公式についてのプロローグ
2.貨幣量は準通貨を入れて、見なければならない
3.貨幣の流通速度は急低下した
4.物価水準
5.物価の構造
6.超長期で一定の実質価格のものは何か?
7.金が最高値をつけた1980年に似ている現在
8.世界で米ドル信用の低下が起こっている

<331号:時事:下がるドル、上がる金利(2)>
      2007年6月20日号
【目次】
1.経済成長率及び物価上昇率と金利の、もっとも基本的な関係
2.政策金利と市中金利
3.マネーの創造をするのは中央銀行だけか?
4.乗数金融の増加した世界での金利効果
5.世界の金利の矛盾
6.米国の金利の長期トレンド
7.米国の中東戦略の失政から

<332号:時事:完結編:下がるドル、上がる金利(3)>
        2007年6月27日号

【目次】
1.米国への資本流入は、いつまで続くか?
2.2つの見解
3.2001年〜2005年はマイナスだった世界の実質金利
4.マイナスの実質金利の転換
5.そして現在
6.世界がインフレ認識に転じれば、金利はどうなるか?
7.金利の上昇
8.短い結論

*長くなるので7月号以降の有料版タイトルと目次は、次号に示しま
す。

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