経済問題の根底は、世界の債務の増加である
Written by admin on 2018年8月31日 – 10:00
おはようございます。もっとも新しい有料版の前半部から8ページくらいをお 届けします。おはようございます。 本稿は、試みとして、改行していません。スマホへの対応のためです。 アウトルックなどのPCのメールアプリで読むときは、受信メールの表示幅を 縮小すると、好みのところで自動改行されます。 東京で、世界初の、AIによる、商用自動運転タクシーの営業の、実証実験が 始まりました。21世紀の19年、何事においても「世界初」が少なくなった 日本にとって、喜ばしいことです。 1998年の資産バブル崩壊後の銀行危機が日本の成長を下に引っ張ってきま した。経済の成長とは、ITとアプリを含む設備投資の増加ですが、資産と株 の下落により過剰な負債になった企業が、設備投資を減らしたからです。 過剰な負債は利払いと返済のできない不良債権になって、その結果が銀行の危 機、つまり信用創造の危機になっていたからです。日銀から資金支援を受けて も、銀行は貸付金の増加を果たせなくなった。 企業も、売上に対して過大になっていた借入金を減らした。その結果、企業の 設備投資が減ってきたのです。それが、日本経済を成長させなかった。いろい ろな「世界初」が日本から消えました。 2020年の東京オリンピックでは、選手の交通機関として、AI自動車が全 面的に採用されるスケジュールです。2020年代になれば、われわれが買う 車にも、深層学習のAIが搭載され、障害物の認識と回避ができるようになっ ていくでしょう。 自動運転には5つの段階が設定されています。 【レベル1】運転支援: ハンドル操作と加速・減速のいずれかをAIが支援する。自動ブレーキのAC C(アクティブ・クルーズ・コントロール:動的運転制御)の導入レベルです 。 【レベル2】部分自動運転: ACCが進化し、AIがハンドル操作と加速・減速・停止を行ってくれるレべ ル。レベル2では、まだドライバーは必要です。 【レベル3】条件付き自動運転: 高速道などの整備された道路では、自動運転ができる。レベル3のAIは、ド イツのアウディの高級車A8に搭載されています。 シンガポールでは、2017年10月から、三菱とルノーの車を使い、レベル 3のタクシーの(営業ではない)実験が行われ、2018年からの営業の開始 をねらっています。緊急対応のため、ドライバーが乗る必要があります。東京 の日の丸タクシーが営業実験しているレベルがこれです。 【レベル4】高度自動運転: ドライバーの搭乗の必要がなくなる水準の自動運転。ただし道路の走行条件( 混雑や障害)のよさが条件。一般道の完全自動運転ではない。まだ、レベル4 の市販はない。 AIで先行するアウディが2018年秋のオートショーに、2台のコンセプト カー(SUVクルーズ)を出す予定です。自動運転の最高速度は130Km/ hと、実用のレべルという。速度が上がると、AIによる「認識→判断→運転 」の、正確さと速さが必要になります。 【レベル5】完全自動運転: 一般道の、どんな条件でも、無事故の完全運転をAIが行う。このレベルの技 術には、まだ達していません。AIが大量の情報を、超高速で処理し、無事故 に対応することが必要です。要は、「計算速度」です。 2020年にはレべル3の条件つき自動運転が、実用化します。テスラは、2 020年にレベル5の完全自動運転を実現としていますが、どうでしょうか。 アウディは、2020年から21年には完全自動運転の実用化を目標にしてい ます。BMWも2021年です。 2020年代の初めに、各社の高級車から完全自動運転の車が登場するでしょ う。当方の車も、買い替えの時期です。「3年、待つか・・・」悩んでいます 。AI自動車の実用は「時間の問題」です。農業の自動化も始まります。 その前に、西日が強く当たるパーキングスペースの改造が必要です。ネットで 調べると250万円くらいです。今は、冷房が効くまでの約30秒、80度以 上かと思えるサウナになる。抵抗値を上げる熱が弱点である電子回路には、こ れはよくない。高性能なPCほど冷却が命です。確率は稀でも、一瞬の誤動作 やフリーズが起こったら事故です。 将棋や囲碁のパターン(棋譜)の深層学習(ディープ・ラーンニング)から始 まったAIによる画像診断が始まっている診療を含むあらゆる分野で、認識が できる深層学習型AIの実用化が進んでいます。 診断のAIは、トッププロを負かした囲碁のAI(アルファGO)を2017 年に作った英国のディープ・マインド社(資本はグーグル)が開発しています 。画像認識は、棋譜の深層学習と同じ性質のものです。半年での進歩が、目ま ぐるしく速い。学習も自動化する深層学習の進歩の速度は、速いからです。 将棋や囲碁を事例に言えば、3か月間で、人類の経験は及ばない数百億~数千 憶回の自己対戦から自動学習しています。人間がプログラムを作っていた間は 、ソフトの進歩は遅かった。自動化された深層学習で、比較できないくらい速 くなったのです。 AI自動車(自走車)では、認識と判断の速度が問題です。1秒かかる障害の 認識ではぶつかってしまう。 この深層学習の進化は、あらゆる分野で同時進行中です。深層学習のプログラ ムは、目には見えないので、多くの人が知らない。AI自動車が登場する時期 には、工作の自動ロボットを含んで、全分野でのAI化が、高速になります。 3年は、過ぎてしまえば「あっという間」です。トランプの当選からも、2年 が過ぎています。 AIの活用は、日本の人口減を無効にするでしょう。 雇用が不足している配送(物流)も倉庫も、自動化に向かっています。AIが 雇用を奪う、仕事を奪うという懸念が言われますが、当方はその面ではなく、 経済成長、つまり1人当たり労働の、所得の増加になる面を重く見ています。 日本のような人口減の社会では、労働者数も減るからです。AIは、産業革命 を果たします。世界に先駆けて、生産年齢人口が年率0.6%で減って行き、 増えることがない日本は、AIの利用でも先行すべきです。 アプリとAIの深層学習はデジタルです。デジタルは完全な複製ができるので 、利用数が増えるとどんどん安くなって行き、最後は、ほぼゼロになります。 ハードコストのみになって行くのです。 ハードでは、爪の先の大きさで、1テラバイト(1兆バイトの情報量)のメモ リも、登場しています(3万円台:バッファロー)。しばらくすれば、1万円 以下になるでしょう。こうしたことこそが「真に驚異的なこと」でしょう。1 テラバイトのハードディスクは、30年前は数億円でした。兆バイトは信じら れなかった時代です。IBMの小型機A/S400を使っていたので記憶して います。 5万4000店に増え、売上が11兆6975億円(2017年)になってい るコンビニでは、共同で、メモリの変化形であるICタグ(RFID:起動電 流つきメモリ)の実証実験が始まっています。ICタグは、WiFiのように 、電波で、商品の、同時多数の、自動認識を可能にします。 今は人が行っている在庫管理、生鮮の鮮度管理、発注、レジのアプリ(プログ ラム)と組み合わせると、商品作業が自動化します。店舗のAIに相当するも のです。店舗の商品作業は、売れて減った棚陳列の補充だけになる(人件費の 約40%)。店舗労働の生産性を2倍には高めます。(注)売上生産性=売上 ÷労働人時 2025年には、2000億枚のICタグが使われ、1枚は1円に下がる予定 です。今は、5円から10円と高い。100円から200円が単価の食品には 、コスト率が高すぎ、まだ使えません。 中心単価が1000円から2000円のユニクロ、ZARA、H&M(いずれ も、世界生産のファスト・ファッション)では、遠隔の在庫管理に使われてい ます。本部からは地球の裏側にある店舗の在庫と生産の、リアルタイム管理を 自動化できるからです。 CSのTV放送では、世界中のスポーツや事件の実況中継が、動画機能をもつ スマホ一台でもできるようになっています。Youtubeにも、短時間でア ップロードされます。既存の、メディアとそのメディアのジャーナリズムが衰 微しているのはこのためです。ジャーナリズムの本義は実況+解説だからです 。 世界で、ICタグの需要が増えて3円以下に下がる時期から、電子マネーの普 及率上昇とあいまって、店舗の自動化も進むでしょう。時期は、AI自動車と 軌を一にする2021年でしょう。2年や3年はすぐに来ます。2018年は 、ICタグの利用開発を開始すべき時期になっています。人がそれに慣れるに は、時間がかかるからです。 日本の店舗での、電子マネーの利用は世界に遅れています。クレジット・カー ドを含むキャッシュレス化の比率では韓国89%、中国60%、カナダ55% 、英国55%、オーストラリア51%、スウェーデン49%、米国46%、フ ランス39%、インド38%ですが、日本は18%であり、ドイツも15%と 低い(2015年:経産省調査)。 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon/dai14/siryou2-1.pdf 電子マネーは、レジでの清算を自動化させます。スマホや電子マネーがチャー ジされたカードをかざすだけで決済が終わるからです。 店舗は、商品をスキャンし、代金を受け取るレジで人件費の35%くらいを使 っています。他にも、AIで自動化できる商品管理・在庫管理は人件費の20 %でしょう。そのコストは、今の店舗売価になっています。 (注)わが国のスーパーの値入率は、18%から27%です。「値入率=値入 額÷(仕入れ代金+値入額)」です。コンビニは、店舗段階の値入率が15% くらいです。 タクシー料金では、ドライバーの人件費率は70%です。1000円の料金で 約700円、管理費・車両費・燃料費・保険が300円です。商品の輸配送で は、約50%がドライバーの人件費です。ネット販売の宅配の費用は一件当た りの平均が約400円(段ボール1個)ですが、200円は、AI配送で代替 できる人件費と見ていい。 あれよあれよと、AI革命の時代になりました。あらゆる既存産業は、人手を 多く使っている労働部分で、AIの導入へ向かわないと、コストの競争優位を 失っていくでしょう。2020年はそういった時期への分岐点です。会計も、 クラウド会計になって行きます。 屋台の店舗でも、電子マネーの利用比率を高めた中国は、これを知っています が、2000年代の、内需ゼロ成長の日本では、「うかうか」している会社が 多い。隣にできた店舗に、コストの競争優位を失ったあと、やおら追いかけて も遅いのです。 デジタルテクノロジーの導入では他より早いことが必要です。アマゾンの仮想 店の開発は、1995年でした。それから23年。どこでも仮想店が作れます が、どこも、アマゾンに追いつくことができない。 1社総取りになる傾向が強いデジタル技術では先行するものに追いつくことが 、容易にはできないからです。プログラムは複写のコストが、ほぼゼロです。 物的な店舗を作るには、その都度、一定のコストがかかります。仮想店で、商 品種類(売り場面積)を増やしても、追加のコストはほとんどかからない。そ のため、販売額の増加とともに、値入率を下げて行くことができるからです。 ソフトコストが年々、目に見えて安くなるデジタル技術は、そういった「一人 勝ち」をさせる性質をもっています。最初は、コスト高です。そのコストは、 年々、大きく下がって行きます。 インターネットのWiFiも、現在の2Gから、5Gに高速化する時代です。 5Gはデータの送受信コストの、劇的な低減(1/100)をもたらします。 送受信の高速化は、データ当たりのコストの低減と同じことです。 成長経営のコツは、「これから安くなるものを豊富に使い、高くなるもの(人 件費)の使用を減らしていくこと」です。AIとデジタル技術は、これから安 くなるものの典型です。今後はAIとデジタル技術を、経営資源にしなければ ならない。本稿は28ページです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <957号:現在の経済問題の根源には世界の負債の増加がある> 2018年8月29日:有料版 【目次】 1.本編のテーマは、現在の経済問題の根源には、世界の負債の増加がある、 です。 2.高い株価は、米国経済の弱点になっている 3.世界の負債 4.問題が浮上した新興国の負債 5.米国の利上げで、問題が浮上した新興国の負債 6.マネー量増発の効果 7.先進国での、GDPの271%という負債の、将来的な意味 【後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.本編のテーマは、現在の経済問題の根源には、世界の負債の増加がある 、です。 本編のテーマは、<現在の経済問題の根源には、世界の負債の増加がある>で す。対外負債が、外貨準備より大きな新興国の通貨が、ドルの引き揚げ、つま り、「新興国通貨売り/ドル買い」によって下落し、物価インフレと債務危機 を招いています。 ドル建て債務の金額が、下がる自国通貨によって、増えたようになっているか らです。 日経新聞の小さなコラムで、世界の負債(政府債務+企業債務+世帯債務)が 2京7000兆円に増え、世界のGDP(約8500兆円)の3倍になってい るという記事がありました(国際金融協会の集計)。 リーマン危機後の、金融対策費としての通貨増発は、米国FRB、欧州ECB 、人民銀行、日銀の合計で$20兆(2200兆円)でした。 そのマネーが、比較金利の高い新興国の債券(国債)の購入になり、新興国の 債務を増やしてきたのです。新興国の国債が売られ、ドルに回帰すると、経済 規模が小さい新興国は、簡単に通貨が下がって金利は上昇し、輸入物価が高騰 するインフレの危機になって行きます。 GDPが1500兆円(2018年)と、日本の約3倍になった中国の人民元 も、経済成長の減速から、元の売りの超過があり、2018年6月の1元17 .4円から16.3円(18年8月29日)にまで、6.3%下がっています 。 ただし中国では、過去の経常収支(いわば国の利益)の黒字から$3.11兆 (342兆円)の、外貨(推計80%はドル債)があり、人民銀行が管理して います。当局が想定していない元安(元の売りの超過)に対しては、外貨準備 のドル売りで対抗できるため、元は暴落していません。 重要なことは、中国では、常に「元売り/ドル買い」の動きがあり、何かをき っかけに吹き出すことです。2015年の、世界の株価の暴落をもたらした元 安がこれでした。(注)このときは、1元20円の元高(15年4月)から、 15.2円(16年8月)の元安にまで、対円で24%も下げています。通貨 の下落は資本集出です。 http://ecodb.net/exchange/cny_jpy.html トルコのリラ(50%下落)、アルゼンチンのペソ(40%下落)、ブラジル のレアル(30%下落)、インドのルピー(10%下落)、南アフリカのラン ド(15%下落)では、 ・政府、中央銀行がもつ外貨準備が少なく、 ・対外負債の増加になる経常収支は赤字です (下落率はいずれも対ドル:8月14日時点)。 こうした新興国の通貨下落が、2018年6月の、米国FRBによるわずか0 .25%のドルの利上げによって起こったのです。理由は、新興国を含む世界 の負債が、特に2008年のリーマン危機以降、GDPの増加率を超えて大き くなってきたからです。(注)FRBは、トランプの意見に反して、18年9 月と12月に、0.25%ずつ利上げの予定を言っています。 企業でも、GDPに当たる売上収益(粗利益)より、負債の増加率が大きすぎ ることが続けば、利払いと返済の危機から、倒産にも至ります。世帯も、所得 より負債の増加が大きいことが続けば破産します。これが負債の意味です。 借り入れが増えることができる間は、いい。信用の一定線を超えて、借り入れ と、国債、社債、株券などの債券(=いずれも債務証券)の発行を増やすこと ができなくなれば、襲ってくるのは返済と利払いです。 もともと足りないから借りていた。マネーが足りない中で、返済と利払いにな るので、一挙に金融危機から経済危機になって行く。 ▼世界の経済問題の基底は、大きくなりすぎた負債 現在の、世界の経済問題の基底に、2008年以降、増え過ぎた負債がありま す。これが、様々な現象(通貨の下落、金利の上昇、物価の上昇、GDPの増 加率の低下)となって、現れているのです。 日本では、財政赤字から発行が増え続けている国債の問題です。 中国では、リーマン危機以降の、輸出急減の中でとられた内需対策の、高い住 宅建設を増やした企業債務の大きさの問題です。 米国では、経常収支の赤字の増加からきている対外債務($35兆:3850 兆円:2017年)の大きさの問題です。 トランプが、世界に対して輸入課税策(25%課税)を取っているのは、国内 の減税(10年で$1.5兆:150兆円)と軍事支出の増加(7兆円増加し て73兆円)から、米国の経常収支(貿易収支+所得収支)が、1年に$1兆 レベルと大きくなり、対外負債が$40兆に向かっているからです。 対外債務が$40兆になると、3%という低いドル金利でも、利払いが$1. 2兆(132兆円)になって、今度は、利払いによる債務の増加になって行く からです。 ■2.高い株価は、米国経済の弱点になっている もう1点、米国の弱点は、リーマン危機以降で3倍に上がった「高すぎる株価 」です・・・。 ・・・無料版はここまでとさせていただきます。続きの有料版の全体は、以下 のページで申し込むと購読ができます(↓)。 https://www.mag2.com/m/P0000018.html 有料版のバックナンバー(以下に過去の全部があります↓) https://www.mag2.com/archives/P0000018/ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲で、あなたの横顔情報があると、テーマ選択と内容記述 の際、より的確に書くための参考になります。 気軽に送信してください。感想やご意見は励みと参考になり、うれしく読んで います。時間の関係で、返事や回答ができないときも、全部読みます。共通の ものは、後の記事に反映させるよう努めます。 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 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