番外エセー:生々しい音を出した手作りスピーカー
Written by admin on 2011年8月14日 – 09:00
有料版の前々号の後記で、手作りスピーカーのことを、短く書きま した。興味をもって下さるひとは、1%だろうと思い、詳しくは書 きませんでした。本稿は、番外のエセーです。経営、金融・経済で はない。今日から、福岡です。 それにしても、2011年8月は、「ドル基軸体制の終わり」です。60 年の歴史転換が、いま、目のまえで起こっています。こんなに下が るドルを、安心してつかえるわけがないからです。 80兆円規模の輸出企業は、いま、途方にくれているはず。ユーロ崩 壊も同時です。ユーロのほうが、ドルに6ヶ月から1年は先行でしょ う。あとは、通貨バスケット(既述)に思えます。 ただし、世界の通貨の新体制へ移行は、数年かかります。その間は 、どの通貨を使うかと、相手先と交渉してきめる。事実、いま、韓 国との貿易ではウォンを、中国からは元をつかってくれと要請する ところも、急に増えています。こうした動きこそが、ドルからの離 脱です。 いま、8月前の脱稿に向け、激動している通貨・金融・デリバテイ ブ、及び経済領域をカバーできる本を書いています。お風呂にはい る時間と食事時間が不定なってしまった。 クラシック音楽の1%には、根拠があります。ソニー・ミュージッ ク・エンターテインメント(SME)のCDの販売で、全ジャンルの1% と聞いたからです。5%や10%を想定していた私は、ずいぶん少な いと思ったのです。 ところが、読者の方からのメールで、1%でも100倍のレバレッジで す。どうか、書いてくださいとありました。この場合のレバレッジ は意味不明に思えますが、当方いつか書きたかったのです。書きま す。 商品の品番が出ますが、リンクを張ります。参照して下さい。イメ ージがつかめるでしょう。グーグルの検索でいい。ユーザー評価・ 評判ともに、沢山の記事が見つかります。結果は、成功でした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <エセー:生々しい音を出した、手作りスピーカー> 【目次】 1.ごく少数の、マニアックな世界です・・・ 2.小さい口径を選ぶ理由 3.6角柱 単板の箱を磨く 4.6角柱 単板の箱を、サンダーで磨く 難しいと塗装はオイルフィニッシュ 5.タイムドメイン・ミニの経験 タイム・ドメイン理論は、振動分離が本質 6.レファレンススピーカーはGX100、使うデジタル・アンプ 高価な機械は、性能を発揮させるのが難しい 7.工作が難しかった、スピーカー・ユニットの背面固定 【鉛のインゴットを、背面に接着】 【振動分離材のゲルを使う】 【考える・・・】 8.出た音は、生々しく、GX100をはるかに超えた 9.ネットで見つけた戸沢式レゾネーターを作る 10.次はSPユニットそのものの改造 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.ごく少数の、マニアックな世界ですが・・・ 最近、グーグルを使って、「ロングテール(クリス・アンダーソン )」や「マーケティング3.0(コトラー)」を実感します。世界の 商品が短時間で届きます。 米、欧、日は、すっかり、画面の裏の通信ネットで一つの世界にな った。年15%は増えています。年15%増は5年で2倍、10年で4倍、1 5年で8倍、20年で16倍です。10年はすぐきます。1985年のWindows から16年です。 16年で、携帯、スマートフォンを含みインターネットが普通のもの になっています。これが、いま、世界を変えていると言っていい。 買い物だけでなくマスメディアも本も、学校も変えます。動画+音 声+データベースのYou Tube方式は、学校になり得るのです。 100万人に1個しか売れない商品でも、10億人のインターネットでは 、1000個が可能性になる。マニアックな磁性流体(意味不明でしょ う)でも、売っているのです。これも、今度ダンパーに使いました 。 http://www.ferrotec.co.jp/products/magnetism/speaker/speaker.html 今回スピーカー作りは、インターネット情報を参考に、行ったもの です。読んで、ここまでやるひとがいるかと感動的だったのが、こ のサイトでした。きっとすばらしい音とイメージできたのです。 http://www002.upp.so-net.ne.jp/hard-and-soft/New_speaker/TDPS.htm ■2.小さい口径を選ぶ理由 スピーカー・ユニット(音を出す本体)は、タイムドメイン・ラボ の試作品という「プロトタイプ・ユニット」です。口径が8cmで1個 3000円と極安です。小型のお湯のみくらいで可愛い。軽い。 http://item.rakuten.co.jp/eiwa-up/unit/ 8cmを選んだのは、振動して音を出すコーン紙が、余計な音を出す 分割振動をしにくいからです。低音不足は、口径が小さいのでしか たありません。 しかし工作の結果を言えば、音楽を聴くのに十分な低音は出ます。 過去の20cm級の感じです。あくまで感じです。物理特性ではない。 いかにもヤスモノで、ラジカセや小型ラジオのスピーカーにも見え ます。低音部が多いオーケストラが、聴けるはずもないと思うのが 普通です。スピーカー・ボックス作りには、すこしの経験がありま すが、約20年やめていました。市販品で我慢していたのです。 ■3.6角柱 単板の箱を、サンダーで磨く ユニットとともに大切で、工作に時間がかるスピーカー・ボックス です。新しくつくったのではなく、約20年前、時間をかけて丁寧に つくっていて、押し入れに眠っていた6角柱型です。 合板ではなく、材の名前はわからないのですが、叩くと澄んだ響き がきれいな、単板です。ブビンガ材でしょうか。6角柱は12リット ルくらいで、8センチユニット用としては大きい。 http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/bu.htm 硬いため、工作は大変でした。その後、夏は冷房、冬は暖房がある 室内で20年も過ごせば、乾燥は十分でしょう。単板材は、乾燥が命 です。接着剤も研究し、固くなるセメント・ボンドです。 20年は長い。いま見れば、ニスの塗装がまずい。好意的にいえばチ ェロのような飴色ですが、安っぽい色。音を聴くのに、見た目は大 切です。目はいくぶんか(10%くらい?)聴覚を補うように感じま す。 ボッシュのサンダーを買い、塗装は剥(は)がしを決心しました。 紙ヤスリを、振動する機械で動かすものです。8000円+紙ヤスリ30 00円だったか。手では無理と感じたからです。事実そうでした。 http://www.bosch.co.jp/jp/pt/products/category.asp?id=9 サンダーを使っても、塗装がしみこんだ表面を、0.5ミリくらい削 るのは大変。木がやけに硬い。それにメリケン粉のような木の粉が 、大量に舞う。ほとほと苦労です(あえて形容が正式な国語ではな い)。 1個、数時間かかった。裏庭で行いました。太陽がもろにあたり暑 い。ゴルフ用の麦わらハットにマスクで、まるで核の防護服。粗い 目のヤスリ、中くらい、細かい目(400番)のものと3種。木工は、 下地の仕上げで、決まります。 ▼難しい塗装はオイルフィニッシュ 次は塗装。これが素人には難しい。いろいろ調べ、思案すること数 日、オイルフィニッシュにしました。これなら失敗がない。ただし 木材の下地仕上げの精度が、もろに出ます。表面がつるつるになる まで、目の細かいサンダーで仕上げる。 http://www.mokuzai.com/in_di-61-12 オイルを塗ること5回か10回(忘れました)。乾いたら今度はサン ダーではなく(傷がつくので)、手での優しい紙ヤスリで、木目を 埋めます。 オイルは、30分くらいから硬化をはじめます。何十回塗ってもいい 。上品な、抑えたつやになる。乾いた布で磨くとよくなります。最 後は、これも調べた、蜜蝋ワックスでの仕上げです。これは優秀。 http://store.shopping.yahoo.co.jp/forest/miturou200g.html ここまでは、序の口。工夫はここからです。以前、読者の方からの 紹介で「タイム・ドメインのミニ」を買っていて、クリアで高速な 音に感心していました。メールマガジンにも、感想を書いています 。 ■4.タイムドメイン・ミニの経験 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 小型で音のいい「使用価値の異質な、コモディティではない」スピ ーカーを求めていたところ、読者の方から以前『タイム・ドメイン 』がいいですとメールで奨められたことを思い出し、インターネッ トで「mini」を買いました。 国内の大手オーディオメーカーは、20年も前から、コモディティ 化した安い製品のため気息奄々(きそくえんえん)です。 価格は18900円。宅急便で届いた箱から取り出せば、まるで銀 色に輝く「だちょう」の卵です。小型ですから、豊かな低音は出な い。出力4Wのアンプを内蔵しています。スピーカーの半径は、わ ずか4cm。コンピュータやCD用にとてもいい。 今まで使ってきたBOSEに比べると、中音がぬけるように透明に輝い ていて、びっくりします。ボーカルには、稀有な存在感と肉声感が ある。高級機でも、このレベルの音を得ることは、容易ではない。 設計技術は、高度。しかし具体物としてのスピーカーは軽く、まる で、プラモデルのおもちゃです。原材料と部品原価は相当に安い。 見かけは、こんなにちゃちなもので、大丈夫かなという印象です。 音は空気の振動ですから、音響機器の重さ・大きさと、音の良さに は正比例の関係があると考えていた私には、驚異です。 この前に使ってたBoseのスピーカーには、鉛のインゴットを4本の せています。支点をはっきりさせ、ピアノの音をきれいに出すため 、銅の円錐を逆にしてスピーカー・ボックスに貼り付け、ブチルゴ ムで振動を押さえた、厚いガラス板にアンプとスピーカーを置いて いる。 オーディオには以前から興味があって、大学生のころから真空管の アンプ(低周波増幅器)や、大型・小型のスピーカーを、何台も自 作していました。 この設計者の由井(よしい)啓之氏は、オンキョーの技術者だった 。独自の「タイム・ドメイン理論」でスピーカーを開発し、会社を 奈良に開いています。 http://www.timedomain.co.jp/ スピーカー台の底をみれば、made in chinaのラベルがありました 。こんなところまで、中国での生産は浸透しています。日本製だと 思っていました。**製には意味がないと、改めて思った次第です 。 何百回となく聴き慣れたバッハの「平均率クラビア曲集」、グレン ・グールドの演奏をかけています。ミニチュアのピアノが、デスク 上で鳴っている印象がある。 深夜の小さな音なら、粒立つように明瞭です。大型のスピーカーは 小音量では、音がもごもご、ぼけます(自己引用終わり) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ タイム・ドメインの音がいいので、これとおなじ理論で、単板 オ イルフィニッシュ仕上げの6角柱の箱と、「プロトタイプ・ユニッ ト」を組み合わせ、つくろうと考えたのです。 ▼タイム・ドメイン理論は、振動分離が本質 由井氏のタイム・ドメイン理論の根幹は、 ・スピーカー・ユニットを、磁石のある背面から、コーン紙の1000 倍以上の重さで支え、 ・外箱との振動を、完全分離することにあると考えました。 ちいさな8センチユニットのコーン紙は、1.8グラムくらいですか ら、必要なのは2Kgです。タイム・ドメインの音響理論は、ここに 、詳しく書かれています。 http://www.timedomain.co.jp/tech/theory/td_theoryA4.pdf スピーカー・ユニットと箱を、音の振動で分離する。コーン紙は吹 けばとぶように軽いものですが、数千回振動したとき出すエネルギ ーは大きい。コーン紙の、1秒で20から2万回の振動が、空気に粗密 をつくり、音波になり、聞こえる。 コーン紙の振動には必ず、反作用がある。それが磁石に伝わって、 コーン紙に比べれば百倍も重い磁石を、コーン紙と逆に振動させて います。 理想的には、コーン紙の振動の支点になる磁石は、振動してはなら ない。ところが磁石は、コーン紙の振動の逆方法につまり逆相で振 動し、磁石もこの音を出しています。これが、磁石を支えるフレー ム(枠)に伝わる。 スピーカーのフレームは、普通は、スピーカー・ボックスに固定さ れている。そのため、フレームの振動が、木材のスピーカー・ボッ クスに伝わって、相当に大きなノイズ(雑音)になります。 普通のメーカー製スピーカーセットでは、コーン紙の振動がつくる 音(本来の音)と、コーン紙と逆相に振動している磁石の音が、ス ピーカー・ボックスに伝わって拡大された、つまり余計な雑音が混 じったものを、われわれは聴いています。 スピーカー・ボックスに耳を密着させると聞こえる不明瞭な音が、 音を悪くする原因。スピーカー・ボックスによっては、この雑音を きれいに響かせるよう、試聴を繰り返し、製品の構造をつくってい る。しかし余計な雑音は、どう処理しても、結局、余計な雑音です 。ないほうがいい。スピーカーの箱は、響かせるべき楽器ではない 。本来は、鳴ってはならないのです。 メーカー製では、スピーカーを磁石のある背面から支えて、箱と分 離しようとすれば困難で、コストのかかる工作になる。ほぼ100% は、販売価格と妥協し、箱が振動する余計な雑音を、きれいに響か せるようしている。ここにスピーカーの個性が出る。 マニアに有名なJBL(かつては大きくて高かった)は、箱の余計な 雑音を、積極的に聞かせて、ジャズの煙った雰囲気としている感じ もある。スピーカーセットの音も、矛盾した要素のバランスなので 、結果として出る音はなんとも言えないが、混じりけのある不純な 音であることは確かです。 これは100万円の、評価の高いスピーカーでも同じだろう。スピー カー・ユニットが、たとえば20cm口径などと大きいと、そのエネル ギーも巨大なので、最終的には箱に伝わる振動を抑えるのは、並大 抵ではない。100Kgの重さの、動かせないスピーカーセットになる 。 つくる前に、定評のあるものを買っていました。FOSTEX社(世界最 大のスピーカー・メーカー)の自信作GX100です。実売価格は3万90 00円×2です。小型ですが、インターネットの評価は、とても高か った。http://www.fostex.jp/products/GX100 FOSTEXは世界に、スピーカー・ユニットをOEM生産し、自作派には よく使われたものをつくっています。 ■5.レファレンス・スピーカーはGX100、使うのはデジタル・アン プ GX100を、参照用の基準にしました。不満ない音です。クリアで音 速が速い。変な表現ですが、そう感じます。(たぶん)3000~4000 ヘルツ以上の高い音は秀逸で、透き通っています。 普通はこれで満足ですが、今回つくった、<六角柱の箱+タイム・ ドメイン理論+ユニット改造+戸沢式レゾネーター(紙の吸音材) >に比べると、低音のこもり(もごもごいう)が聞こえます。 これをオンキョーのデジタル・アンプ<A-5VL(S)>で鳴らす。 デジタル・アンプに対しては、物量投入(20Kg級)のアナログ派と 評価が分かれますが、私はいいと思っています。15万円クラスのア ナログ方式のものと、価格差ほどの音質差は感じません。音が固く はない。 このほうがいいかもしれない。低い音がよく出ます。実売価格で5 万円くらいと、マニアの領域では安い。D/Aコンバーター(デジタ ル・アナログ変換器)がついています。高いものの性能を発揮させ るのは経験上とても難しいことを知っているので、この価格にして います。 http://onkyodirect.jp/pc/shop/g/gA5VLS/ ▼高価な機械は、性能を発揮させるのが難しい 30万円クラス以上のアンプとの差は、わかりません。何ごとも、高 価なものほど、性能を発揮させるには、難しい機器間のバランスが 必要とは知っています。高いものを組み合わせが音で ・・・?と いうのは実に多い。 高価な機器を組み合わせるほど、価格レベルの音を出すのが至難で 、経験・試行・高い技術が必要なのが、オーディオ道の隘路(あい ろ)です。 他人が聞いて、なんだかなぁ・・・と言えば、相手が言わずとも疑 問の表情をするだけで、自分の心が半狂乱になって、眠れない。機 械を前に、おなじCDを何回もかける悩みが、数年続くかも知れない 。 先月、阿蘇の水郷(水基)に行ったとき、総額でいくらになるでし ょうか、推計500万円以上の音響セットを、偶然、聴きました。 おしゃれなレストランでした。創作料理は、最良のランクでした。 スピーカーは超大型のJBLでした。その音は・・・言えない。超弩 級の外見と、えらく違う。ごめんなさい。きっと私の耳がおかしい 。 突然、CDをかけてもらっていいですかとたのんだのです。ウォーミ ング・アップがなく、きっとバランス調整も悪い日だったのでしょ う。ご主人は、不機嫌そうにみえました。水基(みずきと読むのか ?)は、阿蘇の、冷たい地下水がこんこんと町中に溢れる水郷で、 すばらしかった。 http://www.aso-hifuri.jp/water.html 選択が難しいCDプレーヤーは、使わない。アップルのiPodクラシッ クです。これをオンキヨーの iPod Dock搭載デジタルメディア・ト ランスポート ND-S1(S) でアンプとつなぐ。iPodのイヤフォン端子 からの音は、よくないからです。 http://www.jp.onkyo.com/audiovisual/premiumcompact/nrx/nds1/index.htm ■6.工作が難しかった、スピーカー・ユニットの背面固定 1本3000円だったプロトタイプのスピーカー・ユニットを、タイム ・ドメイン方式で、背面から固定するつもりでした。スピーカー・ ボックスと振動を分離するためです。 塩化ビニールなどの10cm直径くらいのパイプなどを使い、Yoshii-9 式につくれば、工作は難しくはないでしょう。インターネットには 、これを真似てつくった記録を書いた多数の、実験サイトがありま す。 しかし約1mの高さの円柱は、どうも・・・という感じがあって、木 製の六角柱にしたのです。別の機会に挑戦するかも知れません。 http://www.timedomain.co.jp/product/product.html スピーカー・ユニット(以下SPユニットと言います)を、どう固定 し、六角柱の背板と前板とは振動分離を図るか。SPユニットをつら つら眺め、考えました。 【鉛のインゴットを、背面に接着】 SPユニットの背面と鉛のインゴット2本(2kgの重さ)を、エポキシ 樹脂で接着するのは簡単です。 この重さの鉛で、SPの磁石を振動がないように、固定できます。し かし、これをSPボックスの板と接しないようにして固定するのは、 不可能に思えます。重い・・・ 【振動分離材のゲルを使う】 さらにYoshii-9の、SPユニットの固定方式を調べると、液体と固体 の中間の物性をもち、普通、「ゲル」と言われるウレタン・エラス トマー様のものが、使ってあることがわかりました。 地震の時、家具や液晶TVを倒れないようにする耐震(免震)に使わ れるものに共通します。なるほど、これをはさんで、固定すれば、 100%とは言えないまでも、80%や90%の振動はカットできるでし ょう。 これをインターネットで探すと、東急ハンズのハンズネットで、< スーパーゲル(3990円)>という商品名の、厚さ5mmのものが見つ かりました。届いたものを触ると、不思議な感触でした。ボヨボヨ で柔らかい。これをSPフレームに合わせ切り抜き、SPとバッフル板 との間に、空気漏れがないように、固過ぎず、柔らか過ぎず、適度 な圧力ではさむ。 http://www.hands-net.jp/goods/66412 SPユニットは、普通、SPフレームを木ネジでバッフル板に固定しま す。この方法では、振動を分離できるスーパーゲルを板とフレーム の間にはさんでも、板にねじ込む木ネジから振動が伝わって、せっ かくの振動分離の効果が減殺されます。 【考える・・・】 箱とSPユニットとの、長い時間のにらめっこ。設計図を数枚書いた のです。他のひとが、まだやっていないことやるのは、あとで思え ば、なんだ、というように簡単なことでも、ずいぶん考えないとア イデアが出てこない。そして図であれこれ想像し、シミュレーショ ンしないと、どこかに、考えが足りないため、あるいは漏れたため の落ち度が出ます。こうしたことを考えるのは、実は楽しい。目指 すのは、<完全>です。 ■7.出た音は、生々しく、GX100をはるかに超えた 鉛のインゴットを接着したSPユニットが通る穴を、六角柱の裏に開 け、銅板を鉛のインゴットにネジで止める。背面の板と銅板の間に は、カットした厚さ5mmの「スーパーゲル」をはさみ、ここでも振 動を分離する。 そして、銅板は、木ねじで六角柱の裏板に仮止めしています。これ で、試聴する一次システムが完成しました。音の生気をなくすこと が多いウール等の吸音材は、何もいれません。 プラモデルをつくった小学生のようにはやる気持ちを抑え、まずは 眺め、音を想像する。このCDのあそこでは、こう聞こえるはずだ・ ・・この設計・工作のイメージと、実際に出る音の比較です。 グレン・グールドのバッハ、ホロビッツのモールツアルト、ベート ーベン、シューマン、シューベルトなどを次々にかける。いままで 、どこでも聴いたことのない生々しいピアノでした。すごい音が出 た。 試聴でよく判断ができるひとの声も、多少固いですが、そこに立っ て、歌っているかのように聞こえます。パイプオルガンは地を響か せる音が出て、これが、雑誌の付録のおもちゃのような3000円の8c mのユニットが出すものとは到底思えない。 背面を、鉛のインゴットで固定したので、コーン紙の振動に、微動 しない支点ができ、コーン紙が、アンプが出す電流に100%近く反 応しているのかも知れない(100%はありえません)。タイム・ド メイン理論は正しいと実感。 いままでつくったなかで、最高の満足です。過去つくったものへの 満足度を100とすれば、その10倍の1000です(おおげさではない) 。音への満足は、他のひとに伝えることができないので、残念。 しかし、ここが完成ではない。スピーカーの背面から出る、箱のな かで共鳴した音が聞こえます。吸音材をいれていないことが、原因 の50%でしょう。まだ、完成には五合目以下。 ■8.ネットで見つけた戸沢式レゾネーターをつくる まず、箱のなかで共鳴している余計な音を吸収する吸音材です。こ れは、注意しないと音の生気を奪って、みずみずしさを殺します。 もごもごした感じになるのです。布団のなかの、声のように・・・ 見つけたのが<戸沢式レゾネーター>。といっても大仰なものでは ない。単に、紙の風船と言えば言える。とても簡単につくれます。 http://gyoblog.exblog.jp/11596551/ 戸沢式レゾネーターを真似たものつくるときめ、紙は何がいいか、 考えました。近くのスーパーに行って発見した<てんぷら敷き紙> が、固さ、厚さ、しわしわの具合、振動の音がいいと判断。100枚 で200円くらいです。 文房具の売り場、キッチン用品の売り場にある紙を、何種でしょう か、全部触ってきめました。真剣な顔で、紙を触り、こすって、1 種類ずつ爪ではじいて耳を澄まして音を聞く。ふと、スーパーの売 り場の自分を見ている自分を想像。 うんざりし、飽きるくらい手間がかかりますが、20個くらいをつく って、スピーカー・ボックスにいれる。封筒作りの内職をするひと の心境。単純作業の連続は、飽きます。こんな簡単なものでいいい のか・・・効果を疑問に思っていたのですが、これはいい。 音の生気、スピード感はそのままに、余計な箱内の音が、ぐんと小 さくなります(50%くらいは消えた感じ)。7個×2をいれました。 それ以上だと、低音が吸収されて消えるようです。ほぼ400ヘルツ 以下の共鳴音を、熱に変えて消すという。 ここまでの工作でやめても、実際の音は十分です。最高(理念・観 念・ビジョン・想像)を100とすれば65くらいか・・・ できたスピーカーを価格でいうのは、質の違いなので無理です。材 料費は2万円もかかっていません。これに、設計と工作の時間+イ ンターネットで調べ、文字と写真から判断した知識。 あえて価格で言えば、たぶん、よくできた1本50万円以上(記憶) のものを、うまく、機器間のバランスをとったのものに匹敵する音 質に感じます。12リットル級の小型ですが、音のスケールは十分あ る。 パイプオルガンの低音は、地を這う。DVDの映画では、臨場感があ りすぎます。突然、爆発音が入るとその迫力に、心臓がぱくぱく。 普通は、マスクされて聞こえない、微量の楽器音も聞こえます。 繊細なスピーカーです。ただし、耐入力は10Wでしょう。音量を上 げすぎると、低音部で、8cmのコーンが飛び出して壊れるくらい震 えます。 おなじ条件の機器とCDでの試聴比較に使っている、市販品のGX100 (1本4万円くらい)もハイコスト・パフォーマンスですが、今度の 自作は、この音をはるかに超えています(と感じます)。 ■9.次はSPユニットそのものの改造 次は、未経験の、SPユニットそのものの改造です。失敗して、壊し たらどうしようと逡巡すること、約2週間。10回くらい繰り返し読 んで、ついに実行を決定。さらにいい音は、どんなものか、それを 思うと、心が躍動したからです。導きはここです。 http://www002.upp.so-net.ne.jp/hard-and-soft/New_speaker/TDPS.htm ここで試行されたことを、遮音壁を除いて、全部やりました。以下 の書き方は、経営指導の、技術導入にも使えます。 お名前はわかりませんが、これをやったひとは<達人だ>と推察。 使ったのは、硬化するセラック・ニス(800円くらい)、磁性流体 (3000円)、割り箸を使ってつくった微細作業用のカッター(5円 ?)。そしてなによりも、作業の気力と、イマジネーション(理念 )。ここでも、理念がないといけない。気力は、一気と一生懸命を 生むもとです。 造履歴 評価 改造内容 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 5-1 ◎ ボビンの補強 5ー2 ◎ ドームの補強 5ー3 ◎ フレームの制振1 ここからチョット良い感じ。 5-4 ○ フレームの制振2 5-5 ◎ コーンの補強1 5-6 ◎ コーンの補強2 5-7 ◎ 遮音壁の取付け1 音楽を楽しめる水準 5-8 ◎ 遮音壁の取付け2 5-9 ◎ ダンパーの改造 すごく良い感じに変わりまし た。 5-10 ◎ 磁性流体ダンパーを採用 飛躍的に音質向上 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 真似て行うと、1段階ずつ、音はいい方向に向かいました。嘘では なかった。この方は、しっかりしたスピーカー理論をもっています 。詳細を書けば、おなじことになるので、気なるひとは、このサイ トで読んで下さい。 細かい作業です。息をとめ、指先に神経を集めて、気力が充実して いるときに、行わねばならない。いいかげんな気持ちが混じってい ると、失敗します・・・結果は成功でした。 いま、書きながら<改造スピーカー>を鳴らしていますが、いい感 じです。たぶん生涯、これを使います。酷使しても寿命は5年でし ょうか。壊れたら作り替えます。メーカー製を買う気は消えました 。 いつか、次に行おうと夢想しているのは、20cm口径のスピーカー・ ユニットで、ユニットを改造しながら、おなじものをつくることで すが(音を想像して心はわくわく)、1箱が、最低に必要な重さで 、50Kgにはなります。聴いたひとが世界で稀な、とんでもない音が 想像できます。 工作は大変でしょう。どこかの町工場にたのむか・・・鉛の加工が いるからです。40Kgの鉛板を、ガスコンロと鉄鍋で溶かすわけにも ゆかない。こぼれたら悲惨で、ひどければ、命も危ない。 コーン紙の重さが20㎝のスピーカーじは、約18.6グラムですから 、その1000倍は18.6kgです(磁石の振動を抑えるに必要なカウン ター・ウェート)。 約20Kgの重さの鉛棒を、ユニットの裏に固着する。この鉛棒にも 鉛、銅、または真鍮の厚さ5cmくらいの板をつけると、優に40Kgに はなるでしょう。これを、どうやって抱えて、スピーカー・ボック スにつけるか・・・ひとりの人力では、無理に思えます。 マニアックすぎますか・・・どこかの、町工場やメーカーが、製品 化に挑戦しないなかなぁ。8cmユニットの小型でも、工作に手間が かかるので、売価10万円(9万8000円)でしょうか。 2万円の材料費×5倍。付加価値8万円です。月産1000個(日産40個 )に量産できれば、3万円にはなる。売れるように感じるのですが 。世界のスピカー需要は、ハイファイ領域でも1000万台はあるでし ょう。 20cm口径なら売価100万円~50万円。重すぎて、売れないでしょう 。こうした異常な世界を、どう思いますか。 いい音への情熱です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。以下は、項目 の目処です。】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ と記述の際、より的確に書くための参考になります。 コピーして、メールに貼りつけ記入の上、気軽に送信してください 。 感想やご意見は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。時間 の関係で、返事や回答ができないときも全部を読みます。時には繰 り返し読みます。 【著者へのひとことメール、及び読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ■最近の有料版のテーマと目次 <548号:価格の歪みを狙うヘッジ・ファンドの基本戦略(1)> G-ゼロになった世界の国債市場 2011年7月27日号 【目次】 1.テーマは、ヘッジ・ファンドの戦略 2.売買するのはデリバティブ(原資産から派生した金融商品) 3.1980年代までの古典的な金融市場と、現代のデリバティブ金融 4.国単位では金融収奪も起こる 5.金融危機も、その回復もヘッジ・ファンドの運用額の増減を見 れば分かる(上表) 6.価格変動の確率に、賭ける 7.金融の自由化で、巨大化した先物市場(デリバティブ)の正体 8.デリバティブによる先物市場の巨大化が、21世紀の11年だった 9.デリバティブの代表でもあるCDSを事例に 10.デリバティブの売買を行うヘッジ・ファンド <550号:緊急:金融の大異変は、真夏に起こる> 2011年8月10日:増刊+正刊 1.回想(1):1990年からの歴史 2.対外債務が多い点で、米国の政府債務は日本より脆弱 3.回想(2):2006年以降 4.資産査定(ストレス・テスト)でも分かっていない、 (主に)米欧の主要金融機関の含み損失の推理 5.米欧の金融機関の、未精算の損失が問題になる 6.2011年秋、及び秋以降の経済を読むために、肝心なこと 7.デリバティブの価値合計の減少は、 金融機関とヘッジ・ファンドの未精算の損を示す。 8.結論 後記 ■1.無料のお試しセット(最初1ヵ月分): 有料版では、いつ申し込んでも申し込み月の既発行分は、全部を読 むことができます。最初の1ヶ月間分は、無料お試しセットです。 その後の解除は自由です。継続した場合に、2ヶ月目の分から、課 金されます。 (1)『会員登録』で支払い方法とパスワードを決めた後、 (2)登録方法を案内する『受付メール』が送ってきて、 (3)その後、『購読マガジンの登録』という3段階の手順です。 【↓会員登録と解除の、方法の説明】 http://www.mag2.com/howtouse.html#regist 【登録または解除は、ご自分でお願いします】 (有料版↓) http://www.mag2.com/m/P0000018.html (無料版↓) 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