特別号:随想:想いは実現するのか
This is my site Written by admin on 2006年8月21日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。先ほど、全米プロが、全英オープンに
続き、タイガー・ウッズの勝利で終わりました。

9番アイアンの160ヤードショットで、削られたターフがピンの方向
に飛ぶ。林に囲まれ、手前には池とバンカーがあるグリーンに落ち
た球は、バックスピンで生きているかのように寄る。

ショットが乱れてもリカバリーが確実で、20ヤードもあるパターが
澄んだ回転の計算された軌跡を描き、カップに磁石があるかのよう
に吸い寄せられる。人の能力の高い到達点です。

リードして最終日を迎えたときのタイガーは、勝負がつまらなくな
るくらい次元の違う技を見せます。勝つためのゲームプランが、イ
メージ化できているようです。波乱がない。勝ったことが経験にな
って、自信を与えているからでしょう。

自信は自分が、これからやることの見えない結果を信じることがで
きることです。自分をごまかしても決して自信にはならない。

アニカ・ソレンスタムが勝った全米女子オープン。解説は岡本綾子
でした。ビデオにとって見ました。彼女の解説は聞き逃すには惜し
いのです。

アニカを見て「パットで大切なことはイメージができることですね。
アニカはそれができます。」とそっけなく言いました。
イメージが「できること。」です。

▼イメージができることの意味

そして「イメージができるとは、その通りに打てることです。」と
付け加えました。「これだ!」と思えました。本稿はことについて
考えを進めます。

岡本綾子は実践者であるだけではなく「言葉をもつ人」です。TV
解説を聞いてみてください。言葉は少ない。的確で意味がある。

われわれは、ショットの結果を見ます。
しかし本人にとって、その結果と原因は一体のものです。

ゴルフは再現性のゲームです。グリーンに向かっての球道や、カッ
プに向かっての転がりの近未来イメージを描くこと。

この解説を聞くまで、イメージを描くことと打つことは別だと思っ
ていました。しかし岡本は「イメージを描けるとは、その通りに打
てることですね。」と言います。

描いたイメージ(願い)がそれを実現する自然な動作になる。これ
が一流プレーヤーにとって[自信をもって]イメージを描くことの
中身だと思い至ったのです。

[イメージを描けること]=[方法をもち実現する動作ができるこ
と]、ここまでをイメージ化することだと言う。異なるものがつな
がっています。

貧弱極まりない経験に照らしても、確かに「イメージが描けた」と
思えるときの結果は、相当の確率でいい。

しかし、やってみると分かります。多くの場合、成功イメージが描
けない。弾道と方法が、自然には浮かばない。決めても無理やりで
す。頭がくしゃくしゃになる。「えぃ!、ままよ!結果に聞いてく
れ。」と打つ。

100回に数回の偶然はあっても、当然に次の再現はない。この方法で
は、成功や失敗の原因と結果の関係が切れています。これは、イメ
ージ化ができていない。

鍵は「成功イメージを描けること」にありそうです。
本稿のテーマである願いは、まずイメージです。

「願いを、今日の実行につながるよう描けるかどうか」、ここから
始まる。

▼将来イメージ

別の観点から見ます。始まること(将来イメージ)と終わること(
過去の結果)の、どちらが強く意識されるでしょうか? 

週末の休みがある。このイメージは普通は楽しみです。
休みは、自由に使える時間の象徴です。
休みが終わった翌日からの仕事は義務と責任の時間の表象でしょう。

終わった休みを惜しむのではなく、月曜からの始まる仕事に心をと
きめかせることができるかどうか。なぜ、ときめかないのか。

Aが終われば、生きている限り、別のBが始まります。
死は時間の凝固。生きてさえいれば、次がある。

終わるAを惜しむか、始まるBを待ち構えるか。あるは願うか。
われわれは、終わったことと始まることを無意識に比較しています

数日後、1週間後、あるいは数ヵ月後の「楽しみのイメージ」を心に
描き、今日の義務や責任を果たす。

親しい人に訊くと「3ヶ月後でもいい。旅の計画を作らないと、毎日
がつまらなくて、生きてゆけない。」 綿々と続く生活の中に、区
切りや目標となることが必要だというのは、了解できます。週末の
プランをイメージし働くことと同じです。

数年先の楽しみになると、リアリティが薄れます。実現に不確実さ
が増すことを心で感じているからです。しかし・・・ずっとあとの
楽しみや成功を目指し、今日をそのために使うことができるなら、
誰でも相当なことができます。

本稿は、有料版で最近書いたものに、若干の修正を加え、特別号とし
て送ります。

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    <284号:特別号:随想:想うことは実現するのか>

【目次】

1.目標に向かった努力
2.願うこと
3.願うことの本当の意味
4.達成イメージから始まる
5.仕事の喜び
6.おそらくは貢献

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■1.目標に向かった努力

目標がないと言う多く人がいます。「あなたの目標は何か?」と聞
かれれば、誰でも戸惑います。「ない」と答えるもの正直です。

考えてみると、目標という言葉がよくない。
目標と言うと、次に来るのは「目標に向かっての努力」です。

目標があるかと聞かれないと答えるのは、今、目標に向かった努力
をしていないことに、言い訳をいいたくないからでしょう。

目標に向かって半年も続く努力ができるなら、並はずれたことでは
なくても、相当なことができる。これは、事実です。その理由は、
決めても続けることができる人がとても少ないためでしょう。

成功には努力物語、苦労物語があります。これも事実です。

しかしこれは、実のところは達成の後で、自分か人作った物語です。
後で言えば苦労ではあっても、それはおそらく苦労ではなかった
というのが真実ではないかと思っています。

「目標に向かって**の努力をする」では、心が躍(おど)らない。

理由は、努力と言ったとたん「やりたくないこと」になるからです。
(注)監督、コーチ、先生が強制して、努力させる理由でもあり
ます。

「***という目標(あるいは計画)に向かって、***という努
力をする」という方法では、普通の人は、誰かに強制されないかぎ
り実行しない。特別な人はいない。皆、普通の人です。

少なくとも私は、目標と努力という普通の方法では、うまく行うこ
とができませんでした。(誰も、強制する人がいないからです。)

手帳に計画を書いてもダメだった。3日坊主ならまだいい。書いて忘
れてしまう。覚えていても先延ばしする。これが普通に思えるので
す。

▼努力しえる才と言ったが・・・

小林秀雄は「天才とは努力する才だ」と書きました。
16歳のころからずっと心に残っている言葉です。

なぜ努力する才のある人と、軌道をつくれず流される人がいるのか。
小林はそれを言わなかった。並はずれたことを達成することに憑
(つ)かれた天才と呼ばれた人たち(たとえばセザンヌ)を、彼は
文章で描いたからです。

じゃ、方法はあるのか?
それを解明してみたい。

■2.願うこと

「願えば叶(かな)う。叶わないのは願いが強くないからだ。」と
も言います。

なるほどとは思う。でも願っているだけでは夢です。
夢に過ぎないと言えば、実現はムリということです。

願いが、すべてのきっかけになるのは分かります。きっかけは必要
です。しかし、きっかけだけでは続かない。願をかけても一瞬で終
わる。願いが効果を発揮するには、どんな条件が必要かを考えます。

▼強く願うことができれば叶うということを考えると

成功イメージ(あるいは達成イメージまたは成果)を、強く心に描
く。しかしこの「強く」は、副詞であり内容があいまいです。

強く願うとはどういうことか。

毎日、数ヵ月後の(または半年後・1年後・3年後の)、成功の映像、
進歩した状態、あるいは達成イメージを心に刻むこと。 

計画は無用です。
必要なことは、毎日、達成イメージに心を躍らせること。

「強く願う」とは、例えば2時間ごとに想い描く達成イメージに対し、
「心が躍ることができること」でしょうね。

心は理性と感情のまたは論理と情動の混成でしょう。心に刻むとは、
意識して写真やビデオのように脳裏にクリアな映像にすることで
しょう。(注)ぜひ騙されたと思って行ってみてください。

決めた夢に「嘘」があると思っているときは、成功イメージを描い
ても心が動かない。心が躍らない。

人や世間に嘘をつけても、自分に向かい嘘はつけない。
その意味で人は嘘つきではない。

達成するための「方法」が分からないときも心が躍らない。

▼心が動く条件

強く願う成功イメージに心が動くのは、
・過去の学習から方法が分かり、
・可能性が見えるからです。

願うことに実現の可能性があると感じる。感じるのも心です。
自分にも、この方法ならできると思えることが可能性です。

クリアな成功イメージに、実現の可能性がある思えるとき、人は気
持ちが高揚します。(自分の経験を言っています。)

そしてこの躍動は、今日、あるいは今行うことに目標を与えます。
目標への努力の計画でなく、達成イメージを強く心に描けること。
これが今日の実行を促す。

ぼんやりと、人を動かす願いの構造が見えてきました。

・願うことを、強く願うことができれば、願いは叶う。
 強く願うとは、達成イメージに心が躍ることである。
 達成する方法が分からねば、心は動かない。
 強く願い、方法が分かっているとき、心が躍る。
 この躍動は、今日行うことに目標を与える。

・夢想を強い願望に、
 願望を可能性を生む方法に、
 方法を今日の実行に移す。

小林が言う努力しえる才は、おそらく、こうしたところから生まれ
ています。才は作られる。作られた結果を才という。生まれながら
の才はない。

天才(あるいは成功者)は、強い願望をもち、方法を見つけること
によって達成に心を躍らせることができ、その方法を続けて実行し
た人でしょう。

確かに、周囲で相当なことを実現した人を見ると、以上のような条
件を満たしています。もう一度反芻すれば意味が見えてきます。

「願うことができれば叶(かな)う。叶わないのは、願いが強くな
いからだ。」

そう思うと、もっと夢が広がります。

■3.願うことの本当の意味

日々の努力が、苦労や努力と思われれば続かない。
これも、自分の経験からの感想です。

▼乏しい経験

私にとって、書くという方法しかない。
以下は、乏しい経験です。

午前3時ころ、眠くなったとき、家人が淹れくれていたポットのコ
ーヒーで覚醒させワープロを打つ。カオスの概念をコトバに、言葉
を論理に、論理を文章にする。文章が思いをこめた感情になってゆ
く。

努力しえる才がない私にも「これは今しか書けない」と思える瞬間
に遭遇するときがあります。最初に、固まった概念があるのではな
い。言葉にしたとき普段は無意識の記憶の底から「概念」がゆらゆ
らと蘇(よみがえ)るように、思いが文字に定着します。

これは苦労ではない。むしろ喜びです。

書き終え、冷房をきかせたおいた隣の部屋のベッドにすべりこむ。
実に普通ですが、あぁ、眠るってこんなに仕合わせなことかと思え
ます。

健康が、仕合わせの第一条件と思えるのも、このときです。血流が
爪先にジンジン届く感覚があり、足が温かくなって眠りにおちる。

今気がついたのですが、私にとって眠ることができる時間が小さな
目標になっていることです。何も書かないで、あるいは義務を果た
さず眠ったときは、自分をダメな人間と思ってしまいます。流され
ると楽しくはない。喜びもない。

実に小さな喜びですが、偽りなく言えばこうしたところです。

▼強く願うこと

あとで思えば確かに普通なら眠る深夜の努力だった。しかし願望に
突き動かされている最中は、努力や勤勉というようなものではない。
むしろ充実と、充実がもたらす達成感があります。

努力と言えるのは、何かを達成をしたあとに感じる自己満足に思え
ます。

おそらく人が言う「目標→実行計画→日々の努力」という方法では
ない。

こういった「よく言われる」ことではなく、「心を躍らせることが
できる成功イメージを強く(日々)思い描く」、これだけでいい。
図式にしてみます。

【願望に向かう努力ができる構造:重要】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【願望の段階】 [ 学習で方法を知る ]
              ↓
         「成功イメージ」→[実現の可能性が見える]
             ↑        ↓
         [強く願える願望]← [心が躍る]
――――――――――――――――――――――――――――――
【実行の段階】               ↓
                   [方法を試す実行]
                      ↓
                   [小さな成果が出る]
                       ↓
                   [接近の喜びを感じる]
                       ↓
[後で、この継続が努力と思える]←←  [継続]
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

学習(learning)は、方法を知るためです。知ることは、言葉を通じ
て、まとめられた他人の経験・思考・方法を追体験することです。

もっとも大切なものは「自分の心を躍らせることができる成功イメ
ージ(達成イメージ)」です。

嘘の願望や方法をもたない願いでは、心は躍りません。
心は自分を裏切らない。

自分に自分が嘘をついたイメージや、無理だと思っている達成イメ
ージでは、自分を動かすことができません。

真実ってなかなか難しいのですが、人は自分に向かったとき真実と
いうことの片鱗を知ります。自分に嘘を言っても意味がない。人は
人を偽れます。でも人は自分に対しては、生真面目に真実です。

今日の行動を心踊る成功イメージが誘(いざない)ます。
そうすると実行が、苦労や努力ではなく、楽しくなる。

▼達成イメージの効果

掃除をするとき「掃除が終わったあとの状態(達成イメージ)」を
心に描くと、掃除という努力もやっている間に楽しくなるのと同じ
です。まずはやり始めなければ、目標に近づく実感である喜びは生
じません。これはあらゆることについて、言えるようです。

やり始めなければやる気は出ない。

この原稿も、書いている間にある時点から楽しくなります。想うだ
けで書くことを始めなければ、その楽しさは生じません。想うだけ
で行動に移さないと、焦燥だけの苦しみです。

【達成がない努力なら】
同じように掃除を行っても、罰として、終わった途端に部屋をごち
ゃごちゃにされ、何回もそれを繰り返さねばならないとすればどう
でしょうか。終わりなき掃除です。

これがシジュフォスが与えられた罰でした。岩を転がし山に登らせ、
落とされて、また登らせるのを無限回繰り返す。

完成や達成がない努力は、苦痛の中でも至上のものです。

シジュフォスの神話のように、達成のない努力は人にはムリです。
目標も、その達成イメージが心を動かすものでなければならない。

■4.達成イメージから始まる

プラモデルを作るとき、作ること、組み立てることは意識を集中す
る努力でした。しかしそれは努力とは思えない。作るという手段そ
のものが楽しみでした。

なぜ手段が楽しみだったか? 完成した映像(達成イメージ)が、
はっきり描かれていたからです。そのため組み立てて作る過程を努
力とは思わなかった。働くことも、これに似ています。

完成後の映像が人を動かしていたからです。達成イメージが自分を
動かしていました。

しかし出来あがったあとは、もう興味がなくなっていたでしょう?

どんな願望でも、達成しまったあとは、それには心が躍らない。幸
福感、充実感はしばらく残ります。そして、達成の充実が、次の目
標を準備させます。

おそらく真実は、作ること自体、つまり過程に面白さや楽しさがあ
ったからです。

・完成イメージ(達成イメージ、成果イメージ)があり、
・それに一歩ずつ近づくことが見えていれば、
・人は努力という過程、または手段を楽しむことができる。

実現性がある、好ましい達成イメージが人を動かします。

会社の「目標」も、その用語を「1年後の達成イメージ」に変えたら
どうでしょうか。これを、ビジョンとも言いいます。

▼達成イメージがビジョン

ビジョンとは達成した後の状態が、100〜200字くらいの文章で描か
れ、映像化したイメージを喚起するものです。

[目標→実行計画→努力しよう=苦しさに耐えよう]ではなく、
[心を躍らせることができるビジョン→達成の方法(戦略)を示す(
または考える)→実行しよう→成果をあげよう→喜びを感じよう]

方法(=戦略)が正しいものであれば、実行すると小さく成果は上
がります。その小さな成果が、ビジョンへの接近を感じさせると喜
びになります。ビジョンが心を躍らせ、近づく過程が面白くなる。

ビジョンに向かう正しい戦略が分からないときはコンサルタントを
使えばいい。成功する戦略の起案ができないコンサルタントは無益
です。

■5.仕事の喜び

▼仕事の目的はマネーやポジションに思えるが・・・

仕事の喜びはどこにあるか? マネーを得られたときか? 確かに、
それは言えるでしょう。マネーは、仕事の大きな成果のひとつで
す。

お金をもらうと、嬉しいのはなぜか? 基礎生活で使ってしまう以
上のマネーが貯まると嬉しいのはなぜか? 株で儲かると誰でもひ
とり顔がほころぶのはなぜか。(次を狙うと失敗するのですが・・
・)

▼本当のものは、おそらくより大きな自由

生活で使ってしまうマネーでは、自由は効かない。
一定額を超えたマネーは、自由を与えてくれます。
マネーは、今より大きな自由を得るための手段に思えます。

義務としての仕事(苦役)をする。あるいは何かで頑張る。
そのときの願望は、マネーの獲得であることは事実でしょう。

マネーの目的は、より大きな自由の獲得に思えます。

休日が、自由をシンボライズしたものであることは冒頭で述べまし
た。旅も、変化のない普段と節目のない日常から離れる自由でしょ
う。

じゃ、自由の先にあるものは、何か?
まだ私には、実感としては見えません。(考えてみてください)

■6.おそらくは貢献

▼貢献が認められること

自由の先にあるのは、自分以外への貢献ではないかと思えます。

マネー以外で仕事で嬉しさを感じるのは「顧客、上司、同僚、会社」
に役にたつことができた、あるいは貢献ができたと思えるときで
す。

多くの人に実感があるでしょう。顧客や上司から「君の貢献は、す
ばらしかった」と聞くのは嬉しい。周囲に人がいなければ泣きたく
なるくらい。

貢献以外で得たマネーに、人は喜びを感じることができるか?

▼株の利益の本質

金融や株での利益を、何回も分析しながら考えてみると、例えば株
なら、他の人が高く買ってくれたことによる利益です。

株の利益40万円=Aさんが買った100万円−自分が買った60万円

これを移項します。

Aさんが買った100万円=株の利益40万円+自分が買った60万円

100万円で売って儲けた40万円は、Aさんからもらったことになりま
す。40万円をつくづく眺め、妙な気分が残る利益ですね。どうも、
世の中のために、有益なものを生んだ結果の利益には思えません。

実は、金融のことをいろいろ書いているうちに、次第にいい気分が
しなくなってきたのです。相手との見解の違いを競うゲームに思え
て来ました。金利も、所得移転です。

極端な例ですが、戦争や略奪で得たマネーまたは財に、人は喜びを
感じることができるか? あるいは空き巣で盗んだお金に、喜びを
感じるか。一瞬は嬉しくても残るのは罪の意識です。

これが何を意味しているかと言えば、マネーの獲得だけでは喜びで
はないということです。手段への満足が必要です。

▼欲望の行き着く先

マネーや財の獲得そのものが、人にとって、それだけで喜びなら、
獲得手段に関わらず、満足を感じることができるはずです。

マネーを得た手段への満足も加わらないと、喜びを感じるのは難し
い。「ようです」というのは、略奪の方法でマネーや財を得た経験
がないからです。

▼認められる喜び

仕事の喜び=人の役に立ったことへの満足+マネーの獲得
            ↓          ↓
       [貢献を認められたこと] [自由の拡大]

昇進の喜びは、[過去の貢献が評価されたこと]と[給料が上がる
(マネー)]、「権限が大きくなること」が同時に満たされるから
です。事業が大きくなる喜びも、貢献の対象である顧客の増加があ
るからでしょう。

そして貢献が評価されると自由裁量で仕事をする範囲が広がります。
マネーが、生活の自由の拡大であることは既述しました。

権限は決定権を得ることであり、これも自由の拡大です。
そうするとすべてが[自由の拡大]を目的にしています。
(注)自由は結果責任を引き受けることでもあります。

昇進の喜び= 貢献の評価+ マネー +   権限
        ↓      ↓      ↓
      [自由の拡大][自由の拡大][自由の拡大]

犯罪の罰が基礎的な自由を奪う監獄であることを思えば、自由の価
値が分かります。

仕事を一生懸命にやることの根底には、より大きな自由の獲得があ
ることが分かります。

そしてこの自由の先にあるのが、より大きな貢献ということになる。

ニューヨークのメトロポリタン美術館(世界最大級)に行ったとき
のことでした。すばらしく有名な画集で見る絵画が多い。何枚ある
のか数え切れない。(絵画と彫刻の総点数は300万と言われます。)

1ヶ月通っても1日で10万相当になります。1年行っても見尽くすこと
はできない。この規模はやはりアメリカです。

近づいて絵の側にある真鍮のプレートを見ると、[ケネディ家の寄
贈]や[***家の寄贈]とあります。メトロポリタン美術館の成
立は、このプレートにあった。

オークションで数億円以上する絵の多くが、怪しげな方法を含め様
々な方法で儲けた資産家の寄贈です。アイルランド移民のケネディ
家は、禁酒法の時代(1851年〜1933年)に産をなしています。

調べてみると、多くが、様々な基金や資産家からの寄贈です。有り
余るマネーで自由を獲得したあとの人の、共通の行動を見る思いが
しました。税法上の恩典もあるでしょう。しかし寄贈という行為は
やはり貢献による名誉の獲得です。

名誉は、貢献を人々が評価した結果です。

長期投資の株で5兆円の個人資産を作ったウォーレン・バフェットが、
そのうち90%をビル・ゲーツ財団に寄付したのと同じです。

もちろんこらは、天文額的な使いきれない資産をもったあとのこと
です。しかしマネーで普通の人が獲得できない自由を得たあとの行
動が社会への寄付であることに利己心以外のものを見ます。

欲望の到達系で至高のものは、他人への貢献に思えます。

想いは実現する。

その達成イメージを心が躍るように思い描ければ・・・

see you next time!

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<282号:1.時事問題イスラエル、レバノン:
      2.商品政策は世帯の変貌を認識して始まる>
         06年8月1日号

【1.目次】

1.時事問題:背景となったこと
2.米国世帯
3.借金家計:借金増が支えた個人消費
4.米国世帯が抱える金利上昇のリスク
5.米国はインフレ
6.戦争という浪費の、雇用対策事業
7.第5次中東戦争への端緒(たんしょ)か・・・

【2.目次】
 (前号の続き)
8.世帯の変容
9.世帯人数の推移
10.世帯構造

<283号:仕事における責任と権限>
        06年8月9日号

1.組織で第一原理とすべきこと
2.組織は、機能分業と、職位による責任のもちかたの分業
3.身分制的な職位と権限
4.稟議制の意味
5.スタッフとスペシャリストの責任
6.マネジメントプロセス
    :責任をもつ、責任をとる、責任を負うことの意味
7.コミットメント(契約する責任)
8.レスポンシビリティ(実行する責任)
9.アカウンタビリティ(報告する責任)
10.修正対策を立てる責任

<284号:随想:願うことと叶うこと>
    06年8月16日号
【目次】

1.目標に向かった努力
2.願うこと
3.願うことの本当の意味
4.達成イメージから始まる
5.仕事の喜び
6.おそらくは貢献
7.時事問題:ナショナリズム

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