特別号:大きく変化した国債の売買市場(2)
Written by admin on 2012年4月9日 – 16:00
さきほどお送りした分の、続きです。第4項の「投資主体別の国債 の売買」からです。 * <有料版の583号:大きく変化した日本国債の売買市場> 同:2012年3月21日号 【目次】 1.最初に、日本国債の投資主体別保有高 2.満期償還額が、毎年、大きくなってきた 3.わが国の、中長期の国債残の想定: 11年後の2023年には1366兆円と、2011年より508兆円増える (本稿は↓ここから) 4.投資家別の国債の売買 5.ヘッジ・ファンドは、日本国債売りの準備をしているのか 6.日本国債の売りの機会はいつか? 7.2012年は、インフレで世界の金利上昇の兆しがある 【後記】 ■4.投資家別の国債の売買 原表は、投資主体別に、1998年から2012年2月までの月別の売りと 買いを対照したものです(単位億円)。 http://www.jsda.or.jp/shiryo/toukei/toushika/index.html 本稿では、いつものように、数値の意味が読み取れるよう単純化し ます。詳細が必要なら、原表をダウンロードしてください。 このデータも理由を言わず消えるかもしれません。当方が、他を メールマガジンで取り上げて分析して書いた後、何回か経験したこ とです。 売りと買いは捨象して、買い超をプラスで、売り超をマイナス記号 で示します。数字が小さく、無視できる個人の売買などは除いてい ます。政府部門は、日銀を除き、国債の売り手ですから、いつも売 り超になります。 都市銀行以外の 都市銀行 金融機関 外人 政府部門 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2005年 +89兆円 +127兆円 +33兆円 -214兆円 ・・・ 2010年 +5兆円 +205兆円 +101兆円 -315兆円 2011年 -15兆円 +183兆円 +141兆円 -307兆円 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (注)「都市銀行以外の金融機関」とは、地銀、信託銀行、農林系、 第二地銀、信用金庫、商工中金、投資信託、証券会社、短資会社、 投資顧問業、生保・損保等です。都市銀行以外は、いずれも一貫し て、国債の買い越しを続けています。 【国債の売りに転じた都銀】 都銀は、2009年までは、1年に20~90兆円の国債を買い越して、保 有を増やしてきました。変化が起こったのは、2010年からです(年 間買い越しが、5兆円に減っています)。 2011年は、15兆円の売り越しです。国債価格の下落を恐れたことが 理由です。 事実、三菱東京UFJは、内々に「金利が上がって国債が下落したら、 当行の資産はどうなるか」のシミュレーションをしています。 2011年に報道されたとき、「あくまで仮定である」と言っていまし た。政府が売る国債では、本当のことは言えません。 【現実の行動】 2011年の現実の行動を見れば、売り越しですから、「1%金利の国 債は、金利が1ポイント上がるだけで、保有国債の時価が5%下がっ て含み損になるから危険」と見たのでしょう。 国債を買い続けている地銀のディーラーは、債権市場で国債を売る 都銀の動きは分かりますから、やきもきしているはずです。2012年 中、これが続くでしょう。地銀等は、財務省と金融庁の睨(にら) みに、とても弱いのです。 (注)後述しますが、08年9月の世界金融危機以降、中央銀行が主 導して下げてきた米国・欧州の金利は、2012年になって、物価イン フレの傾向から上がる傾向を示しています。 ▼米国の長期金利の、高騰 米国の長期債の金利は、1.9%(2012年3月6日)から、その10日後 の3月16日は、2.2%にまで急騰(0.3ポイントは15%の上昇に相 当)しています。 ドルの長期債の価格は、金利上昇の分下がったので、金利の最も低 い円債が売られ、価格が下がって利回りが上がったドル債を買う動 きが出て、円安・ドル高になったのです。 この点で、ドル債は、ユーロ債や円債より強いと見られています。 世界の市場の見方では、もっとも強いのは、ドル債、次が円債、最 後がユーロ債でしょう。 【ユーロは上げたが・・・】 ECBが、2回分で100兆円のマネーを刷って、金融機関に貸したため、 3月危機として懸念された銀行危機が、当面は去ったとして、ユー ロも買われて上がっています(1ユーロ111円:3月21日:年初来で 17%も上昇)。 ◎しかし、金融危機を生んでいた銀行の損失は、ECBからの借入で は消えないのです。 損がECBからの負債になって、借入金が増えただけです。 (注)欧州も米国と同じように住宅ローン債権が多いので(推計 1000兆円)、今も下がっている住宅が、値上がりする時期が来ない と、金融機関の損失は消えません。それは数年後でしょう。 資金の枯渇で倒産間際だった企業が、懇願していた銀行借入で、当 面の支払いができるようなものです。借りたものは、負債ですから、 却って負債が増えるのです。 銀行が本当の利益を出して、過去の損を埋めない限り、次の危機が 再び来ます。ECBからの借入は、3年間の期間です。 今日のFinancial Times(3月20日)では、銀行間の短期の貸借に、 不安が広がったという記事が出ています。 「PIIGSの銀行の損失は、借入では消えない」というのがその主旨 です。銀行は、お互いに、短期資金を融通しあっています。 このため、相手が倒産すると、回収ができず自分も連鎖します。 最も多いのは、国債を担保にした「レポ取引」です。 金融には、特有の意味を勝手に持たせた専門語が多いですね。 このため、一般に分かりにくいのでしょう。 (注)レポ取引は、買い現先のような「買い戻し条件付の金融取 引」です。日本では特に債券の貸借取引で、金銭を担保として差し 出す「現金担保付債券貸借取引(債券レポ取引)」のことを指して います。 ▼他方では、日本国債を大きく買い越した外人ファンド わが国で国債を買ってきた都銀が売り越すように変わったのに対し、 ヘッジ・ファンドは、2010年に101兆円、2011年に更に勢いを増し て141兆円を買い越しています。 3ヶ月の短期債ですから、年の途中で満期償還されるものが多いの で、この2年間で10兆円規模の買い越し残と見ます。 2012年1月、2月も買い越していますので、繰り返しますが、合計で 20兆円の保有増になって、外人の、短期の円国債の保有残は67兆円 に増えているでしょう。 ◎債券市場での売買額でも、ヘッジ・ファンドが、40%付近を占め るように変わっているはずです。 70%の売買額を占めて、一秒に3000回の売買もできるロボット・ト レーディングで、株価を動かすようになったわが国の株式市場に似 ています。 1回が1億円としても、最大では1秒(瞬く間)で3000億円の売り買 いにもなり得ます。現在の世界の債券市場と株式市場は、サイボー グが売買している宇宙の物語りのようです。 円高になった時期(2011年)は、PIIGS危機のユーロ債とドル債を 売って、円債を買い越してきたのです。 繰り返せば、このヘッジ・ファンドによる円国債の大きな買い越し が、2011年の円高(ドル安、ユーロ安)の原因です。 逆に、買い越した円債を売って、ユーロやドル債を買えば、円安に ななります。(これが3月かも知れません。まだデータがありませ ん) ◎日銀は、ヘッジ・ファンドによる円国債の売り越し、証拠金の数 倍のレバレッジがかかる空売り、30倍以上のレバレッジにもなる国 債先物売り、または、売りオプションを警戒して、40兆円の国債買 い受け枠を準備した(12年2月)ことは、既述しています。 レバレッジは、少額の資金で、多額の売買ができます。 ■5.ヘッジ・ファンドは、日本国債売りの準備をしているのか ◎ヘッジ・ファンドや英米系の銀行(代表が、悪名が高くなった ゴールドマン・サックス)が行う債券や株の売買で利益を上げる方 法は、 (1)最初は、目をつけたものを買って、価格を上げ、 (2)連れ買いが起こってピークに達したと見たとき、 (3)空売り、先物売り、売りオプション、あるいはCDSを仕掛けて 下げることです。 連れ買いは、例えば、一般を相手にする金融雑誌やマスコミが、 「**は上がる」という記事を溢れさせるときです。 この時が、相場のピークになる。投資家で言えば、個人が買いに走 るようになる時期です。 事実、ゴールドマン・サックスは、ギリシア債で以下のような、犯 罪的な方法をとっています。後では告発を受け、事実を認めて相手 に与えた損に相当する罰金を払ったのです。 (1)最初、ギリシア国債を買う。保証保険のCDSもかけて買い、ギ リシア政府の債務をオフ・バランスにし、EUには嘘の財政データを 出させる。これが、債務の飛ばしです。 ↓ (2)顧客である投資家(及び銀行)には、ギリシア債は、財政は 健全だが金利が高く、利益があるとして売る。あるいは、ギリシア 債にCDSをかけ、デフォルトのとき支払われる保証保険を、国債額 面の2%程度の低い料率で買う。 ↓ (3)通じている、子会社のヘッジ・ファンドに、ギリシア債を空 売りさせておく。先物売り、売りオプションでも同じ効果である。 ↓ (3)機会を見て、ギリシア政府の債務は、嘘であることを、マス コミにリークして暴く。自分たちも、驚いたように装う。 ギリシ ア債は市場で売られて下がり、金利は瞬く間に10%に向かい高騰し た。 ↓ (4)国債が下がると、保証保険のCDSの価値は上がる。例えば2% だったCDSの価格は、国債が下がってその金利が10%くらいになる と、4倍くらいに上がる。 国債がデフォルトしてもCDS証券をもっていれば、額面の100%の回 収が保証されるからです。 (注)ヘッジ・ファンドの設立では、投資の私的組合とされるので、 運用の中味を公開せねばならない規制は、日米欧に、ありません。 8000本の全部の本拠は、当局が監視できないオフショアです。 投資顧問業のAIJの、投資内容とお金がどこへ行ったのか、金融庁 には未だに分からないのは、このためです。わが国にも、年金の運 用を請け負っている投資顧問業が265社もあります。 〔CDSの利益〕 1兆円の国債にかかった保険料率2%のCDS(購入価格は200億円)は、 その国債の金利が10%に上がると(国債価格が例えば30%も下がる と)、4倍付近の800億円の市場価値に上がります。 600億円が利益になります。CDSはその国債を持っていなくても、か けることができ、売買ができるのです。 CDSは、第三者がかけた生命保険に似ています。保険がかかった人 の生命の危機(=デフォルトの危機)が高まると、保険金1億円が 受け取れる生命保険証券の価値は、上がるでしょう。あたかも、分 からないように毒をのませた保険金殺人です。実際に、ギリシア債 で、以上が行われたのです。 〔他の利益〕 CDSと同時に、国債価格が下がると、空売り、先物売り、売りオプ ションにも巨大利益が出ます。オプションの証券そのものも、独立 した金融商品として売買ができるのです。 以上が、本当のことを暴けば、デフォルトが確実なギリシア債を対 象に、ゴールドマン・サックスが2010年に行っていたことです。 ■6.日本国債の売りの機会はいつか? ヘッジ・ファンドは、日本国債の空売り、先物売り、売りオプショ ン、CDSで巨大利益の機会を待っているように思えます。 拙著『国家破産』でも書いたことですが、米国の住宅証券(RMBS) で、2007年に$150億(1兆2000億円)の利益を、ひとりで上げたピ ムコのジョン・ポールソンは、グレゴリーサッカーマンに書かせた 書籍(『史上最大のボロ儲け』)の中で言っています。 「住宅証券の後は、先進国のソブリン・リスク(国債のリスク)が 巨大利益を上げる機会になる」 PIIGS債がこれでした。 ただし、ポールソンは、2011年は、米国債の下落に賭けた投機で、 大損をしています。 1年に120兆円は発行される米国債の下落に賭けたポジションをとっ ていたためです。世界で最も多く、100兆円くらいのドル国債をも つ中国が、ドル下落を懸念し、ドル国債を売ると予想したからです。 (注)現在は、2011年の、1年24兆円の円高介入(ドル債買い)の ため、日本の財務省が世界で最大の、米国債の持ち手です。$1. 3兆へと、2011年に$3000億も増やした「外貨準備」がこれです。 政府財政は巨大赤字で、お金がないと言いながら、増税を言う財務 省は、一体、何をしているのか? 24兆円も、米国に差し出したこ とに等しいのです。日本の財務省は、一度も、ドル債を売り越した 年度がありません。貸して、売らなければ、米国に貢いだことと同 じです。 ところが思惑に反し、FRBがQE2(60兆円枠)で米国債を買い支えた ことが、市場では、ドル国債買いの動きを呼んだのです。 普通は、中央銀行が、直接に国債を買うことは、買い手が消えたこ とを意味しますから、その国の国債は売られます。 しかし、2011年のドル債に限っては、これが、逆に、新興国からの ドル債買いも生んだのです。 日本国債が、空売りされる時期はいつか? ヘッジ・ファンドが買い越したため、この危険が、2010年以前より はるかに高まったのです。 国内では、日銀以外に、売られる国債 を買い受けることができる金融機関はない。すでに、目いっぱい国 債を買っているからです(約800兆円)。 ヘッジ・ファンドが、短期金利が0.1%しかない日本国債を、黙っ て保有し続けることは、あり得ません。 円安になると、国債価格は同じでも、海外で円国債をもつことは、 例えば10%の円安の分、ドルから見ればすでに損をしています。 ◎今後の円安は、本当は、国債残がGDPの2.2倍の日本にとって、 困った事態を招きます。円安とは、海外から円国債が売られること でもあるからです。 2012年8月頃が、危険だと感じています。 ■7.2012年は、インフレで世界の金利上昇の兆しがある ▼低すぎるユーロの金利(1.83%) 欧州は、失業率が10.3%(11年11月)と高いのに、物価上昇が2. 7%と高い。長期金利(10年物国債の利回り)は、ECBが超金融緩和 をしているので1.83%と低い。 1年に2.7%上がる物価との関係で言えば、少なくとも3.7%の ユーロ長期債の金利でなければならない。欧州金融の非常時だから、 金利が低いのです。 金融危機が去ったとなると、金利は、物価上昇率に向かって上がり ます。 ▼2012年3月に急騰の気配を見せている米国の長期金利(2.2%) 米国は、物価の上昇が3.0%です(11年12月)。失業は8.5%と、 欧州並に高い。2012年の年初から3月6日までの長期金利は、1.8% から2.0%で、平均は1.9%でした。これも、FRBが、欧州と同じ くゼロ金利策をとっていたからです。 しかし、3月6日以降の、わずか10日間で、米国の長期金利は2.2% へと0.3ポイント(15%)も上げています。 市場では、FRBが予想されていたQE3(量的緩和第三弾:金額は50兆 円以上)を行う可能性が、30%以下に下がったから金利が上がった とされています。果たして、米国の金利上昇の理由が、これか? 金利上昇とは、1.9%の低い利回りの米国債が、利回り2.2%に上 がるように売られたということです。 資源・穀物・食品の国際価格も、2011年12月の305から、12年3月は 318に、3ヶ月間で4%上がっています。この瞬間風速を、年間ベー スに換算すれば、4倍の16%の上昇です。(ロイター・ジェフリー ズCRB総合指数) 米国債の金利が3%台に向かい上がると、下がった米国債を買う動 きが出るので、世界で、米国債買いが増えます。1%の金利の円長 期債を売って、2.2%の金利がつくドル国債に買えようとする動き も出ます(円安)。 1.2%の金利差(スプレッド)に過ぎませんが、ヘッジ・ファンド のように、10倍のレバレッジで買えば、12%の差になるからです。 国債では普通の30倍のレバレッジなら36%の差です。 このため、円安になった日本国債の金利も、円債が売られ、米国債 の金利に近づくように上がるのです。 イスラエルとの間で深刻化しているイランの核開発の問題も絡んで いて、2012年の世界は、インフレのような感じです。 ひとり日本のみが、物価が上がっていない特殊国ですが。原因は、 2011年の世帯所得と、企業所得が減ったためです。所得が増えない と、商品購買は増やせません。作った物は余って、価格が下がるの です。 日銀は、インフレターゲット1%と言い(政策目標)、65兆円の資 産買い受け基金で、マネーを供給しています。 2012年1月12日の総マネー供給は、139兆円でした。3月10日は145兆 円で、まだ増加供給資金は+6兆円留まっています。 貸付金と国債買いが増えています。しかし年間ベースの想定では、 +24兆円です。当方の予想では、国債買いの増枠で+40兆円です。 http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2012/ac120310.htm/ 日経株価は1万円を超えても上がっていますが(1万86円:3月21 日)、「いつも遅れる金融誌やマスコミが、上がると騒いだときは、 すでに、ヘッジ・ファンドが売り抜けるピークであることが多かっ た。」ことを忘れないように、老婆心から申し上げておきます。 ◎日本の株式市場の70%、債券市場の40%の売買は、ヘッジ・ファ ンドだからです。彼らの方法は、いつも、買って上げて、その瞬間 を見極めて、先物やオプションで売る利食いです。 株価も通貨も、人々がどの経済要素を重視するか、これの変転で買 いや売りが決まっています。政府発の情報が、あるものだけを強調 しているのが変です。 米国では、先月、消費が好調と言われたかと思えば、その一週間後 には、まだ住宅価格が下がっていて、世帯負債が年収の130%なの で、消費は弱いという記事が出る始末(ウォールストリート・ジ ャーナルなど)。 根拠ある数値に基づかず、心理的な副詞と形容詞で見ると(人の認 識方法)、どうとでも言えます。暗いトンネルから出れば薄明かり の中でも風景が輝くのが人間の目です。 長い国境のトンネルを出て雪国のように白ければ、明度が低くても、 煌々とした夜明けにも見えます。 【後記】 本稿で書いたような、1998年の過去から幾度も繰り返してきた相場 の動きも(PKO相場と言っていた)、その原理的なことから書いて います。金融のPKOは、平和維持ではなく、当局の介入買いです。 【書籍】 アマゾン(紙) : http://www.amazon.co.jp/ 紀伊国屋Web(紙+電子) : http://bookweb.kinokuniya.co.jp/ 楽天書店(紙) :http://books.rakuten.co.jp/ 廣済堂bookgate(紙+PDF版): http://www.bookgate.info/ セブンアイネット(紙) :http://www.7netshopping.jp/books/ 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ●インターネットの書評サイトでの評価のひとつです。当方の意図 をよく理解していただいていると感じたので、掲載します(掲載の 承諾は、頂戴しています) **は今、世界を覆う財政危機や金融不安の本質がどうなのか気に なっているのですが、 本書はこれ一冊読めば、 ・国債の信用リスク ・デリバティブの恐怖 ・米ドル安と円高の行方が及ぼす影響 ・不動産価格の見通し ・国家破産の可能性 ・資産防衛のためにすべきこと など、すべてが関連付けて理解できます。 とはいえ、ひとつひとつ理解しながら読んだので、読み終えるのに たっぷり1週間かかってしまいました。この本のすごいところは、 徹底的に数値をもとにした論理展開を行なっていること。 読者をいたずらに怖がらせたり脅したりするような表現は、一切使 っていません。類書では、著者が金融ビジネスに携わっていたりす ると、自分の商品の販売に結びつけたり、自分の権威を高めようと したりするポジショントークが含まれていたりするものですが、そ んなポジショントークも一切なし。 著者の吉田繁治さんは、【ビジネス知識源】というメールマガジン の発行人で、ビジネスメールマガジンではNo.1の人気を誇ります。 書いてあることは難しそうに見えるのですが、変に楽観論や悲観論 に偏っておらず、データを丁寧に紐解きながら、重要な部分は繰り 返し解説してくれるので実にわかりやすい。 読了した後、もう一度ななめ読みしただけで、理解がさらに深まり ました。ここに書かれている事実を自分はどうとらえるか、そして どう行動すべきか。腑に落ちるまで、何度も読み返すべき本だと思 います。 現在、そして今後の世界経済を語る本の決定版ではないでしょうか。 http://blogs.yahoo.co.jp/kit_45104/29108188.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。以下は、項目 の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 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