本を買うことのお勧め
This is my site Written by admin on 2015年12月19日 – 11:00


このメールは、号外です。12月10日から書店に出た新刊書、『膨張
する金融資産のパラドックス』(約350ページ:1944円:吉田繁治
著)を短く紹介し、本を買うことの、お勧めをするものです。

元になったアイデアは、あるエコノミスト氏との会話からでした。

「国債が、ついに、GDPの2倍を超えてしまいましたね。当然、政府
は返せないので、借換債を発行でき、利払いが続けられるときまで、
ですが・・・」 返ってきたのは、思わぬものでした。
「国債は金融資産ですから、それが増えるのは、いいことなんじゃ
ないですか」

国債は政府の債務ですが、確かに、持ち手にとっては金融資産です。
金融資産が増えることは、個人の立場では望ましい。金融資産は、
その裏側の負債とともに増えます。「金融資産=金融負債」です。
金融資産が増えれば、必ずどこかの負債が増えています(借り手は
政府、企業、世帯、海外)。

金融資産と負債が増えるのは、どこまでも、いいことなのか。限界
はないのか。あるとすれば、限界はどこかということでした。それ
と、金融資産・負債が、増えすぎたとき、限界はどういった形で来
るのかといことでした。金融資産・負債の大きさは、「金融資産/
名目GDP(所得)=金融資産の所得倍率」の倍率で表すことができ
ます。

以下の例えでも、限界があることがわかるでしょう。

友人の事業に100万円の貸付をしたとします。その貸付金はあなた
にとっては金融資産ですが、友人にとっては利払いと返済が必要な
負債です。500万円を貸せば、あなたの金融資産は、5倍になります。
友人の負債も5倍です。金融資産が増えたと単純に喜ぶべきことで
しょうか。国全体のマクロの金融では政府、企業、世帯、海外が借
り主です。その金融資産の有効性は、借り手が利払いと返済ができ
る金額かどうかにかかっています。

目次は以下です。


はじめに
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
序章  金融危機はかならずやってくる
第1章 金融資産は持ち手以外の誰かの負債
第2章 リーマン危機の原因になったデリベティブの全面崩壊
第3章 わが国の金融危機はどこから起こるか
第4章 中央銀行の信用は政府の財政信用に由来する
第5章 名目GDPの成長率より常に高かった金融資産の増加率

第6章 国債の信用とは財政の信用である
第7章 金本位性を否定してきた世界の中央銀行
第8章 金融資産と負債はどれくらいあるのか
第9章 国債の信用を担保にしたマネー増発の仕組み
第10章 米国とユーロ19か国の金融資産と負債

第11章 トマ・ピケティの「r(資本の収益率)>g(所得の成長
    率)」は、崩壊する宿命にある
第12章 金融資産としての債券、株券、通貨の価値
第13章 米ドルの命運とゴールド
第14章 ドル基軸体制が終わるときが早期に来るのか?
第15章 財政信用の根底は、「G(名目GDP成長率)>D(政府負債増
    加率)」であるかどうかにかかっている
最終章 金融危機に備えて行うべきこと
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

金融資産が増えすぎると、負債も膨らみ過ぎることなるため、その
負債での資産投資が増えて、資産バブルになり、崩壊に至ります。

バブル崩壊と金融機は、最初が1990年からの日本、次が2008年から
の米国(リーマン危機)、3番目に2009年からのユーロ(南欧危
機)であり、2015年6月からは中国の株バブル崩壊(今後2年で不動
産バブルも崩壊)です。

いずれの場合も、政府・中央銀行が、財政対策をし、マネーも増発
しますから、本質的な問題である「所得に対して金融資産・負債が
大きすぎること」は先送りされます。その結果、ほぼ10年のサイク
ルで、より大きくなったバブルの崩壊と金融危機を、繰り返すこと
になるのです。資産バブルでは株、不動産、国債、通貨という重点
の移動があります。まず株、次に不動産、最後が国債と通貨のバブ
ルです。

世界の金融資産・負債を跳梁して、今まで、そして今後の数値に基
づき、その限界、必ず来る大きな金融危機、危機に備えた運用につ
いても述べています。

▼アマゾンのサイト:『膨張する金融資産のバラドックス』

類書にはない角度からのものですが、内容には自信をもっています。

本を買う習慣を無くされているかも知れませんが、本書を1人でも
多くの方が手に取って、お読みになることをお勧めするために、こ
のメールを送ります。紙の本も一覧性があり、テーマについて深く
述べることもでき、なかなかいいものです。

              2015年12月19日 吉田繁治記


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<795号:米国の株価は、QEバブルの中にあるのか>
       2015年10月28日

【目次】

1.米国の、異常な金額の自社株買い
2.米国株での、自社株買いバブル
3.シラーP/Eレシオで見る米国の株価
4.2016年の米国の株価

【後記】

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<796号:世界は量的緩和をいつまで続けるのか(1)>
      2015年11月4日

【目次】

1.世界のOTCデリバティブ
2.先物、スワップ、CDSの端的な説明
3.OTCデリバティブの80%を占める金利スワップ
4.デリバティブで、金融のリスクが減ったのではない。リスクを、
ウォール街の取引相手(カウンター・パーティ)に移転させただけ
である
5.CDS(債権の回収保険)は、不良債権を正常債権に変える
6.FRBは、巨大化しているデリバティブを知った上で、出口政策を
フォワード・ガイダンスし続けているのか。

【後記】

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