われわれは、直接経験の外の領域についての情報は、メディアから得
ています。直接経験は、世界の80億人のそれぞれに固有です。子供の
直接経験も、親とは違うものです。

【直接経験は個人のもの】
24時間、同じものを見て、同じように考える人は、生活時間が長い家
族にもいません。人間の経験は孤独なものであり、言葉を通じてしか、
他人に伝えることはできません。

ある時間にグレン・グールドやリヒテルが演奏したバッハを聴いた経
験は、個人のものです。夫婦や恋人と一緒に聞いても、その演奏で聴
いたことからの経験が、言葉になる感想は違うものです。

【言葉によるコミュニケ─ション】
人間は感想を述べ合います。専門的には、優れた聴き手だった吉田秀
和のような音楽評論になります。根拠を述べて論理化したコミュニ
ケーションが評論でしょう。

同じ文章ではあっても、個人の直接経験を知人や友人に伝える手紙と
評論は性格が違います。個人宛にメールで送る、このメールマガジン
は「手紙＋評論」でしょう。多くが見知らない人への手紙であること
も意識しながら、毎回、書いています。

言葉は相手とのコミュニケーションを図るものです。木に向かってし
ゃべり続ける人は、たぶんいない。しかし、仏像には呪文を唱えます。
この言葉は「神と考える偶像への祈り」でしょう。

イスラム教は、神から言葉を預かったとされている預言者キリストと
使徒の肖像画を生んだキリスト教と違い、神の偶像や絵を禁じていま
す。このため、意味がない紋様のアラベスクが発達しました。アルハ
ンブラ宮殿は、岩波文庫の唐草模様のようにしか見えない、アラベス
クだらけです。

個人の観念や思いのコミュケーションは、言葉で行います。適切な言
葉には、他人と共通の意識を作る作用があるからです。歌や音楽の作
用も言葉と同じですが、論理的な概念の言葉では表しにくい感情を伝
えます。

「概念」は具体物の認識から人間が得る、抽象的な脳内画像のようも
のです。私は人間です（類の概念）。しかし人間は私ではない。人間
として脳内に描かれ、経験で訂正が加わっていく共通概念が「人間」
です。

【犬の認識と、人間の認識の違い】
犬は、例えば「人間」という類概念である言葉（＝共通概念）はもた
ない。犬にとっての人は場面と匂いや音声で区分される個別のもので
しょう。

同じ人でも、匂いは場面や時間で違う、個別に認識され、共通の概念
にまとまらない。このため、犬の意思の表現である鳴き声では、単純
な信号以外の言葉はもたない。

ウソも、言えない。人間は言葉（概念）をもつためウソも言えます。
情報には、真正のものと、嘘が混じます。

ここで、人間が得ている「情報」がどんな段階（あるいは階層）をも
つものか、構造主義的に、整理します。

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＜Vol.1303号：増刊：偏向情報のテキストの解析（前編）＞
　　　　　　2023年1月23日：有料版・無料版共通　　　　

【前編：目次】
■1.データの段階
■2.分析データの段階
■3.分析の段階で加わる偏向
■4.データの解釈の段階で加わる偏向

＜Vol.1304号：正刊：偏向情報のテキストの解析（後編）＞
　　　　　　2023年1月25日：有料版　　

【後編　目次予定】
■5.リフレ派のエコノミストよる、ミスリードがある
■6.1ドル151円の円安：22年10月20日
■7.インフォメーションの段階での原因の捏造
■8.イーロン・マスクのツイッター買収（22年11月）から、米国のメ
ディア情報（インフォメーション）が転換しつつある
■9.新型コロナの発生起源に関する、下院での調査が始まる
【後記：AIとSNS時代のプロの将棋】

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■1.データの段階

起こった現象の事実を示すのがデータです。現象の数字だけではなく
音声、色、形（まとめて形象という）も含まれます。音と色も、光の
周波数です。優れた歌手の歌声は、音符と周波数から、観念と感情を
伝えます。

データの段階は、直接経験であり、個人に対してある現象の仮想認識
を喚起します。データから得られる観想（＝認識）は個人のものです。

［1.データの階層］
昨日の日経平均の終値は、2万6553円だった。米国の長期金利は3.48
％だった。ドル/円は、129.6円だった。米国の住宅ローン金利は6.
94％だった。全米20都市の住宅価格指数（ケース・シラー）は前年比
+8％だった（23年1月集計分）・・・

こうしたものは事実の統計データです。基準があるデータなら直接経
験と間接経験が与える情報は、同じです。

このため統計的にデータ化された事実からは「科学」が生まれます。
ただし、株価の科学はありません。株価を変動させる要因を、全部あ
げることができないからです。株価のようなものを「複雑系」。
と言います。経済は複雑系です。

株価が、原理まで示す科学になれば、数式で予想できますが、そうな
ると異なる見解（予想）から売買する株式市場は消滅します。

「未上場の会社の純資産/発行済み株数＝1株の株価＝デュ─デリジェ
ンスの定価」になります。定価の市場では、小売店の店頭のように。
売価は同じです。

■2.分析データの段階

人間は、データのままではなく、変化を比較する分析データとして受
け取ります。例えば、グールドのピアノ演奏を、同じ曲のホロビッツ
と比較するようなことです。

株価には、1）前年比、2）前月比、3）20日あるいは200日移動平均、
重みが違う加重移動平均（NAC-D＝指数平滑）、4）ボラテリィティ
（変動幅＝標準偏差；20日間の2×標準偏差（95％の確率）に√12を
かけて、1年に延長したもの）など、多種の分析手法があります。

分析手法そのものは主観的なモのではない。数値の計算であり、客観
的ですから（計算手法が同じなら同じ結果になる）、直接経験と間接
経験の差はない。

▼データ分析の方法で、情報に違いが出る

【分析の手法】
ただし「どの分析手法をとるか」という点て、観想的な情報の違いが
出ます。

1）20日移動平均の上昇で見る。2）同じ株価を加重移動平均（指数平
滑法：MAC-D）の下落で見る。3）あるいは前日比だけで見る。4）1時
間足（あし）で見る。

つまり、同じ株価のデータを、個人で変えることができる分析手法で
得られた情報は、主観を示していて、そこから得られる情報は、異な
るものです。こうした分析は、事象のデータと、分析の両方を網羅し
ていないので、学問（仮説）にも、科学にもならない。

【分析の手法】
専門的な投資家が使う分析手法は、成功と失敗の経験を重ねて変化し
ていきます。したがって専門家がいう株価、物価、金利の予想には個
人で違いが出るのです。

【事例：FRBの物価予想】
FRBと日銀は、2022年9月時点で、2023年の物価予想を間違えていまし
た。

とりわけFRBは、2021年9月（ジャクソンホール会議）でのパウエルの
2022年の物価予想は事実とは大きく誤っていました。

このため、2022年3月からは、普通の時期の3倍（1回が0.75％）の
「慌てた」利上げを行いまいした。

1990年代から、1回の利上げ/利下げは0.25％でした。
0.75％利上げは6か月で3倍の18か月分の利上げをしたことになります
（1/3への時間短縮）。

このため、金利の先行き予想を間違えた債券の価格は約20％、S&
P500も約20％下ったのです（2022年）。

【価格の均衡点が、今日の市場価格】
債券と株価は金利、GDP、企業利益、通貨、金融政策を予想して市場
で価格が決まっています。

◎今日の価格は、上がると思って買った投資家と、下がると思って買
った投資家の、価格の均衡点です。

今日の均衡点は、今日から明日にかけての新しい情報の解釈で変化す
るので、日々、価格が変わるのです。

2021年9月の時点では、2022年物価予想にはエネルギー、資源、穀物
価格を平均20％上げたウクライナ戦争という要素は、入っていません
でした。

■3.分析の段階で加わる偏向

分析の段階で加わる予想の偏向は、2つの要因から起こります。

データには、計って集計する方法以外の偏向は、ありません。ただし、
サンプリングの統計的な誤差は、サンプル数によって±0.6％かから
±10％くらいはあるでしょう。
（世論調査のサンプリング誤差：0.6％から10％に分布）
http://www.icit.jp/analysis/error-03.html

データからの、情報の偏向（ウソ）は、現象のデータはあるのに、何
らかの目的で、都合の悪いものが無視されることから生じます。

ヘッジファンドのトレーダーだった高橋ダンが、「ニュースを読む前
に、株価や債券価格のデータを自分で10分間は見ること」と何回もい
うのは、解釈が加わっているニュースの言葉には「偏向」があるから
です。

何らかの偏向があるニュースの、解釈の言葉に影響を受けてデータを
見て、彼の経験では、売買の機会を間違えたことが多かったからでし
ょう。

多くの試行錯誤の直接経験から、ニュースを読む前に、株価や債券価
格のデータを10分見て自分で考えることは、投資家として彼の方法に
なったのでしょう。

こに方法は、学ぶべきことです。ニュースの事実を示すこと（デー
タ）に加わった言葉には、「解釈と編集による偏向」が加わっている
のです。

「ハゲタカが死肉を食べる悲惨なことが起こった」というニュースの、
「悲惨」という部分は、事実の価値判断による評価です。

ハゲタカが死肉を食べるのは、人間には悲惨に見えても、木が土から
養分をとるようにハゲタカが生きる自然でしょう。自然は過酷で悲惨
でもない。擬人化すれば、悲惨、過酷、または美しさが生れます。薔
薇は美しい。しかし薔薇がこの美しさを作ったのではない。薔薇を見
た人間が、美しいと評価するのです。オーロラも同じです。

【大事件での事例】
最近の事例では、安倍元首相銃撃の、山上容疑者の、「検察による起
訴状」があります。統一教会への恨みを動機として強調していますが、
殺害に至った銃弾の弾道と、安倍元首相の心室の穴については、なぜ
か、触れていません。

【心臓の傷での対立】
蘇生治療に当たった奈良県立医大の福島教授は、記者会見で、「心臓
には、銃弾のものと思われる大きな穴があいていた」と述べました
（会見録は残っています）。

ところが、検察の司法解剖にあたった同じ奈良医大の法医学第（と思
われる）は、心臓には銃弾の穴はなかったと検察に述べたとされ、福
島教授の見解と、真っ向から対立しています。
（奈良医大法医学）
https://www.naramed-u.ac.jp/university/subject_and_department_j/faculty_of_medicine/kisoigaku/houigaku.html

1つしかないはずの事実のデータが真逆に違う。
当方は、正解は福島教授と考えています。

なお、
・法医学の教授（または講師、助教）の解剖所見が、検察の言うとお
りだったか、
・あるいは検察が事件の、創作したシナリオに沿って捻じ曲げたのか
は不明です。

どこかには存在しなければならない銃弾の行方も不明です。それに、
体内に1つあったという銃弾は、山上容疑者が当日、散弾銃で撃った
ものと一致しているのかどうか、検察は述べていません。

【作られた起訴状】
おそらく、この矛盾に合理的に答えるのは難しいと判断した検察は、
起訴状では山上容疑者がもっていたと思われる「統一教会への怨恨」
という動機を、前面に出しました。山上容疑者の「動機」は、犯行に
十分という判断を出したのです。ここが偏向になるところです。

【推測】
そして矛盾（物理的に両立しないこと）を突くべき山上容疑者の弁護
人も、弾道と心臓の穴では争わない予定という。
事件は、闇に葬られる可能性が高い。

推測ですが、山上容疑者は、陽動作戦を担う役割だったでしょう。こ
れは、自分が殺したと自供し真犯人を隠す役割です。

【JFKの事件】
ただし誰が暗殺を計画した首謀だったかわからない。1963年の、ダラ
スでのJFKのオズワルドに似た点が多い事件です。オズワルドはCIAに
はめられたと述べていたという。

JFK事件は、機密公文書（500万ページという）の50年を過ぎ、部分的
に開示され、CIAの分派が企てた事件だったことが明らかになってい
ます（日本のメディアの報道はない）。

【主流メディア】
検察と弁護人の双方が「弾道と心臓の傷」の矛盾は裁判で争わないよ
うです。

新聞とTVの主流メディアは、全部、検察の見解に従属した記事を書い
ています。ソースは検察からの部分リークであり、新聞社の調査報道
はない。

奈良県警は、事件の約50日後に、当日の警備の不備は、公式に認めて
も、事件の状況を説明する記者会見は開いていません。

【真相究明の言動に、脅迫という事実があった】
奈良県警を追求し、真相の究明に奔走しているのは、
1）国会議員では、元ジャーナリストの青山繁晴参議員（youtube）、
2）弾道と銃弾の解析をしているのは、ツイッターで発言している物
理学者の高田純博士です。

新聞とTVメディアは検察のリークに頼るだけです。

調査報道はせず沈黙しています。メディアは、本来、調査報道をすべ
きですが、日本のメディアでは、これが少ない。

講演に来ていた日経新聞の記者に、そのあとのパーティーで「政府の
記者クラブでの情報に頼るだけではなく、ジャーナリストなら、ご自
分で調査して報道をすべきでしょう」と要請したことがありますが、
記者は無言でした。これはジャーナリストではない。政治家と役人の
発言を、国民に伝えるだけの広報係しょう。

調査報道の記事作成には、知識、コスト、時間がかかります。広告と
売上収入がほぼ50％に減っているTV局と新聞社は、この3つをかける
ことを省略しているのでしょう。

事件の真相究明を自分の役割と考えた青山繁晴議員には、「こんなこ
とをしていると、青山さんのためになりませせんよ」という警察上層
部からの脅迫があったという（本人の弁：みんなの国会：youtube）

これは、警察が真相を隠す動きをしていることの状況証拠になるもの
です。警察が真相を捜査しているのなら、真相の究明を求める言動に
対して、脅迫し、妨害することはあり得ない。

戦後、政治家に対しての最大の事件ですが、このありさまです。GHQ
下で起こった下山国鉄総裁の惨殺事件（1949年）にも、共通点がある
感じがします。

【検察によるシナリオ捜査】
刑事事件での事実データの重要な部分の無視は、何らかの目的がある
とき、検察や政府筋から、行われます。検察は、あらかじめ事件のシ
ナリオを想定した、シナリオ捜査を行う癖をもっています。

事件の科学的な操作（データの収集）は、大変な労力を要するからで
す。検察官が想定したシナリオに沿って、部分的な物的証拠を集め、
証言との矛盾を突き、自白を迫るのが捜査の方法になっています。

山上事件では、犯行の立証にはならない動機と、犯行に使ったとされ
る銃の自作を示す状況証拠は、山のようにリークされています。

統一教会への恨みが、教会を支援していた安倍元首相の暗殺につなが
ったということの論理性には、当初から疑問を感じていました。

自作の散弾銃が、歩いてきたまま、さして狙いを定めず、周辺の人を
避けて、安倍元首相の生命の急所に正確に当たって、1発が、その場
で亡くなる即死の傷を与えたということの「蓋然性（プロバビりテ
ィ）」は、とても低い。

一発で命を奪うのは、当たったところが脳でない限り、とても難しい。
検察が示している銃弾の再現は不可能でしょう。猟銃を扱う人なら、
体験しているはずです。

【状況証拠】
状況証拠とは、例えば、銃にあった指紋です。事件に使われた銃に、
警察が指紋を発見しても犯人が撃ったという証拠にはならない。
事件と別の日や時間に、触ったものかもしれないからです。

犯人と立証するには、遺体の銃弾が、現場でその銃から発射されたも
のであり、その銃で犯人が事件のとき撃ったという物的な、または真
正な証言の証拠がなければならない。

1）ウクライナ戦争、2）2018年の大統領選挙、3）2020中間選挙、4）
脱炭素とSDGsでも、これと、同じ状況があります。メディアの情報が
プロパガンダになっていて、真相を示していないのです。

【ワクチンの副反応と、超過死亡の多さ】
コロナのワクチンの副反応の多さと、平年より約12万人多い超過死亡
数の解釈も、公式にはまだ行われていません。ワクチン接種を、強力
に奨めてきた政府にとって、都合が悪いからです。

◎厚労省は、早手回しに、公式には「ワクチン接種は個人の判断で行
う」としています。しかし、個人で判断できる材料は提示してない。
個人の判断に委ねるなら、医薬の治験データを開示して説明しなけれ
ばならないのです。

材料がなく判断はできないのに、個人判断とするのは、厚労省の責任
逃れでしかない。薬害における厚労省は、過去から、こうした態度で
す。

【長期の検証データがないmRNAワクチン】
長期治験のデータと判断の材料がないコロナのワクチンの当否を、判
断できる国民は、いません。

5年以上の長期治験のデータがないと医師も、判断はできない。mRNA
ワクチンは、ファイザーで作られて3年しかたっていず、現在は、世
界の国民を使って、3年目の実験中（治験中）です。
数十億人の、有効な統計データにはならない治験です。

【認可の理由】
mRNAワクチンは、世界的なパンデミックによる被害より、副反応の害
は小さいだろうという推測から、米国CDC（疾病予防管理センター）
で許可されたものです。

◎駆虫薬のイベルメクチン（大村智北里大学教授が開発：2015年ノー
ベル賞）、治療と予防の両方に、効果が高いようです。ところが厚労
省は、「効果の十分な検証データがない」として、これを禁じていま
す。

【日本の厚労省】
では、厚労省が推奨しているmRMAワクチンには、十分に長期の、多数
の治験データはあるのでしょうか？　実はないのです。

医師会は、ここを追求しなければならないのですが、行っていません。
（注）医師会に反対する医師ば多いようです。一度だけですが、医師
会に呼ばれて、講演したことがあります。

逆にコロナ診療支援金の恩恵を受けるので、政府側に立っています。
コロナの入院への支援金は、1床あたり1800万円です（軽症の入院は
900万、重症の入院は1800万円か1950万円、コロナ診療の協力機関に
は450万円/床）。

ただしコロナが抑圧した他の傷病の診療での、病院の収入減少があり
ます。行政改革の流れで整理されていた保健所が、大量のPCR検査で
利権を得たのです。

コロナとmRNAワクチンの公式情報は、国民にとっては、偏向したもの
です。

■4.データの解釈の段階で加わる偏向

都合の悪いデータの無視以外に、データの比較分析で加わる偏向もあ
ります。

【平行データと相関データ】
株価と金利には、平行関係がみられます。金利が上がるときは、株価
が下がることが多い。これを利用して、金利の上昇が株価下落の原因
とするのは偏向です。

経済のデータには、
・同じように動くことが多い平行データと、
・原因になるデータがあります（相関データ）。

【金利と国際価格は、数式になる相関データ】
国債の価格にとっては、金利の上昇は、下落の原因データです。
これは数式にできます。国債の発行時金利が0.25％で、満期日までの
残存期間が8年の10年債は、長期金利が2.0％に上がると、価格が以下
の数式に従って下がります。

額面100万円×（1＋0.0025）の8乗÷（1＋0.02）の8乗
≒100×1.02÷1.17≒87万円・・・13％下落

一般に、発行時が0.25％の国債で残存期間が8年のときは、1％の金利
上昇につき8％くらい価格が下がります。1200兆円の円の血長短国債
の、平均での発行金利は0.25％付近ですから、1ポイント（％）、金
利が上がると8％（96兆円）下がります。

仮に金利が2ポイント（％）上がると50％の国債をもつ日銀と、36％
をもつ国内金融機関と基金、14％をもつ海外金融機関と基金に、合計
で192兆円の含み損が生じます。これは、時価の自己資本の消滅なっ
て、信用を失い、金融危機になっていくのです。

増刊の有料版・無料版共通部（前編）は、ここまでとします。
1月25日の水曜日には、有料版として、以下の後編を送ります。

本稿は、テキストの、構造主義的な分析です。

構造主義は、レヴィィ・ストロースが調査したことをまとめた『野生
の思考』から発祥した哲学です。交易がなかった南海の島の、独特の
思考法が、どういった特徴を思考の構造として持っているかを書いた
ものです。柳田国男の『民族学』とも共通したものです。人間の行動
は、判断と思考の結果です。

水曜の有料版正刊の目次の予定は、以下です。

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＜Vol.1304号：正刊：偏向情報のテキストの解析（後編）＞
　　　　　　2023年1月25日：有料版　　

【後編　目次予定】

■5.金融緩和では、リフレ派のエコノミストよる、ミスリードがある
■6.1ドル151円の円安：22年10月20日
■7.インフォメーションの段階での原因の捏造
■8.イーロン・マスクのツイッター買収（22年11月）から、米国のメ
ディア情報（インフォメーション）が転換しつつある
■9.新型コロナの発生起源に関する、下院での調査が始まる
【後記：AIとSNS時代のプロの将棋】

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