奇しくも、政権選択の政治になった秋
Written by admin on 2017年10月4日 – 09:00
おはようございます。森友・加計学園への関与の問題から、窮地に陥っ ていた安倍首相が放った衆議院の解散が、民主党の解党を引き起こし、 希望の党へ参集になって維新も連携することから、17年10月が、思わぬ 政治の季節になりました。 「政権交代の可能性が生じた選挙」という意味です。衆議院選挙への投 票は、国民が行う政治です。スイスのような直接制ではなく、代議制を とる民主主義では、政策や法案への国民投票はないので、投票で議員を 選ぶと、次の選挙までは任せるしかない。 今回の衆議院選挙には、急作りの新党「希望の党」、希望の党への民主 党の身寄せ、維新の会とも連携、民進党の分裂よる立憲民主党の誕生が からんで、複雑さがあります。 もっとも近い7月2日の都議選の結果について、メディアと専門家は「予 想外の、都民ファーストの大勝」と言っています。大敗したのは、自民 と民進党でした。なぜ、都民ファーストが大勝したのか。小池氏の親玉 であり反安倍の自民の石破氏は、「かつて都議選の結果は、総選挙の結 果でもあった」という。 希望の党が150議席をとれば、自民から、石破茂氏と野田聖子氏が出て新 党を作り、希望の党、公明とも連立するという説も出ています。 それを立証するかのように、候補擁立数で過半数目指す希望の党が、小 選挙区の公明党立候補区(9区)、石破・野田氏の選挙区に、候補を出さ ない。裏で、反安倍連合が進んでいるように思えます。 結果を決める鍵は、従来から国民の45%(4500万人という多数)と言わ れ、政権が動かないときは棄権する人が多い無党派層の投票です。 もっと近い前例を言えば、都議選の投票率は、前回(2013年)の43.50% から51.28%にまで、7.78%上がっています。都の有権者1068万のうち7. 7%は83万人です。無党派と称し、過去は棄権し、今回は都民ファースト への関心から選挙に出かけた83万人の多くが、希望の党に投票していま す(出口調査)。 都議選での出口調査では、無党派層の投票先は、都民ファーストが40.0 %、自民が13.0%、共産が16.0%、民進が9.0%、公明が7.0%です (NHK)。 しかし、どこも行うこの聞き方では、本当のところは、分からない。前 回まで棄権し、今回は投票した無党派の投票先を聞かねばならない。そ の聞き方をすれば、無党派層の投票先は都民ファーストが圧倒的(60% から80%)だったはずだからです。 都議選の結果は、(1)無党派の投票と、(2)都議選でも自民党と共闘 していた公明党が、今回は都民ファーストに鞍替えしたことです。東京 都の、ほぼいつも選挙に出かける公明党支持者は76万人です。この2つの 要素が、都民ファーストの大勝と自民・民進党の大敗を作っています。 10月の衆院選挙でも、都議選以上に投票率は高まるでしょう。前回は、 無風選挙であり、52%台でした。45%の無党派層の多くが、棄権してい ます。このため、固定票をもつ組織政党(自民、公明、共産)が大勝し たのです。 投票率は、どこまで高まるか。10ポイント(有権者数で1000万人)増え ることは確実でしょう。65%までも行くかも知れない。民主党が政権を とった69%が近年の最高ですが、そこまでは無理かもしれません。 本稿は、テーマの性格から有料版・無料版に共通とさせていただきます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <905号:奇しくも、政権選択の政治の季節になった秋> 2017年10月4日:無料版 【目次】 1.政治への参加が投票 2.小池氏が出馬を決める要素は、政権交代への可能性への見極め 3.選挙を占う世論調査 4.政権転覆が起こった2009年の分析 5.今回の調査:共同通信 6.10月総選挙の投票率予想 【後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.政治への参加が投票 【政治とは】 政治とは、中国のような独裁国では、国民の統治です。民主国では、税 制と税の分配です。財務省が起案し、その予算案を政党が国会で通す。 この意味で消費税は、民主国の主要な政治です。 国防でも政治家が行うのは、予算、幹部人事、指揮です。実際に戦うの は自民党ではなく、自衛隊の兵士です。安倍首相が言うよう、希望の党 には国防ができないのではない。国民は、投票として、政治行動を行い ます。 関心は、政権交代になるのか、安倍政権が続くかでしょう。 交代が起これば、アベノミクスの主要政策である4年間の「異次元緩和」 もどうなるか、不明になります。このため、約2年で国債が売られて下が り、金利は上がって、財政をより近い破産に向かって、悪化させるでし ょう。その「さきがけ」のように、国債金利がわずかとは言え、今、上 がっています。 【国債の金利の上昇】 国債1050兆円のうちで代表的な10年債の利回りは、17年9月初旬は0.00% に下がっていました。解散と、民進の希望の党への合流のあと、17年10 月3日には0.08%に上がっています。 日銀が年80兆円も買い増しているため、国債の金利は、0%に近い微妙な 範囲での変化は大きなことです。債券市場で、円国債が売り超になって いることを示します。この金利が2.5%になると、財政は、明確に、デフ ォルト(支払い不能)に向かいます。 財政の破産は、政府が決めるのではない。金融機関が、発行された国債 をいくらで買うかによって、決めます。将来のデフォルトのリスクを見 て、安く買うことは、貸出の金利を上げることと同じです。 海外で売買されることが多い、円国債のデフォルト確率を示すCDS(債務 回収の保証保険:デリバティブ)は、5年もの国債で17年8月に27ベーシ スポイント(0.27%)に上がっています(保証期間5年)。トランプ減税 により、財政赤字が悪化する米国の5 年ものCDSは、日本より高い0.315 %です。世界的に、国債のCDSが上がっています。 【本稿の目的】 総選挙の投票率と、希望の党の得票を高める小池氏の出馬が不明な段階 であり、不確定な要素が残りますが、これを探りたい。 安倍首相の続投がなくなるのは、(1)投票率で62%から65%以上、 (2)自民党単独での過半数割れ(233議席以下)のときです。投票率上 昇は、可能性が高い。 安倍首相は、連立で過半数をとれないときは辞任と言ってはいます。 過半数を割ることは、絶対にないと思っているからです。しかし、選挙 を仕切っている自民党の二階幹事長は、「今から選挙はやめられないか なぁ」と言っているという。野党と自民党の内の反安倍政権を目覚めさ せた、「やぶ蛇選挙」になってしまったからです。よせばいいのに、藪 をつついたら、蛇が出てきたというものです。 自民の単独で、過半数の233議席以下(現在は自民が287名)に減れば、 次の選挙で職業を失う可能性への恐怖から、自民党内に安倍降ろしが起 こり、続投はできなくなるでしょう。 ■2.小池氏は出馬しない 小池氏は、選挙の公示(10月10日:あと1週間)の前に、「政権交代の可 能性がある」と見ても出馬はしないでしょう。10月3日時点では、小池氏 は「出馬は100%ない」と言っています。これは、後述する自民の分裂と、 希望の党の連立が予定されているからしょう。 昨日時点で、希望の党の第一次擁立候補は、192名ですが、過半数越えに はなるでしょう。候補が過半数になっても、当選議員が自民党を超える わけではない。 総理大臣は、国会議員であることが条件です。参議院議員でも可能です が、法案と政策の審査では衆議院が中心なので、参議院から選ばれたこ とはありません。 連立与党が過半数(233議席以上:衆議院の定数は前回より10人減って 465人)を占め、「希望の党」が野党第一党にとどまると観測したときも、 戦略的な利に嗅覚が効く小池氏は、出馬しない。衆議院で多数派になっ ても、参議院は、自民と公明が多数のねじれ個国会です。これでは、法 案と政策の実行に難渋を来します。 昨日は、以下の話がまとまったのか、「出馬は100%ないと前から言って いたでしょう」と強く否定しています。希望の党には、小池氏以外の首 相候補はいません。前原氏ではダメです。小池氏は出馬しない。このた め、分裂した自民と連立するのです。 裏で進んでいるのは、自民党の総裁選に出馬した石破茂氏と野田聖子氏 による自民分割と、150名くらいの希望の党との連立であり、都議選のよ うに、政策の実行のため与党であることが目的の公明党も参加する可能 性が高くなる連合政権と見ています。首相候補は、石破氏か野田氏でし ょう。 小池氏が出馬しないと言っているのは、財政13兆円(国家一般会計の13 %)を采配できる、議会が多数派の都知事は、大きな行政権をもつから です。それに、出馬には指示した都民から反発もあります。都民ファー ストの会は、小池氏の1人独裁です。 自民党が55議席以上を失い、単独過半数233議席を割ったときは、自民党 の分裂と、希望の党、維新の会との連立になる可能性が高い。いずれに せよ、安倍続投の目は、すでに消えた感じです。 解散前の衆議院の議員数では、自民288人、公明35人、連立与党は323人 です。野党の民進党は88人、共産党が21人、維新の会が15人、自由党が 2名、社民党も2名で、無所属が21人です。無所属を含む野党は149名であ り、圧倒的と言える少数です。 自民党が、現有の288議席から55議席以上(19%以上:5人に1人)を失い、 単独過半数を割るかどうか、希望の党が150名以上になるかが、焦点です。 以上は、後述するように、投票に行く国民の10人のうち1人が、投票先を、 維新とも連携する「希望の党」に変えれば、起こり得ることです。 3:1という圧倒的な差がある与野党の議員数とは違い、1人しか当選しな い小選挙区(289区:289人)の得票数では、意外に微妙な差しかない。 結果の議員数と、原因である政党の得票率に大きな差があるのは、小選 挙区(衆議院では289名)では、落選候補の死に票が多くなるからです。 【今回の過半数は、定数是正(10名減)のため、233議席】 連立を組んでいる公明党は、選挙前で、35議席です。公明は連立を続け ますから、「35+56=91議席(現議席323の28%)」が落選しないと、連 立与党は過半数を割りません。この場合、減るのは自民党です。 安倍首相は、現有323名の連立が233議席を割れば辞任と言っていますが、 自分でやめなくても、野党連合で多数なら、安倍首班指名には、維新と 無所属の新たな連立が加わらないと不可能になるので、当然のことでし ょう。維新は、すでに希望の党と連携しているので、自民との連立に加 わりません。 ■3.選挙を占う世論調査 世論調査では、自民党的な考えの読者が多い読売・産経新聞と、リベラ ルな論調の記事が多い朝日・毎日新聞では、政権と野党の支持率に大き な開きがあって、それらを見ても分かりません。合計して足して2で割れ ば、実相が見えるでしょうか。 リベラルは、エリート主義に対するポピュリズムや保守と同じように、 アイマイな言葉です。はっきりしていることは、保守に対する革新とい う含意です。政治的な言葉は、ムード的な支持を多くするためと、政策 の裁量幅を増やすために、意図して、意味を明確にはしていません。 リベラルの原義は、個人の自由を重んじる政治思想から来ています。そ の意味で、自由主義です。なお、タイなどではもっとアイマイになる動 物が、政党のシンボルです。 この中で、国民全体の政権と政党への支持率を、比較的に反映すること が多いのが、過去の実績から、共同通信の世論調査と思えます。 共同通信も、毎月の政治的なトピックで調査項目を、少しずつ変えてい ますので、連続性がある項目を並べて、比較します。これで、国民の、 政権と野党への支持の変化が、わかるからです。 ▼共同通信の世論調査の結果:()内は前月比 17年7月調査 9月3日調査 10月1日調査 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 内閣支持 35.8%(-9.1%) 44.5% 40.6% 不支持 53.1%(-10%) 46.1% 46.2% ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 自民党支持 31.9%(-2.4%) 34.7% [24.1%] 民進党支持 8.2%(-2.2%) 7.5% 希望党支持 [14.8%] 公明党支持 3.2% 4.0% [4.9%] 共産党支持 4.1% 3.0% [4.9%] 維新支持 3.5% 2.5% [2.4%] 社民党 1.1% 0.7% 支持政党なし 45.1% 45.9% ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (注)10月1日の政党支持の調査([ ]内)は、支持ではなく、比例区 での投票予定先を、電話調査で聞いたもの。 【追加調査:次期首相にふさわしい人は?】 10月1日の同調査では、次期首相としてふさわしい人も、訊ねています。 当然に、現職の安倍首相の継続が45.9%と多い。しかし注目すべきは小 池氏は33%を獲得していることです。問題は、安倍首相支持の45.9%と、 小池支持の33%が、実際の選挙ではどう投票するかです。 現職は都知事である小池氏と回答した33%は、積極的な支持の人たちで す。選挙でも、希望の党に投票する可能性が高いと見なければならない。 小池氏への支持が33%あるのは、高いとみなければならない。 突然の総理候補ですが、可能性が低い出馬なら、あと数ポイント高まる でしょう。 希望の党が比例区で獲得する票は、上記の14.8%ではなく、選挙では33 %になる可能性があるという意味でもあります(投票者3人のうち1名が 希望の党ということです)。 【投票率の上昇という要素】 衆議院選挙の投票率では、政権交代の可能性がゼロだったため低かった 52.66%(2014年)から、民主党への政権交代があった2009年の69.28% へ近づく上昇の可能性があります。 内容は、従来は棄権していた無党派数が、投票に出かけるということで す。 メディアは、民進党が身を寄せた希望の党について、連日の特集を組ん でいます。この劇場効果で、投票率は、最低でも60%を超え、69%は無 理でも、65%に近づく可能性はあるでしょう。 【投票率を62%と仮定すると・・・】 低く見て、62%としても、自民党が圧勝した前回比では10ポイントの上 昇です。2017年の有権者は、1億120万人です。主に、希望の党に1000万 人付近の投票が増える可能性があります。無党派層の4500万人のから、 投票に出かける人が増えるからです。 【無党派の性格】 国民のうち約45%とされる無党派層は、与党は支持しない。だからとい って、野党を支持するわけではないという消極的野党が多い。政権を支 持する人は、自民党支持と答えているからです(自民党支持は34.7%: 17年9月3日)。公明党支持者も、無党派層とは答えません。 可能性の高い10ポイントの投票率の高まりという要素から、比例区では 自民の得票は34.7%で、希望の党の33%と拮抗する可能性があると見て います。投票率が何%か、注目に値します。 17年10月1日での安倍首相への支持は40.6%、不支持は46.2%と(共同通 信)、森友・加計学園問題が薄れた今でも「安倍やめろ」という不支持 が上回っています。7月、8月、10月の共同通信の世論調査では、いずれ も、「安倍首相不支持」が多い。 投票率が15ポイント以上高まって、政権が交代した2009年の総選挙に近 い67%になると、逆転の可能性が高くなるでしょう。 いや、ほぼ必ず逆転します。このため、安倍政権としては、そうとは言 わずとも「前回並みの低い投票率」を望んでいるはずです。 【調査結果】 森友・加計学園の問題から29%という危機ラインに迫っていた首相への 支持は、都議選惨敗の責任をとった、蓮舫代表の辞任と民主党の自滅か ら、希望の党に合流を決定する前には、44.5%へと大幅な上昇を見てい ました。 支持率が回復したこと、それに、臨時国会での追及を避けるため、安倍 首相は、予定になかった臨時国会での冒頭解散を断行したのです(9月 28日)。 (注)解散権は、一般には、首相がいつでも発揮できる専決権と言われ ます。しかし法学者の間では、内閣不信任案の可決のとき以外の解散は、 権利の濫用で違憲という見解もあり、法の解釈では対立しています。解 散権は、首相の専決権ではなく内閣がもちます。ただし、解散に反対す る閣僚を首相は罷免できるので、間接的に、首相の専決権とされている のです。 希望の党への合流のあと、10月1日の共同の調査での政権への支持は40. 6%、不支持が46.2%です。今も、不支持が5.6ポイント上回っています。 国民1000人のうち支持が406人、不支持が462人です。森友・加計学園問 題を、国民はまだ許してはいません。 ■4.政権転覆が起こった2009年の分析 2009年を振り返ってみしょう。ボルサリーノのハットを被っても人気が なく失点続きだった麻生内閣の時代、自公連立が転覆した2009年の衆院 選では、小選挙区で自公が64議席と惨敗し、民主党は228名という圧倒的 な当選数でした(今回の小選挙区の定数は、前回比で11人減の289名が定 数です)。 国家権力のシンボルである首相選びでは、赤いネクタイのトランプのよ うに、床の間に鎮座するスタイルも、重要な要素になります。熊本のお 殿様細川氏(日本新党:小池氏も参加)は、英国サッチャーが来たとき、 自分で紅茶を淹れ、閣僚とは、芝生の庭でシャンパンで乾杯するのが似 合うスマートさでした。 全国の得票数を反映する比例代表(当時は180名:今回の定数は4議席数 の176名)では、自公が76名、民主党が81名でした。小選挙区との合計で は、民主党が309名の大勝で、自公は140名の惨敗だったのです(2009 年)。 2009年の総選挙の前の、内閣支持調査では、麻生内閣への支持が21.5%、 不支持が60.9%でした(TV朝日)。 加計学園問題での、国会追求あった17年7月には、安倍内閣支持が35.8%、 不支持が53.1%と高く、国民の支持が低かった麻生内閣に、少し近づい ていました。 2009年の総選挙の前の世論調査では、政党の支持率でも、自民28.3%、 公明3%でしたが、民主党の支持は、40.3%と自公の1.29倍でした。麻生 自民党は、35%(支持者3500万人)付近の基礎票から、6.7ポイント (670万人)を失っていたのです。「漢字が読めない首相」には笑いまし た。 このため、国民の1000人のうち民主支持が403名、自民が283名、公明が 30名でした。 ■5.今回の調査:共同通信 今回の比例区への投票先調査の調査では、国民1000人のうち、自民が 241名、公明が49名で、連立与党に投票する予定は、290名です。 一方で、希望の党が148名、共産党が49名、維新が24名、野党合計で221 名です。(共同通信10月1日:比例区投票予定調査)。 なおこの調査のあとに、維新の会も希望の党と選挙で連携するという発 表をしています。維新は、前回〔2014年)の衆議院選挙では、比例区で 15.72%(得票数838万人)からの票を得て、公明党(731万人)の13.71 %より多い。小池氏は、安倍政権打倒のための、最適戦略を作っていま す。 都議選で、自民から都民ファーストに鞍替えした公明党の役割は、今回 は維新が、果たします。このため、与野党の拮抗の可能性が高くなった のです。いや、希望の党の150名は確実でしょうから、安倍政権の継続の 目はなくなって、次の首相は石破氏(または野田聖子氏)になっている のかもしれません。 ▼投票率が高くなると、自民の単独過半数割れや与野党逆転も起こる 今回の選挙での不確定な要素は、投票率です。 2014年は、戦後最低の52.66%でした。希望の党への民主合流と維新との 連携により、国民の関心が急に高くなった今回は、投票率が上がること は。間違いがない。どの程度に上がるか。 2000年並みの62%と見ています。もし2009年並みの69%にまで上がれば、 無党派層が1500万人も投票に行くことになり、与野党は、確実に逆転し ます。そこまでは、上がらないとみていますが、どうでしょうか。 無党派数が増えているので、政権交代は、投票率の高さで起こります。 問題は、投票率になったのです。 7月2日の都議選のような、一挙の逆転は、無党派の投票によります。都 議選では、都民ファースト55、公明23、ネット1、共産19、民進5、自民 23でした。都民ファーストは、一回で、0から55になったのです。(総議 席127:過半数は64名) 【2000年代の総選挙と投票率、及び与野党の得票】 衆院選の、最近の投票率と、政党への支持を反映する比例区で得票率は、 以下でした。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2000年 62.49%(第一次森内閣 :比例区得票与党41.7%:野党58.3%) 2003年 59.86%(第一次小泉内閣 :連立与党47.3%:野党42.7%) 2005年 67.51%(第二次小泉内閣 :連立与党68.1%:野党31.9%) 2009年 69.28%(鳩山内閣成立 :与党民主党中心66.7%:野党33.4%) 2012年 59.22%(安倍内閣成立 :連立与党39.45%:野党59.86%) 2014年 52.66%(第二次安倍内閣 :連立与党52.22%:野党47.78%) 2017年 62.00%(?) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 以上のように見て行くと、安倍内閣の過去2回の総選挙で、自民党議員が 多く当選したのは、投票率が50%台と低かったからと言えます(59.22% と52.66%)。無党派の多くが棄権したため、固定票の組織が強い政党が 勝った。自民党は企業と自営の一次産業票、公明党は創価学会です。 安倍内閣は、小泉内閣(郵政解散)のような、高い投票率(67.51%)の 上での支持(68.1%)ではありません。 民主党政権時代以外の与党では、常に自公が連立しています。810万人く らいの固定票をもつ公明党は、比例区では、投票率が高いときは12%、 低いときは15%くらいの得票があります。 自民単独での支持率は公明党票を引いた35%~40%であり、世論調査の 結果の、自民支持の32%から35%と大きな差はありません。 自民党への支持率は、第二次小泉内閣のとき以外は、35%程度です。イ メージよりは、相当に低い支持率です。 ▼公明党が支える自民党政権 自民党政権は、「選挙区は自民に、比例区は公明党」として投票する 810万人の公明党支持によって支えられています。 公明党との連立がないと、小選挙区での自民党議員に、落選が多く出ま す。単独で政権維持ができたのは、国民の人気が高かった小泉内閣だけ でした。公明党によって支えられていることでは安倍内閣も同じです。 東京都議会選での自民の大敗は、公明党が自民を離れて希望の党に歩調 を合わせたことも大きい。公明党は、政権選択のキャスティング・ボー トを握っています。(注)今回の選挙では、それが、公明党より支持が 多い維新の会に変わっています。 安倍政権の人気が高いとき、党内に「公明党無用論」もありました。そ れは、自民党にとって政権を降りる途でしょう。 ■6.10月総選挙の投票率予想 10月選挙の投票率は、前回の52%よりは高くなることは、確実です。 どれくらい高くなるか。仮に62%とします。投票率が高くなると、52% のときは15.5%を占める固定票の公明党の影響は薄まります。62%では 13.1%に減るからです。 前回より上乗せされる有権者の10%(1000万票)には、無党派層が多い。 無党派が、どの政党を選ぶか。 内容は、前回は選挙に行かなかった人と、新たに加わった18歳以上20歳 未満の240万人のうちの約60%です(有権者の2.3%)。 【無党派の性格】 自民や公明党支持の人たちは、もともと、無党派とは答えません。無党 派は、自民を支持せず、野党も支持しないという人たちです。これが 4500万人です。投票率が10%上がることは、普通は、選挙に出かけない 1000万人の無党派が、投票場に行くことです。 (注)投票率を上げるのは、普段、選挙に行っている無党派ではないこ とに注意。これらの人が投票に行っても、投票率は変わりません。 今回、投票する場合、東京都のように実績はゼロでも、希望の党と書く 人が80%と見ます。都議選での公明党の代わりに、今度は、希望の党と 維新との選挙連携があるからです。 都民ファースト(希望の党)が圧勝した都議選では、投票率は51.27%で あり、前回比では7.77ポイント上がっています。 メディアの取り上げが、おそらく史上最高に多い今度の衆院選挙ですか ら、投票率が10ポイント上がる十分な可能性はあるでしょう(62%)。 投票率62%の内容では、棄権していた無党派の4500万人のうち、1000万 人くらいが投票に行くということです。この票が、次の政権と首相を決 める主な要素になります。 【候補者数】 自民党は、289の小選挙区のうち276に候補を出し、公明党は小選挙区で 9人の候補が決まっています。残り4つは調整中という。比例との並立が 多いのですが、比例区の自民単独校候補は15人、公明は27人です。 希望の党も急造りで、今日時点では、192名の候補を擁立という。単独過 半数を超える233名以上の候補を擁立と言われています。あと数日必要で す。当選は150名付近でしょうか。 公明党は、全員が当選すれば36名です(現有議席は35名)。810票の固定 票のため、投票率が60%台に上がると当選数は2~3名は減るでしょう。 ▼比例区の投票予想で、全体が分かる 投票率が62%へと10ポイント上がったとき、比例区の自民党の得票は、 「共同通信の調査結果24%+(2%~3%)=26%~27%」でしょう。 他方、希望の党は、「共同通信の調査結果14.8%+(7%~8%)=21.8 %~22.8%」の範囲でしょう。自民と希望の党の間で、得票数が拮抗し ます。これは、小選挙区にも及びます。 投票率が62%に高まったときは、自民党は単独過半数(233名:現有は 287名)を割る可能性が高くなります。これは議席をもっていた54名以上 が落選することです。公明党の当選は35名前後と予想されるので、連立 与党では、233名以上になり過半数を維持します。 連立与党が過半数を割るには、自民から91名の落選が必要です。そこま では、行かないと見ています。総選挙の結果は、多くの場合、「微妙バ ランス」を残すことが多いからです。 しかし自民党が54議席以上を失って、単独過半数を割ったときは、党の 内部から安倍降ろしが起こり、総裁チェンジにむかう可能性が高くなり ます。そのときは自民党の分裂が起こり、野党を巻き込んだ、新たな連 立政局になるでしょう。いずれも、過半数をもたない小党連立の、メル ケルのドイツのような感じです。 衆議院で政権の転覆が起こっても、参議院では連立与党が圧倒的な多数 派です。自民が126名、公明が24名であり、定数242名のうち62%を占め ています。参議院には解散がなく、3年経たないと定数の50%の選挙がな いため、ねじれが続きます。ねじれ国会では、かつての自民党のように 政策や法案の成立に難渋し、政策実行ができなくなります。 これを避ける方法は、石破茂氏と野田聖子氏が主導する自民党の分裂と、 150名くらいになった希望の党、および維新との連立です。公明党も、新 連立に加わる可能性は高い。 これで参議院の現与党が減って、衆参両院での、新連立が多数派になり ます。この目的があるので、小池氏の出馬もないでしょう。希望の党が 過半数をとっても(可能性は低い)、参議院が自民党の多数では、政治 ができないからです。 民進党の前原党首の土俵際の「うっちゃり」により、安倍首相がにとっ て、まるで想定しなかった展開になっています。投票率62%のときは、 自民は分裂し、首相が変わる可能性が高いからです。 本稿は、ここまでです。異なった見方の人も多いかも知れませんが、当 方は、数値的な根拠を挙げ、論理的に述べました。 【後記】 17年7月に新刊書、『米国が仕掛けるドルの終わり』を出しています。ア マゾンではこちらです。 この本のテーマにからんで、特許の知財協会で、『日本経済のパラダイ ムシフト:パート2 』として講演を行います。 期日は10月21日、午後13時からです。場所は大阪大学中之島センター、 佐治敬三メモリアルホールです。NPO法人の主催で、会費は無料です。ど なたでも、参加できます。 席には、まだ十分に余裕があると聞いています。世界と、異次元緩和の 日本経済が、これからどう向かうかを、端的に話します。 申し込みは、以下のサイトでお願いします。詳しい案内も掲載されてい ます。交流会と会食への参加(これだけは有料で一般は5000円)です。 (↓) http://www.ipbrand.org/news/2017/09/sir2017.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源プレミアム:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲で、あなたの横顔情報があると、テーマ選択と内 容記述の際、より的確に書くための参考になります。 気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考になり、うれし く、読んでいます。時間の関係で、返事や回答ができないときも、全部 読みます。共通のものは、後の記事に反映させるよう努めます。 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com 購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール → reader_yuryo@mag2.com ■1. 新規登録は、最初、無料お試しセットです(1か月分):月中のい つ申し込んでも、その月の既発行分は、その全部を読むことができます。 最初の1ヶ月間分は、無料お試しセッ 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▼原因1:登録しているクレジット・カードの有効期限(期間は数年)や 登録が切れてないか、調べてください。 もっとも多いほとんどの原因は、クレジット・カードの期限切れです。 お手間をかけかけますが、「新しい有効期限とカード番号」を再登録し てください。月初めに送った分の再送を含み、再び届くようになります。 以下のページの「マイページ・ログイン」から、メールアドレスとパス ワードでログインし、出てきた画面で、新しい期限と番号を再登録しま す。 ↓ https://mypage.mag2.com/Welcome.do 特にクレジット・カードに関する問い合わせがあれば、ここで。 → https://contact.mag2.com/creditcard ▼原因2:メールソフトが、頻繁に自動更新されているため、時折、メー ル・マガジンが不特定多数への「迷惑メール」とされることがあります。 ↓ 該当のメールにカーソルをあてて右クリックし、出てきた迷惑メールの 項で、「送信者を、差し出し人セーフリストに追加」すれば、元に戻り ます。 ■3.メールアドレスの変更 有料版を送信するメールアドレスの変更のときも、おなじ『マイペー ジ・ログイン』から入って、変更します。 『マイページ ログイン』の画面を開き、登録していた旧アドレス とパスワードでログインして、出てきたマイページでメールアドレ スやパスワード、そしてクレジット・カードも新しいものに変更できる 仕組みです。 (マイページ・ログイン↓) https://mypage.mag2.com/Welcome.do ↓または、特にクレジットカートに関しては、以下のページです。 https://contact.mag2.com/creditcard ■4.(↓)購読などに関する問い合わせ窓口の一覧(メールで対応) http://help.mag2.com/contact.html 【お知らせ】 新しいメルマガ配信サイトの『フーミー:Foomi』からなら、 (1)銀行振り込み、(2)携帯キャリア決済、(3)コンビニ決済で、有 料版の購読ができます。 クレジット・カードの登録がイヤな方はご利用 ください(↓) http://foomii.com/00023 ・・・以上 ◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます 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