国際銀行マフィアの陰謀の歴史(中編)
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有料版正刊の前号では、第一次世界大戦のあとの「ベルサイユ条約
(1919年)」までと、「戦争と国際銀行マフィアの関係」を書きまし
た。国際銀行マフィアは、エリート集団が集まった国際金融マフィア
とも言います。

金融(大きなマネーの貸借)という概念は、銀行とともに始まってい
ます。金融は、現にあるマネーでなく、「信用」を使い調達または貸
し付けする未来への行為です。金融、つまり返済の未来信用がある人
にお金を貸し付けると、借りた人に購買力が移動するのは、最初は相
当に変なことだったのです。

貸した人は債権という、貸したお金と金利を回収する権利をもちます。
知力は貸せませんがお金は貸すことや借りることができる。それを業
務として仲介したのが、銀行の始まりでした。

戦争は、富の獲得または防衛という、未来への目的をもつ行為です。
この目的の共通性から、戦争と、規模が大きくなって国際的にもなっ
た金融には親和性が生じます。親和とは一体になることもある親しい
関係です。

党派は、人が感じる現世的な親和の心、または、科学的には検証がで
きない死後を、観念的に、言葉で想定する宗教によって作られます。
親和力は「個人-家族-親族とムラ-郷土-国家」と拡大していく。動物
とは違い、人はなぜ家族から発展した部族の先にある国家を作るのか。
ここはまだ、納得できる説明がない。浅田彰の『構造と力』は解明を
試みたものです。国家が明らかではないので民主国家間の戦争も明ら
かではない。企業益、あるいは国益という経済的な説明があるだけで
す。

軍部が戦争を起こすとされています。しかし、20世紀からの国家総力
戦(世界大戦)は、中央銀行と銀行システムが戦費の国債を大量に買
ってGDPの100%規模のマネーを供給しないかぎり、行えなかった。

GDPを超える戦費が必要だった二度の世界大戦は、通貨の発券銀行で
ある中央銀行が作られたあとに起こっています。これは、歴史的な事
実です。しかし、両者の親和の関係が言われることはなかった。

しかし。国際銀行マフィアが戦争を引き起こすわけではない。
中央銀行+銀行システムは、戦争をパックアップしてきました。
本稿は、有料版・無料版共通とします。
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<Vol.1339号:増刊:国際銀行マフィアの陰謀の歴史(中編)>
     2023年5月21日:有料版・無料版共通

【中編の目次】

■8.戦争と中央銀行
■9.金本位ではない、金準備制の兌換通貨についての論評
■10.1913年に創立された米国FRB
■11.米国経済学の巨頭、フリードマンが流した金本位の虚説
■12.現在の日米欧は、事実上のMMTを実行している
■13.国債という金融資産の本質
■14.財政破産も狙う国際銀行マフィア
■15.戦後英国と、これからの日本の類似
■16.米国の、第一次世界大戦後インフレと資産バブル
■17.「羊毛刈り」の到来(1929年)
■18.第二次世界大戦後、77年の展開は以下です
■19.後記:大規模な銀行危機のあとは・・・

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■8.戦争と中央銀行

戦争には兵器・弾薬・装備品の購入と兵士の報酬・医療費・年金が必
要です。軍事力とは、ロジスティクス(前線への最適量の途絶えない
供給)です。兵器と装備品のロジスティクスは経済力です。経済力を
集めるのものは、マネーです。(注)第2次世界大戦では、米国は
GDPの100%、英国、日本、ドイツはGDPの200%を使っています。

戦費のためには、中央銀行の輪転機と銀行の貸し付けがフル稼働しま
す。日本では、「国家総動員=工業力の総動員」とされました。兵器
は民間企業が作ります。政府は兵器を、国債を銀行に売ったマネーで
買います。工業力が低いウクライナは、海外からの兵器とマネーの支
援がないかぎりロシアとは戦えない。

このため、ゼレンスキーは、西側の首脳が集まるヒロシマのG7にも来
るのです。EU内では嫌気もさし始めた物乞い外交です。しかし、岸田
首相は、ゼレンスキーを招待し、歓迎する。目的は、自分も西側の首
脳であるという自己の立場をアピールすることです。日本の国益から
考えた行動ではない。

中央銀行+銀行が、大量の国債を買わないかぎり、戦争はできない。
つまり、国際銀行マフィアが通貨の増発を決定しないかぎり、政府は
税収だけでは戦争ができないのです。銀行は、他人の預金を自己の信
用力として使う組織です。国家の信用を使う官僚と政治家に似ていま
す。

ゼレンスキーが、米欧にマネーと兵器の支援を求め続けているのはマ
ネーが尽きると戦争が継続できないからです。

ロシア側の戦費は、戦闘の日は1日2兆円という。すでに100兆円は使
ったのではないか。ロシアの200兆円のGDPの、50%です。

ウクライナは、この戦費に対抗しなければならない。A国の戦費の2乗
;B国の戦費の2乗が、ランチェスターの兵力でしょう。ロシアが100
兆円:ウクライナが50兆円なら、戦力は4:1です。

戦争の経済学では、使った戦費以上の「成果(富)」の獲得が必要で
す。銀行が富の獲得のために金融を行うことと、目的の面では同じで
す。通貨間の競争はマネー戦争とも言われます。

理論ではなく、大きな金額の金融の歴史的な事実が書かれているので
参考にしている宋鴻兵の『Money War』の書名の通りです。

戦争と「中央銀行~銀行システム」の関係は、歴史でも示されません。
歴史書は、戦闘の状況と結果を書くだけです。

日本でも日清戦争、日露戦争、第2次世界大戦と日銀の役割は、歴史
に書かれることがない。大東亜戦争では、日銀はGDPの2倍の国債を買
って、軍に円を供給したのです。

実はコロナも、マネーの面では、日米欧の政府がGDPの約30%の15兆
ドル(1950兆円)を使った「パンデミック戦争」でした。

サプライチェーン・ショックで供給は減り、マネーの増刷で需要は維
持された。これが2022年からの、コロナ戦後のインフレの原因です。

加えてコロナ末期の2022年3月からのウクライナ戦争は、エネルギー、
家畜の飼料になる穀物、肥料の供給ショックをもたらし物価を上げて
います。原油が約2倍に、卵が3倍に、魚が約2倍に上がったのがその
シンボルです。

中編の最初の項では、FRBが作られた1年目の第1次世界大戦(=戦費
の通貨増発)のあとの、1)米国の空前の好景気から、2)資産バブル
までを書きます。好景気は、FRBのマネー増発と低金利、つまり金融
の緩和(QE:量的緩和)から作られます。

中央銀行と、国際銀行マフィアの会議体が金利を下げ、通貨を増発す
れば、需要の増加からインフレになり、物価のインフレは資産バブル
(株価・不動産の高騰)になっていきます。そのバブルが、FRBの金
融引き締め(金利3%→6%)よって崩壊し株価が崩落したのが1929年
の暗黒の木曜日でした。

大恐慌(1929-33)が、第一次世界大戦のあとの、FRBが低い金利でバ
ブルを作ったあとの1929年4月からの金融引き締めが原因ったことを
論じる人は少ない。

中央銀行の金融政策は、政治から中立的なものでない。金融の党派的
な政治金融政策です。金融緩和と引き締めが政治であるため、金融政
策には、国際銀行マフィアが介入する余地が大きい。

◎「中央銀行の通貨増発+銀行貸し出しの増加→インフレ→資産バブ
ルの発生→バブルの崩壊(株価30%、不動産30%)→世界大恐慌
(1929-33)」になっていったのです。

「M(マネー量の増加)×V(預金の回転率の上昇)=P(価格水準)
×T(実質GDP)」の貨幣数量説が、そのまま該当したのです。

(注)2013年からの、日本の異次元緩和(8年で550兆円)が、インフ
レをもたらさなかった原因は、
・日銀が国債を買ってマネーの量を増やしても、
・企業と世帯の預金が使われる回転率(上記のV)は下がったからで
す。

【世界史上最大の通貨の増発でも、成長しなかったのが日本】
銀行の貸し出しの増加が2%から3%程度しかなく、増えたマネーが回
りませんでした。ゼロ金利であっても、なぜ銀行貸し出しが増えなか
ったのか。
↓
原因は、世界最速の高齢化と人口減のため、期待GDP成長率が1%以下
であるため、国内での新規設備投資の、ROI(期待利益/借入金投資額)
の採算が、融資金利1%未満でも見込みにくいからです。

人口の高齢化の前であり、GDPの期待成長率が3%以上と高かったプラ
ザ合意のあとの、1985年からの金融緩和のときは、
・借り入れ投資が急増し、
・株価と不動産が3倍に上がる資産バブルを生みました。

■9.金本位ではない、金準備制の兌換通貨についての論評

国際銀行マフィアが、国民の資産を大規模に収奪するときは、以下の
方法をとります。これは、IMFが経済危機や通貨危機の途上国に融資
し、格安で担保を収奪する方法と同じです。IMFの実態は、ドルの金
力です。

銀行の職員は目的を知らない。決定は、奥の院の資料を残さない秘密
会議で行われます。直接の文書(証拠物)はない。従って歴史になら
ない。歴史にも、物的な証拠が必要です。証拠がないと歴史から消え
ます。宋鴻兵は、関連した事象から関連する資料を集めたのです。

ロスチャイルドはこれを、ユダヤ人独特の隠語で「羊毛刈り」または
「羊は太らせて食え」と言っています。

【金融の長期戦略】
通貨の増発と、金利を下げた貸付金の増加によって、
・国民経済に、インフレから資産バブルを作って(5年~10年)、
・インフレ対策として、金利を上げ(金融を引き締めて)、
・不況を作り、資産価格(株価、不動産)を暴落させて、
結果として、銀行が担保の資産を接収することです。

国民経済の果実を刈りとる。これを「羊毛刈り」といったのです。

(注)担保には質権がつきます。質権とは、銀行が貸したマネーが返
済されないとき、担保資産を接収する質屋のような権利です。銀行か
ら借りる経験をした人は、「質権設定」という銀行員の言葉を聞いた
ことがあるでしょう。預金を保護する義務がある銀行は、原則的に担
保に質権を設定しないと貸し付けはできないのです。

近年では、2008年のリーマン危機のとき、3か月住宅ローン返済がで
きないと、銀行は米国民の担保住宅を接収しました。フォクロージ
ャーした(=質流れの)住宅を改装し、高く転売したのです。リーマ
ン危機のとき、30%は下がった住宅価格は、その後の金融緩和で、
2012年から高騰しました。これが1929年の大恐慌のときと同じ、羊毛
刈りです。

【バルフォア条約】
ユダヤ人のイスラエルという国そのものが、第一次世界大戦末期に、
英国債を買っていたロスチャイルドに、英国が支配していたオスマン
帝国のパレスチナ(22140平方キロ≒四国の面積:人口936万人)を割
譲し、その地に、国土を持たなかったユダヤ人に国家の建設を認めた
ことから発祥しています(バルフォア宣言:1917年11月)。

英国は、軍が支配していたパレスチナの国土を、英国債の担保として
ロスチャイルドに渡しました。これも、ロスチャイルドの長期を見た
羊毛刈りです。銀行の自己資産作りでは、金利より羊毛狩りによるも
のが、大きかった。

1913年にはJPモルガン、ロスチャイルド、ロックフェラーの世界の3
大財閥は、世界でもっとも成長する新大陸だった米国の発券銀行の
FRBを手に入れました。

【ロスチャイルドが金融を支配した英国】
1913年までは、産業革命後の英国が、大英銀行から国債を買って英国
金融を支配したロスチャイルドの金融植民地になっていました。

英国債を大量に買っていたロスチャイルド(商業資本の国際銀行家)
は、英国王より高い実質的な立場にあり、国王にも、命令していまし
た。

御用商人が借金のある幕府の将軍と勘定奉行(大蔵大臣)を動かすよ
うなことです。政治的&階級的な立場より究極ではマネーが強い。

20世紀は、石油閥のロックフェラーと分け合って、新大陸の米国は、
国際金マフィアの「見えない牙城」になったのです。

【政府の金融政策=金融マフィアの金融政策になった】
金融政策を決めるFRBの理事の人事権は、形式では政府にあります。
しかし、理事を指名する大統領そのものも、
・国際銀行マフィアのシンクタンク(会議体)の一つである外交問題
評議会(米国)、
・ビルダーバーグ会議(本部はオランダ)、
・日本を含むと、三極会議に属しています。

外交問題評議会は世界の会員数が4000人、歴代の米国大統領、大臣、
銀行のトップを輩出しています。奥の院はロスチャイルドとロックフ
ェラーです。

会議体の形態をとっていた国際銀行マフィアは、その戦略を、民主政
府の金融政策として実行ができるようになったのです。

国民は、FRBは政府のものと思っているでしょう。
実態では、現在も、肝心なところで国際銀行マフィアが運営していま
す。

米国の大統領では、リンカーンとケネディが、通貨発行券を政府に奪
還しようとしましたが、いずれも、暗殺されています(1865年、
1963年)。両方とも組織の背景がない単独犯とされています。
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国際銀行マフィアのメンバーは、財務長官にもなります。
近年ではルービン(1995-99)とムニューチン(2016-20)はゴールド
マン・サックスのCEOでした。

日米欧の、正統派とされている、政治・経済学者も、ほぼ全員が外交
問題評議会のメンバーです。米国では政治、政府、大企業、学会は近
い。エリート階級が支配階級を形成しています。

米国は、日本より激しい学歴と学閥の社会です。多民族であるため、
階級の印が必要だったからです。

■10.1913年に創立された米国FRB

世界最大の通貨(ドル)を発行する米国FRB(1913年~)は、米国の
通貨発行権と、金融政策権をもちます。最初の大事業は、第1次世界
大戦でした(1914年~)。

米国は、政治的には英国(英連邦)から独立しましたが(1776年)、
独立後も、マネーの面では英国銀行マフィアの植民地になっていまし
た。

FRB設立のあと、1913年からは、国際金融マフィアが、政府政策とし
ての金融政策を立案し実行しています。

日本で例えれば、日銀の通貨発行権を,御用商人の財閥、三菱、三井、
住友が、裏から乗っ取ったようなことです。ロスチャイルド、ロック
フェラー、JPモルガンは、世界金融の御三家です。

そして、1914年の第一世界大戦の次は、FRBの金融緩和(6%→3%へ
の利下げ)が引き起こした、「米国のインフレとバブル→1929年に崩
壊→1929年~33年の大恐慌」だったのです。

・・・以上のことは、正史とされる経済史・金融史には1ページも書
かれてません。ロスチャイルドは、文書を残しません。世界銀行の奥
の院は、公式な発言もしない。代わりに、代理人を送り込むのです。

ロスチャイルドやロックフェラーのことを書くか、発言すると、「陰
謀論者」として世界の学界から排斥されます。この異端排斥に耐えら
れる学者はいません。

『Money War(邦題:ロスチャイルド、通貨強奪の歴史そのシナリオ:
2000年)』を書いた宋鴻兵は、学者ではない。デリバティブのMBSを作
る米住宅金融公社のファニーメイとフレディマックの指導をしていた
金融コンサルタントです。

米国では不動産と住宅金融証券(15兆ドル)は、国債の次に大きい。
↓
2023年8月からの、商業用不動産と住宅価格下落によるMBSと住宅ロー
ン証券の下落が、米国の銀行危機の本番になっていくでしょう。銀行
への影響は、含み損を計上しない国債より大きいからです。

米国の大学に職を得ていたら、書くことはできなかった。現在はたぶ
ん、中国の「デジタルマネー政策」起案の、会議体にいると推測して
います。中国の、コモディティ+金準備制の、デジタル通貨の構想を
描いているでしょう。

■11.米国経済学の巨頭、フリードマンが流した金本位の虚説

金融は、古典派経済学の外にありました。

金融が経済学に入ってきたのは、大恐慌(1929年)のあとのケインズ
の『雇用・利子および貨幣の一般理論(1933年)』からです。金準備
制をやめて、中央銀行の信用通貨として増発することを説いた書がこ
の一般理論です。重点は、3番目の貨幣にあります。

最初に1929年からの米国恐慌を研究し、1960年代からのマネタリズム
学派を作ったフリードマン(シカゴ学派)は、「FRBは金本位のシス
テムだった」と(たぶん意図して)間違えたことをいっています。マ
ネタリズム学派の延長が、過激派のMMT(現代貨幣論)です。

【フリードマンの結論】
金本位では、銀行危機のときも、金の準備高に制限されて通貨の増発
ができない。だから取り付けが起こっていた中小1万行の銀行の救済
ができず、1929年~33年の大恐慌が起こったとしました(『大収縮
1929-33』:ミルトン・フリードマン;アンナ・シュウォー
ツ)・・・これは虚説です。

【実際の、FRBの金本位制は、違っていた】
「金本位(Gold Standard)」は金貨の発行であるか、または金準備
高の兌換通貨の発行です。

【金本位と言われたことの内容は、金為替システムだった】
しかし、1971年以前の大英銀行とFRBは、金貨と100%の金準備通貨を
発行する金本位ではなかった。
↓
金の、部分準備制による金為替システム(金兌換権の通貨)でした。
英国ポンドや明治の円もこれでした。

この方法は、詐欺的信用だった中世イタリアの金匠の伝統でした。

【金準備の概念】
経験的に、金在庫(金準備)の10倍までは、兌換通貨を安全に発行で
きる。通貨を中央銀行にもってきて、交換を要求する人はほぼ皆無だ
ったからです。

金準備制の一方で、FRBは金価格を公定価格とし(1オンス32ドル)、
公定価格の外で、金が高騰しないように、金の市場への放出策もとっ
ています。

【金本位の信用乗数】
金の需要が増え、金価格が32ドル超に上がると、1オンス32ドルでの
交換が殺到するからです。金の引き出しが増えればFRBの金はたちま
ち枯渇するからです。(注)金準備制のなかでの、預金取り付けは、
ドルの金との交換要求です。

「通貨発行高÷金準備高=信用乗数」と言います。

FRBは創立以来、所有する金の量を公開したことはない。

FRBの金準備(現在は8133トンという)は、推計によるものです。現
在は、金準備が「政府の国債と住宅証券MBS」に変わっています。国
債とMBSは安全資産とされているからです。

安全資産とは満期が来れば、額面が返済される債券のことです。
(注)住宅ローン担保証券のMBSの場合には、ローンがデフォルトし
たときの価格下落があります。国債は、金利が上がったときの価格低
下があります。

経済学者は、
・古代の金本位(金貨または、その1/16の価値の銀貨)と、
・中世の金匠が発明した準備制(約10倍の信用創造:部分準備制)を
区分していません。

両方を金本位という。100%の金準備が必要とする。だから金本位は、
マネー量が増えた現代では、金が不足して不可能だとしているのです
(昨日もyoutubeで、誰かが声高に言っていました)。

【実際の金本位制】
不可能ではない。大英銀行、FRB、日銀がとっていた「部分準備制」
にすればいいだけです。

「通貨発行高÷金準備=信用乗数」です。信用乗数は10倍までOKでし
ょう。「FRB=連邦準備銀行」の、準備(リザーブ)の意味は、金を
部分的に準備し、それ以上の通貨発行は、信用創造しているというこ
とです。

部分準備制からは、現代の信用通貨万能論が出ました。
それが2015年以降は、金ではなく負債証券の国債を担保にした現代貨
幣論(MMT)になっています。

■12.現在の日米欧は、事実上のMMTを実行している

コロナ危機のとき(2020~22)、世界がMMT(国債を買って中央銀行が
マネーを発行)を15兆ドル行っています。

日本では実態では、MMTを金融危機の1997年から行ってきました。

日本政府が、GDPの260%の国債を発行できたのは、約700兆円を超え
ると銀行・保険・GPIF・郵貯が買いきれなくなる国債を買って(586
兆円:2023年5月の日銀B/Sでの残高)、
・短期の国債金利をゼロ%に、
・長期国債は1%以下にしたからです。

米国は、債務上限に達した31.4兆ドル(4080兆円:日本の国債の4
倍)の国債を発行していますが、GDP(経済規模)が26兆ドルなので、
まだGDPの120%です。

21世紀の日銀は、2つの金融実務の、意図しない発明者です。
1)ゼロ金利、2)国債のマネタイゼーション(国債の現金化)
両方とも、世界で日銀が一番手でした。

第2に世界大戦のとき、GDPの200%の国債を日銀が買って、戦費とし
て供給したので、経験済みだからでしょう。(注)英国でも1945年に
はGDPの200%の国債を発行していました。米国はGDPの100%の国債発
行でした。

日本と米国の当時のGDPには、10倍の格差があったでしょう。米国の
軍事費を100とすると、日本は20でした。戦力は10000対400です。勝
てるわけがない。

【日本のMMTの原点】
異次元緩和のとき、日銀政策委員(審議委員)をしていた原田泰氏が
審議委員になる前に、ある人の紹介で、会食したことがあります。

席上、当方が「国債を現金化する日銀は問題ではないか」というと、
原田氏は、「国債は、国民の金融資産になるから、いくら発行しても
いいのではないですか」という応答でした。問題のすり替えに唖然と
しましたが、会食の場では、議論は避けました。

日本では、「国債は国民の金融資産」という考えでないと、日銀政策
委員の資格がないようです。原田氏が日銀政策委員に任命され、「あ
れっ」と驚いたことを覚えています。

日銀でも「異端排斥」が行われています。国債の現金化が生じる問題
をいう人は、異端になります。異端審問は、現代も学界の中にあるの
です。

大元(おおもと)では、ケインズの『(金本位を排斥した)通貨改革
論』を実行している国際銀行マフィアが、経済学の異端を決めていま
す。

学問にも、政党に似た学派があります。集団をつくる人間の性(さ
が)でしょう。個人に根源を求めたデカルトのような人はいない。

マネーでは、国家に根源を置いています(法律貨幣=法貨=フィアッ
トマネー=信用通貨)。このため、「国債は、国民の金融資産になる
から、いくら発行してもいいのではないですか」となるのです。

国債は、日銀が買えば現金になります(これが通貨の増発)。

日銀は、持っている現金ではなく、創造した現金で国債を買うからで
す。金本位の金と同じ機能を果たしているのが、現代では国債です。

■13.国債という金融資産の本質

一面では、銀行が国債を買うと、銀行の資産になります。ただし国債
の資産価値は、「政府がその負債の利払いと返済ができる」という将
来信用でしかない。

将来の返済信用に依存するので「信用通貨」といいます。企業が発行
する手形の決済日を永久に先延ばしたものが日銀の銀行券(=通貨=
円)です。

政府が国債の利払いに難渋し、将来の返済が危ぶまれるようになると、
その信用の価値(国債の価格)は暴落し、デフォルトすれば、クレデ
ィスイスの劣後債だったAT1債(偶発転換社債:CoCo債:2.3兆円:金
利は10%)のように、無価値になります。

クレディスイスの資産(5310億フラン:80兆円)は、スイスのGDP
(100兆円)に匹敵するものでした。

スイス国立銀行(USB)が格安でM&Aして(4200億円)、ATI債は無効に
なりましたが、預金は保護されました。

スイスフランは、クレディスイスの破産のあと、スイス政府から預金
の救済策がとられたので143円から153円へと7%上がっています。

クレディスイスが国家の銀行になったからです。財政が破産した私立
大学を国立大学が、ただ同然の価格で買収して学生(スイスフラン)
を守ったことと同じです。

国家が財政破産したときは、国家(国債のすべて)を買収できる銀行
はない。このため、その国債と通貨は、50%は暴落します。

■14.財政破産も狙う国際銀行マフィア

連合した国際銀行マフィアは、そのときも狙っているでしょう。

まず使うのは、アジア通貨危機のときのようなIMFです(IMFは国際銀
行マフィアの仲間です)。しかし、IMFの信用力では足りない。この
ため、IMFを取り巻いている国際銀行マフィアが「羊毛刈り」に連合
します。

英国ボンドが暴落した危機のとき(1992年:ドイツマルクに対して-
20%)、大英銀行の英国債買いとポンド買いに、ポンドの先物売りで
勝ったジョージ・ソロスとヘッジファンドのマネーは、ロスチャイド
が資本をもつ銀行からの与信(信用供与=マネーの貸与)です。与信
枠が、貸し付けの上限枠です。

ロスチャイルドが、英国から収奪した利益は2600億円とも言われます。
実際は、はるかに多い。2600億円は、ポンド先物売りの直接的な短期
利益です。ポンドを下げ、英国の世界的企業と不動産を買収したファ
ンドの利益が巨大です(これが羊毛刈り)。

株や債券の先物(≒現在価格)を売って、期限日に買い戻すときの下
がった差額で儲けるのが、先物売りです。10倍のレバレッジをかけれ
ば、1/10の証拠金で行えます。最大では、30倍くらのレバレッジでし
ょう。

通貨先物売りの証拠金という少ないマネー(少ないリスク)で、企業
と不動産の「羊毛刈り」まで行えるのです。頭脳が明敏な人しか考え
つかない戦略です。

日本の、資産バブルの最末期の1990年1月から、PER30倍から80倍だっ
た日本株(日経平均3万9800円)に対して米国ファンドがとったのが、
売りで押し下げて儲ける先物売りとオプション売り(プット・オプシ
ョン)でした。日本のバブル崩壊の利益(羊毛刈り)は米国に行った
のです。土地神話と株価バブルに浮かれて損をしたのは日本人でした。
土地神話は株価崩壊後の1994年まで続きました。人の考え(集合知)
である共有観念は現実に遅れるのです。

1990年から33年、世界最速で高齢化が進行した日本経済は成長しなく
なったのです(2位が韓国、ドイツ、イタリア)。国内の需要が増え
ないので、経済を成長させる設備投資は、海外に向かいました(直接
投資228兆円)。(対外資産1249兆円:負債838兆円:対外純資産411
兆円)。

なお2022年から日本の銀行は、金利が上がって価格が下がった米国債
を20兆円くらい売り超しています。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/iip/data/2021_g.htm

■15.戦後英国と、これからの日本の類似

日本は、政府GDPの200%の戦費国債を抱え、財政破産を防ぐため金利
を抑圧していますから、1ポンド1000円だったポンドをずっと下げて
きた戦後英国と類似しています(ポンドは171円:75年で5.8分の1:
年率平均2.4%のポンド安)。

戦後英国が、7つの海の植民地(英連邦)を失っていったことは、日
本の人口減に似ています。日本の2030年から2050年は戦後の英国に似
ているという仮説をもっています。

長期的に、資産を守って増やしてくれるのは金でしょう。GDPの260%
の国債は、
・金融引き締め(利上げ2%)からの財政破産以外では、
・2%のインフレで帳消しにしていくしか方法がないからです。

(注)「インフレ率2%-預金金利ゼロ」という実質金利-2%で、負債
の価値は30年で半分に減ります。2013年からの異次元緩和の狙いは、
預金の実質金利をマイナス2%にして見えない税にし、国債を減らす
ことでした。

このため異次元化緩和の開始(2013年)から、ドル/円は80円から
130円台になっています。10年で38%の円安です。10年では、年率平
均4.8%の円安です。円の価値がインフレ以外で、ドルに対して年4.
8%減っています。

2012年末からドルは2%/年で過大評価され、毎年20兆円平均でドルを
買って、円を売る円は、2%/年で過小評価されてきたのです。ドルが
強いためのドル高/円安ではない。ゼロ金利の円が、2%から3%の金
利があるドルを買って、円売りをしてきたきたためのドル高/円安で
す。(注)ドル買い=円売り、です。

3%のインフレを加えれば、1年に7.8%(≒8%)、円預金の価値は下
がっています。この8%は金価格の1971年から、52年の、年平均上昇
率に等しい。

戦後の英国では、ポンドの銀行預金だけの人は没落し、ロスチャイル
ド風の羊毛刈りに乗って、金・成長企業の株・不動産(物的資産)を
買って来た人は、資産家になっています。100年の間に8回は繰り返し
てきたバブル崩壊は、毎回、資産家を変更してきました。

今回のバブル崩壊は、1929年-33年の大恐慌以来、94年ぶりの大きな
ものになっていくでしょう(2024年、2025年)。世界の負債の規模が、
GDPの300%(300兆ドル;3.6京円)と大きくなってしまったからです。

「300兆ドルの金融資産=300兆ドルの金融負債」に対応しています。
金利上昇で負債(国債、社債、債券、株)の価値が下がると、金融資
産も同じ金額、下がるからです。Aさんの金融資産は、Bさんの負債で
す。

■16.米国の、第一次世界大戦後インフレと資産バブル

100年前に話を戻します。年表風には以下の歴史でした。

1)1913年 国際銀行マフィアが、米国に中央銀行のFRBを設立
2)米欧で、国際銀行マフィアが国債を買って通貨を増発
3)第一次世界大戦(1914年~18年):ドイツ・オーストリアが会敗
戦。

4)ドイツに金3万1000トンの賠償金を課す。国際銀行マフィアのトッ
プの位置にあるBIS(1930年からの国際決済銀行=中央銀行の上の中
央銀行)が、ドイツからの金の取り立てを行った。

5)ドイツは信用通貨を大増発し、ワイマール共和国は、1兆倍のイン
フレになった。パン一個が1兆マルク。ドイツは、レンテンマルク
(1兆マルク→1マルク)として、通貨を縮小し、インフレを収めた。
この間に、ナチスドイツ(政党名)のヒトラーが国民の支持を得て台
頭した。

6)戦後景気になった戦勝国の米国では、FRBが、逆の利下げをしてド
ルを増発した。設立後のFRBは、金利を6%から3%に下げ、第一次世
界大戦を挟んで、1914年から20年は、大量のドルの供給をしたのです。
この金融緩和は1928年まで続きました。14年間の金融緩和です。

【FRBの金本位についての虚説は、フリードマンが元祖】
1913年からはFRBの金本位で、マネーが絞られたようにされていすが、
実際は金準備の何倍もドルを発行する金融緩和を行ったのです。

ゼロ金利を経験した現代では。金利3%は高いように見えます。
しかし、8%から10%の金利だった時代には、3%は破格の低金利でし
た。米国では14年間のインフレから、不動産と株価高騰のバブルが起
こりました。

NYダウは、1924年の100から1929年には350へと、3.5倍に上がったの
です。株価の前に、投機ブームが起こっていたフロリダの不動産は4
倍から5倍になっていました。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/28261?page=2

米国の1920年代は、1985年からの日本の資産バブルと全く同じです。
金利の低下と、マネー増発から株価が3.5倍、不動産が4倍から5倍に
上がっていました。

原因は、石油・電気・自動車革命のなかでのFRBの利下げです。本来
は第一次世界大戦後の米国では、金融引き締めが必要でしたが、
1913年に国際銀行マフィアが乗っ取っていたFRBは、「羊毛刈り=羊
はふとらせて食え」を長期の目的にして、逆のことを行ったのです。
(金融マフィアは超エリート集団(シンクタンク)を作っています)

当時は、証券会社では、証拠金は1%で100倍の投機ができました。証
券会社の金利は12%でした。FRBの金利は5%でしたから,証券会社に
貸し付けると自動的に7%の利益があったのです。

【株価と不動産の高騰】
これが、米国の資産バブルが起こった原因でした。「株価上昇→不動
産高騰」は共鳴します。株価は、不動産購入のマネー力になるからで
す。下落のときも同じです。「株価下落→不動産下落」。
(米国S&P500の150年の推移)
https://www.americakabu.com/entry/S%26P500%E3%81%AE150%E5%B9%B4%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88

常に株価のほう約1年から2年先に動きます。株価と国債価格は、3か
月から6か月先の期待金利を、現在の価格に織り込みます。

従って、賃貸料と不動産価格を背景にした不動産証券(REIT)での売
買利益の獲得は容易です。不動産の売買では多額のマネーが必要です。
REIT証券は株のように小口で行えます。米国のREITは下がっています。
日本は(短期的に)上げています。
https://www.nomura-am.co.jp/market/reit.html

【現在のREITは、米国不動産の近未来図】
米国のREITは、2022年6月をピークにして、FRBの利上げにより、399
から256へと36%も暴落しています(23年5月)。2022年末のからの、
住宅&不動産価格とMBSの下落を示す先行指標です。コロナショック
のときの、ロックダウン下落に似ています。
(米国のREITの推移:5年を見てください)
https://www.bloomberg.co.jp/quote/BBREIT:IND

銀行は通貨を発行して、あるいは貸し付けて、信用創造します。企業
と投資家にとっては株の高騰が、銀行の信用創造にあたるからです。

【株のマネー力】
企業のマネー力は、発行する株券(資本の負債を示す証券)が2倍に
なると、2倍になります。配当はしても、元本返済のない劣後負債
(資本)=企業の金融力という原理です。株を発行して売れば、株の
売却代金(=投資家の出資)が、企業にとっては現金になります。

(注)日本でも、1985年のプラザ合意(ドルの1/2への切り下げ)の
あと、輸出不況化した日本で、日銀が利下げと大幅な金融緩和をした
ことが原因になって、1985年~1990年の資産バブル(株価3倍、地価
5倍)が起こりました。米国の1920年代と同じです。(日経平均1950-
2020)
https://www.ig.com/jp/trading-strategies/history-of-nikkei-201204
(日本地価:1968-1997)
https://www.mlit.go.jp/pri/kouenkai/syousai/pdf/research_p180530/07.pdf

■17.「羊毛刈り」の到来(1929年)

第一次世界大戦後の米国バブルの暗転は1929年でした。

FRBの創立メンバーであり、FRBのゴッドファーザーと言われていた
ポール・ウォバーグ(ロスチャイルド財閥)は、「慎みのない投機が
更に拡大すれば、最終的に起こる崩壊は、破壊的なものになる」とバ
ブル株価と不動産価格に警鐘を鳴らしたのです(1929年4月)。
(ウォバーグ)
https://note.com/ia_wake/n/n089a71da56ff

事実、国際銀行マフィアの導きによって、1929年8月9日にFRBは、公
定歩合(中央銀行が銀行に貸すときの金利)を、3%から6%に上げま
した。(注)2022年のFRBの利上げに似ています。2021年までの0.25
%→現在の金利目標5.25%です。

この利上げは、2年前、国際銀行マフィアの1927年の秘密会議で決ま
っていました。FRBは銀行、証券、投資家を2年間、低金利
で泳がしていたのです。目的は「羊毛刈り」を大きくするためです。

FRBが公定歩合を上げて金融を絞ると、銀行はたちまち金不足に陥っ
て、貸し付けの回収を迫られたため、市場のマネーは枯渇し、株価は
暴落したのです。企業の株価が1/3に下がれば、1/3で買収ができます。
不動産も同じです。

FRBに巣くっている国際銀行マフィアは、数分の1の、底値価格で、一
流企業、優良株を買いあさったのです。国際銀行マフィアは、資産バ
ブルの崩壊は、破産する銀行と投資家の影での、投機のチャンス
(ブーム)です。

(注)新興国の通貨危機、経済危機のときのIMFの融資行動と同じで
す。韓国の5大財閥(サムスン、LG、現代自動車、SK、ロッテ)は、
1997年のウォン危機のとき、正義の味方になったIMFが支援するよう
に見せかけてファンドがお金を出し、外資に変えました。韓国の金融
も、米国金融になったのです。

1963年に暗殺されたケネディの父、ジョン・ケネディは株価暴落の前
のピークで株を売り払い、連邦債に切り換えていました。400万ドル
の資産は1935年には、1億ドルに膨らんでいました。

現在のドル価値は、当時の63倍ですから、63億ドル(8200億円)の資
産に相当します。これが、大恐慌でプチ財閥になったケネディ家の資
産にだったのです。SDGの、孫正義のようなイメージでしょう。

以上が、1913年のFRB創設後の、第一次世界大戦(1914-18)、戦争後
の米国バブル(1918-28)、1929年の大崩壊です。いずれも、FRBの羊
の仮面とかぶったオオカミ、または屍肉に群がるハゲタカである国際
銀行マフィアの代理人の画策とストーリーに基づいた16年の歴史です。

国際銀行マフィアはお金を出しますが、その活動ではCIA(エージェ
ント)のように、ポール・ウォバーグのような代理人を使います。奥
の院は動かない。口頭での指示だけです。

ケインズが、大恐慌のあと理論化した国債の発行(『一般理論
(1933年)』と、金準備制を排した信用通貨からは、次号の有料版正
刊(5月24日に配信)で示します。金のくびきを離れた信用通貨は大
量発行されて、第二次世界大戦に至るのです。ケインズ自身も、国際
金融マフィアが組織した外交問題評議会に属しています。

■18.第二次世界大戦後、77年の展開は以下です

1)金準備制のドル基軸通貨の体制(1944-1971:ブレトンウッズ体
制)、日本の戦後高度成長
2)1971年、金・ドル交換停止、
3)FRBによる金撲滅戦争(1970年から1999年)

3)1773年、国際通貨はドル基軸のままで、矛盾する変動相場制、4)
ドルが金準備制でなくなったことが原因の二度の石油危機で、米ドル
が崩落(1973年、1980年)

5)1973年、推計の確率統計による未来マネーのデリバティブの発明
(ブラックショールズ方程式)。結果は、マネーの流通速度の低下に
なっていった。(M×V=P×Tの、Vの低下→預金は増加してもインフ
レにならない)。デリバティブを組み込んだ経済学は、今もない。

マネーの流通速度のVが低下するとは、増えた預金で金融商品間の売
買が増え、商品購買や設備投資に向かわないことです。

中央銀行が信用通貨を増発しても、増えた通貨が預金として滞留し
(金融商品間の売買の増加=デリバティブ)、通貨増が原因のインフ
レには、ならなくなった。ただし、物価に参入されない株価のバブル、
不動産のバブルは起こる。

6)1990年~97年:日本の資産バブル崩壊から金融危機→日銀の金利
0%政策。
7)1997年アジア通貨危機、
8)1999年ロシア国債のデフォルト:同年19カ国の統一通貨ユーロの
発足
9)2000年、米国IT株バブルの崩壊

10)サブプライムローンで、米国住宅価格2倍へ高騰
11)2008年、不動産ローン担保証券のMBSの下落によるリーマン危機

12)中央銀行のゼロ金利→ノンバンクのファンドマネーが、ゼロ金利
の銀行預金の3倍になった(これがデリバティブの効果)。例えばノ
ンバンクのブラックロック(投資信託)は1000兆円のマネーを動かす。
13)2019年から22年のコロナ危機とマネーの増刷
14)2022年2月 ウクライナ戦争

15)資源・食糧価格上昇による世界インフレ
16)米国FRBの急速な利上げ(0.25%→5.25)
17)米国の債務上限問題
・・・そして現在です。

■19.後記:大規模な銀行危機のあとは・・・

金利上昇による2023年からの、債券価格下落よる銀行危機は、そんな
帰結を迎えるか。国際銀行マフィアの一角を占めていたクレディスイ
スの静かな破産劇から、方向が見えます。クレディスイスは国際銀行
マフィア(BIS)の一員です。

上席のJPモルガンより下位の席ですが。日銀の植田総裁も、「米国債
を買う」という条件でBIS(国際決済銀行)の下位の委員です。黒田
さんはBISでどんな発言をしていたでしょうか。

銀行不安からの預金流出による資金ショートのあとは、スイス国立銀
行(USB)が乗り出した買収でした。USBは、スイスの中央銀行です。

米欧の大手銀行が危機になったとき(たぶん2024年)、とられる方法
は、国有化でしょう。FRBやECBという中央銀行そのものが、政府から
の独立性を失って国有化されていくことになると考えています。

今回の金融危機は、国際銀行マフィアの息の根を止めることにまでな
っていくでしょう。国際銀行マフィアにとっても、コロナ後の、通貨
の発行の規模が大きすぎるからです。

負債=預金+債券(金融資産)=総マネー量は、日米欧のGDPの。3倍
の150兆ドル(1京9500兆円)に膨らんでいるからです。銀行とノンバ
ンク(ファンド)の全部が、潰れるでしょう。

中央銀行の奥の院の、国際金融マフィアにも、下がった株、国債、不
動産を買う羊毛刈りのマネーがない。一方で、預金を無効にする荒技
は、政府がとれない。このため、無限信用の国有化しか残っていない。

通貨は中央銀行券から、財務省証券と同じ、国立銀行が発行する政府
通貨になります。この変化は、マネーのデジタル化と連動しています。
通貨信用の裏付けをゴードリンクにするかどうか、まだ判断ができな
い。

今回書いた1929年の大恐慌以来の、歴史的な事態を2023年、2024年と
迎えるでしょう。

中央銀行が発行してきた信用通貨の時代(1913年から2023年の110
年)が、終わります。金準備制→国債担保の信用通貨→利上げで国債
が下がって信用通貨の価値(これが今回の世界インフレ)が減ったの
で、金リンクのデジタル通貨への変化です。

中央銀行の建物と組織は残って、資本が国立銀行になる。政府紙幣は、
暗殺されたケネディが夢見ていたことです。まぁ、いわば私立大学が
破産し、国立大学になるようなことですから・・・。

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