プリゴジンの反乱への疑惑
This is my site Written by admin on 2023年6月30日 – 13:00
民間軍事組織のワグネル軍を率いるプリゴジンの反乱が起こりました。
ロシアは内部分裂し、プーチンの支配体制が弱体化している。ロシア
は近々崩壊するだろうという観測がされています(6月29日時点)。

確かに、西側と日本のメディアが強調して報じることからは、そのよ
うに見えます。
↓
しかし「ロシア軍の内部分裂」という観測とは矛盾する、大きな状況
証拠が二点あります。これをどう解釈すべきか・・・本稿で示します。

■1.状況証拠(1)・・・話し合いの偽装反乱
:
ロシアの正規軍の司令本部は、ロシア南部のロストフナドヌー市(人
口100万人)にあります。ワグネル軍はわずか50名で軍司令部(副司
令官が常駐するとされる)を占拠したとされています。

注)ワグネル軍の総員は2万5000人とされます。モスクワに北進した
のはこのうち5000人とされています。

ロシアの正規軍が、戦闘もなく指令部を明け渡すでしょうか。
普通は、激しい戦闘になります。反乱軍は殲滅されるか、捕獲されま
す。軍司令部の占拠は、ロシアの占拠と同じ意味をもつことだからで
す。

SNSでは、ロストフナドヌーのプリゴジンを、市民が歓呼していまし
た。正規軍がワグネル軍とプリゴジンを攻撃した様子はない。ブリゴ
ジンと、モスクワにいる国防相のジョイグおよび参謀総長のグラシモ
フに「ワグネル軍の、正規軍編入」の金銭的な条件を巡って対立があ
ったことは事実です。

◎しかし南部の指令部(ロストフナドヌー)では正規軍と話す様子が、
SNSに投稿されています。「話し合い」があって、南部の正規軍が偽
装的に指令部を、50人のワグネル軍に明け渡したとしか観察できない。

他に、合理的な説明はできないと考えますが、読者のみなさんは、ど
う考えますか?

なお正規軍の副司令官スロビキンは、ワグネル軍の反乱を知っていた
とされ、反乱関与の疑いで逮捕されたという(6月29日:真偽はまだ
不明)。これにも「偽装逮捕」の可能性はないでしょうか。

◎ワグネル軍は、現在、約5000人の部隊がルカシェンコ大統領の仲介
でベラルーシに駐屯し、約2万人が東部のルハンシク州にいるとされ
ています。

プーチンは、ロシアに残っているワグネル軍に、1)政府軍として契
約するか、2)故郷に帰るか、3)ベラルーシに行くかは自由だと表明
しています(演説)。

プーチンの母体だったKGB(秘密警察:現在はFSB)は、CIAやイスラ
エルのモサドのようにスパイと遊撃作戦が任務です。敵の機密情報を
盗む、敵が有利になる情報を流す、敵を偽装暗殺する。敵を攪乱し混
乱させるためには味方も欺く。これが、秘密警察です。日本には「中
野学校」がありました。

今回の戦争でも米国のCIA、英国のMI6、ロシアのFSB(連邦の保安
庁)が暗躍しています。とりわけプーチン政府は、KGB出身とエネル
ギーと軍需資本家のオリガルヒが枢要な部署を固めています。民間軍
事会社は、大小で37もあるという。

プーチンの宮殿(黒海沿岸のゲレンジーク:建設費総額1500億円;ト
ランプのマー・ア・ラゴに類似)は、原油産業のオリガルヒが提供し
ています。バイデンと息子の不正賄賂が可愛くなる規模です。
https://www.youtube.com/watch?v=MAPkNRmXQvc

アフリカとスーダンの金と原油の商売をしているブリゴジンの、実戦
経験が豊富なワグネル軍(2万5000人)には、プーチンは、約1500億
円/年を支払って戦争に参加させていました。軍事会社にとって、戦
争は事業でありマネーです。

食品の事業をもつブリゴジンには、正規軍への食糧供給費として、ロ
シア政府が他に1350億円を渡していたという(いずれもプーチンの演
説)。

◎民間軍事会社のブリゴジンの反乱は、プーチンおよび正規軍と示し
合わせた偽装だった可能性を感じるのです。ロシアの、米国に向けた
遊撃作戦です。

■2.状況証拠(2)・・・ベラルーシへの戦術核の配備

ロシアは6月16日からベラルーシに核ミサイルの配備施設を作ってい
ます。戦術核の弾頭が配備されるという(ロシア、ベラルーシのルカ
シェンコの両方が公言)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-belarus-nuclear-idJPKBN2Y00DE

小型の戦術核は。国際条約ではまだ禁じられていませんが、小型でも
核兵器です。1発で、ヒロシマの3倍から5倍の破壊力をもつ大量破壊
力をもちます。容易には使えない。使えば、エスカレーションの核戦
争の可能性が高くなります。

ロシアは、1583発の戦術核の弾頭をもつという。このうちから、ベラ
ル-シに配備される予定の約半数がすでに運び込まれています(共同
:ルカシェンコ大統領)。7月9日に完了するという。

◎奇妙なことはイランの核兵器製造疑惑には、空爆の戦争までを仕掛
ける米国が、23年6月のベラルーシへの核配備には「猛烈な抗議」を
していないことです。

米国務省は、戦争中だから仕方がないと考えているのか、あるいは手
がないのか。CIAが、プーチンと裏で手を握っていることはまさかな
いでしょう。しかし戦争では、敵国と裏で関係があることの可能性は
ゼロではありません。公式には、米国は、ウクライナ戦争(ロシか対
ウクライナ)の第三者です。ここがまず、不思議な点です。

親ロシアのルカシェンコは、ウクライナ軍の名を借りたNATOからの攻
撃を、もっとも恐れていました。核兵器をもてば、NATOはベラルーシ
から攻撃があっても反撃ができなくなる。核でのヨ─ロッパあるいは
米国への報復の口実を与えるからです。これが、核の抑止力です。

このため、プーチンはルカシェンコの要請で戦術核をベラルーシに運
んだのでしょう。核ミサイル発射の暗号はプーチンが持っていると思
われます。しかし、ルカシェンコ大統領はスピーチではベラルーシが
単独で核ミサイルを発射できるといっています。ここも本当かどうか
わからない。

〔事実〕ベラルーシの西は、ポーランドです。ポーランドは、有力な
NATO加盟国です。ウクライナへのNATOと米国からの兵器支援の要路
(ロジステックス)は、ポ-ランドからキーウに至る道路や鉄道です。
ベラルーシの国境からは、南方の至近距離です。
https://www.travel-zentech.jp/world/map/Belarus/Map_of_Belarus_and_neighboring_countries.htm

戦争では兵器、ミサイル、弾薬のロジスティクス(供給物流)を絶て
ば、前線の敵軍は、短時間で壊滅し、潰走します。

〔歴史〕米国に対して物資に乏しかった日本軍は、南方戦線のロジス
ティクスができず破れました。米国の戦闘機が輸送船を爆撃したから
です。戦争には勇敢な精神が必要ですが、勇敢さだけでは戦えない。

ワグネル軍の5000人は、ベラルーシにいきました。
ルカシェンコは「合法的な軍」として遇し(スピーチ)、駐屯の兵舎
を提供しています(これも事実です)。

ワグネル軍の指揮官だったプリゴジンは、ベラルーシにプライベート
ジェット機で亡命しました。西側メディアでは、プリゴジンはいずれ
暗殺されるとされていますが果たしてそうか? 暗殺されるなら、
「ワグネル軍は合法的な軍」とはされないのが論理的でしょう。

ここからは論理による推測です。ルカシェンコの、戦術核を配備し、
NATOから直接は攻撃されない体制を作って、ブリゴジンのワグネル軍
5000人を合法的な正規軍として受け入れた目的は何か? 

ポーランド国境からキーウに通じるNATOのウクライナへのロジスティ
クス路(ベラルーシの南)を破壊するためだと推測ができます。プー
チンがルカシェンコの協力を得て計画したことでしょう。

ブリゴジンの消息が、メディアに不明になると怪しい。最新の情報で
は、ベラルーシに行ったとされていたブリゴジンは、今度は。サンク
トペテルブルグ(ロシアの副首都)のワグネル軍本部に戻ったとされ
ています。ロシアが逮捕しないとしたからです。サンクトペテルブル
グは、ドストエフスキーが『罪と罰』で描いた、セーヌのようなネヴ
ァ川がある大都市です(人口539万人)。

〔事実では〕ワグネル軍5000名は、ルカチェコの仲介で法的な正統性
を獲得し、ベラルーシとウクラナとの国境に駐屯してます(英軍は衛
星で確認しています)。

あと3週か4週すれば、こうした奇妙な動きの全貌がわかります。ロジ
スティクス破壊の、軍事作戦の可能性が高まるからです。ロジスティ
クスが破壊されれば、ウクライナ軍は戦えず夏か秋の停戦の可能性も
出てきます。

NATOからウクライナへのロジステック路への、ワグネル軍からの攻撃
があれば「ブリゴジンの反乱はロシアのFSAと正規軍も加担した遊撃
作戦(情報戦)」であったことになるのです。

時間の経過とともに「不自然なこと、奇妙なこと」が、目的合理性の
論理でつながっていきます。国家の戦争も、その中の事件に、不可解
なことが絡む複雑系の事象です。

サッカーやラグビーのように整合的なものではない。日米戦争もそう
でした。ヒロシマ、ナガサキに原爆を落とした正確な経緯は、まだ明
らかになっていません。

幕末から明治への維新への動きにも史観の対立があります。明智光秀
の単独の謀反とされる本能寺の変にも、背景(秀吉の策謀)が指摘さ
れています。証拠が消えていることには歴史的なことも目的合理性の
論理で推測するしかない。

【後記】
米国では、FRBによる銀行のストレステストの結果が想定されました。
2025年までの経済と金融を想定し、銀行の損失は最大78兆円であり、
約150兆円の自己資本が消える金融危機に至らないとされています
(銀行マネーは2000兆円)。これは「米国には銀行危機はない」とす
るためのFRBの予防線でしょう。銀行危機の前には、各国が行うこと
です。

日本では、2000年ころ、1990年からの資産バブル崩壊からの銀行の不
良債権は100兆円とされました。実際は200兆円あって、処理には
2010年までかかったのです。都銀21行は3つのメガバンク(三菱UFJ、
三井住友、みずほ)に統合されました。

銀行は、危機の可能性があると当局がいえば、取り付けが起こって、
本当に潰れるからです。預金は安全という心理的な信用で成り立つ銀
行に対しては、支援対策を作ったあとでないと危機とはいえないので
す。

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