インフレと国債価格、及び金利(2)
Written by admin on 2013年7月15日 – 09:00
おはようございます。梅雨明けでしょうか。外は、烈(はげ)しい 暑さです。 毎年、梅雨が明けたとたん、早朝から10時ころまで、蝉たちの合唱 になるのですが、今年は、まだ、ない。きっと、梅雨は、はっきり とは明けていない。昆虫が、正確に季節の、本当の時間を知ってい るように思えます。 PHPのVoiceという月刊誌を、記憶では、15年間くらい購読していま す。さっき来た8月号では、プリンストン大学の、ノーベル賞学者 ポール・クルーグマンが『インフレ2%達成後の未来予想図』とい うタイトルでインタビューをうけています。取材・構成は大野和元 氏です。クルーグマンは、当方、いつも参照しています。 クルーグマン:<もし(日本経済が)2%のインフレ目標を達成す れば、しばらくは長期金利も高くなるでしょう。おそらく日本は国 債の「名目金利」は1%以上になると思いますが、インフレ率が2% ですから、「実質金利」はマイナスになると考えられます。> 「実質金利=名目金利-インフレ率」、です。クルーグマンが言う のは、インフレが2%になっても、名目金利は、さほど上がらず、2 %以下の1%台であり、マイナスの実質金利になるということです。 実は、こここそが、2013年、2014年の経済を見るとき、もっとも肝 心な点です。 ●クルーグマンは簡単に、「日本の名目金利は1%台を続け、物価 が2%上がるようになると、実質金利はマイナスになる」と言って います。当方、この点に、異を唱えます。 「長期金利=実質GDP成長率+期待インフレ率」に、一致はしなく ても、次第にここに向かうと考えるからです。これが国債の、価格 と金利をきめます。 どちらが正しいか? これによって以降の見方は、変わります。 本稿では、当然に、当方の見方を書きます。 本稿は、本シリーズの中核部に当たる本論です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ <663号:本論:インフレと国債価格及び金利(3)> 有料版の2013年7月10日号 【目次】 1.金利を決める要素の、期待インフレ率というもの 2.長期金利の上昇と、国債価格の下落 3. 2013年度の、実質経済成長率は2%と高い 4.期間15年の長期債は、下落リスクが大きな国債 5.日銀の買い支えの想定 6. 2つのシナリオ 7.財政のリスク・プレミアムが加わった7%という長期金利 8.長期国債の短期化と短期国債の金利高騰: イールドカーブのフラット化 9.政府の、国債への利払い額の増加が生じる 10.国債の短期化が進行する 11. 政府赤字の、将来計算のための条件は6項 12. 2013年度から2016年度までの、政府一般会計の赤字予想 【後記】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■1.金利を決める要素の、期待インフレ率というもの 異次元緩和で増えた円の価値は下がって、円安が続き、2013年の秋 に、日本の物価が上がることがはっきり認識されるようになると、 市場の期待長期金利はどうなるか? 国債の価格を決めるものは、市場の関係者がいだく、期待長期金 利です。 ▼期待インフレ率とは何か? 〔実質GDP成長率+期待インフレ率〕が高まると、金利は上昇しま す。 ただしこの式の中の、「期待インフレ率」は、過去のインフレ率で はない。 経済データはすべて、数ヶ月から1ヶ月前の、過去のものです。 期待インフレ率は、 ・過去からの傾向として、1年先くらいの将来に向かい、 ・国債の売買をする関係者に予想され、 ・国債の長期利回りに組み込まれるインフレという意味のものです。 この期待インフレ率は、BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率) とも呼ばれます。 一般には、 ・物価の期待上昇率とともに金利が上がる「物価連動債」と、 ・額面に対する金利が固定された「普通国債」の金利の差で求め、 定量化します。 わが国は950兆円ある普通国債の金利に、近い将来に向かう期待イ ンフ率が上乗せされたもの(デフレ予想のときはマイナス)が、物 価連動債と考えられるからです。 わが国で言えば、このBEIで示される期待インフレ率は、3年前の20 10年7月は、マイナス1%でした。 当時は、1%の物価下落、つまり1%のデフレが予想されていました。 2012年の3月には、BEIで示す期待インフレ率は0%まで一直線で上 がりました。 12年3月で、金利の上では、デフレは終わっています。 日銀による異次元緩和が開始された13年4月には、期待インフレ率 (BEI)は急に2%に高騰し、その後は下がって、13年6月は1.1%く らいです。 ●日本相互証券株式会社のBEI→ http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html 以上のことは、金融市場は、この先1年くらいの日本経済に対して、 ほぼ1%のインフレ(物価上昇)を予想していることを示します。 再度述べれば、〔実質GDP成長率+期待インフレ率〕です。 【2013年末の金利の収束方向】 13兆円(GDPの2.6%)の補正予算があるため、 ・2013年度の実質GDPの成長を2%とし、 ・物価の期待上昇を1%とすれば、 〔長期金利=実質GDP成長率2%+期待インフレ率1%=3%〕に高騰 する可能性があります。 2013年度の実質GDPで2%成長とは、IMFの予想です。 日本は、先進国でもっとも大きな実質成長です。直接の原因は、東 日本大震災の復興投資が、補正予算で13兆円(GDPの2.6%)行われ るからです。 本稿はここまでです。 期待インフレ率の上昇(2%)は、意外に早 い。 <長期金利 ← 実質GDP成長率+期待インフレ率>です。 【後期】 実質GDP成長率が1%、期待インフレ率が2%なら3%に向かうという 意味の等式です。すぐに金利3%になるわけではない。中央銀行が、 国債を買い、利下げをするからです。 ここがどうなるのか? 日本 経済のこれから1年は、まさに、この一点にかかっています。 この1.5ヶ月、ほぼ毎週、有料版の、プロローグ部(前書き)をお 届けしていますが、いかがでしょうか。有料版で書いてるものの テーマと概略が、お分かりいただければ、嬉しく思います。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。 以下は、項目の目処です】 1.内容は、興味がもてますか? 2.理解は進みましたか? 3.疑問点、ご意見はありますか? 4.その他、感想、希望テーマ等 5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ と記述の際、より的確に書くための参考になります。 気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考にもなり、 うれしく読んでいます。時間の関係で、質問への返事や回答ができ ないときも全部を読み、共通のものは、記事に反映させるよう努め ています。 【著者へのひとことメール、および読者アンケートの送信先】 yoshida@cool-knowledge.com ◎購読方法と届かないことに関する問い合わせは、ここにメール → reader_yuryo@mag2.com ■1.有料版は、新規に登録すると『無料で読めるお試しセット』 が1ヶ月分送信されます。以下は、最近のものの、テーマと目次の 項目です。興味のある方は、登録し、購読してください。 まぐまぐの有料版では、新規に月中のいつ申し込んでも、その月の 既発行分は全部を読むことができます。最初の1ヶ月間分は、無料 お試しセットです。その後の解除は自由です。継続した場合に、2 ヶ月目の分から、課金されます。 (1)『会員登録』で支払い方法とパスワードをきめた後、 (2)登録方法を案内する『受付メール』が送ってきて、 (3)その後、『購読マガジンの登録』という3段階の手順です。 【↓まぐまぐ会員登録と解除の方法】 http://www.mag2.com/howtouse.html#regist ◎登録または解除は、ご自分でお願いします。 (まぐまぐ有料版↓) http://www.mag2.com/m/P0000018.html (まぐまぐ無料版↓) http://www.mag2.com/m/0000048497.html (以上) ■2.「まぐまぐの有料版を解約していないのに月初から届かなくな った。」との問い合わせが、当方にも多いのですが、ほとんどの原 因は、クレジットカードの「有効期限切れ」です。 なお、登録情報の変更は、まぐまぐの『マイページ ログイン』の 画面を開き、登録していた旧アドレスとパスワードでログインして 出てきたマイページで、メールアドレス、パスワード、クレジット カードを新しいものに変更できる仕組みです。クレジットカードの 変更、送信メールアドレスの変更、パスワードの変更などに使って ください (マイページ・ログイン↓) https://mypage.mag2.com/Welcome.do または↓ https://mypage.mag2.com/mypage/creditcard/CreditCardMenu.do 新しいカードと有効期限を登録すると、その月の届かなかった分を 含んで、再送されます。 なお、有料版と無料版メルマガの、購読方法の電話での問い合わせ は、以下です。075-253-1244 (まぐまぐ:平日午前10時~午後5 時まで) 【お知らせ】 『フーミー:Foomi』からなら、まぐまぐのようにクレジットカー ドではなくても、振り込み(自動)で、有料版の購読ができます (↓) クレジットカード登録がイヤな方はご利用ください。 http://foomii.com/00023 ◎ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則 のバックナンバー・配信停止はこちら ⇒ http://archive.mag2.com/0000048497/index.html |