イラク戦争の帰結が見える(2)
This is my site Written by admin on 2004年5月10日 – 08:00

こんにちは、吉田繁治です。5月7日は生命保険会社主催の講演に招
かれ、山梨県は甲府に行って来ました。甲府は、初めて訪れます。

新幹線で静岡まで行き単線の身延線に乗換え、両側の山林を割って走
り2時間です。会場は甲府盆地の湯村温泉にある『常盤ホテル』でし
た。テーマは、リーダシップ経営。

▼品質の完全への情熱

駅から乗ったタクシーを降りてホテルの玄関を入り、ロビーで目にし
たのは、高さ10メートル、幅は20メートルもありそうな、全面ガ
ラスを通した枝ぶりのいい松と、芝生の庭でした。

巨大ガラスを囲む柱と梁(はり)を、庭園の額縁にすることを計算し
た一幅の絵画に、並々ならぬ審美を感が感じられます。「この設計は、
ただものではない」という印象を受け、数十秒くらい立ち止まった
のです。

温泉と料理も、心遣いがベストでした。「完全な品質」を知る経営者
の、仕事への情熱が感じられる内容です。そして嬉しいことには、部
屋に料理を運ぶ仲居さんと、布団を敷きに来た3人の男性の、訓練さ
れて様式美のある所作と言葉にも、このホテルで働くことの誇りが感
じられたことです。こうしたものは、一瞬で伝わります。

サービス業は、設備の高級、清潔、快適だけでは価値を提供できない。
それらは、物的な舞台装置に過ぎない。サービスの価値は、人的な
ものです。働くことの誇りに接することができるのは、稀です。

誇りをもつことのできる会社は、社員からもいいものを引出し、能力
を発現させる仕事をさせます。経営の要諦は、ここにある。久しぶり
に、心が動かされる気分を味わいました。

露天風呂を含む温泉、料理、設備、人的なサービスは、高い水準で調
和(co-ordinate)していた。サービス業は、人の産業であることを確
認しました。

調和とは、組み合わせられることで、個々のもの以上の価値が生まれ
ることでしょうか。いいものは、進んで紹介したくなります。ホンモ
ノは感動を与えます。これは、いつの世でも何ら変わらない。機会が
あれば、お訪ねになることを薦めます。東京からは約2時間で近い。

http://www.tokiwa-hotel.co.jp/index.html

▼前稿から引き継ぐテーマ

<イラク戦争の帰結が見える(2)>です。前回は、NYのホテルで
書いてお届けしました。USA Today/CNN/Gallupの共同による、イラク
戦争後は初めての、イラク国民に対する世論調査の結果を読んで、解
析するものです。

すべてに陰謀の匂いがする諸事件の、推理小説のドラマ風な、面白く
はあっても曲折を経た解釈ではない。それは私の任ではありません。

スタンスは「イラク国民の多数がどう考えているか」を知ることです。
これについての報道を、国内ではまったく見掛けないことが、書い
て送る動機になっています。

USA Today/CNN/Gallupが、4月29日に調査結果を発表したことには、
政治的な意図を感じることはできます。米国政府には、国防長官ラ
ムズフェルド、同次官ウォルフォウィッツ(新保守派)の軍事強行派
と、国務省・CIAとの路線対立が見えます。ブッシュ大統領は、
11月選挙への世論を見て、時々で、政策決定がぶれています。軍の行
動の、直接の指揮をブッシュ大統領がとっているのではない。

調査結果には、新保守派の意に染まない内容も含まれます。

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    <Vol.188  イラク戦争の帰結が見える(2)>

【目次】

 1.インターネット時代の戦争
 2.曖昧なままのテロの定義(重要)
 3.新保守派の目的は、国防予算の拡張
 4.イラク国民の世論調査結果
 5.主権の委譲について
 6.結果をまとめれば
 7.ソフト・パワーの時代

【2つのセミナーの案内】

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■1.インターネット時代の戦争

最初にイラク戦争の性格を分析します。
その根は、たどれば、単純です。

▼報道の状況判定が必要

イラク戦争と、その後の戦闘や軍の行為について、次々に衝撃の「事
件」が報じられます。最近は、米軍の残虐行為が、写真とともに暴露
された。

91年のイラク戦争は、CNNによる、政府の意図が混じった報道が
伝える劇場戦争と言われました。CNNはこれによってブランドを獲
得します。

今回の戦争で、世界史上で初めてのことは<内部告発を含めた誰もコ
ントロールができないインターネット情報>が飛び交うという、新し
い時代のものであることです。インターネットの世界的な普及は、Wi
ndows95の1995年からです。

縛られ裸にされたイラク人男性のむき出しの性器を、おどけて指さし、
下卑て笑う21才の米軍女性兵士の映像は、病的なものでした。表
情を見れば、おそらくはマリファナにやられている。戦場では、これ
が容易に入手ができます。戦場は、敵も味方も異常心理の世界です。

デジタルビデオやデジカメで撮った、偽造のものも何割かは含まれる
かもしれない映像が、次々に暴露されています。米国はハリウッド映
画の国です。

今日見たのは、米軍がイラク人を撃ったものでした。ロケット弾があ
たって、人間は小麦粉を詰めた袋が破壊された時のように、粉塵にな
って撃砕された。瞬間に人が煙になった。

軍事とは言え、普段ショッピングセンターで見掛けるような普通の人
が、こうした殺人を行っていることに対し、見た人は衝撃を受ける。
その衝撃を計算した上での、米マスコミによる公開です。

上官の「撃て」という命令で、数人のイラク人が、粉末のような肉片
に変わる。戦争で使う兵器は、猟銃や拳銃とまるで違う次元の強い破
壊力をもっています。こうした映像は、なによりも雄弁に世界の人々
に反戦の気分を掻きたてるはずです。

米国には今、イラク戦争に突進した新保守派の軍事強行路線に、反意
を唱える人々が徐々に増えています。マスコミの報道の論調でそれが
分かる。

新保守派(ネオコン)の強硬路線と、パウエルの国務省的な穏健路線
が、今、民意では50:50で拮抗しています。かつては80:20
だった。

報道内容の判断にあたっては、公表の結果が、両者のどちらに味方す
るか、そこまでを見なければならない。

前稿で述べたように、大手マスコミの記事には、内容の意図的な偽造
は少ないにせよ、
 ・発表の時期と、
 ・編集と見出しにおいて、明確に政治的な狙いを持ちます。

記者が書いた記事のうち、発表されないものが圧倒的に多いのです。

この時期に、USA Today/CNN/Gallupの共同調査の結果を発表(4月2
9日)することは、今は穏健派である国務省の路線に添うものでしょ
う。

新保守派は対「テロ」の20年〜50年戦争を宣言しています。これ
は、長期にわたって、政府予算の中の軍事費を拡大獲得するという意
味の宣言です。

自国の税収に立脚しない軍事費の拡大は、通貨価値の下落を意味し、
過大さはインフレを招くことになります。歴史上、ほとんどすべての
インフレの原因は、生産を行わず蕩尽する戦費や、王室の冗費でした。

■2.曖昧なままのテロの定義(重要)

03年3月20日に、米英軍のイラク侵攻が始まり、5月1日にはブ
ッシュ大統領から大規模戦闘の集結が宣言された。米政府のシナリオ
通りでした。

目的だったフセイン政権打倒はこれで終わった。穴蔵からはい出した
カリスマのかけらもないフセインの映像は米軍の勝利宣言でした。大
量破壊兵器の存在など、どうでもいいことでした。

しかしその後、米政府が「テロ」と称している戦闘は、終結の目処は
見えず繰り返されています。イスラエル・パレスチナ問題も深く絡ん
でいます。その意味では、イラク情勢は、米国新保守派の「対テロの
50年戦争」の狙いにそっています。

ここでゆるがせにできない重要なことを言えば、「テロ」についての
国際的な、言い換えれば国連等の機関で、公式に合意された定義は、
まだないことです。わが国のマスコミはこれを報じていない。テロの
定義についての議論もない。今は、アメリカがテロと宣言すればテロ
になる。

わが国政府は、安易に米国政府の新保守派の定義を借りています。こ
うしたところに、知的ないいかげんさを感じるのは、私だけでしょう
か? 

自衛隊を派遣した日本の外務省と政府が、イラク戦争の原因とされる
テロを、どう定義しているか、聞きたいものです。政府が考える「国
益」に添う定義でもいい。説明の言葉を失った政治は危険です。

本来はテロの定義の内容こそが、イラク戦争の根拠であるはずだから
です。米軍がイラクの民間人を殺すのは侵略的な防衛(先制攻撃pre-
emptive attack)であってテロではなく、イラク人の過激派の攻撃は
テロだとは、いかにも不利釣り合いです。

一般にはテロは、「特定の主義に基づく政治的な要求を、国家や社会
に強要する目的で行う、不当な暴力行為や脅迫」とされています。

政治的あるいは宗教的な立場が異なれば、テロとされる行為も「レジ
スタンス」とも言い得ます。米国の占領に対するイラク国民のレジス
タンスとすれば、米国は、イラク占領の根拠を失います。

他方、テロとすれば、イスラム原理主義とされている特定の政治集団
が、騒乱を狙って、世界の人々へ無差別に仕掛ける可能性がある犯罪
になる。

独裁国家ではなく、選挙で首長を選ぶ国が行う戦争には「正当性」が
必要です。正当性は、結局は(1)「国益」か、(2)「国民の資産
と生活の防衛」にしか帰着しない。防衛は、攻撃への防御ですからは
っきりしています。しかし国益ということの内容は、いつも、はっき
りしたものではない。

米国が言うテロは名目上であって、対アラブ権益と支配権のための戦
争であると本当のことを言えば、論理だけは通ります。しかしそれで
は、民主国である米国が不当な侵略という犯罪を犯していることにな
る。これでは米国民の罪になります。

「テロ」を首謀しているとされるイスラム原理主義は「コーランの絶
対性と無謬(むびゅう)性を信じ、預言者ムハンマド(マホメット)
の時代のようなイスラム共同体を復活させようとする運動」とされて
います。

タリバンやアルカイダ等のイスラム原理主義の戦略は、米国のみなら
ず西側世界へのテロ行為であると規定しているのが、米国の新保守派
です。しかしアルカイダの組織自体も、実ははっきりしていない。肝
心なことは、すべて藪の中(芥川龍之介の同名の小説)です。

イラク戦争からの帰還兵が、命をかけたことの「誇り」をもって、そ
の後の人生をおくることができるかどうか疑問です。共産勢力の拡張
を留めるという名目をもっていたベトナム戦争以上の、正義のないこ
とが原因の米国の傷になるでしょう。

米国の良識派には、今、イラク戦争の誤りからどういったかたちで、
身を引くか、これを模索している勢力も増えているように感じます。

■3.新保守派の目的は、国防予算の拡張

何が最終的に米国戦略を決めるものになるのか? 米国民の世論であ
り、今年11月の大統領選です。争われることの本質は、「軍事費の
拡張」の是非です。

新保守派が書いた公開文書『国防力の再建』は、「$1に対し4セン
トの負担(GDP比4%:約50兆円)」は軽いと言っています。こ
の額は、現在の米国財政の赤字にそのまま相当します。

「テロ」が続くことは、米国の軍事予算の拡張に味方をします。これ
は米国の財政赤字を更に拡大し、ドル基軸体制の終えんを速めます。
2010年ころからは、米国でも年金、福祉、医療費が、日本並みに
深刻になるからです。米国の高齢化は日本の10年遅れです。

1.軍事費の拡大を目指す新保守派
2.軍事費で抑制的な予算の穏健派

米国経済は、
(1)突出した兵器力をもって、数年のうちに戦費と軍事費予算に
   よって経済の自滅に向かうか、
(2)1970年代のベトナム戦争のあとのように、傷を負うかの
   岐路に立っています。

重要なことは、赤字の米国財政(少ない税収)では、拡張予算が必要
な戦争は遂行できないことです。国内では戦費は枯渇しています。

そのための、わが国財務省による30兆円(03年〜04年)ものド
ル国債買いだったのです。これは、明白な資金拠出です。財務省がド
ル売りを行うことはできない。つまりは戦費の最強力な支援でした。
為替調整なら売り買いがある。売り買いのないドル買いは資金提供で
す。

戦費がなければ戦争はできない。近代戦争は経済が支えます。大量の
武器を生産・補充し、有り余る食料を送らねば、戦争はできない。

兵站への補給のロジスティクスこそが、戦争です。戦争は、経済的に
は破壊をともなう、原始時代からある蕩尽の行為の一種です。

近代戦争の原因は、市場か資源の獲得競争です。根底は経済的なもの
です。主義は、その上に乗って軍事目的を正当化するための言説のア
クセサリーにすぎない。

日本の国防費はGDPの1%、5兆円です。隊員数26万人、1名あ
たりで言えば、約2000万円の経費。

新保守派は、米国防費の総予算約40兆円を50兆円に増やそうとし
ています。ここが焦点であり、衝撃的な事件は、付帯的なものです。
突き詰めれば10兆円のためです。

新保守派は経済的利害に敏感です。背景となっている出自をみれば分
かります。実に矮小(わいしょう)な目的で、戦争が実行されていま
す。

米国の軍事費拡大に賛成するか、反対するか、態度を決めるポイント
はここにあります。世界で最大支持者は、資金を出さない英国ではな
く、戦費を購(あがな)ったわが国の財務省でしょう。

円高を避ける通貨調整という政策目的は、名目上のものです。すでに
30兆円を投入し、いずれ価値が下落する米国の手形を預かる裁量権
を財務官に与えている国家は、異常です。しかも結果責任は、官僚は
誰も取らない。最後は、国民の税負担になります。

■4.イラク国民の世論調査結果

前稿に続く、世論調査の結果です。(予想どおり日本のマスコミは、
かすかにしか報じませんでした。以下の番号は前稿に続くものです)

▼イラクにおける米国の役割について

8)イラクの経済改善に、米国は重要な役割を果たすことができるか
どうか?

・そうは思えない 54%
・そう思える   37%

イラク国民が最も求めているのは、経済の改善です。日本の役割はこ
こにあります。

9)イラクでの民主政体の樹立に、米国は重要な役割を果たせるか?

・そうは思わない 50%
・そう思う    37%

10)米国は、イラク国民が自分たちで政治的な未来を決めるのに対
し干渉しないと思えるかどうか?

・干渉するだろう  57%
・干渉しないだろう 28%

11)米国は、イラクの政治的、領土的な統一を守ると思えるかどう
か?

・思えない    51%
・思える     33%

イラク国民のうち50%くらいは、今の米国政府を信じていないこと
が伺えます。他方、米国を信用している人は、30%から40%弱で
す。反フセインだった北部のクルド族は、総じて米国派です。

フセインを支えていた少数派であるスンニ派は、明確に反米であり、
多数派のシーア派が、平均的な態度を示しています。今、このシーア
派も反米転じつつあります。

まとめれば、
(1)反フセインだった人々は親米に傾くこともあるが、
(2)フセイン支持だった人達は、強硬な反米です。

共通に求めるのは、経済であって、戦争ではない。米国の新保守派は、
イラク=イスラム原理主義の幻想をばらまいていますが、実態は違
います。

フセイン追放での米国の役割は認めるべきものです。その後の関与は
、軍事的なものではなく、経済取引によるべきものです。

▼米軍の撤収について

12)米軍が今撤収すれば、イラクは無政府状態になると思うかどう
か?

・無政府状態にはならない  44%
・無政府状態になる     41%

13)イラクでは今後、市民間の内戦が起こると思えるかどうか?

・内戦が起こる    24%
・内戦は起こらない  58%

14)旧体制は、永久に消えたと思えるかどうか?

・消えたと思える   86%
・消えたとは思えない  5%

15)米軍は、イラク国民の意志表明がない限り、撤収しないと思え
るかどうか? (意思表明があれば、米軍は撤収すると思えるか)

・思えない      28%
・思える       55%

スンニ派も、フセインのような独裁体制は拒否しています。

何らかの強権がないと、無政府状態が続く懸念があると考えている人
は41%です。

フセイン体制の復活は望まない。米軍主導で民主化を図って欲しいと
考えるのは一貫して30%と見ていいでしょう。ここにも、クルド族
(親米)とスンニ派(反米)の対立が見えます。

この世論調査が行われた後だったファルージャ攻撃以後は、全体に、
反米の増加が予想されます。

治安への米軍の関与が、今は唯一の米軍駐留の根拠でしょう。しかし、
米軍がイラクにいること自体が、世界の反米勢力をイラクに集める
ことにもなっています。反米勢力にとっては、イラクがチャンスを与
えるからです。

フセインなき後のイラクに米軍が駐留するには「テロ」の持続が必要
になるのです。まさに暴力は暴力を呼ぶ。

■5.主権の委譲について

つぎの問いは、占領軍(CPA)からの主権の委譲についてのもので
す。

16)04年6月30日に予定されているイラク政府への主権の委譲
について、米国はどんな理由で、イラク国民への主権の委譲を行うこ
とを表明していると思えるか?

・主権の委譲は表面のことで、
    米国による支配は続くから 40%
・イラクからの圧力による     28%
・イラクと米国の合意による    31%
・米軍へのレジスタンス攻撃
         があるから   17%
・米国の純粋な意志        13%

主権委譲があっても、イラクへの米国の干渉は、その後も続くと考え
てる人が多数派です。

17)6月30日以降、連合軍が撤収したあと、イラクの政情不安と
治安問題があっても、イラク自身が完全に問題を解決できると思える
かどうか。あるいは、限定した兵力で、連合軍が駐留を続けるべきか

・連合軍は、ただちに撤収すべきである 45%
・駐留を続けるべきである       45% 

この問いでは、問い自身に若干の誘導が見られます。上記で「完全に
(原文はentirely)」イラク自身ですべての問題解決ができるという
問いだからです。現在のイラクのような情勢で、フセインの独裁が壊
れたあと、政情不安や闘争が起こるのは当然のことだからです。

私は、駐留賛成派は30%、反対派50%と判断しています。米国政
府(米国民の総意ではない)の総体意志は、軍事過激派・穏健派に限
らず、イラク駐留の継続であることが見えます。

18)現在までのイラク政府委員会への評価は?

・最悪        12%
・幾分悪い      12%
・良くも悪くもない  36%
・幾分良い      32%
・非常に良い      3%

悪いという評価が24%、いいという評価が35%です。意外に評価
されているという印象を持ちます。評価が悪い方が多いと見ていまし
た。

19)イラク政府委員会には、米軍からの独立性があると思えるか?

・独立性がある   11%
・独立性はない   79%

これは当然の結果です。今は米軍が統治しています。

20)新しいイラク警察は信用できるか?

・高いレベルで信用できる  19%
・中くらい         51%
・信用性は低い       18%
・信用できない        8%

今のイラク警察は、過去のフセイン派、反フセイン派を含む連合組織
です。答えの文言に作為性がありますが、完全に忌避はされていない
と見ていいでしょう。

■6.結果をまとめれば

まとめれば、北部クルド族は米軍によりかかり、スンニ派・シーア派
は反米。若干の誘導的な問いは見えるものの、今のイラク情勢下での
調査結果としては、はほぼ信用していいと判断しています。

繰り返しになりますが、
 ・全体では30%が親米、
 ・50%は反米と判断します。

米国内では、ラムズフェルドとウォルフォウィッツが主導してきた軍
事過激派は、昨年春は圧倒的だった世論の支持を、日々失いつつあり
ます。しかし米国内での軍事過激派への支持派と反対派は、50:5
0であることは認識しておくべきことです。

焦点は米統領選挙です。それに向け、過激派、穏健派双方からの陰謀
的な事件が、マスコミ報道をまきこんで起こることが想定できます。

しかし、新しい事態であるインターネットの情報がからんだ戦争では、
政府の情報戦の底や意図はすぐ割れます。(注)戦争は情報戦を含
むものです。

戦争の正当化には、敵側が不当な手段を使うということの喧伝(けん
でん)が必要です。あやしげな50年戦争の予算に、米国民の民意が
賛成を表するかどうか、疑問です。

軍事過激派の狙いは、年50兆円(GDP%)比の政府予算の獲得で
す。そのための対テロ戦争というのが、本質です。

▼経済

軍事過激派に引きづられるなら、米ドル基軸通貨の体制は早晩終わり
ます。通貨マーケットは、ベトナム戦争後の米国経済の凋落を経験し
ているからです。

加えて、米ドルの価値下落を支てきた日本の財務省も日銀も、外貨準
備(米国への日本政府からの貸付と同じ)は82兆円に達し、国家予
算の額を超え、信用の財布が枯渇しつつあります。最近はドル安が恐
くなってさすがに買っていない。

米国によるアラブの支配は、どう論をねじ曲げても、正当性はなく、
米国の世論からも、占領の継続ができない。

戦争を「予算の側面」から論じる人が少ないのはなぜでしょうか?

予算がなくなれば、砂漠で過酷な戦いを続ける現場の兵士の不満が高
まって、撤収せざるを得ない。砂漠の現場では、正規軍ではないカネ
で雇った傭兵や失業者を含む移民の人々が、危険な任務についていま
す。

「テロ派」も同様です。兵器と食糧を補給する資金のバックがない限
り、続かない。

■7.ソフト・パワーの時代

米国の元国防次官、ジョセフ・ナイは、国家の軍事力(ハードパワー
)に対し、情報・知識・文化・倫理・経済・民意を含む、(戦闘力は
ゼロの)ソフトパワーの優位を唱えています。

今後、イラクで起こることを総合すれば、内容はソフトパワーの優位
に向かいます。このままではハードパワーの米国の敗北は明らかです。

時代認識の誤謬は誤謬であることを、必然的に明らかにします。

世界の歴史が証明しているように、ベトナムでもあった傀儡政権は短
期であっても続かない。米国の民意も世界の民意も、許さないからで
す。軍国主義や専制の時代とは、今は時代が異なります。

私は、ナイーブでソフトな見方をしています。
ナイーブこそが正当だと考えるからでです。

疑わしい内容である国益論には与(くみ)しません。

9.11以降の米国は、言論統制下にあった異常な時期でした。ワー
ルド・トレード・センターの悪夢は大きかった。今は米国でも冷静な
論が、多数見られます。

資源の中の資源である原油は、先週1バーレル$40を超えました。

すんなりとは行かなくても、このままでは、高金利とインフレが近づ
きます。しかし高い原油は、先進国でもっとも省エネが発達し、省エ
ネと小型化技術にすぐれた日本に有利です。中国、米国には不利です。

日本は、既に、資源価格高騰に強い国です。原油の高騰が日本経済の
全体にとって、国際競争上で有利とすれば、何が国益でしょうか?

もともとイスラム原理主義は、多神教の日本を敵視はしていなかった
のです。

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(1)『業務デジタル化セミナー』

SAPジャパンと商業界の共催の『業務デジタル化セミナー』で最初
の2時間の基調講演の講師と、その後のパネルディスカッションのメ
ンバーをつとめます。

・期日と時間  5月22日(土) 13:00〜18:40
・会場     東京 大手町サンケイプラザ
・問い合わせ先 商業界教育事業部 
        電話  03−3224−7488
        FAX 03−3224−0615
・会費     7000円

パネルディスカッションでは、
1.ホームセンターの東の勇、ホーマックの前田社長、
2.効率の高い完全作業のディストリビューションセンターでウォル
  マートを驚かせたパルタックから物流センターの設計者である山岸
  副社長、
3.セブンイレブンへの供給システムを作ってきた三井物産からはリ
  テイル事業開発部長田口部長が参加されます。

興味深いディスカッションになるだろうと、参加者の私自身も楽しみ
にしています。

http:/www.shogyokai.co.jp/

このページのセミナー案内で<IT関連>をクリックすれば、内容紹
介のページが開きます。

(2)緊急セミナー『スーパーセンター1号 西友沼津店から読み取
   るウォルマート本格進出の脅威と死角』

・期日と時間 5月21日(金)午後
・会場    沼津商工会議所(沼津駅から徒歩15分)
・会費    21000円
・問い合わせ先 商業界教育事業部 
        電話  03−3224−7488
        FAX 03−3224−0615

4月にオープンした、食品を含むスーパーセンター第1号店の現場で、
『ウォルマートの本格進出はどんな影響を与えるか』とのテーマで、
90分の講演をし、ウォルマートの戦略を明らかにします。

http:/www.shogyokai.co.jp/

上記と同じのページのセミナー案内で、<緊急セミナー>をクリック
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1.テーマと内容は興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
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5.差し支えない範囲で読者の横顔情報があると助かります。

コピーしてメールにはりつけ、記入の上、気軽に送信してください。

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     <153号:特別号:金利に着目せよ>

【目次】

 1.10年で約2倍になった米国の小売総額
 2.物価の変曲点(臨界点)が近い
 3.実感的な物価観察
 4.【原理】物価下落が止まれば、金利は上昇
 5.転換点
 6.世界の低金利
 7.金融にはディレンマ(二律背反)がある
 8.政策の選択肢をもたない日銀
 9.価値が疑わしいものは、政府と日銀に集まっている
10.金利上昇とインフレーション

今の経済情勢の焦点は、金利です。ここを解き明かします。

▼申込み月の既発行分は、その月の全部を読むことができます。

※申込み月の1ヶ月分は発行分を無料で試読ができます。
 無料期間の1ヶ月の後の解除も、拘束はなく自由です。
 ↓
http://premium.mag2.com/

(1)初めての会員登録で、支払方法とパスワードを決めたあと、
(2)受付メールが送ってきて、
(3)購読誌の登録です。
(4)バックナンバーの購読も月単位でできます。

【↓会員登録の方法の説明】
http://premium.mag2.com/begin.html

【↓購読誌の登録】
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